2008年8月1日(金)掲載

◎未来大学生が映画制作
 公立はこだて未来大映画部(五十嵐一哉部長)を中心とした同大学生らが、地域活性化を目的とした映画制作に乗り出す。市内の観光地などでロケして函館の魅力を映像で盛り込み、海外PRのため韓国から女優も招く。協賛企業の支援を受け、8月2日から撮影を始める予定で、メンバーは「映画を通してさまざまな機会に地域をアピールしたい」と意気込んでいる。完成した作品は、同31日に東日本フェリー函館ターミナル(函館市港町3)で初披露する。(新目七恵)

 映画制作は、同大情報アーキテクチャ学科の鈴木克也教授の研究室が「映画の街・函館で地元発のオリジナル作品を作りたい」と、5年ほど前から構想を持っていた。さらに同大では、昨年度から津軽海峡にスポットを当てた地域支援の研究を進めており、意図が合致し、津軽海峡や高速フェリーのイメージなどから「風」をテーマとした映画づくりに取り組むことになった。地元を中心とした支援の申し出もあり、活動は本格化。衣装や移動の面などで協賛企業に協力してもらう計画だ。

 作品は、デザイナーを目指す主人公の男子学生が韓国人留学生の女性と出会い、夢に向かい努力することの大切さを知って成長するストーリー。同ターミナルがメーン舞台となるほか、金森倉庫や大沼(七飯町)などでもロケを行う。五十嵐部長が主演し、ヒロインに韓国人女優のチョ・アラさんを迎える。

 鈴木教授らの構想を基に、同映画部がシナリオを練り上げ、準備を進めてきた。撮影期間は約10日間で、完成後はさまざまな機会に公開し、地域活性化に役立てる。

 監督を務める同大3年の笹谷和希さん(20)は「自分の力を試す意味でも楽しめる作品にしたい。おしゃれな作品に仕上げたい」と話す。鈴木教授は「若者による映画づくりで地域おこしにつなげたい。映画の出来などの結果ではなく、取り組むプロセスが重要だ」としている。


◎企画【地産地消でいただきまーす】(2)ナガイモ
 函館市柏木町7のそば店「さんてい・柏木店」(池田幸次郎店主)の「冷しとろろそば」は、雪のように白くふわふわのナガイモがたっぷり。同市赤坂町189の金子農場の金子周治さん(68)が作るナガイモを使用する。「こんなナガイモは見たことがなかった。甘みとコクがあり、粘りも強くてそばによく絡む」と池田幸久店長(40)はほれ込む。

 1950年創業の老舗で、3代目の池田店長は食材の仕入れも担当する。「そばの味は水が鍵を握る。同じ道内の水で育った野菜はそばとの相性がいい」ときっぱり。旬のメニューに使う野菜や魚介類は手に入る限り、道南、道内産にこだわり、手間を惜しまず生産者から直接仕入れる。

 金子農場のナガイモを使うようになって、とろろの単品メニューも作った。そばつゆの素になる合わせ調味料「かえし」を添えて提供する。池田店長は「小細工するよりもそのまま食べるのが一番」と太鼓判を押す。

 金子農場の野菜は十勝管内から取り寄せた良質な有機入り肥料を使い、低農薬で栽培。ナガイモは5月ごろに植え、11月ごろと4月ごろ、2回に分けて収穫する。高さ3メートルの棒につるを立て、日当たりにも細心の注意を払う。金子さんは「やっぱり強い粘りとすり下ろしても白いままなのが売り」とPRする。

 消費者の顔が見える直売が基本で、車で市内を周り、売り歩く。消費者の安値志向が招く輸入野菜との競合、肥料の高騰など逆風もあるが、金子さんは言う。「安心・安全なのは当たり前。味を落とさずうまいものを作り続けることを考えるだけだ」(宮木佳奈美)

 さんてい・柏木店 「冷しとろろそば」750円。午前11時半―午後8時(毎週火曜日は午後3時)。不定休。TEL0138・52・1055。

 子農場 ナガイモ1キロ400円(応相談)。TEL0138・58・4469。


◎8月もガソリン値上げへ
 石油元売各社による卸値価格の引き上げを受け、函館市内のガソリンスタンド(GS)も1日、店頭価格を値上げする見通しだ。上げ幅はレギュラーガソリン1リットル当たり5、6円が中心になるとみられる。夏休みが始まり、行楽や帰省シーズンを迎えた消費者への影響は当然大きいが、需要低迷や価格競争でGSを取り巻く環境も厳しさを増している。(宮木佳奈美)

 7月1日の値上げ以降、市内の一部のGSでは需要喚起に向け、値下げ競争が激化した。今回の卸値価格の引き上げで、レギュラーガソリンを160円台まで下げていたセルフスタンドの中には、値段を元に戻す動きもあり、上げ幅は最大で18円前後になりそうだ。

 市内のあるGSはセルフサービスが18円前後、フルサービスで6、7円値上げする予定。従業員は「7月に価格競争で12円下げたので、その分を戻して値上げしないと赤字になる」と窮状を明かす。

 31日には、市内のGSで駆け込み給油の客が続々と訪れる光景が見られたが、「また値下げすると見込む客もいるので、前回(6月末)ほどの混雑ではない」とする関係者も。値上げ前に満タン給油した同市内の女性会社員(43)は「ガソリンが高すぎてほかの面でも節約している。遠出はしないし、夏休みの予定もない」と話していた。


◎スーパーやホテル、ガソリンの割引サービス広がる
 ガソリン価格の高騰を受け、函館市内のスーパーやホテルで、顧客のガソリン代の一部を負担するサービスが広がってきている。車での遠出や買い物を控えるなど、節約志向を強める消費者の負担感をやわらげて集客を狙う。夏の書き入れ時をにらみ、指定のガソリンスタンドで利用できる割引券や引換券を配布するなど、客足をつなぎ止めるのに懸命だ。

 イトーヨーカドー函館店は7月30日から3日まで、合計5000円分の買い物をした客に1リットル当たり10円引きになる割引券1枚(1万円以上の場合は2枚まで)を配布している。上限は50リットルでハイオク、軽油も対象。7月中旬の第1回が好評だったため、2回目を企画した。「車での買い物を控えている客へ少しでも還元したい」と同店。同市美原の主婦(71)は「少しでもプラスになれば」と割引券を受け取っていた。

 ガソリン高の影響で、例年より夏休みの予約が鈍いホテル業界も必死だ。湯の川温泉の6宿泊施設共同で「ガソリン還元宿泊プラン」を企画した。花びしホテル、湯の浜ホテル、湯の川プリンスホテル渚亭、万惣ホテル、湯元啄木亭、湯の川グランドホテルが参加し、31日まで実施する。

 料金や条件はホテルによって異なるが、1室利用でレギュラーガソリン10リットル分の引換券を付けるプランが主流。花びしホテルは「企業努力で負担軽減したい」とPR。湯元啄木亭は「早くも人気プランとなり、札幌から車で来る宿泊客の利用が多い」と手応えを得ている。(宮木佳奈美)


◎きょうから港まつり
 函館の夏を盛り上げる「開港149周年記念函館港まつり」(実行委主催)が1日から5日まで、函館市内の各所で開かれる。大勢の市民が中心街で「函館港おどり」「いか踊り」などを披露する「ワッショイはこだて」をはじめ、多彩な催しが繰り広げられる。(鈴木 潤)

 初日は、祭りの開会を告げる箱館開港パレード「高田屋嘉兵衛からペリーへ」が行われる。開港当時の衣装にふんした市民約250人によるパレードで、午後3時半に高田屋嘉兵衛銅像前特設ステージ(宝来町)で出発式を開いた後、同4時から末広岸壁特設ステージ(末広町)まで練り歩く。午後6時半から同ステージで開会式が開かれる。

 メーンの「ワッショイはこだて」は2日午後4時半から十字街・松風コース、3日は堀川・五稜郭コースで行われる。函館港おどりやいか踊り、山車のサマーカーニバルなどで、企業や市民有志の団体が特色あるパレードを繰り広げる。ことしは仙台市の郷土芸能「仙台すずめ踊り」を伝承する一行が3年ぶりに参加。十字街・松風コースは70団体、堀川・五稜郭コース78団体延べ約2万1000人が参加する。

 4日は正午からアマチュアミュージシャンによるライブ「2008函館ミュージックハイ」が松風町のはこだてグリーンプラザで開かれる。

 最終日の5日は午後4―8時、JR函館駅前交差点から松風町交差点を歩行者天国として開放。函館港おどり、いか踊り大会、ワッショイはこだてコンテストの表彰式が行われる。


◎3日にハローポテトカーニバル
 開港149周年記念函館港まつり協賛イベント「2008ハローポテトカーニバル」(実行委主催)が3日、函館亀田中グラウンド(函館市美原3)で開かれる。毎年恒例の約2?分のジャガイモの無料配布のほか、キャラクターショーやゲーム、花火大会など家族で楽しめる企画がめじろ押しだ。(森健太郎)

 イベントの象徴となるジャガイモは、31日に市内桔梗町で収穫されたばかりの地元産バレイショ。会場内に1・5トン分が高さ約1・5メートルのピラミッド状に積み上げられ、午後3時45分からビニール袋詰め放題で提供。残りの0・5トン分は午前11時半から塩煮にして約3000食分を先着順に振る舞う。

 参加型イベントでは、小学生対象のイモの重さ当てや豆つまみ皿移しなど「チャレンジランキング大会」、○×クイズ、ラムネの早飲みなどの「お楽しみゲーム」が企画され、上位入賞者には景品を進呈する。特設ステージでは「炎神戦隊ゴーオンジャーショー」や地元3チームのYOSAKOIソーランの演舞もある。

 このほか、地場産のメロンやスイカを市価より割安に販売する物産バーゲン、カラオケや盆踊りのコーナーも設けられる。祭りを締めくくる恒例の「花火大会」は午後8時から、約450発の打ち上げを予定している。小雨決行。問い合わせは実行委事務局(市亀田商工会内)TEL0138・47・1771。


◎支庁再編…政局の動向を注視
 【江差】民主党の小沢一郎代表が7月30日、道による支庁再編の前提となる公職選挙法改正に反対する考えを示唆したことで、支庁存続運動は国会を主戦場とする新たな段階に入った。濱谷一治江差町長は「与野党を問わず支庁再編の問題点を訴えていく。自ら反対の旗を降ろすことはあり得ない」とし、政局の動向を見極めながら、道への攻勢を強めていく構えだ。(松浦 純)

 小沢代表は記者会見で、支庁再編を市町村合併になぞらえ、「(財政支援の)アメ玉をくれるから合併すればよいということではない」とし、濱谷町長らの訴えに理解を示した。小沢代表と会談した濱谷町長は「財政支援がほしいわけではない。180市町村の反対を無視して強行された支庁再編の問題を理解してもらうことができた」とし、公選法改正をめぐる対応にも期待感を示す。

 道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)の役員や町村長が野党トップに“直訴”するのは極めて異例。濱谷町長は「問題の大きさを考えれば当然の対応」とする。寺島会長も「政党の党利党略とは別だ。道が強行しようとする支庁再編には今後も町村の立場で反論せざるを得ない」と語る。

 小沢代表が公選法改正に反対の意向を示したことで、高橋はるみ知事は支庁廃止地域、道政史上最悪の関係にある道町村会、さらに民主党との対応を迫られる。秋の臨時国会は、新テロ特措法の延長問題などの政策課題も山積で、本道の特殊事情だけに配慮した公選法改正が上程されるかは不透明だ。

 江差町などは「国会が混乱すれば公選法改正どころではない。道の支庁再編は日程的にも追い詰められる」とし、政局を見極めた上で今後の対応を検討する考えだ。