2008年7月5日(土)掲載

◎野外劇開幕 夏の夜の絵巻き
 国の特別史跡・五稜郭跡(五稜郭公園)を舞台にし、スタッフ、キャスト全員がボランティアの市民創作・函館野外劇の第21回公演「星の城、明日に輝け」(NPO法人市民創作「函館野外劇」の会主催)が4日夜、開幕した。約300人の観客が函館の歴史劇を堪能した。

 開演に先立ち、北大水産学部、函館工業高等専門学校の応援団が野外劇や函館にエールを送りステージを盛り上げた。

 劇は、主に幕末から明治維新後の歴史ドラマで、進行役「コロポックル」が観客の頭上に登場してオープニングを飾り、高田屋嘉兵衛、ペリー提督の来函、武田斐三郎らによる五稜郭築城などが演じられた。華やかなフラッグダンスやYOSAKOIソーランの踊り、幻想的な光線を使うなど、客の目前から特設の水舞台、土手まで隅々を使った演出が展開された。

 中でも、箱館戦争の場面では、弁士が土方歳三らの活躍を語る中、榎本艦隊の「蟠竜」と新政府軍の旗艦「甲鉄」が爆音を響かせ大砲を撃ち合うほか、昨年まで効果音のみだった兵士の銃火器にも火薬を使い、音を本物らしく再現。観客を圧倒した。

 今年の公演は全12回。5、11、12、18、19、25、26、27日、8月8、9、10日に行われる。開演は午後7時45分。問い合わせは同事務局TEL0138・56・8601。(山崎純一)


◎温泉資源保護しよう…函館市「懇話会」設置へ
 函館市は、温泉資源の保護と適正利用のあり方を検討する「函館市温泉資源懇話会」を設立する。市の貴重な観光資源である湯の川温泉の枯渇が懸念されていることや、市内に温泉井戸が増えていることから、今後も長期的に利用できるような活用方法を協議する。同市がこのような会議を設けるのは初めて。25日に初回会合を予定しており、調査などを経て年度内に方向性を定め、場合によっては温泉掘削を許可する立場にある道に進言する。

 市内で使用している温泉井戸は50カ所(1日現在)あり、全体の1日当たり使用湯量は約1万1810立方メートル。市水道局などの調査では、うち34カ所ある湯の川温泉の水位は、1960年代からの約40年間で約12メートル低下するなど、保護対策をしなければならない時期に来ている。また井戸数も85年以降に17カ所増加するなど、狭い地域に密集することの弊害も懸念されている。

 懇話会は、学識経験者や業界団体、市民など12人以内の委員で構成。(1)函館市の温泉資源保護や適正利用の方針(2)温泉利用量の見直しを行う温泉資源適正利用推進地区の設定(3)同地区の温泉利用量削減(4)同地区でのモニタリング調査の手法や調査結果―などについて話し合う。

 市立函館保健所生活衛生課の保古晴男課長は「函館にとって温泉は大切な観光資源のためなくすことはできない」と話し、懇話会の成果に期待する。

 同課は懇話会設置に伴い委員2人を公募する。温泉の保護や適正利用に知識や経験、関心のある20歳以上の市民が対象。希望者は同課や同保健所ホームページ(http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/hokensyo/)で入手できる応募用紙に必要事項を記入し、7日から14日までに同課に申し込む。問い合わせは同課TEL0138・32・1521。 (小泉まや)


◎函館市、2億円の影響 公共施設の暖房費増加…原油価格高騰
 原油価格の高騰を受け、函館市の公共施設や公用車で使用するA重油や灯油、ガソリンの費用見込みが当初予算を大きく上回っている。

 市財政課によると、市内の学校や社会教育施設、公用車などの空調代や燃料代は本年度当初予算で5億1800万円だが、5月の単価で試算したところ1億3600万円増加した。6月以降も原油高騰が続いており、6月単価では当初予算を2億円ほど上回る見込みという。

 比重が大きいのが小中学校と公共施設の暖房費。小学校は9000万円の予定が5月単価で2600万円増加、中学校も5000万円が同1500万円増えた。社会教育施設では市民プールが2100万円の当初予算から同600万円増えた。

 同課は「子供たちに寒い思いはさせられないが、他の社会教育施設は暖房温度を低めに設定するなど利用者に理解していただくしかない。管理費など徹底した経費の節減も図っていく」と話している。 (高柳 謙)


◎「地方切り捨て」懸念の声…開発局統廃合で江差町
 【江差】福田康夫首相が開発局の廃止に言及したことをめぐり、14支庁を9総合振興局に削減する条例案が可決され、来年4月には桧山支庁が出張所に当たる「振興局」に格下げされる江差町では「地方切り捨ての風潮が一層強まる」(ある経営者)と懸念の声も上がっている。

 町内には、函館開発建設部の出先機関として、江差道路事務所(22人)と江差港湾事務所(12人)がある。飴谷逸男副町長は「開発局でも出先機関の統廃合が進めばダブルパンチになる。官公庁の撤退にも拍車が掛かる」と懸念する。

 函館市をはじめ、開発建設部がある地域が、開発局廃止に伴う影響を懸念していることに、打越東亜夫町議会議長は「国や道と直結した出先機関が無くなることで、地域の要望や現場の声が届かなくなるのは共通の課題だ。支庁再編、道州制、開発局の統廃合は一体の議論が必要だ。支庁再編だけが突出すれば、地方を大混乱させる」と語る。

 道経済連合会(道経連)などの経済4団体が、開発局の廃止は道内経済に悪影響を与えるとして、反対姿勢を示したことに「経済団体は、地方分権が進むとして支庁再編に賛成した。火の粉が降りかかると騒ぎ始めた。本道全体の発展を考える視線が無いのでは」(商工業者)と厳しい意見も。町幹部の1人も「地方分権には反対ではない。財政再建や産業振興を進めて自立するには時間が必要と訴えてきた。経済団体の言葉と支庁存続を求める市町の意見が似通っているのは皮肉な巡り合わせ」と冷ややかだ。

 一方で「支庁が残る地域では、支庁再編に無関心だったり“地域エゴ”として批判的だった。開発局廃止による影響を懸念する声も高まっているが“切り捨てられる”立場になれば、われわれの苦渋も理解できるはず」(関係者)との恨み節も聞かれる。(松浦 純)


◎自慢の品ずらり…「函館がごめランド」きょうオープン
 函館特産の海産物「ガゴメ(トロロコンブの仲間)」を原料にした製品の即売店「函館がごめランド」が5日、函館市若松町20のテナントビル「和光」1階にオープンする。これまで開発業者が個別に取り扱ってきた商品を約50品集め、気軽に立ち寄り、購入できる拠点づくりを目指す。ガゴメの加工品を取り扱う企業のうち15社が自慢の品を並べる。

 店舗の広さは、倉庫部分を含めて約36平方メートル。売り場には、定番の削りコンブのほか、調味料や菓子、化粧品などを出品、製品の特徴を実感してもらうための試飲・試食コーナーも設けている。また、ガゴメの生態を紹介する映像を流す。営業時間は午前10時―午後7時で、出店期間は9月末までを予定。

 出店するのは都市エリア成果品販売促進連合(須田新輔代表)。同連合は「函館地域産業振興財団」(高野洋蔵理事長)を中核に2003年度から取り組んできた、文部科学省所管の「都市エリア産学官連携促進事業」への参画企業で組織する。同連合は「新たな販売網を確立することで、地域の人と観光客に、もう一度ガゴメの良さを知ってもらいたい」と期待している。

 問い合わせは、同店TEL0138・22・2246。(浜田孝輔)