2008年7月23日(水)掲載

◎マナー学んで楽しく入浴…高丘幼稚園
 函館市高丘町27の高丘幼稚園(玉利達人園長、園児96人)年長組の園児41人が22日、市内湯川町2の天然温泉公衆浴場「大盛湯」(牧野康宏社長)で体験入浴会を行った。園児らは銭湯の入り方を学び、熱い湯船につかりながら友達と一緒の入浴を楽しんだ。

 同園ではお泊まり会の一環として毎年、体験入浴会を実施している。子供同士が触れ合い、入浴マナーを楽しく覚えるのが目的だ。

 この日、牧野社長が手作りの紙芝居で「お湯に入る前に体を洗って」「浴室は滑るから騒がず走らないで」などと、銭湯の公共マナーを分かりやすく説明した後、園児らは男女に分かれて入浴を体験。保護者や先生たちに手伝ってもらいながら体を洗い、湯気が立つ大きな浴槽に順番に入っていった。

 初めは「熱い」などと声を上げていた子供たちも、先生と一緒に10を数えて体を温めると、上気した笑顔で上がっていった。藤井陽平ちゃん(5)は「あったかくて楽しかった」と話していた。(新目七恵)


◎女性宅に侵入 中学教諭逮捕
 函館市内の若い女性宅に忍び込み、ビデオ撮影するなどしたとして、函館西署は22日、同市日吉町2、函館北中学校教諭島崎渉容疑者(39)を住居侵入と暴行の疑いで逮捕した。同容疑者は6月17日深夜、市内の別の女性宅をのぞき見し、ビデオ撮影したとして軽犯罪法違反容疑で摘発されており、同署で余罪を厳しく追及している。

 調べによると、同容疑者は2006年8月28日午後8時17分ごろ、市内のアパートに住む無職女性(23)の自室に無施錠の窓から侵入し、室内にいた下着姿の女性をビデオ撮影したうえ、左手首をつかんで押さえつけるなどの暴行を加えた疑い。

 同署は女性からの通報を受け、似顔絵を作製するなどして捜査を進めていたが、6月に軽犯罪法違反で取り調べた函館中央署との情報交換の中で、似顔絵と同容疑者が似ていたことなどから犯行が分かった。

 調べに対し、同容疑者は「一人暮らしの女性を狙った。下着姿の女性の映像を集めていた」と供述しているという。自宅から押収したビデオカメラには、複数の女性の画像も残っていることなどから、同署は余罪も多いとみて調べている。

 同容疑者はことし4月から函館北中に勤務。犯行時は市内の別の中学校に務めていた。

 今回の事件について、市教委教職員課の平馬隆司課長は「驚いている。函館の教育に対する信頼を著しく損なう行為。重く受け止め、今後厳正に対処したい」としている。


◎選考偽装 談合の温床に…森町談合 逮捕から一週間
 【森】森町が2005年9月に発注した町消防防災センターの建設工事入札をめぐる談合事件で、落札した共同企業体(JV)の東急建設(東京)札幌支店、地元の星組渡辺土建などの業者幹部ら6人が偽計入札妨害(談合)容疑で逮捕され、22日で1週間が経過した。道警捜査二課や道警函本捜査課、森署などは湊美喜夫町長(79)を含めた町主導の官製談合の疑いもあるとして、慎重に詰めの捜査を進めている。同町では、同センターの建設工事入札の手続きに必要な選考委員会を開いていないにもかかわらず、会議の議事録を偽造して委員会開催を装っていたことも判明、「談合の温床」ともいえるずさんな業者選考の実態も明らかになってきた。(森町談合事件取材班)

 同課などは関係者の事情聴取などで、官製談合を示唆するような供述も得ており、今後の捜査は湊町長ら町側の関与が焦点となる。

 森町入札参加者指名選考委員会(選考委)は森町財務規則に基づいて委員会規定が定められている。選考委は副町長を委員長に、総務、建設、農林などの関係課長や建設課技術長ら7人で構成。委員長が招集し、過半数の委員出席で成立する。入札参加者の指名選考について審議し、業者選考調書を作成することになっている。

 同センターの入札の選考委は05年9月1日に開かれたことになっているが、実際には開かれていなかった。しかし、選考調書や会議の議事録上では、東急建設・星組渡辺土建などの5JVを選定した事実が記載されていた。

 選考委の委員長でもある阿部眞次副町長や片野滋総務課長は議事録偽造の事実を認めた上で、「05年は旧砂原町との合併もあり、例年と違う業務に忙殺されていた。書類のすべてに目を通すことはできない。恥ずかしい話だが、偽造に気がつかなかった」と釈明する。

 関係者によると、他の入札でも選考委を開かず、架空の議事録などを作成し、開催を装った事例が数件あるとみられる。片野総務課長は「(偽造書類は)当時の建設課長の指示でつくられたものだと職員から確認している。07年4月以降は、入札ごとに選考委が開催され、適正に実施している」という。

 05年当時、同センター入札の選考委にかかわる立場だった元町職員は、4月に警察からの任意の事情聴取を受けた際、初めて議事録の存在を知ったという。函館新聞社の取材に対し、この元職員は「議事録は、見たことも読んだこともなかった。初めてあることを知った」としている。

 道警は、同町が指名入札の際に、同様の手口で後付けする形で書類を偽造する行為が恒常化していたとみて、談合の事実とともに、町の関与も含めて実態解明を進めている。

 湊町長は22日、午前8時半過ぎに役場に着いた。午前中は公務で農業委員会に出席したほかは、執務室から出ることはなかった。午後零時半過ぎに退庁し、職員の車でリハビリのために七飯町内の病院へ向かい、午後6時すぎごろ、自宅に戻った。



◎水問題 私もひとこと!…函水3年 三上さん 来月フォーラムに参加
 函館水産高校(齋藤隆校長、生徒469人)水産食品科3年の三上絵理華さん(17)が、8月4―6日に東京で開かれる「世界子ども水フォーラム・フォローアップin東京2008」(実行委主催)に、道内から唯一参加する。大沼(七飯町)の水辺環境をテーマに仲間と取り組む研究などを基に、全国の中・高校生と水をめぐる問題について議論し、発表し合う。三上さんは「自分の知識や経験を生かしたい」と張り切っている。

 この大会は深刻化する世界の水問題の解決を目指し、学識者などが集まった「世界水フォーラム」(03年)の分科会として同年に開始。子供のネットワークを広めようと以後毎年開かれ、6回目の今回は来年3月にトルコで開かれる同フォーラム・イスタンブール2009への派遣候補者の選考会も兼ねている。全国の応募者98人中、作文審査で43人が選ばれた。開催期間中、参加者はテーマ別の分科会で意見を出し合い、最終日に分科会ごとに考えを発表する。

 三上さんはことし、課題研究の授業で同級生6人と共に「大沼水辺環境プロジェクトチーム」として、大沼の水質や生態系の調査などを進めており、7月の渡島大沼湖上環境保全高校生サミットにも参加するなど、地域の水環境の改善や啓発活動に励んでいる。今回は指導する我妻雅夫教諭(55)に勧められて挑戦した。

 審査結果を知った時は「驚いたけれど、うれしかった」と話し、「高校生サミットに参加して水への問題意識が高まった」と語る。フォーラムでは「水と自然環境の復元・再生」をテーマにした分科会に参加する予定で、「イスタンブールに行けるよう頑張りたい」と話している。(新目七恵)


◎「観光都市として再生を」…市川・日銀新支店長が会見
 日本銀行函館支店の市川信幸・新支店長(49)が22日着任し、本店金融機構局参事役に異動する服部誠弘・前支店長(48)とともに同支店で記者会見した。市川支店長は「地域経済を勉強させてもらいながら、(地域再生に向け)学んだことを本店や道南地域に住む皆さまに還元していきたい」と抱負を語った。

 市川新支店長の前任は日本経済研究センター主任研究員で、国内全体の中長期的な景気予測調査に尽力。初の道内勤務となる函館の印象について「日本で最初に開港したグローバリゼーションの先駆けとも言えるエキゾチックな町。歴史や伝統、食文化など豊富な資源を生かし、観光都市として再び発展できる余地はある」と力を込めた。

 一方、同席した服部前支店長は「地方経済の厳しい実情を目の当たりにした2年間だった」と振り返り、「函館の地の利を生かし、事業者や市民、行政がグランドデザイン(将来設計)をしっかり持って地域振興に努力すれば、必ず活性化していくだろう」とエールを送った。

 2015年までに開業する北海道新幹線について、服部前支店長は「新函館駅開業や札幌延伸までの数年間が道南経済の正念場。青函圏が双方とも注目されるような魅力づくりを」とし、市川新支店長は「札幌延伸で函館が通過駅になるのではなく、札幌から来る人の増加や雇用機会の創出など、今あるコンテンツを生かした発想の逆転が必要」と語った。(森健太郎)


◎説明会開催、市も模索…大間原発
 青森県大間町で5月に着工した大間原発に反対する「大間原発訴訟の会」の竹田とし子代表ら5人が22日、函館市役所を訪れ、小柏忠久理事に函館での同原発の説明会開催を求めるよう要請した。小柏理事は「西尾正範市長も議会で不安を表明した。国が安全性に自信を示しているのであれば、函館でも説明会を開催してくれればいいと思う」と述べ、理解を示した。

 竹田代表が、原発建設を許可した経済産業省へ6月に異議申し立てをし、申し立て代理人が全国から4500人に上ったことを説明。「将来の子供たちに危険な原発を残してはならないが、函館は説明会の対象外となっており、怒りを禁じえない。(許可取り消しなどを求める)運動は今が勝負」と述べた。

 小柏理事は、市も6月13日に西尾市長名で高橋はるみ知事あてに、市民の不安払拭(ふっしょく)に向けて事業主体の電源開発や国、青森県などに必要な対応を求める考えを伝え、協力を求めたことを説明。道と協議しながら説明会開催などの対応を模索していることを伝えた。

 大間原発をめぐっては、着工前の2007年3月に策定した市地域防災計画の中でも項目が盛り込まれ、ことし6月の定例市議会では「大間原子力発電所建設にかかる函館市民への安全性に関する説明を求める意見書」を可決している。(高柳 謙)


◎あずま屋作りに挑戦…日新中
 函館日新中学校(鈴木利春校長、生徒32人)の全校生徒が22日、同校敷地内の裏庭で市民らが休憩できる「あずまや」づくりに挑戦した。道建築士会函館支部青年委員会(小川聡委員長)の協力を受け、生徒らは建築のプロに“弟子入り”。木造小屋の棟上げや屋根葺(ふ)きなどを体験し、建築作業に汗を流した。

 同校では、函館市の独自事業「知恵の予算」を活用して、地域と交流を深める校内外の環境整備に昨年度から取り組んでおり、今回もその一環。ものづくりの喜びを体験し、職業観の醸成にもつなげることなどが狙い。同委員会ではこれまでも、地域貢献を目的とした小学生や高校生向けの建築実践教室を行っているが、中学生対象のこうした取り組みは初めてとなる。

 この日、生徒らは3グループに分かれ、在来工法の「丸太掘っ建て方式」による木造のあずまやづくりを実践。グループごとに棟梁(りょう)やスタッフから直接指導を受け、午前中は掘削作業、午後からは足場の組み立てや立柱作業などに励んだ。ヘルメットをかぶった生徒たちは熱心な表情で資材を持ち運んだり、電動工具を使った作業に当たった。

 3年の尾本一輝君(14)は「皆で協力して屋根の骨組み作りをしたりするのが面白い。完成したら休み時間などに友達と行きたい」と話していた。小川委員長(37)は「人生で建築作業を経験することは少ないと思うので、達成感を味わってほしい」と語っていた。

 同校では完成後、地域住民にも休憩所として開放する予定。(新目七恵)