2008年7月25日(金)掲載

◎読んだ本 世界のたびに…ブッククロッシング 函館でも広がる
 読み終えた本を公共の場に置き、不特定の人が自由に持ち帰って読める米国発の活動「ブッククロッシング(BC、本の交差点)」が、国内にも広がっている。不要本の有効利用だけでなく、次の読者とインターネット上で感想を共有するなど、本を介した交流も生まれている。函館市内でも市地域交流まちづくりセンター(末広町4)などに公式の「ゾーン」(本の置き場所)が設置され、人から人へと本に“旅”をさせる取り組みが活発化してきた。

 「読みたい人の手に渡るよう本に旅をさせる活動に魅力を感じた」。同センター職員榎本陽輔さん(23)はBCに賛同し、ゾーンの設置に動いた。「最近ではPRしなくても本の交換が盛んになってきた」と話す。BCコーナーの本棚には文庫本や雑誌、留学生が置いていった洋書など常時20冊が並ぶ。

 本を旅立たせるには、ホームページ(HP)で会員登録した後、譲る本の情報を入力し、取得したID番号をラベルに記載して本に張り、世界中にある公式ゾーンか、BCの趣旨に賛同したカフェなどに置いておく。直接誰かに手渡すこともできる。譲り受けた人は読んだ本を元の場所に戻しても、旅先などで別のゾーンに置いてきてもよい。HPでID番号を検索すると、譲り受けた人が書き込んだ感想などを閲覧でき、本の移動歴もたどれる。

 米国の夫婦が「世界中を図書館にしよう」と2001年に始めた活動で、日本では広島県の「ブッククロッシング・ジャパン」が日本語版HPを運営する。1日現在で会員数は世界で68万7437人。日本は会員3128人、公式ゾーン数が20日現在140カ所に上る。

 函館で初めてBCを広めたのは本の交換会などを開催している市民団体「npo―kobo(エヌピーオー・コウボ)」の渡辺保史代表。昨年11月のイベントで同団体がBCコーナーを設けたのがきっかけで、同センターにつくられた。同団体事務所(湯川町3)も公式ゾーンになった。

 手放した本が戻ることはほとんどないが、「本棚で眠っているだけなら新しい読者と出合わせた方がいい」と榎本さん。「BCが本と人の出合う交差点となり、活字に触れる機会を増やせれば」と期待している。(宮木佳奈美)


◎函館で震度4 女性1人重傷
 岩手県沿岸北部で24日未明に発生した地震で、道南では函館市で震度4、北斗市や木古内町などでも震度3を観測した。この地震で函館市富浦町(旧椴法華地区)の女性(79)が避難しようとして転倒し、左足などの骨を折る重傷を負った。本道と本州を結ぶJRの列車の運行ダイヤも乱れた。

 函館市は発生後、庁内に総務課連落室を開設し、被害状況の把握などに当たった。同市によると、骨折した女性は家の中から外へ出ようとした際、玄関で転び、近くの診療所に搬送されたという。同市金堀町の市営函館競輪場では、出入り口の自動ドアのガラス戸1枚がひび割れした。同市や渡島支庁に報告されている建造物の被害は他にはなかった。地震直後に市内川原町の電線から火花が出て、付近の3戸が約3時間停電した。

 JR北海道によると、函館―八戸間を運行する「特急スーパー白鳥」や札幌―上野駅間を走行する寝台特急計8本が運休。上野発札幌行きの「寝台特急北斗星」が8時間20分遅れるなど、約1930人に影響が出た。

 道南各地の震度は次の通り。

 ▽震度4=函館市泊町、同新浜町、同日ノ浜町▽震度3=函館市美原、同尾札部町、北斗市中央、福島町、知内町、木古内町、上ノ国町、厚沢部町▽震度2=八雲町熊石、長万部町、七飯町、鹿部町、森町、北斗市本町、松前町、江差町、乙部町、せたな町北檜山区(鈴木 潤)


◎町特産ギョーザ ニラたっぷり…知内屋1日から販売
 【知内】「知内(まち)の旨(うま)い!を売る店」のキャッチフレーズで、地域に根ざした商品づくりを進める知内町森越16の食品業「知内屋」(齋藤秀美店長)が、知内特産のニラをふんだんに使ったギョーザを8月1日から販売する。専門業者と共同開発し、ニラ以外もすべて道産の食材を使用。25日午後5時から函館信金知内支店(町重内13)駐車場で行われる「チャリティービアガーデン」(知内商工会主催)での実演販売も決まった。齋藤店長は「知内を代表する商品の一つにしたい。ぜひ一度食べて、うまさを実感してほしい」と話している。

 ギョーザの商品化は齋藤店長が3年ほど前から構想を膨らませていた。6月に千歳市内に2号店をオープンさせた際、関係者を通じて紹介された食品製造の大手、楽楽食品(本社東京)の全面的な協力を得て実現した。

 東京のホテルニューオータニで中華料理長を務めた同食品の相良勇夫社長が、調味料の配合や味付けを助言。「栄養があって腹持ちの良いものを」と、コメ粉7割の特製皮を考案するなど、齋藤店長と相良社長がアイデアを出し合った。

 具は、細かく刻んだニラとキャベツに豚ひき肉とシンプルだが、独自の配分量で各食材のうまさを引き出したという。開発段階のサンプルの試食では「焼く前から強烈なニラのにおいがする」「臭いほどおいしい。それが一番の調味料」といった意見や感想があり、そうした声を生かして商品化にこぎつけた。通常のギョーザよりひと回り大きいのが特徴だ。

 齋藤店長は「焼き上がると香ばしいにおいで食欲がわく。栄養満点で元気もわく」と意気込んでいる。

 知内屋はことし1月から通信販売のみの受け付けを続けていたが、知内本店はこのほど店頭販売を再開した。引き続き通信販売も行っている。ニラのギョーザの販売価格などは今月中に決まるという。

 問い合わせは同店TEL01392・5・6600。ホームページアドレスはhttp://www.shiriuchi―ya.com(田中陽介)


◎諏訪君(函中部3年)本年度委員に…未来づくり審子ども部会
 子どもたちが自らの視点で少子化対策推進などについて協議する「北海道子どもの未来づくり審議会子ども部会」の本年度の委員に、渡島管内から諏訪聡君(函館中部高3年)が選ばれた。24日に同校で辞令を受けた諏訪君は「広い視野から冷静に問題を見つめ、意義のある議論を交わしたい」と意欲を見せている。

 同部会は2004年10月に制定された「道子ども未来づくり条例」に基づく知事の付属機関「子どもの未来づくり審議会」内に、05年10月に設置された。本年度は道内14支庁管内の公立高から各1人、石狩管内の私立高から2人、特別支援学校高等部から1人の合わせて17人が公募で委員に選出された。

 諏訪君は昨年秋から同校生徒会の副会長を務めており、現在は進学を目指す受験生という多忙な身。「時間的に余裕があるわけではないが、今しか経験できないことなので公募を決めた。選ばれたからには渡島地区の代表として積極的に発言していきたい」と話す。少子化問題についてはこれまで真剣に考える機会はなかったが、「(少子化問題は)マイナス面ばかり強調されているが、プラスに作用する面もあるのではないか探っていきたい」と独自の視点で切り込むつもりだ。

 同校の黒田信彦校長は「全道の高校生と意見を交わすことのできる貴重な機会。同高の代表として部会を引っ張るリーダー的役割に期待したい」と話す。

 同部会は「考えてみよう、北海道の少子化問題」をテーマに、札幌市の道庁赤れんが庁舎で30日と12月26日の2回の会議を予定している。 (小川俊之)


◎明治期の輝き今も…遺愛女子旧宣教師館一般公開
 学校法人遺愛学院(野田義成理事長)の遺愛女子中学・高校(函館市杉並町23)敷地内にある旧宣教師館(通称・ホワイトハウス)の一般公開が24日、始まった。初日から市民らが訪れ、明治期独特の建築様式や使用当時のまま保存された家具などに興味深そうに見入っていた。

 同館は宣教師の宿舎として1908(明治41)年に建てられ、本年度築100年となる国の重要文化財。現在は夏休み時期に年1回、一般向けに公開している。

 白壁が美しい館内1階には細部まで凝った彫りが施されたテーブルやいす、オルガンなどが並び、2階にはベッドや旅行かばん、ストーブ、本棚など当時の生活をしのばせる品々がずらり。横浜市から訪れた横溝清さん(52)は「歴史的に貴重で優れた建築様式なのがよく分かり、内部の造りは簡素なのが印象的だ」と説明、市内の松代成孝さん(77)は「娘も孫も通学したのでこの機会に見てみようと、初めて来た。珍しいものばかりで興味深い」と話していた。

 一般公開は26日まで、各日午前10時―午後2時。入場無料。問い合わせは同校TEL0138・51・0418。(新目七恵)


◎江差でロケ「海風に吹かれて」モントリオール映画祭へ
 【江差】昨年夏、江差町でロケした映画「海風に吹かれて―Hokkaido―」(サトウトシキ監督)が、8月21日からカナダで開かれる「モントリオール世界映画祭2008」に招待作品として上映されることが、24日までに分かった。多数の町民がエキストラ参加しており、制作を企画した「ドリームワン」(東京)のプロデューサー佐藤ヒデアキさんは「外国を含め多くの人に見てもらい、北海道を知ってもらえれば」と話している。

 映画は、東京から帰郷した中年男性が高校時代の恋人と再会し、ヨットでの北海道一周に挑戦する物語。江差町をメーン舞台に展開し、上ノ国町やせたな町など檜山管内のほか、道内各地の雄大な自然の風景などが背景に織り込まれている。出演は石黒賢さん、清水美沙さん、上原多香子さんら。10月公開予定。

 撮影期間は8月末から約40日間にわたり、江差町ではいにしえ街道や漁港など各所がロケ現場となった。江差町出身の木村香澄さんの歌う江差追分を挿入歌として使うなど、道南の魅力をふんだんに盛り込んでいる。

 モントリオール映画祭は北米最大規模の映画祭で、佐藤さんは「ラブストーリーやヨットのアドベンチャー的要素もあり、単純に観て楽しく、クオリティーの高い作品に仕上がったのでは」と説明。出身の旧大成町(現せたな町)を含め、地元北海道への思い入れも強く、「普段テレビでは映らない景色を盛り込んだので、北海道の再発見や観光客増につながれば」と話している。(新目七恵)


◎9月19日から3日間「江差追分全国大会」 ポスターが完成
 【江差】第46回江差追分全国大会(江差追分会など主催)は9月19日から3日間、町文化会館(茂尻町71)で開かれることが決まった。一般大会と65歳以上が対象となる熟年大会に計355人の歌い手が出場する。

 19、20の両日は一般・熟年大会の予選会。一般50人、熟年20人の決選会出場者を決める。21日は午前10時から約50人が出場予定の少年大会、午後1時20分からは熟年・一般の順で決選会を行う。審査結果の発表は同7時ごろ。

 大会アトラクションとして、20日午後7時半過ぎから地元で江差追分を学ぶ子供たちの発表も行う。年少者、小学生、中学生、高校生の発表とともに、全員による「江差追分大合唱」も行う。

 このアトラクションは、昨年の第45回記念大会で「江差追分の未来を担う子供たちの励みになれば」(江差追分会事務局)として、大会史上初めて行われた。子供たちの真剣な表情と元気な歌声は大きな反響を呼び、北海道洞爺湖サミット取材のために、町内を訪れた海外の報道陣にも披露されるなど、江差追分のPRにも貢献している。

 大会をPRするポスターもこのほど完成。夕焼けに染まる日本海にたたずむ北前船をデザインしており、哀愁を帯びた歌声が魅力の江差追分をアピールしている。ポスターは町内外の観光施設などで掲示が始まった。

 大会の入場券付きプログラム(前売り2000円)は8月下旬の発売を予定している。問い合わせは同会事務局TEL0139・52・5555へ。(松浦 純)