2008年7月28日(日)掲載

◎子育て世帯応援します…函館でも「特典制度」導入へ
 函館市は、子どもがいる世帯が商店などで買い物割引などを受けられる「どさんこ・子育て特典制度」を導入する。小学生までの子どもがいる世帯を対象に認証カードを発行し、利用時にカードを提示すると、参加店が独自に決めたサービスや割引特典を受けられる。子育てを支援すると同時に、商店側にとっては新たな顧客獲得の機会としても期待できる。函館商工会議所や商店街組合などを通して参加店の協力を依頼しており、秋にはスタートさせたい考え。

 同様の取り組みは全国の自治体で行われており、サービスの一例として(1)買い物時の割引き(2)レンタカー利用料の割引きとチャイルドシート無料特典(3)ローン金利を1%優遇(4)飲食店で大盛りをサービス(5)住宅工事で割引き―などがある。内容は個別に決めることができるため、新規の顧客開拓につなげようと工夫を凝らす事業者もある。

 道は「北海道子どもの未来づくり条例」に基づいた少子化対策を総合的に推進しており、この一環として6月から同制度をスタートさせた。市町村単位での参加が原則。自治体を通じて道に参加を申し出た施設や店舗には「子育て応援の店」などと書いたステッカーを配布する。小学生以下の子どもがいる家庭に認証カードを交付し、保護者はカードに名前などを記入して参加店利用時に提示する。

 道南では七飯町で既に導入しており、函館市のほか北斗市、福島町など、全道24市町が本年度中に開始する予定。このほか71市町が来年度以降のスタートを検討している。

 函館市では子ども未来室が中心になり、函館商工会議所を窓口に事業者の募集を進めている。これまでに市内の商店街をまとめる函館市商店街連盟を通じ、各商店街や事業者に参加を呼びかけた。同連盟の渡辺良三会長は「商店街も地域の一員。地域サービスを充実させ、子育て家庭の力になりたい」と協力に前向きだ。

 認証カードは今後、学校や保育所、保健所などを通じて各家庭に配布する。同室の妹尾正白室長は「多くの事業者に参加してもらい実効性を上げたい。子育て中の家庭の負担を少しでも軽減して子どもを育てやすい環境を作ると同時に、商店街の活性化にもつながれば」と期待する。(小泉まや)


◎市民奮闘 帆張った!…帆船「あこがれ」一般公開
 榎本武揚の没後100周年を記念して函館港西ふ頭に入港している大阪市所有の帆船「あこがれ」(久下剛也船長)で27日、帆を張るセイルドリルと船内の一般公開が行われた。セイルドリルは見学に来ていた市民も参加、青空の下、いっぱいに張られた帆が風をはらんだ。

 「あこがれ」は全長52・16メートル、幅8・6メートル、362トンで、3本ある最も高いマストは甲板上から約30メートルある。最初に乗組員がマストに登り帆をほどき、次に市民らが甲板上で2つの班に分かれてロープを引き帆を開いた。見物していた人は久下船長の解説に聞き入り作業を見守り、約30分後、最後にトギャランと呼ばれる「あこがれ」のシンボルマークが描かれている帆が広がり完成すると、拍手を送っていた。ロープを引いた参加者は「引っ張っても戻されるようで重たかった」と話していた。

 帆は45分後に閉じられ、午後からは船内の見物が行われた。参加者はブリッジやギャレーと呼ばれる厨房などの施設に見入っていた。「あこがれ」は29日から日帰りなどの体験航海(有料)が行われ、8月1日に江差港に向け出港する。体験航海の申し込みはホームページから。 http://www.akogare.or.jp/ または http://kaiyo-maru.org/(山崎純一)


◎「がん患者の悩み」語り合おう…家族会「元気会」発足
 がんの部位や種類を問わず患者やその家族が集う「函館がん患者家族会『元気会』」が26日、函館市内で発足した。同じ病を抱える者同士がつながり、闘病体験などを語り合い元気を分かち合う場を目指す。今後は気楽に集まれるようレクリエーションなども企画し、要望があれば医師を招いた勉強会も開催する。

 市内在住の米田結さん(46)、斉藤佐知子さん(49)ら3人が中心となって設立準備を進めてきた。3人は市内に婦人科系など女性特有のがん患者会は存在するが、部位の垣根を越えた患者会がないため設立に動いた。自らの治療経験や悩み、不安などを語り、情報交換することで、前向きに生き、生活の質を高めていくのが狙い。他の患者会などと連携して活動する考え。

 約2年前にがんで手術を受けた米田さんは「入院中は周りにがん患者がいるので、慰められたり元気付けられたりした。退院後は1人で転移や再発の不安を抱えていくので、患者同士がささいなことでも話せる場があればと感じた」と話す。斉藤さんも「医療の情報だけでなく、人の話を聞くと励みになり、患者が仕事復帰して働く姿を見て励まされる」と活動に期待を込める。

 同日、市総合保健センターで開かれた設立総会には、8人が出席し、自身の病気や治療について語り合った。市民のためのがん治療の会道支部(札幌)の木村勝夫支部長も参加し、「患者は話したいこともあれば、聞きたいこともある。元気会の発足は頼もしい」と語った。

 次回は8月に開催する予定。申し込み、問い合わせは同会ファクスTEL0138・41・7017へ。(宮木佳奈美)