2008年7月21日(月)掲載

◎函館港花火大会、豪快5500発
 函館新聞社主催の第12回函館港花火大会が20日、函館市内の函館港豊川ふ頭を主会場に開かれた。約5000発の花火が打ち上げられ、光の大輪が夏の夜空を鮮やかに彩った。

 同社の創刊と「海の日」の制定を記念して1997年から毎年開催している花火大会で、函館・道南の夏を告げる風物詩に定着。「星空の映画館」をテーマに、趣向を凝らした14プログラムを展開した。 

 打ち上げは午後7時45分スタート。「宮殿の宴」と題して、大玉7号10連発で幕開けを飾った。色とりどりの花火や水中花火などが競演する「海へ」、ミッキーマウスなどをかたどった「はなびコレクション」と続き、BGMと融合した花火が次々と打ち上げられた。

 このほか、国内有数の煙花店が製造した大玉花火を打ち上げるプログラムを初めて行ったほか、「Flying Monkey(フライング・モンキー)」と題して、コンピューター制御で音楽とシンクロして打ち上げる「ワイドスターマイン」や、函館港ならではの地の利を生かした陸・海5カ所から打ち上げる「パノラマスターマイン」、函館開港プレ150週年にちなんだプログラムなどが繰り広げられ、最後まで観客を楽しませた。

 大会には約6万人(主催者発表)の観客が来場。大会の様子は「FMいるか」が生中継した。また、開催前には、青函連絡記念館「摩周丸」前の特設会場で地元アマチュアバンドなどによるライブ「函館シーポートブルースライブ2008」が開かれた。 (鈴木 潤)


◎かがり火コンサート 松前神楽10座を奏上
 【福島】第13回かがり火コンサート(実行委主催)が20日夜、福島町福島の福島大神宮境内土俵で行われた。幻想的なかがり火の中、福島町松前神楽保存会が神事芸能を披露し、大勢の来場者を魅了した。

 1996年から始まった同コンサートの発起人で、5月に急逝した同神宮第16代宮司の常磐井武宮さんをしのび、「追悼 松前神楽」と銘打った。「古里に活力を」とまちづくりに奔走した宮司の遺志を継承しようと有志が集い、松前神楽を10座奏上した。

 開演前に常磐井宮司が地域活性化に取り組んだ様子を紹介するビデオを上映し、追悼した。 同保存会のメンバー9人がステージに立ち、笛や太鼓の囃子で躍動的に舞った。家内安全を祈る「八乙女舞」は、福島中3年の笹井奈保さん(15)と田中真実さん(14)がみこ姿で踊り、その優雅な姿にひときわ大きな拍手がわいた。

 観客席に獅子舞が飛び込み、子どもらにお菓子を上げる場面では笑い声が響いた。終始和やかな雰囲気で、演目ごとに会場からは「よーそろー(良い候)」とかけ声が上がった。

 獅子舞でお菓子をもらった福島小2年の佐々木恋さん(7)は「松前神楽をやってみたくなった」と笑顔。同保存会のリーダー的存在の乳井英一さん(25)は「宮司がわれわれに残してくれた情熱という火をいつまでも燃やし続けていきたい」と目を輝かせていた。

 また、畑秀叔渡島支庁長から常磐井夫人の美穂子さんに、宮司が地域活性化に果たした功績をたたえる感謝状が贈られた。(田中陽介)


◎南茅部、天然マコンブ漁スタート
 函館市南茅部地区の天然マコンブ漁が20日始まった。最も早い大船町では、早朝からコンブ採りの漁船が出漁し、つやつやと光るコンブを水揚げ。磯の香り漂う浜では、家族などがコンブ干し作業に追われている。

 マコンブ漁は例年7月から8月にかけて行われるが、天然物はこの日にスタート。各地区ごとに海の状況などを見て開始日を決定し、ことしは大船町が最も早かった。

 同町の伊藤岩光さん(71)は、午前5時半に出漁。沖合の漁業者ごとに決められた岩場で、コンブの根にからめる先割れの道具を使って採取した。伊藤さんの初日の水揚げ量は約700?。手際よく根を取って洗い、洗濯ばさみで乾燥場につるした。

 ことしのマコンブついて伊藤さんは「いつも通りの良い出来。これからが楽しみだ」と話していた。天然マコンブ漁は8月末まで続く。 (小泉まや)


◎はこだて街なかプロジェクト「みてあるきマップ」完成
 中心市街地の再生に取り組む函館市内のNPO法人はこだて街なかプロジェクト(山内一男理事長)が、西部地区の歴史を物語る建築物や跡地などを紹介する「はこだて街なかみてあるきマップ」を完成させた。建築様式やその時代背景に焦点を当て、観光マップにはない情報を発信。見て歩いて函館を知ってもらおうと、市内全小学校の5、6年生に配布する。希望があれば同法人メンバーが案内役となって小学生の“街並み探検”にも同行する。

 同法人は昨年度から現地調査や関係者への聞き取りなどで情報収集し、民家や公共施設、跡地など140件を抽出した。この中から、比較的知られている物件を中心に「四角いマンホール」など建築物以外も含む29件を選定し、特徴などを写真付きで説明。和・洋風、和洋折衷などの建築様式、歴史的建築物の利活用事例、函館大火の教訓や外国文化の影響を受けた物件が、ジャンル別に一目で分かるよう記号も表記した。

 マップ裏面の地図には、建物の位置やかつてあった学校などの跡地、旧町名を掲載。弁天砲台跡については、マップの表に砲台を築くのに土を掘った穴「壁穴」があったとされる場所も併せて示すなど、歴史の関連性も伝える。

 山内理事長は「建物が造られるのには何かのきっかけがあり、経済、文化、外交など時代を表す要素が建築様式などに反映されている。実際に建物を見て、そこに秘められた歴史も知ってもらいたい」とPR。今後は「建築様式」「利活用」などジャンル別に切り口を変えた内容で続編を発行することも考えている。

 A2判12折りサイズで7000部発行。夏休みの自由研究に活用できるよう22日ごろ、各小学校に配る。一般には20日から市地域交流まちづくりセンター(末広町4)、市中央図書館(五稜郭町26)、市郷土資料館(末広町19)でも配布している。

 問い合わせは同法人(建築企画山内事務所内)TEK0138・55・8138。(宮木佳奈美)


◎箱館奉行所復元工事、初の見学会
 国の特別史跡「五稜郭跡」で函館市が進めている箱館奉行所庁舎復元工事の様子が20日、初めて公開された。見学会には応募した約360人のうち抽選で選ばれた120人が参加し、市職員や設計管理をする文化財保存計画協会(東京)の職員が説明。伝統的な工法の木組みや土塗りされた荒壁などの様子を見た。

 工事は2006年7月に着工した。10年6月の完成を目指しており、同秋ごろには一般公開する予定。復元範囲は庁舎全体の3分の1に当たる約1000平方メートル(平屋)で、総工費は約18億円。建物は五稜郭跡の中心に位置する。

 現在は建物の木組みがほぼ終わり、時を知らせる太鼓をたたいた「太鼓やぐら」も組み上がった。一部では土を塗った壁や屋根に瓦をふいている様子も見ることができる。見学者は工事用の足場や階段に登って見学し、「史跡なので当時の地盤面に触れないようコンクリートを敷いた上に建てています」などの説明を聞き、時折質問していた。

 家族3人で参加した同市桔梗町の主婦東山佳奈子さん(39)は「歴史に興味があって参加した。このような施設に来ると当時の様子を想像したりできるので、完成したらぜひまた来たい」と話していた。

 現場見学回は小学生以上が対象で、11月まで毎月行われる。次回は8月10日午前10時、同11時、午後1時半、同2時半の4回実施。希望者は同4日(必着)までに往復はがきに希望日時、代表者の住所と電話番号、参加者全員の氏名と年齢を記載し申し込む。1枚のはがきで4人まで可能。申し込み、問い合わせは市教委文化財課〒040―8666同市東雲町4の13、TEL0138・21・3456。 (小泉まや)