2008年7月30日(水)掲載

◎目指せ「チョウの楽園」…深堀中でバタフライフィールド整備着々
 函館深堀中学校(大西正光校長、生徒366人)の敷地内で、人工的に自然を復元する「ビオトープ(生物の生息空間)」整備の一環として、“チョウの楽園”を目指した「バタフライフィールド」づくりが進んでいる。同校によると、道内的にも珍しい取り組みで、移植したチョウの食草には既にアゲハが産卵し、次々と羽化して美しい姿を見せている。生徒有志が「緑のサポーター」となって整備、観察に取り組む新たなボランティア活動も順調で、同校は「自然の営みの深さを体感してほしい」としている。

 同校では昨年度から函館市の独自事業「知恵の予算」を活用したビオトープづくりに取り組んでおり、校舎南側約60平方メートルに池などを整備した。自然体験の少ない都会の子供たちに命や自然の大切さを感じてもらうのが目的。2年目は近くに生息しているチョウに着目し、多く飛んでくるような環境整備に本格的に取り組んでいる。

 6月に生徒らがナミアゲハやキアゲハの餌となるサンショウ、セリなど4種類の植物計70株を移植したところ、1カ月も経過しないうちにチョウが訪れ、産卵するようになったという。天敵が多いため現在は卵を採取し、観察しながら校内で飼育して成虫になってから自然界に戻している。

 緑のサポーターには3年生を中心に約30人が登録。花壇整備やチョウの幼虫の飼育活動などに励んでいる。リーダーの3年生、穴田晃一君(14)は「チョウがどう生まれ、羽化するのか勉強になって楽しい」とし、三野宮愛さん(同)も「人工池なのに金魚やメダカが生きていることが新鮮」と話す。

 岡野伸二教頭(51)は「生きたチョウや卵を見たことがない生徒がほとんどで、飼育しているとじっと観察したり、質問する子どもも多い。今後は近隣小学校との交流教材としても活用したい」と期待を寄せている。(新目七恵)


◎漁業者、支援は「前進」…政府の燃料高騰対策で渡島
 政府が28日に発表した漁業燃料の高騰に対する支援対策に対し、渡島管内の漁業関係者からは「前進」と受け止める声がある一方、依然とした先行きの不透明感から慎重な言葉も聞かれた。29日には七飯町で道議会水産林務委員会(岡田俊之委員長)の委員を迎えた要望会が行われ、渡島管内漁業協同組合長会(山崎博康会長)から支援対策の要望書が提出されるなど、一層の事態打開に向けた活発な動きもみられた。

 函館大沼プリンスホテル(七飯町西大沼温泉)で6年ぶりに行われた同委員会の要望会には、委員会メンバー9人と渡島管内の14漁協関係者ら18人をはじめ約50人が出席。山崎会長は「これまで漁業者自らが操業見送りや省エネ対策などに取り組んできたが、燃料高騰が収まる見通しの無い状況ではすでに漁業経営は限界に達している」とし、「緊急対策として、漁業経営への影響緩和に直接効果のある新たな事業や予算措置を講じてほしい」と訴えた。

 岡田委員長は「厳しい状況の中で道の主要産業である漁業を振興させていくためにも、委員会として積極的に道や国に対して働き掛けていきたい」と答えた。

 今回政府が示した支援策の総事業費は745億円だが、このうち燃油代の高騰分の補てんに充てられるのは80億円とされている。山崎会長は「政府が具体的な支援策を示したことは大きな前進と受け止めている」としながらも、「燃料補てんに対する予算は思ったより少なく、現状を乗り切れるのか不安も大きい。来月5日に予定している全道漁業協同組合長会で、今後の対応について協議を進めたい」と話していた。

 函館市漁協では「今回の政府案については正式な説明会が行われるまではコメントできない」とし、「15日行った一斉休漁などの効果が現れたのではないか」と話している。(小川俊之)


◎燃油高騰で合同要望…東京で函館市と市議会
 来年度予算の概算要求に合わせ、函館市と函館市議会は29日、東京で各省庁や関係機関に合同要望をした。漁業用燃油高騰対策のほか、北海道開発局の統廃合検討に絡み急きょ、現在の道開発の枠組み堅持を要望に加えた。

 西尾正範市長、工藤寿樹副市長、小柏忠久理事、阿部善一議長、斉藤明男副議長らが上京した。

 農水省などへの燃油対策要望は、漁業が函館の基幹産業であり、燃油の高騰でイカ釣りやマグロはえ縄漁などで廃業した漁業者もいることを説明。今後も安定的な漁業経営が維持できるよう、漁業者の燃油代負担を軽減する補てん制度の創設などを求めた。

 政府が28日、総事業費745億円の燃油高騰対策事業を発表したことから、市も情報収集を進め、支援策がどの程度、市の漁業者に波及するかを調査していく。

 北海道開発体制・機能の維持は、内閣府や国土交通省、総務省などに要望した。北海道の社会基盤整備は遅れており、地域経済も低迷していることから、開発局の統廃合は地域に大きな影響をもたらすと説明。現在の体制の枠組みを堅持し、北海道開発予算の一括計上や国の補助率をかさ上げしている北海道特例の維持などを求めた。

 このほか、北海道新幹線の建設促進、道縦貫自動車道や函館新外環状道路などの整備促進、特別史跡五稜郭跡の奉行所復元、私学助成、国民健康保険財政の健全化などを関係省庁に要望した。(高柳 謙)


◎白百合高 生徒12人がボランティア研修でフィリピンへ
 函館白百合学園高校(青木タマキ校長、生徒450人)の1―3年生12人が29日、ボランティア研修を通じてアジアの現状を学ぶため、函館空港からフィリピン・マニラ市に向けて出発した。ホームステイをしながら8月7日まで滞在し、姉妹校をはじめ、現地の人々と交流する。

 アジアの貧困や環境問題などに触れ、国際的な視野を広げてもらおうと、同校が「フィリピン・ボランティア・スタディー・ツアー」と銘打って初めて企画。同校と同じシャルトル聖パウロ修道女会(SPC)が設立母体の姉妹校セント・ポール・カレッジ・パッシグ校を訪ねる。

 このほか、フィリピンのSPC会員が奉仕活動しているスラム街、病院やストリートチルドレンのための施設を運営する同会員の医師、シスター・エヴァが医療活動を行う先住民アエタ民族の集落などを訪問。現地の子どもたちと触れ合い、奉仕活動を手伝う。

 この日は出発を前に、同空港で結団式が開かれ、青木校長が「文化や気候などの違いがたくさんあるが、恵まれない人を見て同情や傍観ではなく、共生する姿勢を学んでほしい」とあいさつ。生徒を代表し、管野慈(ちか)さん(1年)は「貴重な経験をしてひと回り大きく成長して帰ってきたい」と力強く語った。(宮木佳奈美)


◎審査員 真剣な表情…観光土産品試買検査会
 道南地方で販売されている土産品に不当な表示、包装などがないか調べる本年度の観光土産品試買検査会が29日、函館商工会議所(函館市若松町15)で開かれた。食の安全・安心に消費者の関心が高まる中、全国有数の観光地としての地位を確保しようと、審査員は真剣な表情で商品に見入っていた。

 地元の官公庁や観光団体、土産品店などでつくる「みなみ北海道地区観光土産品公正取引協議会」(西村盛一郎会長)の主催で、今年で37回目。市内や近郊の土産品店で販売されている農水産品30点、菓子類20点を無作為に持ち寄り、審査委員13人が検査に当たった。

 審査基準は観光土産品業界の公正競争規約に基づき、原材料名や消費期限・賞味期限などの「必要表示事項」、容器の底上げや広い縁取りなどの「過大包装の禁止」といった4項目。違反があった場合は、製造メーカーや販売会社に文書による改善指導などを行う。

 審査の結果、必要な表示事項に不備があった農水産品2点、菓子類2点を条件付きで合格としたほか、農水産品のうち2点は消費者への分かりやすさなどを求めたアドバイスを行うことを決めた。(森健太郎)


◎駅前グイッ…駅前でビアガーデン
 JR函館駅前広場(函館市若松町12)で29日、毎年恒例のビアガーデンが始まった。初日はあいにくの曇り空で気温が低く、出足こそ鈍かったが、徐々に会社帰りのサラリーマンらでにぎわいを見せ、ジョッキを傾けながら夏の夜を満喫していた。

 JR北海道グループのジェイ・アールはこだて開発(佐藤巧社長)が06年から駅前を活性化させようと企画。会場には80人分のテーブル席が常設されていて、駅舎をバックに、頭上につるされたちょうちんが雰囲気を演出している。

 同僚4人で訪れた市内の会社員伴田一彦さん(40)は「天気がどうであれ、きょうは仲間で来ることを決めていた。開放感があって夜風が心地いいですね」と声を弾ませていた。

 ビアガーデンの開催は8月1日を除く同11日まで。平日が午後5時―同8時半、日曜が午前11時半―同8時半で、荒天の場合は中止。おつまみ券付き5枚つづりのチケットは2000円で、会場や同駅内の「お土産店POっPO(ポッポ)」と「アットカフェステーション」で販売している。限定600枚。問い合わせは同社TEL0138・22・8826。(森健太郎)