2008年8月14日(木)掲載

◎夜景の日、”財産”の価値を再認識
  13日は「函館夜景の日」。函館市大町の緑の島では、市民団体「函館夜景の日」を考える会(佐近弘悦代表)が約300個の懐中電灯などを使い「HAPPY」の文字を輝かせ、午後8時13分には花火を打ち上げた。

 夜景の日は1991年、函館青年会議所の当時の理事長福西秀和さんが発起人になり、函館の誇れる財産として夜景の大切さを再認識する記念日を設けようと、8(や)とトランプの“K”にあたる13に当てはめた8月13日に制定。同年から10年間は実行委が事業を進めたが、2001年からは市民団体が独自に活動をしている。

 佐近代表ら同会の会員約10人は午後から幅約40?、縦約25?の広さの中に5つの文字を作った。佐近代表は「最近は不景気で、殺伐とした事件が続き気分が暗くなっており、皆さんがハッピーになってほしいと願いを込めた。夜景の恩恵を受けている市民による活動の輪が広がってほしい」と話していた。

 函館山で夜景を眺めていた岐阜県各務原市の相田豊彦さん(66)は「夜景の街らしい記念日があり素晴らしい。おかげてハッピーな旅行になりました」と喜んでいた。(山崎純一)


◎あす終戦記念日、「私の8・15、戦争を語る会」徐々に参加者増加
  地域住民が戦争体験を語り合う「私の8・15、戦争を語る会」がこのほど、函館市内の乃木町会館で開かれた。ことしで8回目を迎えた「語る会」に集った市民は、それぞれ自分の記憶と向き合い、語ることで、戦争の悲惨さ、平和の尊さをあらためて実感していた。ゆっくりと、噛み締めるように語る人。堰(せき)が切れたように話し続ける人…。当初からかかわっている市内乃木町の佐竹惇司さん(78)は「共通するのは『戦争はもう起こしたくない』という思い。今後も続けたい」と話す。あす15日は「終戦記念日」―。(新目七恵)

 「函館空襲では母と2人で防空壕に隠れていた。頭上を飛行機が飛び回り、弾の破裂する音を耳にして、初めて戦争の恐ろしさを感じた」「船を米軍機が攻撃するのを見て皆泣いた。銃撃された汽車の乗員から、血が噴き出した様子も頭から焼き付いて離れない」。語る会に参加した市民は次々に言葉をつむいだ。

 語る会は2001年、佐竹さんや友人らが「戦争を語り継ぐ必要があるのでは」と考えて始めた。地域に住む戦争体験者に講師を依頼し、これまでにモンゴルでの抑留生活や東京大空襲、長崎での被爆体験などが語られた。一般参加者にもその場で語ってもらう形を取り、参加人数も徐々に増えているという。

 函館出身の佐竹さんにとって、戦争体験は学生時に勤労奉仕に駆り出された日々の記憶だ。上川管内音威子府村で、馬で材木を運ぶための雪道作りに励んだ経験は思い出深い。終戦時は釧路管内厚岸町の農家に「援農」で滞在していた。「隣りの人が『戦争に負けたぞ』と駆け込んできた。虚脱感に襲われ、次の日はやる気が全然出なかった」と振り返る。

 戦後間もなく、佐竹さんは中学校の教員になる。「当時は貧困な家庭が多く、親に捨てられたり、行方不明の子供もいた」。戦争で最も犠牲となる下層階級の家庭、弱い立場の子どもたちに触れた経験が、現在の活動の原動力となっている。

 8回目の集いには約40人が参加。市内の柳生瓊子さん(71)は「身近な場所での空襲体験を聞き、あらためて戦争の歴史を実感した」とし、渡辺誠司さん(80)も「戦時中を思い出すと、涙が出る」と話した。

 佐竹さんは「他人同士で戦争体験を話す機会は少ない。戦争では被害を受けただけでなく、日本が加害者の立場にあったことも考えながら、ここで語られたことを文章に残していくことも考えたい」としている。


◎盆の入り、ペット霊園も墓参り増える
 お盆の時期に亡くなったペットの墓参りをする飼い主が近年、増えている。盆の入りの13日、函館市内の動物霊園でも、飼い主がペットの墓前に手を合わせる姿が多く見られた。全国動物霊園協会(東京都町田市)によると、「お盆にペットの墓参りをする習慣は全国的に広がっている。時代の流れで、ペットは飼うという概念から『家族の一員』として、一緒に暮らす対象になっているのでは」と分析している。 (鈴木 潤)

 同市見晴町の日本動物ペット霊園(松尾道行社長)にはこの日、午前9時ごろから家族連れらが続々と訪れた。同霊園によると、普段の日の10倍ほどの約200人がお参りに来たという。

 3年ほど前、愛犬(雌4歳)を亡くした市内本通の男性(61)は「愛犬の生きた日々を忘れないためにも、命日だけでなく盆の時期にもお参りしている」と話す。7年前に病死した愛犬(雄7歳)の供養に来た札幌市中央区の女性(24)は「当時は家族同様にかわいがっていた。亡くなったときはすごく悲しかった」と振り返る。

 お盆の時期にペットのお参りが増加したことについて、葬儀の準備や接客などを受け持つ同霊園の小杉知史さん(36)は「ほとんどの人が、家族が亡くなったように悲しんでいる。その分しっかり供養したいという気持ちがあるのでは」とする。

 同霊園も飼い主のニーズに応じたサービスを心掛け、葬儀の際の待合室を設け、自動読経機なども設置している。小杉さんは「いかに飼い主の心のケアをするか苦心している」と話す。

 同協会の事務局責任者、福田憲司さん(33)は「飼い主の気持ちを逆なでするような対応で、トラブルが起きるケースもある」とし、「人の葬祭と同じように対応しなければ、業界としても生き残れない時代になるだろう」と指摘している。


◎福島で夏の成人式
 【福島】福島町福島の福島大神宮(常磐井武典宮司)で13日夕、成人祭(実行委主催)が行われた。町内の新成人の男性27人、女性27人が出席し、神事を通じて責任ある社会人としての自覚を新たにした。

 福島町の成人式は正月ではなく、帰省する若者が増えるお盆の時期に開催。成人祭は50年以上続く伝統行事で、地域を挙げて若者の門出を祝う。

 新成人代表の函館臨床福祉専門学校2年の花田美樹(よしき)さん(20)と福島郵便局の山本志穂美さん(19)が元服の衣装で参加。常磐井宮司が新成人の一人一人の名前を読み上げ、花田さんに烏帽子(えぼし)、山本さんにはかんざしを飾り付けた。

 出席者は神殿に玉ぐしをささげ、常磐井宮司が「皆さんを育ててくれた両親や家族に感謝の気持ちを持って社会で頑張ってほしい。これからの人生には困難があるかもしれないが、必ず楽しい素晴らしいときもある。力強く生きてほしい」と祝いのメッセージを伝えた。

 函館市から駆け付けた接客業の菊池弥生さん(19)は「友だちの元気な姿を見られて良かった。大人の仲間入りをして、気持ちが引き締まった」と話していた。14日午前10時からは福島町福祉センターで町主催の成人式が行われる。(田中陽介)


◎20日から「はこだて国際民俗芸術祭」
 海外10カ国以上のアーティストが集まり、さまざまな伝統芸能や舞踊、音楽を披露する「2008はこだて国際民俗芸術祭」(組織委主催)が20―24日、函館市内で開かれる。元町公園や函館市民会館でのステージ発表のほか、地域住民が直接触れ合い、交流できるワークショップなども企画。組織委は多くの参加を呼び掛けている。(新目七恵)

 メーンステージの元町公園(元町12)では、20―23日の午後6時―同8時45分、各国のメンバーが順番に演舞などを繰り広げるフリーステージ(無料)を開催。会場は野外に設けられ、市内の美しい夜景を背景に多彩な演舞が楽しめる。市民会館で行われる24日午後5時半からのフィナーレ公演「海〜地球の日没と夜明け」には9組が出演する。フィナーレ公演は前売り券1000円(当日2000円、未就学児は無料)。

 ワークショップは18日から6日間にわたり、市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で開催。日替わりで海外アーティストらが講師を務める。踊りを体験したり、衣装を身に付けるなど各国の文化を体感できる内容。小学生無料、一般1000円。組織委では「海外の民族芸術を間近で体験できる貴重な機会。ぜひ多くの子どもたちに参加してほしい」とPRしている。事前申し込みが必要で、各日定員は30人。

 このほか、21日午前10時半からは森町駒ケ岳小(森町駒ケ岳453)での親子ライブ(一般参加も可)を企画。23、24の両日には、関連企画として「芸能見本市」を金森赤レンガ倉庫BAYはこだてと五稜郭タワーで開催し、道南の伝統芸能団体も交えた交流イベントを行う予定。

 特典付きの市民スポンサーパス(1000円)も販売中。ワークショップの申し込み、問い合わせはヒトココチTEL0138・51・5727。


◎サークルKサンクスで市電・函館バス共通乗車券を18日から販売
 コンビニエンスストア「サークルKサンクス」の函館市内全18店舗は18日から、市電・函館バス共通乗車券の取り扱いを開始する。同社北海道運営部サンクス函館地区の三戸和義統括マネージャーは「時間に関係なく購入できるメリットを前面に打ち出し、来店動機の創出や新規・潜在顧客の発掘につなげていきたい」と意気込んでいる。

 同社は利便性が高く、地域に根ざした店舗づくりを目指して、4月から市電沿線の4店舗で乗車券の販売を試験的に導入。好評を得ていることから、市内一円を巡るバス路線の利用者にも対応できるよう全店で足並みをそろえることになった。

 販売するのは1000円、2000円、3000円、5000円のカード、1000円、2000円の回数券、一日、二日乗車券。各店舗では店内外にPOP広告などを掲示して周知を図る。

 市交通局は「車内でも購入できるが、要望として絶えなかった乗車前に手にしたいという声に応えることができそう」とし、函館バス(寺坂伊佐夫社長)は「燃料価格が高騰しているので、エコの意識を高めてもらい、公共交通機関の良さを見直してほしい」と話している。(浜田孝輔)