2008年7月29日(火)掲載

◎日銀が夏休み親子見学会
 小学生とその保護者を対象にした日本銀行函館支店(函館市東雲町14、市川信幸支店長)の「夏休み親子見学会」が28日、同支店で開かれた。参加者は支店内の見学や買い物ゲームを通じ、お金の価値や有効な使い道について知識を深めた。

 同支店が日銀の業務内容やお金の役割について考えてもらおうと、2006年から子どもたちの長期休暇に合わせて開催。見学会は午前と午後の2回で、公募した市内の小学5、6年生の児童と親ら計48組約100人が参加した。

 参加者は金融教育ビデオ「100万円あったら、どうする?」を鑑賞後、支店内の展示ルームで10キロ相当の1億円分の札束の“重み”や、1万円札の裁断くずでできた「1億円のいす」の座り心地を確めた。「カレー作りゲームに挑戦しよう!」と題したゲームでは、予算4000円内でカレーの食材やサラダ、デザートなどを購入。時勢を反映して商品価格が値上がりする仕掛けも盛り込まれ、子どもたちは電卓を手に、上手な家計のやり繰りに知恵を絞っていた。

 母親と妹と参加した函館千代田小6年の渡部景介君(12)は「買い物の楽しさや難しさが分かった。お金は大事に使い、これからお小遣い帳を付けようと思った」と話していた。(森健太郎)


◎木古内高校存続問題、道教委の回答を町が放置
 【木古内】公立高校適正配置計画で道立木古内高校(木古内町木古内)の2010年度の募集停止を打ち出している道教委が昨年10月、募集停止時期の先延ばしを求めた町に対し、「時期延長は困難であると考える」と回答していたにもかかわらず、町側がこうした道教委の意向を町議会、存続を求める町民団体などに一切伝えていなかったことが28日分かった。この間も存続運動は展開されており、函館新聞社の取材に対し、「木古内高校の存続を求める会」の近藤攻会長は「初めて聞く話で驚いた。まずは情報の共有が必要ではないか」と指摘。町議も含め、地域住民から町の姿勢に不信の声が出ている。(田中陽介)

 同日の町議会総務・経済常任委員会(吉田忠義委員長)で町が報告。委員からは「なぜもっと早く報告しなかったのか。この半年ほどの存続活動に重大な影響を及ぼしかねない」「われわれが今まで何をやってきたのか分からなくなる。地域ぐるみで存続を求めようとしているというのに水を差す事態」と猛反発。町議側は9月の定例会で一連の問題を一般質問で取り上げる構えを示した。

町は「試算に時間が掛かり、事務処理上の遅れが原因で公表が遅れた」とし、小林敏明副町長は「(公表が)遅くなったことは申し訳ない」と謝罪した。大森伊佐緒町長は出席していなかった。

 町は道教委に「(町立化に向けた)各種資料収集のためには時間が必要」と募集停止の時期の先延ばしを求めた。これに対し、道教委は昨年10月5日付で、定員や通学区域内の中卒者の状況などを総合的に勘案し、「時期延長は困難」との見解を示していた。

 これを知らされていなかった「求める会」の幹部はほぼ毎月、道教委側の見解を把握しないまま、道の関係者らに陳情を続けていたという。

 吉田委員長らは「昨秋の時点で募集停止は決定的だったのでは」と追及。一部議員も取材に対し、「議会としても音頭を取って地域一丸で解決に臨もうとしたが、町からは『いまのところおとなしくしていただきたい』という話だった。情報もなく、議会として動きたくとも動ける状況ではなかった」とする。

 まちの重要な懸案事項の一つである木古内高校存続問題で、道教委の回答が“放置”されたとも受け取れる状況になったことについて、大森町長は「町民に不信感を与える事態になったとすれば素直に謝りたい」としている。町は「地元中学生らの進路選択にかかわる重要な問題。子どもたちの家族も含め、少しでも不安が払しょくできるように努める」とし、10年度の募集停止を視野に入れつつ、年内にも町立にするかどうか判断する考えを示している。


◎大野農高など3校が来月30日に六輪村で合同イベント
 【北斗】大野農業(北澤住人校長)と函館水産(齋藤隆校長)、函館商業(三浦法久校長)の3高校が8月30日、北斗市大工川48の農作物直売グループ緑友会「六輪村」(東寺百合子代表)直売所敷地内で合同イベントを計画している。六輪村が例年開いている「消費者交流会」と連携し、各校独自の多彩な活動成果を披露する。3校が本年度までの3カ年で進めてきた道教委の「北を活かす人づくり」推進事業の集大成となり、関係者は「ぜひ多くに来てほしい」と話している。(新目七恵)

 北斗市内の農家女性で組織する六輪村は、手作り野菜や加工品販売のほか、体験工房や食堂を展開している。

 今回は、昨年度大野農高の生徒らが滞在型観光の推進を目的に地域の産業、観光の拠点地を結ぶ遊歩道「フットパス」づくりに取り組む中で六輪村を知り、地産地消を進める活動趣旨に賛同。合同イベントを持ち掛けたところ東寺代表らが快諾し、企画実現へ準備を重ねてきた。

 具体的なイベント内容は検討中だが、大野農高と函水高の加工品を集めた特別ギフトセットや函商高のオリジナル物品を販売するほか、参加校の生徒が当日販売する六輪村の野菜を使ったメニューを考えてレシピを配布したり、ドライフラワーのミニリース作りコーナーなども設ける計画。新たなイベント名やマスコットも生徒らが考案する。六輪村では食堂「小昼(こびる)」の特別メニューなども予定している。

 大野農高の米田敏也教頭は「生徒たちが地域産業への理解を深める機会とし、将来的には拠点地をネットワーク化して地域おこしを仕掛けていきたい」とし、担当の小野武仁教諭(31)も「若い発想力で成功させたい」と意気込んでいる。東寺代表(57)は「子どもの感性で地域の良さを再認識できるイベントになれば」と期待している。

 ■「北を活かす人づくり」推進事業 地域産業を担う人材育成や高校教育活性化のため、圏域別の複数専門校が「食と観光」をテーマに3年間、共同研究するもの。道南では函商高が実践研究校、ほか2校が協力校に指定され、2006年度からさまざまな取り組みを進めてきた。


◎児童が模擬裁判体験
 子供たちに裁判所を身近に感じてもらおうというイベント「みんな集まれ!裁判所キッズDay」が28日、函館地方裁判所で開かれた。児童たちは実際の法廷で、来年5月に始まる裁判員制度に基づいた模擬裁判を体験し、裁判の仕組みや手続きの流れを理解した。

 同裁判所が子供向けに初めて企画したイベントで、今回は小学5、6年生を対象に募集。午前、午後の2回実施し、保護者も含め約100人が参加した。

 模擬裁判は同裁判所側があらかじめ用意したシナリオを読み上げる形で行われ、函館市内の民家で起きた放火事件で被告人が罪状を否認している刑事裁判を設定。児童たちは裁判長や検察官、弁護人、裁判員などの役を演じながら冒頭陳述や証拠調べ、判決言い渡しまでの一連の流れを体験した。

 裁判官役に当たった人は法服を着用し、児童たちは与えられた役を緊張した面持ちでこなしていた。判決言い渡しの場面では裁判長、裁判官、裁判員役の児童が相談して決め、「被告人を懲役5年に処する」との判決を言い渡した。

 模擬裁判後、法廷や所長室などの見学も行われた。裁判員役を務めた道教大附属函館小6年の野田和紀君(11)は「判決を出す難しさを感じた。とても良い経験だった」と話した。同裁判所の上垣猛所長は「来年から始まる裁判員制度を含め、少しでも裁判所のことを理解してもらえればと思い企画した。子供たちには良い思い出になったのでは」と述べた。(鈴木 潤)


◎支庁再編、江差町で住民総決起集会
 【江差】道の支庁制度改革に抗議する住民総決起集会が28日、江差町文化会館で開かれた。江差町など桧山管内7町から800人を超える住民が参加。地方の反対を押し切って、支庁再編条例の提案を強行した高橋はるみ知事に怒りの声をぶつけるとともに、支庁再編の前提となる公職選挙法の改正阻止を訴えて気勢を上げた。(松浦 純)

 町、町議会、桧山支庁存続を求める住民団体(会長・飯田隆一江差商工会長)の共催。道町村会長の寺島光一郎乙部町長、管内の町長・町議会議長のほか、谷川弘一郎日高管内浦河町長、石垣雅敏根室市副市長が参加。党議拘束に反して支庁再編条例の採決で反対に回った道議会自民党の石塚正寛(留萌市)、松浦宗信(根室市)の両氏も出席した。

 濱谷一治江差町長は「本道のすみずみに光と希望を与えるのが知事の役割ではないか」と涙声で訴え、公選法改正阻止に向けた結束を呼び掛けた。寺島会長は「支庁改悪に大義も理念もない。道財政の悪化を地方に責任転嫁した。道議会では与党こそが知事の暴走を止めるべき。正義を貫く江差・浦河両町を145町村が支援する」と強調。谷川浦河町長も「支庁を切り捨て道庁はますます肥大化する。市町村は道の言いなりで良いのか。民主主義社会では許されない」と訴えた。

 石塚氏は、高橋定敏留萌市長が存続運動からの撤退を表明したことについて「住民団体や商工会議所は全くぶれていない。運動を続けたいと強く願っている。経済界を中心にしっかりと運動を継続する」と報告した。

 集会では打越東亜夫江差町議会議長が朗読した、支庁再編と公選法改正の阻止を求める決議を満場一致で採択。飯田会長の発声で参加者全員で「がんばろう!」とシュプレヒコールした。


◎昨年度観光アンケート結果、広域観光化定着へ
 函館市と函館国際観光コンベンション協会は28日、2007年度に同市内で行った観光アンケートの結果を発表した。函館とその近郊を含む広域観光化が定着しつつあり、函館山だけでなく、その周辺の散策をコースに盛り込む傾向がみられた。07年度まで3カ年度連続で来函観光客数が500万人台を割り込む中、同市などは連泊でもたらされる経済効果に、明るい兆しが見えているとしている。

 道内の周遊旅行に訪れた人に聞いた他の訪問地・訪問予定地(複数回答)では、道央(札幌・小樽)が77・1%とトップだったが、前年度比6・1ポイントの低下。函館近郊(大沼・江差・松前など)は倍増の69・5%と伸びを見せ、道南(室蘭など)の45・6%(前年度比6・2ポイント減)を上回った。

 旅行形態では、家族旅行が同1・8ポイント増の40・3%、友人などが同2・6ポイント増の32・5%となる反面、団体は同5・5ポイント減の19・2%。世代別で見ると、中高年齢層で個人・グループ型に移行している傾向が強い。

 函館で訪れた場所(複数回答)としては、元町周辺が同1・1ポイント増の88・6%で、前年度まで1位だった函館山(同0・5ポイント増の88・3%)を追い抜き、町歩きに人気が集まっていることを示す形になった。

 函館市内での宿泊日数は1泊が同7・6ポイント減の65・4%だったのに対し、2泊が同6・8ポイント増の26・7%。それに伴い、宿泊客の平均旅行費用は3万8416円と前年度に比べて434円多くなっている。

 市観光振興課は「函館単体では連泊となりづらかったが、道南全体の魅力をさらに高めるため、他の自治体との連携強化に向けた仕組みづくりが必要」とし、今回の調査結果を各種会合で示しながら意見を募り、「今後の観光施策に役立てていきたい」と話している。

 アンケートは07年4月から1年間、市内の観光名所で実施し、調査数は同21・4%増の2307人。(浜田孝輔)


◎新川汲トンネル開通祝う
 函館市中心部と旧南茅部地区を結ぶ道道函館南茅部線の川汲峠付近(函館市鉄山―同川汲)で建設が進められてきた「新川汲トンネル」(全長2056メートル)の開通式が、28日午前11時から同トンネルの鉄山側坑口で行われた。関係者ら約200人が出席し、新たな交通ルートの誕生を祝った。

 同路線は駒ケ岳噴火時の避難路や水産物の輸送路として重要な役割を担っており、同地域では1968年から川汲トンネル(同1150メートル)が供用されてきた。しかし、高さが3・5メートル、幅6・6メートルの旧規格構造で大型車両の通行が困難だったため、新トンネルが熱望されていた。

 2003年10月、ようやく工事に着手したものの、基準を超える重金属を含んだ掘削土砂の処理を巡り06年5月に一次中断。供用後にすべての土砂を適切に処理することを条件に、同10月から工事が再開された。総事業費は81億6000万円。

 開通式には工事関係者や地元関係者をはじめ函館市、渡島支庁などから約200人が出席。函館南茅部線整備促進期成会の加藤詔三会長は「長年の悲願だったトンネル完成に感慨もひとしお。住民の大事な足としてはもちろん、経済や観光の活性化にも期待したい」とあいさつ。続いて畑秀叔渡島支庁長らによるテープカットが行われた。

 同日午後1時から一般車両の供用が開始され、大型トラックなどが次々とトンネルを通過した。(小川俊之)