2008年7月27日(日)掲載

◎駒ケ岳で「火山勉強会」300人が登山
 火山活動の影響で1998年から入山規制されている、森、鹿部町などにまたがる駒ケ岳(1131メートル)で26日、一般市民を対象とした「火山勉強会」(駒ケ岳火山防災会議協議会主催)が行われ、約300人が頂上付近までの登山を楽しんだ。噴火口から活発に噴煙が立ち上る様子に、参加者は駒ケ岳が生きた火山であることを実感した。

 美しい景観と自然に恵まれた駒ケ岳は、登山スポットとして多くの愛好者に親しまれてきたが、1996年以来小噴火や爆発を繰り返しており、現在も入山規制は解かれていない。

 それでも、愛好家からの登山再開を要望する声が多く寄せられているため、火山のメカニズムなどを学び防災意識を高めてもらおうと、昨年7月に初めて火山勉強会を実施。2回目となる今回は、同協議会を構成する森町、鹿部町、七飯町、函館市をはじめ、遠くは鹿児島県や愛知県などからも参加の申し込みがあり、小学1年生から78歳まで幅広い年齢層が登山に挑戦した。

 6合目付近からスタートした参加者は、1500メートル、標高差400メートルの険しい山道を約1時間かけて登り、「馬の背」と呼ばれる火口原に到着。駒ケ岳の噴火の歴史などを専門に研究している北大大学院の吉本充宏助教が講師となり、炭酸飲料を使った実験などで噴火のメカニズムを分かりやすく解説した。

 続いて3グループに分かれて噴火口近くを散策。最も大きい昭和4年火口からは、硫黄臭とともに噴煙がもくもくと立ち上っており、参加者は圧倒されていた。

 森町から祖父の中村良実さん(71)と初参加した中村夢月さん(森尾白内小4年)は「登るのはとっても疲れた。いつも見ている駒ケ岳が火山だったのは知らなかった」と驚きの様子。昨年に続き七飯町から参加した玉地国雄さん(67)、広美さん(65)夫妻は「規制前はよく駒ケ岳に登っていたので、年に1回でも来ることができるのはうれしい。昨年に比べて緑が多くなっているは意外だった」と話していた。

 同協議会では9月にも今年度2回目の勉強会を予定している。(小川俊之)


◎高田屋嘉兵衛まつり開幕、淡路島の特産品フェアなど
 函館の発展と北方開拓に大きく貢献した江戸時代の豪商・高田屋嘉兵衛の功績を伝え、地域の活性化と北方領土の返還要求世論を高める「第33回函館高田屋嘉兵衛まつり」(実行委主催)が26日、函館市内で始まった。初日は同市宝来町の嘉兵衛像の前で顕彰・慰霊式、同市末広町の市地域交流まちづくりセンターで嘉兵衛の古里、兵庫県淡路島の特産品フェアなどが行われた。

 高田屋嘉兵衛は、1769(明和6)年、現在の同県洲本市五色町で生まれた。96(寛政8)年、28歳のときに箱館に来航、99(同11)年、国後島と択捉島間に安全な航路を開き、翌年、択捉島に渡り17カ所の漁場を開拓。箱館を基地とした上、造船所を建てるなどし、箱館発展の基礎を築いた。また、箱館の慈善や奉仕にも尽力し、日露間の紛争を円満に解決して両国和親のためにも活躍した。

 同祭りは、嘉兵衛の没後150年に当たる1976年、嘉兵衛の業績をたたえることにより、北方領土がわが国固有の領土であることの認識を広め、領土返還運動の機運を高めようと始まった。2006年8月にはその運動が高く評価され、同実行委が沖縄北方担当相から表彰を受けた。

 顕彰・慰霊式典には、高田屋嘉兵衛の8代目、高田嘉七さん(76)サ東京サなど約50人の参加者が嘉兵衛像前に玉ぐしをささげるなどした後、花泉舞衛社中の10人が「高田屋嘉兵衛まつり音頭」などの舞踊を奉納し、谷地頭保育園ちびっこ太鼓の太鼓奉納が行われた。17人のかわいい子どもたちの威勢の良い掛け声と太鼓の音が像の前に鳴り響いた。

 同祭りは27日、嘉兵衛像前で北方領土返還署名運動が、同市末広町のアクロス十字街で北方領土関係写真パネル展が行われる。時間はともに午前10時から午後4時。また、8月1日は午後3時45分から、嘉兵衛像前から西波止場までのパレードが行われる。問い合わせは同実行委TEL0138・22・1538。(山崎純一)


◎米国のエリックさん「清和荘」で尺八演奏
 夏期休暇を利用し、来函中のエリック・ライジンガーさん(27)=米国=と「江差追分函館声徳会支部」(内村徳蔵支部長)のメンバーが26日、函館市湯川町の養護老人ホーム「清和荘」で訪問演奏を行った。会員約15人の美しい歌声と優しい尺八の音色に利用者が酔いしれた。

 エリックさんは北海道の美しい自然と気候にあこがれ、昨年夏、函館に滞在中の知人を頼りに初めて来函。その時、初めて聞いた尺八の優しい音色に引かれ、以来帰国後も無我夢中で練習を続けている。自前の尺八を購入し、エリックさんは「日本の文化なのに、尺八を知らない日本人が多いことは悲しい。尺八は自分の感情を思いのまま表現できる魅力がある」と語る。

 この日、会場では日ごろの練習を発揮しようと、同会会員が「ソーラン節」や「江差追分」「津軽三味線」など計15曲を演奏。エリックさんは独奏で「お馬の親子」と「荒城の月」、合奏で「かごめかごめ」と「浜千鳥」など計4曲を披露し、哀愁ある響きでお年寄りをうっとりさせた。

 演奏後、エリックさんは「今後も練習を繰り返して腕を磨き、日本の文化をアメリカの人たちにもぜひ伝えていけたら。緊張したが楽しかった」と話していた。30日には道国際交流センター(同市元町)で同会メンバーとともに演奏会を行う。(小橋優子)


◎榎本武揚没後100周年記念事業、称名寺で子ども歌舞伎公演
 箱館戦争で旧幕府軍脱走軍総裁、後に北海道開拓で活躍した榎本武揚(1836―1908年)の没後100周年記念事業が26日、函館市で開かれた。函館港には榎本の航跡をたどる帆船「あこがれ」が入港したほか、称名寺(船見町)では函館子ども歌舞伎の公演が行われた。

 140年前、榎本が蝦夷へ向かった幕府軍艦「開陽丸」になぞらえ、航跡をたどる帆船「あこがれ」が午後3時に函館港に西ふ頭に到着。この航海は、榎本武揚没後100周年記念実行委員会が主催しており、11日に東京を出港、24日に岩手県宮古市から榎本武揚の4代目隆充さん(73)や同市の中学生や船員45人を乗せ出港していた。

 同函館実行委員や市民約100人が出迎え、蝦夷共和国のメンバーが大砲を鳴らし歓迎式典を開始。榎本さんは「函館山に近づくと、胸に熱いものがこみ上げてきた」とあいさつ。谷沢広副市長は乗員や子どもたちに「異国情緒あふれる街並みを楽しんでください」と歓迎の言葉を述べた。

 夜は函館実行委が主催する子ども歌舞伎公演が行われた。初めに道南落語倶楽部のメンバーで講談師の荒到無形(こうとうむけい)さんが、同寺の須藤隆仙住職が作った、榎本や土方歳三を題材にした講談「まぼろしの蝦夷共和国」を演じ、榎本の人物像を紹介。引き続き函館子ども歌舞伎が「白浪五人男」「良弁杉の由来」を披露した。

 「良弁杉―」は、名僧侶の良弁にまつわる伝説で、別れた親子の哀惜話に観客が見入った。同寺の境内を使い、函館青年会議所の寺井信一郎理事長らも僧侶役で出演するなどし、観客から大きな拍手が送られた。

 榎本さんは「市立函館博物館で榎本に関する展示があるなど、この機会に武揚をよく知ってほしい」と話していた。帆船あこがれは27日午前9時から帆を張るセイルドリル、正午から船内の一般公開を行う。29日からは日帰りや1泊2日の体験航海(有料)を行い、8月1日に江差に向け出港する。体験航海の申し込みはホームページから。アドレスは http://kaiyo-maru.org/(山崎純一)


◎支庁再編 濱谷町長が民主党・小沢代表と会談へ
 【江差、札幌】道の支庁再編に反対している濱谷一治・江差町長ら道内3町長が30日、札幌入りする民主党の小沢一郎代表との会談を予定していることが26日までに分かった。会談では支庁再編をめぐるこれまでの経緯とともに、支庁再編後も支庁所管区域を基本とする道議会議員の選挙区を現状維持するために必要な公職選挙法改正がテーマになる見通しだ。

 小沢代表と会談するのは、支庁廃止反対する濱谷江差町長、谷川弘一郎・日高管内浦河町長、道町村会副会長の泉亭俊彦・石狩管内当別町長の3人。3町では、桧山、日高、石狩の3支庁が廃止対象になっている。

 関係者によると、同党から会談の打診があったという。会談では、現行14支庁を9総合振興局に再編する道の総合振興局設置条例が、支庁廃止地域や道町村会など地方4団体の反対を押し切って道議会に提案され、知事与党の自民・公明両党の賛成多数で可決された経緯などについて、小沢代表が関係3町長に説明を求める見通しという。

 同党では、鳩山由紀夫幹事長をはじめ、道内選出国会議員が、支庁再編をめぐる道の対応について「市町村や地方4団体の理解を得ていない」として、公選法改正に反対することで合意。23日には党道連(鉢呂吉雄代表)が党本部に、法案提出が予想される秋の臨時国会では、同党など野党が過半数を確保する参院で、法案を否決するよう党本部に申し入れた。小沢代表と3町長の会談を契機に、同党の方針決定に向けた動きが加速することも予想され、支庁存続運動は国会を主戦場とする新たな段階に入る。

 同党が公選法改正に反対し、野党が過半数を占める参院で法案が否決されれば、条例は施行期日を定められず、道が来年4月の実施に向けて準備段階に入った支庁再編が暗礁に乗り上げる可能性もあり、高橋はるみ知事の責任問題に波及することも必至だ。

 しかし、国の法改正が進まないことで、道議会で条例案を可決した支庁再編が行き詰まる事態に、自民党関係者は「地方自治の精神を無視する問題」と批判。道なども道州制特区などを活用して、公選法改正を経ずに、特例的に道議選挙区の区割りを維持するなどの対抗策を探っており、公選法改正をめぐる問題は今後、衆参両院を巻き込んだ波乱含みの展開も予想される。(松浦 純)


◎大沼湖水まつり開幕
 【七飯】ヒット曲「千の風になって」誕生の地・大沼で26日、第99回大沼湖水まつり(実行委など主催)が開幕した。先祖や水難者、災害被災者を弔う灯籠(とうろう)1100個が湖面に流され、来場者らは静かに手を合わせた。同まつりは大沼国定公園を会場に2日間の日程で、27日は灯籠流し、花火大会のほか、4月に完成した「千の風―」モニュメントを巡る千の風ツアーなどが行われる。

 同まつりは1906年、景雲寺(大沼)の住職が灯籠を湖面に浮かべた法要が起源。100回の節目を目前に控え、改めて、慰霊の原点に戻った。一方で「千の風―」を訳詩作曲した作家の新井満さんが「再生」をテーマとした同曲誕生のエピソードと、大切な人を亡くした人を弔う同まつりとのつながりに興味を持ったことから、本年度からインターネットで灯籠を販売し全国にまつりをPRした。

 この日は新井さん夫妻も参加し、午後6時45分、灯籠を手にした約100人が大沼国際交流プラザ前を出発し、メーン会場に到着。町内9寺で構成する七飯仏教会の住職らが御詠歌を唱えた後、供養者や檀家(だんか)らがそっと湖面へと灯籠を浮かべた。“千の風”に揺られ湖面に点在するほのかな光に、来場者らは故人をしのんだ。(笠原郁実)