2008年7月16日(水)掲載

◎道南15漁協 一斉休漁
 燃油価格の高騰に苦しむ窮状を訴えるため、全国の主要な漁業団体が15日、一斉休漁した。道南地域でも渡島管内の14漁協とひやま漁協の合わせて15漁協が休漁。渡島管内の漁業関係者約150人は函館市内で「漁業経営危機突破渡島漁民大会」(渡島管内漁業協同組合長会主催)を開き、政府に向けた「燃油価格暴騰対策に関する決議」を採択した。

 全国規模の一斉休漁が行われるのは今回が初めて。同日早朝の函館市水産物地方卸売市場(豊川町21)には、前日夜から漁が行われていたマイカは通常通りに入荷。それ以外の魚種に関しては前回の競り(13日)の入荷量の約半分にとどまったが、価格が上昇するなど大きな変動は見られなかった。

 同市場の仲買関係者は「入荷量は少なかったが、1日限りの休漁なので特に大きな影響はなかった。16日はマイカの入荷がないので市場内はさびしい雰囲気になるのでは」と話していた。

 この日午前11時から函館水産ビル(豊川町11)で行われた渡島漁民大会では、政府に対し燃油価格高騰への補てん措置などを求める決議を採択した後、「国は漁業を守れ」などのシュプレヒコールで会場はヒートアップした。市内でイカ漁を行う若松淳一さんは「これまで経費節減のために努力を重ねてきたがもはや限界。休業や廃業に追い込まれる漁業者が続出し、函館の特産品であるイカが姿を消すのも時間の問題。政府には安心して漁業に専念できる施策を期待したい」と訴えていた。

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 函館市内のスーパーや小売店では、事前に休漁が告知されていたためか目立った混乱はなかった。道南地域に24店舗を展開するスーパー魚長では、15日販売分を事前に確保していたため、地元産のカレイやズワイガ二など旬の魚が並んだ。大塚英俊鮮魚課長は「(市場が休みとなる)通常の週末と同じ対応で問題はなかった」としながらも「今後も休漁が繰り返されると、入荷量が減り価格にも影響が出てくる」と懸念する。

 一方、一斉休漁のニュースが客足に影響したケースも。本町市場(函館市本町31)で鮮魚店を経営する男性も事前の仕入れを増やして対応したが、「いつもよりも客足は少ない。今日は店頭に魚が無いと思っているのだろうか」と話していた。(小川俊之、鈴木潤)



◎2次救急受け入れ制限から3カ月、夜間の軽症患者 大幅減
 南渡島医療圏(2市7町)の2次救急医療機関に指定されている函館市内の9病院が、「ウオークイン(重症以外の患者)」の夜間受け入れを制限して3カ月が過ぎた。軽症患者の時間外受診が減少し、1次救急の市夜間急病センター(白鳥町)の利用が伸びるなど、それぞれ本来の役割を取り戻しつつある。ただ、医師不足が深刻な小児科医の過重労働は解消されないままで、小児救急を担う病院では綱渡りに近い状況が続いている。(宮木佳奈美)

 「薬が欲しい」「鼻水が出た」など時間外受診の必要度が低いにもかかわらず、夜間に直接自家用車で来院するウオークイン。受け入れ制限はこうした軽症患者の増加を受け、2次救急病院で常態化している勤務医の過重労働を緩和し、地域の救急体制を維持する措置だ。

 4月から午後8時―午前零時、6月以降は午後5時―午前零時に拡大して原則、軽症患者の受け入れを制限。これに伴い、同センターが6月から診察開始時間を30分前倒しして午後7時半―午前零時に対応している。

 制限時間帯の受診状況は同センターが4月1272人(前年同月比84人増)、5月1447人(同336人増)、診療時間が30分拡大した6月は1457人(同475人増)と増加。同センターは「本来、2次救急病院へ行く必要がなかった軽症患者が来るようになり、適正に利用されるようになった」とみる。

 一方、2次救急病院全体で4―6月の合計が494人。2・3次救急患者を受け入れる市立函館病院(港町1)では、制限時間帯以外を含むウオークイン総数は4―6月の合計で1537人(前年同期比2729人減)と約3分の1まで減少した。吉川修身院長は「ウオークインが減り、当直医の負担軽減に効果があった」とするが、「受診が少ないのは季節的な要因も考えられ、まだ当直体制を見直すまでに至っていない」と話す。

 函館中央病院(本町33)でもウオークインがほぼ半減したが、水上晋・小児科長は「制限時間帯の負担は軽くなったが、午前零時以降や休日の状況は変わらない」とする。24時間体制の新生児集中治療室(NICU)を抱え、若手小児科医は当番日と合わせて月7、8回以上の泊まり勤務をこなす。勤務時間は36時間に及ぶことも。

 山田豊副院長は「医師不足が解消しない以上、長期的に見て今の状況を続けるには無理がある」と窮状を訴える。「子どもの症状に合わせて対処方法を示したフローチャートなどで受診の目安を知ってもらい、必要ない受診を減らしてもらわなければ」と指摘。各病院の小児科医らが横断的に印刷物などによる啓発も検討しているという。


◎YOSAKOIチーム「夢限舞童」が10周年
 函館を拠点に活動するYOSAKOIソーランのジュニアチーム「夢限舞童」(外崎仁代表)が、ことしで結成10周年を迎えた。YOSAKOIソーラン祭り(組織委主催)のジュニアコンテスト部門で2度の大賞を受賞している実力チームで、メンバーは節目を契機に一層の活躍を誓っている。(鈴木 潤)

 現在、小学4年から中学3年生まで20人が在籍し、藤枝直哉君(函館椴法華中3年)をチームリーダーに週3回の練習に打ち込む。結成は1998年で、別のチームに所属していた外崎代表が、子供たちのYOSAKOIチームを作ろうとメンバーを募ったのがきっかけだ。

 当時はジュニア専門の大会がなかったため、地元での活動が中心だったが、05年に創設された同祭りのジュニアコンテスト部門で初代大賞に輝き、その後の06、07年は準大賞、ことしは3年ぶりの大賞奪還を果たした。

 ことしの演舞は滝沢馬琴原作の伝奇小説「南総里見八犬伝」がモチーフで、「仁義八行の玉」を表した8本の旗をたなびかせ、ダイナミックな演舞を展開。終盤では八犬士が主君のために結集する場面を表現し、「夢に向って突き進むイメージを表した」(外崎代表)という。藤枝君も「メンバーがコミュニケーションを取り合った。一つの踊りを作りあげようという思いが集まった成果」と話す。他の実力チームと比較して踊り子の数は多くないが、それを補うだけの見応えある演舞を完成させた。

 この10年間、チームとして充実した成果を残した一方、解散の危機に直面したこともあったという。外崎代表は「メンバーの熱意はもちろん、何かあったとき保護者にも協力していただいた」と振り返る。

 6月20、21の両日には、日米修好通商条約による5都市開港を記念して横浜市で開かれた「ポート・タウンフェスティバル」のステージイベントで演舞を見せた。今後も市内外のイベントなどへの出演を予定。藤枝君は「皆が感動する演舞を披露していきたい」と話している。


◎遺愛高地学部、21日に「海岸漂着物展」
 函館市内で1997年から海岸のごみの調査を続けている函館遺愛女子中学・高校(野田義成校長)は「海の日」の21日、活動の成果をまとめた「海岸漂着物展」を函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で開く。北海道洞爺湖サミットを機にした環境問題への意識の高まりを受け、海の実態や地球環境について考えてもらおうと初めて企画した。同校地学部の倉又千咲部長(高3年)は「身近な海がごみであふれている現状を知ってほしい」と呼び掛けている。

 同校では海と環境について考えを深めようと、97―2003年は同校地学部が活動の一環として、04年からは全校ボランティアとして大森浜などで漂着物の調査を実施。ごみの種類や材質、国籍などを記録し、流れ着く経緯や起源などを分析している。

 当初から活動に携わる同部顧問の雁沢夏子教諭は「韓国や香港など海外のものもあるが、市内や近郊と思われるごみが大半」と指摘。「意図的でなく、ごみ捨て場から風に飛ばされた場合もあるだろうが、海に入れば処理できなくなる。ごみの捨て方や発生源を考えないと問題は解決しない」と話す。

 当日は、漂着物の実物や活動内容をまとめた展示物などを並べるほか、函館商業高、函館大妻高の取り組みなども紹介する「高校生環境ポスター展」も同時開催する。

 午前11時―午後5時半。入場無料。問い合わせは同校TEL0138・51・0418。(新目七恵)


◎市湯川海水浴場がオープン
 函館市根崎町の市湯川海水浴場(市営熱帯植物園前浜)が15日にオープンした。午後3時までの最高気温はことし最高の26・3度まで上がり、早速親子連れなどが訪れ、水しぶきを上げたり、浮島での波乗りを楽しんだりしていた。

 午前9時からの安全祈願祭で無事故を祈った後、市消防本部と日赤函館市地区水上安全法奉仕団が水難救助訓練を行った。海でおぼれた人を陸に上げ、心肺蘇生(そせい)を行うなどし、緊急時に備えた。同10時に遊泳開始となり、水温は約19度とまだ泳ぐには冷たい条件だったが、来場者は水の掛け合いなどで夏の始まりを実感していた。

 同海水浴場は8月31日まで、午前10時―午後4時半に開放。市入舟町前浜海水浴場(入舟町22)は26日にオープンする。(山崎純一)


◎20日「海上・大漁祈願祭」
 函館市西部地区の町おこしに取り組む笑福七福神祭実行委員会(井上清美委員長)は20日、「海の日」を記念して同市入舟町の函館漁港などで「海上祈願祭・大漁祈願祭」を開く。今年は恒例の木造宝船「七福神丸」の港内パレードに加え、函館水産高校の生徒が幕末の偉人・新島襄の生涯を描いた寸劇も企画されている。(森健太郎)

 同祭は今年で5回目を迎える同市弁天地区の恒例行事。今回は初めて午前と午後の2部構成で、午前中は緑の島入り口付近で同校1、3年の生徒4人が、キリスト教主義教育に情熱を傾け、函館から渡米した新島襄にちなんだ寸劇「新島襄と仲間たち」を演じる。

 午後からは函館漁港に会場を移し、七福神に扮(ふん)した同校生徒ら7人が、地元の平石造船所(平石健悦社長)が建造した「七福神丸」に乗り込んで港内を周回。陸揚げ後には岸壁で約800個のもちまきやフリーマーケットも行われる。強風や雨天の場合、七福神丸の航行は中止する。

 同校の我妻雅夫教諭は「近代日本を築いた新島襄やその周辺人物に関心を持ってもらい、市民に木造和船の素晴らしさを知ってもらえれば」とし、実行委の井上清美委員長は「西部地区の隠れた財産を活用し、漁業や造船で栄えた函館の歴史を今後も継続的に伝えていきたい」と話している。問い合わせは井上実行委員長TEL090・4878・4158。


◎ユニバーサル上映「市電シネマ」参加者募集
 第3回北海道ユニバーサル上映映画祭(9月、北斗市)の実行委員会(島信一朗委員長)は映画祭関連企画として、8月7日に函館市内で行う「市電シネマ」の参加者を募集している。市電に乗りながら映画上映を楽しむ特別イベントで定員は16人。締め切りは25日で、応募多数の場合は抽選となる。

 障害の有無にかかわらず映画を楽しめるようサポート環境を整備する「ユニバーサル上映」について、理解を深めてもらう目的で昨年度に続いて実施する。旧暦の7月7日、星祭りの夜に当たるこの日に超低床車「らっくる号」を貸し切り、映画祭でも上映するアニメーション映画「銀河鉄道の夜」を日本語字幕と音声ガイド付きで鑑賞してもらう。参加費は運賃込みで1000円。応募は名前、住所、電話番号などを明記し、郵便はがき(〒041―0853 函館市中道2の51の3 函館保健企画内)かファクス(0138・31・9919)で実行委事務局へ。

 実行委では映画祭の賛同金とスポンサーを募集中。それぞれ一口5000円。賛同金出資者は配布資料に名刺広告を掲載、スポンサーは希望映画のエンディングなどに名前を掲載する。問い合わせは事務局TEL同31・0010。(新目七恵)