2008年7月20日(日)掲載

◎複合施設「フレスポ函館戸倉」 アークスが開業
 函館市戸倉町の大型複合商業施設「フレスポ函館戸倉」内に19日、道内スーパー最大手アークスグループの道南ラルズ(同市港町1、馬場利昭社長)が運営する「スーパーアークス戸倉店」がオープンした。特売品を目当てに開店前から1000人を超える買い物客が列をつくる盛況ぶりで、市内の流通業界の競争は一層激化しそうだ。

 大和リース(大阪)が開発を手掛ける施設内では2番目の広さを持つ核テナントで、売り場面積は約2200平方メートル。年商22億円を目指す。大型のスーパーアークス業態としては道内6店目、道南では昨年6月に開業した「港町店」に続く2店舗目となる。

 午前8時のオープンに先立ち行われたセレモニーで、馬場社長は「地域の『食のライフライン』として、お客様のニーズに応えながら一緒にお店づくりをしていきたい」とあいさつ。アークスグループの役員や地元町会の関係者らがテープカットして門出を祝った。

 来店客の中で午前6時ごろに一番乗りした市内中道2の主婦木村勝子さん(64)は「記念セール品のトマトやバナナ、スルメイカが目当て。東部地区にはこれだけ大きなショッピングセンターがなかったので、地域の活性化にもつながるといいですね」と話していた。

 大和リース札幌支店によると、施設内には18日に道南初進出となる100円ショップ・セリア(岐阜)がオープン。これまでに衣料品店やドラッグストアなど計3店が開業していて、最終的には7棟(店舗面積約1万4000平方?)に12店前後のテナントが入居する見込みという。施設内最大のホームセンター大手のホーマック(同7200平方?)は9月末までに開業する予定。(森健太郎)


◎大門祭開幕、市民でにぎわう
 函館市内の4大学の学生有志が企画・運営する合同学生祭「大門祭」(実行委主催)が19日、同市松風町の大門グリーンプラザで始まった。20日までの2日間の開催で、初日は幼稚園児らのYOSAKOIソーラン踊りで開幕。たこ焼きやクレープなどを販売する模擬店や、衣類・日用雑貨などが盛りだくさんのフリーマーケットも開かれ、大勢の市民でにぎわった。

 ことしのテーマは「きずな」で、学生と地域の幅広い世代とのつながりを重視。子どもによるステージ発表や学生バンドの演奏、老若男女が楽しめるクイズラリーなどを企画した。

 子ども向けコーナーの「ちびっ子ランド」ではプチ縁日を実施。射的に挑戦した函館中部小2年の河又萌さんは「当たらなかったけどお菓子をもらえてうれしい」とにっこり。祖母の河又末子さん(58)は「孫が楽しければ自分も楽しいから毎年来ている」と話していた。

 20日は午前10時からスタート。参加無料のもちまき(午前10時半から)や恒例の「イカそーめん早食い世界大会」(午前11時半から)、ギリヤーク尼ケ崎さんの演舞(午後2時から)、景品が当たる大抽選会(午後4時)など多彩な催しを用意している。 (宮木佳奈美)


◎北のめぐみ愛食フェア始まる
 渡島・桧山管内の農産物や加工品などを販売する「北のめぐみ愛食フェアinはこだて」(北のめぐみ愛食フェア実行連絡会主催)が19日から、イトーヨーカドー函館店(函館市美原1)で始まり、新鮮な食材を買い求める多くの買い物客でにぎわった。21日まで3日間、午前9時から午後6時まで同店地下1階で開催される。

 地産地消や食育、地域の食文化を守る「スローフード」の3つの考え方からなる「愛食運動」の一環。地元産の農水産物を生産者が対面販売し、購買層の拡大やニーズの掘り起こしを図る取り組みで、道内各地で実施されている。

 この日は、北斗市のかりんの会、緑友会六輪村、木古内町の秋山農園の生産者3団体と、江差町のレストラン美華が出店した。その日の朝に収穫したトウモロコシをはじめ、トマトやキュウリなどの野菜がずらり。べこもちやトマトソース、イチゴジャムなどの加工品も並んだ。

 野菜を購入した同市美原3のパート山田美保子さん(48)は「食品が値上がりしている中、新鮮で安い食材が手に入るのはありがたいし、地元産は安心できる」と話していた。(宮木佳奈美)


◎【インサイド】支庁再編 公選法改正、ねじれ国会が存続左右
 【江差】参議院で主導権を握る民主党では、支庁再編条例の施行に必要な公選法改正に反対する声が高まってきた。法案が成立しなければ、来年4月の支庁再編は実施が困難となり、地方の猛烈な反対を押し切って条例を提案した高橋はるみ知事の責任問題も浮上しかねず、法案審議をめぐる与野党の攻防が激化している。(松浦 純)

 民主党の南桧山、留萌、浦河、根室の4支部は18日、党道連に公選法改正に反対するよう要請。党道連の佐野法充幹事長も否定的な見方を示した。今月下旬には同党の小沢一郎代表が道内入りする見通しで、公選法をめぐる発言も注目される。

 道は14支庁を9総合振興局(支庁)に削減するが、14支庁と都市部からなる48の道議選挙区(定数106人)は温存。選挙区を支庁単位とする公選法は改正が必要となり、条例施行の前提条件になっている。

 道は今秋の臨時国会を視野に、総務省と協議して法案提出のタイミングを探っている。衆院での法案可決は確実だが、参院で過半数を占める野党には(1)野党の反対多数で否決A(2)院可決後60日以内に参院で採決しない場合は否決とみなす―という二通りの選択肢がある。民主党の動きに対して「地方自治の精神を否定する」(道幹部)との批判もあるが、同党関係者は「ねじれ国会を意識せず提案を強行した知事の責任」「経産官僚出身の知事は政府与党と一心同体。中央による地方支配の象徴」として、対決姿勢を強めている。与党は衆院の3分の2で再可決して、法案を成立させることができるが「内閣支持率低迷など窮地に立つ与党が再可決に踏み切ってまで高橋知事を守ることができるのか」(関係者)との声も。

 道町村会長の寺島光一郎乙部町長は、公選法改正についても、桧山管内など市町村合併で分断した道議選挙区の是正や支庁削減に見合った定数削減が必要と指摘。国会審議の動向を注視しながら、今後の対応を検討する考え。

 江差町は28日、国会への要請行動も視野に、町民総決起集会を開く。管内の町長や町議会議長のほか、日高管内浦河町の谷川弘一郎町長らが出席する。民主党関係者は国会議員の参加を求めているが、町は「自治体の立場で表立っての共闘は難しい」として難色を示した。同党関係者には不満がくすぶっており、野党との共闘を含めた存続運動の在り方は今後の議論を呼びそうだ。


◎市立函館博物館で榎本武揚没後100年展始まる
 箱館戦争の旧幕府軍総裁で、北海道開拓でも活躍した榎本武揚(1836―1908年)の没後100年にちなんだ特別企画展「没後100年『榎本武揚―箱館戦争の光と影―』」(市立函館博物館主催)が19日、同博物館(青柳町17)で開幕した。初日はオープニングセレモニーや、榎本のひ孫に当たる榎本隆充さん(東京農大客員教授)の講演、学芸員が資料を解説する特別観覧が行われ、市民ら約170人が来場した。8月31日まで。

 同特別展では、榎本さんの所蔵資料をはじめ、榎本にゆかりのある約300点を展示し、江戸時代後半から幕末、明治を生きた榎本の生涯を追っている。榎本直筆の書簡や、留学先のオランダから持ち帰ったという印字通信機、江戸幕府の最後の将軍、徳川慶喜から贈られた軍服など貴重な資料も目にすることができる。

 オープニングセレモニーで、榎本さんは「政治家として活躍した資料だけでなく、プライベートな部分のものもあり、榎本のすべてを表した展示。今の多難な時代は幕末―明治の時代と似ていると言われているが、展示を通して先人たちの考え方を理解してもらえれば」とあいさつを述べた。

 その後、特別観覧に移り、約40人が学芸員の説明を聞きながら貴重な資料をじっくり眺めた。「榎本武揚・没後100周年記念事業」函館地方実行委員会のメンバーで、上磯地方史研究会会長の落合治彦さん(72)は「珍しい資料がたくさんあり、見応えがある」と話した。

 開館時間は午前9時から午後4時半(観覧は同5時まで)。入館料は一般400円、大学・高校生200円、小中学生100円。期間中の休館日は28日、8月4・11・18・25日。問い合わせは同博物館YEL0138・23・5480。 (鈴木 潤)


◎道教大函館校で公開フォーラム
 北海道教育大函館校の公開フォーラム「新生『人間地域科学課程』の明日に向けて」が19日、同校講義室で開かれた。一般市民や学生ら約100人が聴講し、記念講演やパネルディスカッションを通じて地域に開かれた大学の活路を探った。

 2004年度に新設された同課程の周知を図り、新課程の在り方について市民の声を反映しようと企画。同校の佐々木馨教授が年内に発刊を目指す一般向けの情報誌「人間と地域」について紹介し、「研究過程を地域に発信することで人間と地域のかかわり合いを考えるきっかけになれば」とあいさつした。

 第1部では同校卒業生で札幌市内の会社役員野呂幸司さん(69)が「切に生きる」と題して講演。在学中の1963年、山岳部の冬山合宿で訪れた大雪山旭岳で遭難し、計11人のパーティーで1人だけ奇跡的に生還した経験を振り返り、「大切なのは境遇は違ってもそれぞれの置かれた立場で一瞬を一生懸命に生き抜くこと」と力を込めた。

 野呂さんはこの遭難事故で両足を切断後、教員や保険会社のサラリーマンなどを経て学んだ持論を展開し、「窮すれば通ず。何事も自分に厳しく、他人を思いやれ」と語った。第2部では市内の大学教授や会社社長、市職員ら有識者4人のパネルディスカッションもあり、参加者はメモを取るなど熱心に聞き入っていた。(森健太郎)