2008年7月26日(土)掲載

◎フェリーターミナルにビアガーデン
 港町の潮風に吹かれながら一杯―。東日本フェリー函館ターミナル(函館市港町3)のウッドデッキに25日、ビアガーデンがオープンした。同所はことし5月、恋人同士がプロポーズするのに最適な「恋人の聖地」にも選ばれたロケーションが売りで、初日から会社帰りのサラリーマンらでにぎわった。

 28日から同ターミナルと函館西波止場(同市末広町)を結ぶ観光遊覧船「ブルームーン」が就航するのに合わせて開催。フェリーを利用する観光客のほか、地元住民に憩いの場として活用してもらおうと同社が初めて企画した。

 この日は午後6時ごろから、乾杯の声が開放的なウッドデッキに響き始め、仕事を終えた会社員らで約80席の会場はいっぱいに。来場者は焼きそばや枝豆、フランクフルトをつまみながら、ビールを片手に函館港の夕日や夜景を楽しんでいた。

 営業は8月23日までの毎週金―日曜、午前11時から午後9時まで。入場無料。同社の古閑信二社長は「大型フェリーの接岸や出航を間近に見られるビアガーデンは全国でも珍しい。新たな憩いや集いのスポットとして地域に定着していけば」と話していた。(森健太郎)


◎情報公開条例 未制定…道内は知内と乙部
 行政機関の資料や情報について、地域住民が開示請求することができる情報公開制度を規定した「情報公開条例」が制定されていない自治体は、全国でわずか9町村しかなく、道内では道南の知内町と乙部町だけになっていることが、25日分かった。知内町は「条例化するまでもなく、個人情報以外は通常の住民サービスとしてオープンにしている」としているが、地域住民からは「公開できる、できないの線引きがあいまい。住民の権利を軽視しているのでは」(知内町、50代の男性会社員)と疑問視する声も出ている。

 国の行政文書の開示義務を定めた情報公開法が1999年に成立し、2001年に施行された以降、全国自治体でも条例化が進んだ。総務省によると、昨年4月1日現在の全国自治体の条例制定率は99・3%に達している。全国的に積極的な情報公開制度の普及、利用が進む中、両町総務課では「条例制定に向けた検討を前向きに進めたい」としているが、まだ具体化はしていない。

 知内町によると、役場窓口や各地区で毎年1月に行う地域懇話会などで町民と情報の共有を図っているため、これまでに町民から条例化の要望や問い合わはほぼ皆無だという。ただ、02年3月と9月の定例会一般質問で取り上げられ、「いつでも町の情報は公開していると言っているが、誰がどのように判断をしているのか」とする議員に対し、脇本哲也町長は「わが町はどこよりも情報公開は進んでいる。住民から町のデータはどうなっているのかと聞かれたら、個人情報を除いてはいつでも出さなければならない」と答えている。

 ことし4月1日に知内町議会が議会の活性化と公開性を強める議会基本条例を制定、施行したことを受けて、町側も「情報公開の条例化は懸案事項の一つ」としている。

 乙部町も同様に、従来のサービスの中で積極的に情報を公開していると説明。有線放送や機関紙、町政懇談会、町内会との連携などで町民と意思疎通を図っており、これまで条例化に向けた動きは特になかったという。

 また、条例化となれば「請求手続きが煩雑となり、住民サービスの低下になりかねない」とし、条例化は前向きに検討しながらも、「これまで通り、不都合がないように町民と連携を取っていきたい」としている。

 総務省は「自治体の規模にかかわらず条例制定は望ましい。あくまでも自主的な制定が基本だが、住民生活を考えれば、情報公開制度の必要性は増すはず」としている。

 同省によると、道外の情報公開条例未制定の自治体は福井県池田町(本年度中に制定予定)、東京都利島村(検討中)と御蔵島村(検討中)、山梨県富士河口湖町(来年度施行予定)、山口県上関町(検討中)、沖縄県与那国町(検討中)と北大東村(本年度中に制定予定)。

 同省は8月上旬にも本年度の情報公開条例の制定状況を公表する。(田中陽介)


◎道外在住者 「開業が再訪動機に」5割…道新幹線活性化協・アンケート
 北海道新幹線開業はこだて活性化協議会(森川基嗣会長)が、JR函館駅周辺の宿泊客を対象に行った新函館駅(仮称)開業に関するアンケート結果(速報)で、2015年までの新幹線開業が「函館を再び訪れる動機になる」と考えている道外在住者は5割近くに上ることが明らかになった。

 アンケートは4、5月に実施した函館商工会議所の会員事業所向けに続く第2弾。今回は5月下旬から6月中旬に函館駅周辺にある11軒のホテル宿泊客を対象に、計494人から回答を得た(回収率44・9%)。内訳は道内在住が約4割、東北や関東地方など道外が約6割。

 新幹線開業が函館を訪れる動機(理由)になると答えた道外在住の宿泊客は44・3%で、「動機にならない」と答えた人の倍近くに上った。開業後に函館を再訪する際、新幹線を利用すると答えた人は「場合による」を含めると7割を超え、ビジネス客や観光客の関心の高さを裏付けた。

 現函館駅から新函館駅まで約18キロの移動手段については、JR在来線など公共交通機関の利用が8割を占め、前回の事業所向けアンケート結果と同様、現行在来線の重要度が浮き彫りになった。一方、タクシーは4800円前後かかる運賃がネックとなり、1・8%にとどまった。

 前回のアンケートでは、開業後に現函館駅前地区の“地盤沈下”を懸念する声も根強かったが、今回の宿泊客が駅前地区のホテルを再度利用するかどうかの設問には、9割近くが「選ぶ」と回答。その理由については「訪問地や観光地が近い」(40・3%)、「交通拠点だから」(31・2%)が目立った。

 同協議会は「地元民や観光客の生の声を生かし、開業に伴う函館の経済効果を最大限高めていきたい」とし、今秋にも開業に向けたアクションプラン(行動計画)をまとめる。(森健太郎)


◎園児もスミレも元気に育って…日吉幼稚園 鉢植えプレゼント
 来年の春も、スミレの花で幼稚園を思い出してね―。本年度で閉園する函館日吉幼稚園(函館市日吉町4、外山信子園長)は25日、同園玄関前に群生していたスミレの花株を全園児10人にプレゼントした。花は7年前に当時の園児の祖母が自宅から移植し、その後教諭らが大切に育ててきたもの。この日は1学期の終業式も行われ、園児らはたくさんの愛情が詰まった鉢植えを大事そうに受け取り、持ち帰った。

 市内では園児数の減少を理由に、同園と函館万年橋幼稚園(溝口幸司園長)の本年度での閉園が決まっている。

 スミレは2001年、当時同園に通う孫の横山怜央君(13)の送り迎えをしていた市内日吉町の横山鈴子さん(70)が「玄関前の花壇がきれいになれば」と、約70株を自宅から持ち寄って植えた。花株は年々増え、毎年4月ごろには淡青色の小さな花が満開となり、道行く人や園児らの目を楽しませていた。

 4月に市内の市立幼稚園から同園に転任した外山園長は、01年当時に同園で教頭として勤務しており、「幼稚園の思い出の1つになれば」とプレゼントを企画。教諭らが園児の人数分の鉢に植え替え、夏休み前に渡すことにした。

 教諭から鉢を受け取った干場詩乃ちゃん(5)は「うれしい。早く花になってほしい」と笑顔。母親の知佳さん(39)も「春に咲く花を見ていたので、家でもきれいに咲かせたい」と話していた。

 外山園長は「ちょうど来春の入学時期に咲くはずで、子供たちにはこのスミレのように元気に育ってほしい。幼稚園がなくなっても、この花で心がつながっていけば」と説明。同園の取り組みを聞いた横山さんは「ささいなことだったけれど、喜んでもらえてうれしい」と話していた。(新目七恵)


◎“丸ごと北海道”の味楽しんで…かねごん焼商品化
 水産加工のかねごん食品(函館市入舟町16、奥田雅章社長)がこのほど、マイカとジャガイモを小麦粉の生地で丸く焼き上げた「かねごん焼」を商品化した。原材料すべてを道産にこだわった新函館名物として、市内の土産物店やインターネットで発売。奥田社長(42)は「安心、安全を追求した“丸ごと北海道”の味を楽しんで」とPRしている。

 「北海道らしく、農水産業の活性化につながるような商品をつくりたい」と奥田社長が考案。函館名産のマイカは同社独自の塩調味料で下味を付け、道南産メークインはゆでて食感が残る程度につぶして入れた。生地は道産小麦に道南産の鶏卵とコンブだしをブレンドした。

 見た目はゴツゴツとしたジャガイモをイメージ。素材の味を引き立てる塩味に仕上げた。「そのまま食べて素材の味を堪能してほしいが、お好みでマヨネーズとしょう油を混ぜてソース代わりにしてもおいしい」と奥田社長。

 同社やJR函館駅前の土産店「松岡商店」(若松町14)で冷凍パックで直売している。8個入り500円だが、8月末までは10個入り500円。同社では解凍または焼き立てでも提供する。移動販売の希望業者や場所提供者を募集している。

 27日はパチンコ富士(美原1)の駐車場で開かれる「青空朝市」(北海道中小企業家同友会函館支部主催)で販売する。

 問い合わせは同社TEL0138・22・5373。通信販売ホームページはhttp://www.kanegon−syokuhin.com/(宮木佳奈美)


◎JT跡地にスーパー…函館市
 2005年3月末の工場閉鎖後、具体的な活用法が未定だったJT函館工場跡地(函館市桔梗町403)のグラウンド部分について、市は25日、土木コンサルタント「竹田測量設計」(同市亀田町17、竹田達矢社長)から出されていた申請に対し、開発の許可を出した。建物は4棟で、スーパーマーケットなどが出店する見通し。

 当該地は06年10月に同社が落札。同9月に取得した工場部分はすでに一般住宅の分譲が始まっていて、商業施設用地としていたグラウンド部分は市街化調整区域に当たることから、同社が市に開発行為の許可申請をし、24日に開かれた市開発審査会を経て正式に許可が下りた。

 建物4棟はすべて平屋で、それぞれの床面積は5291平方メートル、3636平方メートル、827平方メートル、242平方メートルで合計は9996平方メートル。床面積が1万平方メートルを超える商業施設の設置者に対して、出店計画書の届け出などが必要な道の「大規模集客施設の立地に関するガイドライン」の対象とはならない。

 出店業者については明らかになっていないが、スーパーマーケットなどの物販店が入居する模様だ。 (浜田孝輔)


◎昭和の趣きたっぷりに…あす大黒通りフェス
 函館市西部地区を活性化させようと、恒例の「大黒通りフェスティバル」が27日、同市弁天町の大黒通り中央の大黒広場で開かれる。今年は「昭和の時代へタイムスリップ!してみませんか」をテーマに、懐かしさあふれる遊具やちんどん屋の演奏などで祭りを盛り上げる。

 地元の町おこしグループ「大黒通りフェスティバル実行委員会」(嶋崎孝治委員長)の主催で、ことしで9回目を数える夏の弁天地区の参加型イベント。午前10時からのフリーマーケットを皮切りに、同10時半からは実行委のメンバーが収集・製作した昭和のお茶の間を再現したコーナーもお披露目される。

 昨年の同フェスでデビューを果たした地元有志のちんどん屋「遊源会社大黒笑事」は午後零時半から、「美しき天然」や「大阪ラプソディー」「蒲田行進曲」など昭和の名曲計8曲を披露。津軽三味線や琉球三味線の演奏もある。

 このほか、会場には綿あめやかき氷などの屋台コーナーのほか、竹馬やフラフープ、手製のスマートボール台などが設置され、昭和の遊びを体験できる。フリーマーケットは出店料1000円で、当日参加もできる。先着200人には石川pケ木の詩を添えた絵はがきセットも無料で配布する。

 実行委の井上清美事務局長は「今回は主流のステージショーを排し、市民参加型の商店街本来の祭りを取り戻したかった。古き良き時代を懐かしみながら楽しんでほしい」と多くの来場を呼び掛けている。午後3時までで、雨天の場合は中止。問い合わせは嶋崎実行委員長(へたくそ工房内)TEL0138・27・2399。(森健太郎)