2008年7月18日(金)掲載

◎函商高が模擬株式会社設立、函商ブランド販売へ
  函館商業高校(三浦法久校長、生徒708人)の生徒と教諭がこのほど、模擬株式会社「HAKOSHOP(はこしょっぷ)」を設立し、活動の第1弾としてオリジナルのスポーツタオルなど「函商ブランド」の商品3点を開発した。道教委によると、道内公立高校が模擬会社を設立するのは初めて。20日に函館市昭和1の同校で開く学校祭会場で一般販売する予定で、生徒らは「学校をアピールしたい」と張り切っている。(新目七恵)

 同校は函館水産高、大野農業高と共に道教委の「北を活かす人づくり」推進事業の対象校に指定されており、これまでも「食と観光」をテーマにさまざまな取り組みを進めてきた。3カ年計画の最終年度の本年度は、商品販売を通じた地域活性化を目的とし、生徒の起業家教育や資金集めのため模擬会社を設立することにした。

 課題研究調査研究班の3年生9人と教諭7人の計16人が48株(1株1000円)を出資し、このほど模擬株主総会も行った。社長には3年の奥充貴君が就いた。

 同校同窓会の協力を受けて完成した商品は、生徒のデザインを基にしたタオル(縦20センチ、横1メートル、1本1000円)と校章のマークが入ったビアジョッキ(1200円)、エプロン(4色、1枚2400円)。タオルは綿100%で、スクールカラーの紫紺を基調に校是(校訓)などを入れた。タオルは1000本、エプロン計200枚、ジョッキ200個を用意し、学校祭後は同校のホームページなどでも注文を受け付ける。

 副社長の花田瑞枝さん(17)は「新入学生や一般の人に学校の取り組みをPRしたい」、営業部長の長谷川達也君(17)は「自分たちのデザインが商品になってうれしい。多くの人に売りたい」と意気込んでいる。商品についての問い合わせは同校TEL0138・41・4248。

 模擬株式会社 生徒らが株主(出資者)となり、仮想会社を設立して実際に事業資金を集め、それを元手に食品販売や商品開発などに取り組む活動。株主総会や会計参与、監査役など実社会と同じ企業形態で展開するのが特徴で、年度末に清算し、出資金は配当と合わせて株主に返還される。商売を実体験する起業教育(アントレプレナーシップ)の一環として、道外の商業高校などで取り組む例もある。


◎市社協職員183万円横領 全額弁済、懲戒免職に
 函館市社会福祉協議会(市社協、谷口利夫会長)の20代の男性職員が、公金約183万円を横領し懲戒免職処分となっていたことが17日、分かった。元職員は3年間にわたり函館市の補助金や委託金を含む市社協実施の事業費を着服、横領し遊興費に充てていた。全額を弁済し免職となったことから、市社協は刑事告訴をしない方針。

 市社協によると、元職員が横領したのは「ふれあいのまちづくり事業費」から150万7000円、「在宅福祉ふれあい事業費」から32万3526円の計183万526円。2005年度から3年間にわたって続けられ、確認できる範囲で見積もった最大額という。懲戒免職は6月30日付。

 5月31日にまちづくり事業の相談員から「謝礼金が支払われていない」との相談があり、市社協が調査。元職員は偽の印鑑で領収書を偽造したり、相談の実績を水増しして請求し、着服していた。

 元職員は「在宅福祉事業でも横領した」と告白。在宅福祉委員会が活動を休止し、返却された現金を金庫の中から盗んだり、事業用の切手を購入し金券ショップで換金していた。元職員は公金を管理する立場にあった。

 両事業は市の補助金や委託金、市社協の自主財源で実施している。税金のほか、寄付など市民の善意で成り立っている。ふれあいのまちづくり事業は市民の日常生活の相談事業などを、在宅福祉ふれあい事業は町会単位で在宅福祉委員会を組織し、高齢者への配食サービスや家事援助などをしている。

 市社協は18日に部課長で「現金取り扱いにかかる検討委員会」を立ち上げ、社協の監事や税理士の指導を受けながら改善を進める。椎名哲雄常務理事と佐々木健裕事務局長は「公金の管理体制が甘かった。民間福祉の中核を担う団体の信頼回復に向け、再発防止策を講じ、運営の適正化に努めていく」と語った。

 函館市の岡田芳樹福祉部長は「倫理が求められる団体での不祥事で、誠に遺憾。近く監査に入り、厳正にチェックし改善策の報告を求める」と話している。


◎森町談合、町長らの関与 今後の焦点
 【森】森町が2005年9月に発注した町消防防災センター建設工事の指名競争入札をめぐる談合事件で、道警捜査二課や道警函本捜査課、森署などは17日、偽計入札妨害(談合)の疑いで逮捕した準大手ゼネコン「東急建設」札幌支店土木担当部長、菅沢利昭容疑者(60)と同町内の「星組渡辺土建」社長、渡辺英明容疑者(56)ら6人の本格的な取り調べを始めた。同課などは家宅捜索で押収した関係資料の分析を急いでいる。これまでの調べで、同課などは関係者から官製談合を示唆する供述も得ており、湊美喜夫町長(79)ら町幹部の関与の有無が、今後の捜査の最大の焦点になりそうだ。

 札幌で逮捕された菅沢容疑者ら東急建設の幹部4人は同日未明に移送され、函館中央、函館西、森署の3カ所で、渡辺容疑者や、両社を仲介したとされる函館市豊川町の設備会社「藪下機械店」社長、藪下宏一容疑者(61)とともに取り調べを受けている。同課などは18日、6人を函館地検に送致する。

 一方、町主導の官製談合の疑いも浮上する中、湊町長は終日、沈黙を守った。出勤のため午前8時半ごろ、森町上台町の自宅から、2人の役場職員に体を支えられながら乗用車に乗り込んだ湊町長は、詰めかけた報道陣から町の関与や町長として責任を問われた際、「勝手なことを書いて何を言ってるんだ」と吐き捨てた。湊町長は午後3時ごろ、報道陣の問い掛けには一切応じずに役場を後にした。

 同町の阿部眞次副町長は「マスコミは、ありもしない『逮捕だ』『強制捜査だ』と報じるので、不信感を持っている」とし、「町民にはちゃんとあんた方(報道関係者)に関係なく説明する」と声を荒らげた。町は、談合再発防止について「今回の事件は遺憾ではありますが、今後の入札執行について、十分注意を払ってまいりたい」とするコメントを出した。

 また、東急建設(東京)は「重大かつ厳粛に受け止めております。今後も引き続き捜査に全面的に協力するとともに、全社をあげて法令順守の徹底に取り組み、信頼の回復に努めてまいりたい」とのコメントを発表した。


◎赤い靴の会で小像を初披露
 「はこだて赤い靴の会」(宮崎衛委員長)の設立祝賀会が17日、函館市末広町の五島軒本店で行われた。函館とゆかりがあり、童謡「赤い靴」(作詞・野口雨情)の女の子のモデルとされる岩崎きみちゃん(1902―11年)の小像(高さ50センチ)が初披露されたほか、雨情の孫で、野口雨情生家資料館館長を務める野口不二子さん(茨城)が童謡の誕生秘話を語った。

 同会は、きみちゃんが函館で母と別離し、米国人宣教師に預けられたという悲話を伝えようと発足。函館開港150周年に合わせて来年6月、函館港の東浜桟橋に少女のブロンズ像(高さ約165センチ)を建設しようと準備を進めている。デザインは函館出身の彫刻家小寺真知子さん(ローマ在住)が担当。事業費集めのため、ブロンズ像と同じ形の小像計10体(1体60万円)を個人・企業などに販売する。

 祝賀会には市民ら約120人が参加。雨情の長男を父に持つ野口さんは、きみちゃんの母かよさんが、雨情の妻ヒロさんに娘のことを打ち明け、ヒロさんを通じて雨情がきみちゃんの話を知ったエピソードを明かし、「祖母がきみちゃんをドラマチックに伝えたことが雨情の創作意欲をかき立てたのでは。雨情はとにかく赤にこだわった人だった」などと語った。その後、野口さんらが童謡を歌い上げる中で小像が公開され、参加者の注目を集めていた。

 小像の購入は先着順。同会は会員や募金も集めており、申し込み、問い合わせは同会事務局TEL0138・54・3755。(新目七恵)


◎JR函館駅で竹葉新葉亭の懐石弁当発売
 ジェイ・アールはこだて開発(函館市若松町12、佐藤巧社長)は、函館湯の川温泉の老舗旅館・竹葉新葉亭と共同企画した「竹葉新葉亭 懐石弁当」の販売をJR函館駅限定で開始した。来年創業60周年を迎える竹葉新葉亭が“駅弁”を作るのは初めてで、道産食材にこだわった伝統の味を手軽に楽しめる。

 長年受け継がれる味や技、おもてなしの心を堪能してもらおうと、ジェイ・アールはこだて開発が竹葉新葉亭に創作を依頼。函館駅で取り扱う弁当では過去最高額の1個2100円で、同駅構内の売店「POっPO(ポッポ)」のみで1日10個を限定販売する。

 同旅館の樋口七郎調理長(55)が厳選した旬の道南、道内産の食材をふんだんに使用。道南産米のふっくりんこを炊き込んだ2色ご飯に、函館産のマイカ(スルメイカ)のシューマイ、牛乳やバターを漬け込んだメークインの酪農揚げ、八雲産の卵でウナギを巻いた卵焼きなど計17点を添えた。今後、季節に応じて食材や品目を変えるという。

 樋口調理長は「中高年の方に好まれるよう、ボリュームをダウンしておかずの品目を増やした。敷居が高いと言われるイメージを払しょくし、地元の人にも気軽に利用してほしい」と話している。通年で発売する予定で、販売時間は午前10時半から午後3時まで。売り切れ次第終了。問い合わせや事前予約は同売店TEL0138・26・6706。(森健太郎)


◎JALとANAが市に函館―関空線の運航体制見直し提示
 全日空(ANA)と日本航空(JAL)が燃料価格の高騰などを理由に、函館―関西空港(関空)線の運航体制を見直す方針を函館市に示していることが17日分かった。ANAは来年7―9月の増便分の休止、JALは11月から現行1往復の運休を申し入れており、観光客入り込み数の減少に歯止めをかけたい函館にとっては、大きな痛手となりそうだ。

 市によると、ANAは10日に文書で、JALは15日に担当者が直接、市役所を訪れ、運航計画を変更する意向を伝えたという。JALは運航している1往復を11月から見合わせるため、事実上の関空便からの撤退となる。

 ANA、JALは燃料価格の高騰を受けて、地方都市に乗り入れる便を中心に国内線の抜本的な運航計画の見直しを図っており、不採算路線をその対象としている。2007年の函館―関空線の平均搭乗率は、ANAが前年比4・3ポイント減の66・7%、JALが同5・7ポイント減の70・7%。両社とも「搭乗率は一つの目安に過ぎない」として明言を避け、便数や使用機材の変更に関する運航計画はANAが今月末―8月初旬、JALが8月末をめどに正式発表するとしている。

 市は来週中にも市議会や経済団体とともに、計画の再検討を求める要望書を2社に提出する方向で調整を進めている。市空港課は「厳しい経営状況とは思うが何とか現状を維持してほしい。仮に減便となったとしても、燃料費が下がれば再開されるものと信じている」と話している。(浜田孝輔)


◎函館市女性に対する暴力対策関係機関会議
 行政、警察、民間団体などでつくる「函館市女性に対する暴力対策関係機関会議」が17日、市役所で開かれた。市側はドメスティックバイオレンス(DV、配偶者や内縁間での暴力)に関する市内の相談件数(延べ)が昨年度、過去最多になったことを報告。亀田北病院の臨床心理士諏訪麻依子さんがDV被害者の心理と児童虐待について講話し、暴力が及ぼす影響に理解を深めた。(宮木佳奈美)

 市男女共同参画課の調べで、市の相談窓口、一時保護施設(シェルター)を運営するNPO法人ウィメンズネット函館の計5カ所に寄せられた昨年度の相談件数は、前年度比697件増の1742件。このうちシェルター入居件数も過去最多で同11件増の58件だった。同課は「緊急性が高いケースもあるが、シェルター退去後の相談も増え、自立に向けたサポートが必要」とした。

 諏訪さんは講話で「エスカレートする暴力や暴言で自尊心が低くなり、自責の念が生じるようになってしまう」とDV被害者の心理や心的外傷について説明。「子どもへの影響では、発達の遅れや反応性愛着障害など他者との関係を上手に築けないこともある」と指摘した。

 この日は30人が出席。議長に函館弁護士会の森越清彦さん、副議長に函館地方法務局人権擁護課長の大場公夫さんを選出した。