2008年7月3日(木)掲載

◎渡島高校生サミット、「大沼環境保全アピール」宣言
 【七飯】北海道洞爺湖サミットの開催を前に、七飯町大沼で1、2の両日、「渡島大沼湖上環境保全高校生サミット」(道教育大函館校、渡島管内高等学校環境教育研究会、渡島支庁主催)が開かれた。渡島管内の10校から17人の高校生が参加し、大沼国定公園流域の環境調査や湖、川の水質を確かめた上で、漁業と農業、観光の立場から考えた「大沼環境保全アピール2008」を宣言した。

 同サミットは大沼の環境の価値を見直し、直面する環境問題について若い世代に考えてもらおうと企画。同大の田中邦明教授(理科教育)が講師を務め、1日は調査学習、2日は大沼国際セミナーハウスを会場に漁業、農業、観光の立場に立った施策を考えた。各グループには同大の学生9人も加わり、意見を交換しながら「アピール」をまとめた。

 漁業グループは渡辺文也君(函館水産3年)が「河川の保全・水質の改善を目的とした研究と実践について、道には補助や条例の策定を求める」とし、農業グループは田中信洋君(函館ラ・サール3年)が「国、地方自治体に家畜ふん尿をバイオガスとして利用するための法律と補助制度を要求」とした。観光グループは木明可歩さん(函館中部3年)が「七飯町に有機農法の基準に見合ったたい肥や化学肥料の使用量制限に関する条例を」と提言した。

 田中君は「グループに分かれて考えたことで各業種が三位一体となって取り組むことが大事と分かった」と話していた。宣言は5、6の両日、海外の環境教育関係者らが出席するグローカル環境教育国際会議2008(札幌)で発表されるほか、関係各団体へと送付される。(笠原郁実)


◎開発局統廃合、函館でも驚きや不安
 政府が2日、北海道開発局の統廃合を検討する考えを示し、同局の出先機関・函館開発建設部がある函館地域でも関係者から驚きや不安の声が広がった。渡島支庁の幹部は「あくまでも考え方が示されただけであり、今は推移を見守ることしかできない」としながら、「仮に廃止となれば、開発局の仕事の多くが道に移譲されることになり、その場合の予算確保は明確にすべき」と語った。

 道職員や地元選出道議からは、道が開発局職員の受け皿となる可能性が大きいことについて「専門的知識の高い開発局職員が入ってきた場合、現在の道職員と待遇面などでうまくバランスが取れるだろうか」「二重行政との声がある中、予算や権限、人員、補助率などをどうするかという整理すべき課題が多い」との声も聞かれた。

 開発局の整理により公共事業費削減が一層進むことが予想されるが、函館建設業協会は「現在は政府の動きを見守っている状態。協会として今後どのような動きをしていくかは現時点では答えられない」と困惑する。

 開発局の出先機関である函館開発建設部の本年度の事業費予算は約331億円で、対前年度当初比7%減。このうち道路整備が約185億円で全体の55・9%を占める。主要事業は函館新外環状道路など高規格幹線道路の整備、函館港などの整備、大野平野地区のかんがい排水事業などがある。

 開発予算は道内市町村の社会資本整備をリード。函館市の場合、本年度当初予算の国直轄事業では港湾事業が26億7900万円、空港事業が8億2200万円となっている。本年度着工した旧函館ドック跡地の岸壁改修に5億8500万円、継続事業では湾岸道路の整備に13億1700万円などがある。

 谷沢広副市長は「函館開発建設部は国の機関に直結した組織で、現場を直視して予算化、事業化している。地域のインフラ整備に大きな役割を果たしており、今後も組織や機能を維持してもらいたい」と話し、情報収集を急いでいる。

 北海道開発局 旧北海道開発庁の実施機関として1951年に設置。2001年の中央省庁再編に伴い、国土交通省の地方支分局となった。河川、道路、港湾、空港、農業、漁業の整備などを行う総合行政機関。08年度予算の総事業費は約6100億円で前年度当初比3・5%減。職員数は5648人。道開発局の下部組織として道内11の開発建設部がある。


◎大韓航空6月の函館―ソウル便 搭乗率81・3%で過去最高
 大韓航空の函館―ソウル便の6月の平均搭乗率が前月比12増の81・3%となり、2006年6月の就航以来、最高を記録したことが2日、同社函館支店のまとめで分かった。就航3年目で初めて採算ラインの75%を上回る8割の大台を超え、単月の搭乗者数も過去最多だった。北海道洞爺湖サミットの開催で、道内の知名度が韓国で高まりつつあることが数字を押し上げた要因とみられる。

 同支店がまとめた搭乗実績によると、単月ベースの平均搭乗率はこれまで07年11月の73・2%が最高。今年6月は搭乗者数も同15・6%増の3893人と大幅な伸びを見せた。出発地別ではソウル発が同14・6%増の2031人。搭乗率も同12ポイント増の84・9%と昨年11月の77・9%を超える高水準となった。

 函館発は搭乗者数が同16・8%増の1862人、搭乗率は同12・2増の77・8%で、ともに過去最高。ただ、搭乗者の内訳をみると、外国人が同18・4%増の1670人だったのに対し、日本人は搭乗者数こそ同7・9%増の205人だったものの、依然として全体の1割程度と低迷している。

 同支店の岸田茂支店長は「6月中旬以降のインバウンド(入国)はほぼ満席の状態。サミット効果で北海道の人気や認知度が韓国内で高まっているのに加え、夏季のゴルフ客利用や周遊型の観光が徐々に定着しつつある」と分析。低調な日本人利用客については「3泊4日の旅行で人気のある木、日曜の函館発便だけでなく、搭乗率が5割を切る火曜の函館発便の利用をどれだけ高められるかが鍵」と話している。(森健太郎)


◎水産高生が「環境サミット」に参加へ
 函館水産高校(齋藤隆校長)の3年生3人が、北海道洞爺湖サミット開催に合わせて7日、札幌市内で行われる「専門高校生による環境サミット」(道教委主催)に道南から唯一参加する。魚の内臓などの残さを活用して作るしょうゆ「魚醤油」の成果を報告し、道内の水産高校代表として環境保全に関する取り組みを広く発信する。リーダーの木元大輝君(17)は「海外にも魚醤油のおいしさを広め、学校をアピールしたい」と意気込んでいる。(新目七恵)

 この環境サミットは国のスーパー専門高校や道教委の「北を活かす人づくり」推進事業に取り組む専門高校の生徒が各自の研究を発表し、パネルディスカッションなどで地球環境問題について議論を深める。道教委が選定した参加校は函館水産のほか、岩見沢農業、帯広農業、札幌工業、苫小牧工業。

 魚醤油は、魚の頭や骨など調理に使えない部分を有効活用し、ごみを出さない調味料として近年注目を集めている。同校では、水産食品科の小板徹教諭(46)が2003年度から独自に製造を始め、翌年からは同校3年生が授業の一環として取り組んでいる。試行錯誤を重ね、現在はホッケやサンマ、塩ザケなど各魚種のオリジナルしょうゆ計17種類を開発した。量産化は難しく一般販売はしていないが、同校内で調味料として使用している。

 サミット当日は生徒がこれまでの研究内容や製造過程を発表し、会場で実際に参加者らに味わってもらう。参加メンバーの山口龍馬君(17)は「海の資源を有効に使えばおいしいものができることを伝えることで、環境問題を考えてほしい」とし、野呂亮太君(同)も「水産高代表として責任を感じるが、仲間と一緒に取り組みをPRしたい」と話している。

 生徒は同サミット翌日の8日、同市内で行われる主要8カ国(G8)の中学、高校生代表との交流会にも参加する予定。


◎道南5月の金融経済動向、「さらに弱まっている」 
 日本銀行函館支店(服部誠弘支店長)は、5月の道南地方の金融経済動向を発表した。造船など生産面が堅調に推移し、外国人客の増加から観光客の入り込みに持ち直しが見られた半面、原油・原材料高の影響で個人消費や住宅投資、貿易などの低調さが増しており、景況判断を前月までの「足踏み感が強い」から「さらに弱まっている」と11カ月ぶりに下方修正した。(森健太郎)

 生産は造船が国内外の好調な需要で高操業を続けているが、国際的な携帯電話やデジタル家電向け受注の伸び悩みから増勢がやや鈍化した。水産加工や飼料・魚油などの食料品は「食の安全」意識の高まりに伴い、輸入品から国産品への需要シフトがあり、一部で持ち直しの動きが続いた。

 観光は台湾からの外国人客が好調なものの、国内便の低迷で函館空港の乗降客数が15万人(前年同月比4・2%減)と2カ月ぶりに前年割れ。主要ホテル20社の宿泊客数は相次いで新規開業したホテルに利用客が流れ、15万8400人(同6・1%減)と3カ月連続で前年を下回った。五稜郭タワーや函館山ロープウェイは桜の開花が早かったことや大型連休後半の天候不良などでいずれも前年割れとなった。

 個人消費は石油製品や食料品の価格上昇を受け、消費者心理の慎重化が目立つ。特に衣料品や日用品など高額商品を中心に買い控えの傾向が進み、主要小売店10社の売上高は54億300万円(同4・8%減)で、前年からの下げ幅が拓銀破たん直後の水準にまで低下した。新車登録台数は普通・小型車が620台(同13%減)と5カ月ぶりに前年を下回った。

 住宅投資は所得環境の悪化から新規住宅着工数が持家、貸家で低迷していて、全体では138戸(同34%減)と4カ月連続で大幅な前年割れ。函館港の貿易は堅調な船舶を除き、総じて頭打ちの傾向が強まり、輸出入とも大幅に前年を下回った。


◎13日に「六ヶ所村ラプソディー」上映会
 青森県六ヶ所村にある使用済み核燃料の再処理工場にスポットを当てたドキュメンタリー映画「六ヶ所村ラプソディー」(鎌仲ひとみ監督)の自主上映会が13日、函館市亀田福祉センター(美原1)で開かれる。上映会に先立ち、6日午後7時からは松風町16のサンドイッチ店「EDWARDS」で応援イベントも予定。実行委員会の國立大喜代表(32)は「再処理工場だけでなく、エネルギー問題や生きること、食べ物などについても考えさせられる作品。ぜひ多くの人に見てほしい」とPRしている。(新目七恵)

 上映会は國立代表が昨年、インターネットを通じて原発や六ヶ所村をめぐる問題などを調べる中で、同映画の存在を知って企画。趣旨に賛同する仲間を集め、5月ごろから本格的に準備を進めてきた。

 この映画は、六カ所村に住みながら国の再処理計画への反対活動を続ける住民、経済的面から容認の立場を取る住民などさまざまな立場の声を拾い、再処理工場をめぐる現状などをまとめた。

 6日の応援イベントでは映画の告知やライブを企画。チケット600円の一部は上映資金に回す。

 13日は2回の上映(午前10時半、午後5時)のほか、映画完成後も六ヶ所村を追い続ける鎌仲監督の最新ドキュメンタリー上映(午後1時、同7時15分)や講演「六ヶ所村と大間原発の今」(午後2時15分)、ミニライブ(午後4時半)を予定。前売り1000円、当日は500円増し。

 問い合わせは國立代表TEL090・7951・1206。


◎湯の川温泉街で行灯点灯
 函館市の湯の川温泉街にある松倉川沿いでは、夏の夜を彩る行灯(あんどん)が夕から深夜にかけて点灯され、川面に揺らめく明かりが温泉宿泊客や周辺住民を魅了している。

 行灯は8月17、18日に同温泉街で行われる「第43回湯の川温泉いさり火まつり」を盛り上げようと、実行委員会(大桃泰行委員長)が17年前から毎年行っているもので、松倉川沿いを中心に延長約750?に約140基が設置されている。

 開始当初は、同まつりの前後1週間程度の点灯だったが、観光客らから好評だったため、数年前から7―10月に期間を延長。今年も1日から10月31日まで、毎日午後7時ごろから同11時ごろまで点灯される。大桃委員長は「この明かりを多くの人に見てもらうことで、いさり火まつりが盛大に開かれるように願いたい」と話している。(山崎純一)