2008年8月16日(土)掲載

◎134段休まず駆け上がる…函館八幡宮神輿渡御
 函館八幡宮(中島敏幸宮司)の例大祭が14、15の両日開かれた。最終日の15日は大神輿(みこし)が市内の西部地区約7キロを巡行する神輿渡御(とぎょ)、夕方には大神輿が境内に続く134段の石段を一気に駆け上る「石段かけのぼり」が行われた。

 神輿渡御は1986年に結成された神輿を担ぐ会「瑞垣(みずかき)会」(渡辺兼一会長)が中心となり、2年に1度行っている。ことしは市内の男女約200人が3交代で行った。大神輿の重さは約2?。午前11時に御神体を乗せ、函館八幡宮を出発。白丁(はくちょう)姿で80―100人ずつが交代で担ぎ練り歩いた。金森倉庫群、函館朝市では訪れた観光客も「ワッショイ、ワッショイ」と声を掛けていた。

 午後4時15分ごろ巡行が終わり鳥居前に到着。同5時15分になると、御神馬に見立てたドサンコ馬に続き、幼稚園神輿、剣道門下生神輿が元気よく後に続いた。最後にクライマックスの大神輿が掛け声勇ましく、約1分で石段を豪快に駆け抜けた。無事、御神体を運び終えた担ぎ手は拍手で労をねぎらい合った。渡辺会長は「今日は風がなく、蒸し暑い中、皆さん頑張ってくれた」と話していた。 (山崎純一)


◎町議会が辞職勧告へ…森町官製談合
 【森】森町発注の町消防防災センターの建設工事をめぐる官製談合事件で、偽計入札妨害(談合)容疑で逮捕、送検された町長、湊美喜夫容疑者(79)の辞職勧告決議案の可決に向け、一部町議が15日、臨時議会開催を町議会事務局に要請した。議会開催に必要な議員定数(22人)の4分の1以上を超える過半数の議員が賛同している。進退を明らかにしない湊容疑者や、「捜査の推移を見守る」として慎重な姿勢を示す町議会に対する町民の批判の声などを受けた動きで、18日の全員協議会で臨時議会の開会日などを決める。

 同町議会は、6日に開いた非公開の全員協議会で町長逮捕後の対応を協議。長岡輝仁議長は同日の記者会見で「町長が否認している限り信用するのが最善の策。辞職勧告をするつもりはない」などとし、議会として事件に関係する調査など一切行わない方針を示していた。

 こうした議会の姿勢に対し、町民からは「議会は責任を果たしていない」「町長も議員も辞めるべき」など、厳しい声が寄せられていたという。

 15日午前に議会事務局を訪れ、賛同町議を代表して臨時議会開催を要請した野村洋議員(68)は「町民を不安にさせた町長の責任は重い」とし、辞職勧告決議案のほか、談合事件の調査特別委員会を設置する考えを示した。野村議員は「町長の逮捕という今までにない事態で、対応が慎重になってしまった。もっと早く行動するべきだった」と話した。

 自治体の首長に対する辞職勧告決議は、地方自治法上の不信任決議とは違い、法的拘束力がないため、可決されてもその職を辞職をする必要はない。可決には過半数の賛成が必要となるが、議会批判を回避するため、町長擁護派の議員の多くも決議案に賛同するとみられる。

 また、議会事務局は同日、当初18日に開催予定だった正副議長や各常任委員長、職務代理者の阿部真次副町長らを交えた会合を、非公開の全員協議会に切り替え、全町議に招集を通知した。この協議会で、阿部副町長に経過報告を求めた上で、臨時議会の日程を決定する。長岡議長は「町を混乱させた責任は感じている。臨時議会で今後の方向性を見定めたい」としている。


◎交付税、道南全市町で増加 地方再生費新設で好転
 国から受ける本年度の普通交付税の配分額が15日、決まった。渡島管内11市町の総額は599億3800万円で、前年度比2.5%増。檜山管内7町の総額も175億9400万円で同3.6%増となった。中央と地方の税収格差を是正する地方再生対策費の新設により、道南全市町で増加となった。昨年度、約13億円減少した函館市は316億8300万円で、同1.2%増と持ち直した。

 渡島・桧山支庁によると、全国で約4000億円の地方再生対策費の新設や、後期高齢者医療制度の施行による高齢者保健福祉費の増額などで交付額が増加した。

 函館市は前年度と比較し3億7000万円増加した。市財政課は「地方再生対策費で5億6000万円を見込んだ。分析が必要だが、経常的な経費の削減が予想よりも少なかった。行財政改革を進めている点などが評価されたのではないか」と話す。渡島支庁によると、災害復旧費の増加なども要因にあるという。

 北斗市は前年度実績より1億3000万円、森町は2億4800万円、八雲町は1億4000万円それぞれ増加した。函館市とともに、市町村合併による有利な積算(合併算定替え)が適用された。

 鹿部町は中学校の学級数増加なども要因。福島町は交付税で措置される過疎対策事業債の償還費が増加したことも要因にある。

 桧山管内では、4.3%増となった上ノ国町が交付税措置される臨時財政対策債の償還費の増加で配分が増えた。6.5%増の乙部町は行革による行政経費の縮減成果が反映された。

 一方、交付税の不足分を起債(借金)で賄うことができる臨時財政対策債は、道南全市町で一律6.3%削減された。普通交付税と臨財債を加えた額が実質的な交付税収入となり、函館市の場合は総額340億5100万円で、実質的な伸び率は0.6%増、額で2億1000万円の伸びにとどまる。

 普通交付税、特別交付税、臨時財政対策債を加えた全国の交付税総額は、18兆2000億円。2003年度に23兆9000億円あったが、三位一体改革の影響で減額が続き、昨年度は17兆8000まで落ち込み、本年度で5年ぶりに増加に転じた。(高柳 謙)


◎「知内ねぶた」おあずけ…サマーカーニバル 雨で屋外プログラム中止
 【知内】知内の夏の一大行事「サマーカーニバルin知内」が14日、町内で開催されたが、あいにくの雨で屋外プログラムは相次いで中止となり、祭りの目玉「知内ねぶた」を楽しみにしていた町民らは落胆を隠せなかった。ねぶたづくりに取り組んだ遠藤芳雄さん(74)は「素晴らしいねぶたができたので、多くの人に見てほしかった。披露は先延ばしになったが、一層ねぶたに愛着がわいてきた」と、早くも一年後の華やかな演出に思いをはせていた。

 ねぶたは町民有志が30年ほど前から制作。夜に映える淡い電飾の行灯で夏祭りを盛り上げようと、知内の伝説や民話を題材にしたものを手掛けてきた。

 ことしのカーニバルはニラやカキなどの特産品をPRする第1回グルメカーニバルも開催。これにちなみ、新作のねぶたは、伝説上の生き物ドラゴンが炎を上げて中華鍋を持つ姿をモチーフにした。

 大きさは例年のほぼ2倍で、高さ3.5メートル、横8メートル、幅は1.2メートルの大作。あけぼの団地近くの倉庫「知内ねぶた伝承館」で6月中旬から本格的に制作を開始した。

 「アイデアを出し合いながら作っていくのが醍醐味(だいごみ)」と、専門的な作図は用意せず、大まかな構想を基に全て手作業で準備した。針金や木材の骨組みは知内消防署の松本光治さん(58)が担当。和紙張りは遠藤さん、色づけは教員のガルシア・ラフェーラさんが責任者となり、実行委メンバーとともに仕事の合間を縫いながら1日約3―4時間掛けて作業を続けてきた。

 松本さんは「会場でのお披露目はできなくて残念だが、また来年がある。楽しみが増える」と笑顔だった。(田中陽介)


◎訴訟、患者救済の実情知って…薬害C型肝炎 来月7日に説明会
 血液製剤の投与などでC型肝炎に感染した患者が国などに損害賠償を求めた「薬害C型肝炎訴訟」の現状、肝炎患者救済の実情などの説明会が9月7日午後1時半から、サン・リフレ函館(函館市大森町2)で開かれる。薬害肝炎北海道弁護団(加藤丈晴代表)が主催。開催準備を進める道南の肝炎患者の会「北海道肝炎友の会『はまなす会』」(川上博史会長)は「説明会をきっかけに肝炎患者の救済につなげたい。肝炎患者を取り巻く状況も発信していきたい」としている。

 全国各地で行われた同訴訟の原告勝利判決を受けて、ことし1月11日、薬害C型肝炎患者の救済内容などを定めた救済法が成立した。ただ、救済の条件には、医療機関のカルテや医師の証言などハードルが高く、実際はごく一部の患者をのぞき、ほとんどが治療費などを賄う給付金を請求できない状況という。

 道内では弁護士らが患者救済に立ち上がり、3月に弁護団を結成。電話相談や救済法に基づいた給付金請求の手続きの支援を行っている。

 説明会は救済法の条件に漏れた患者にも救済の道筋をつけるのが狙い。札幌緑愛病院肝臓センターの川西輝明所長が、ウイルス性肝炎を取り巻く状況や治療方法について講演し、同弁護団の加藤代表や、東京弁護団の弁護士が救済法の内容や訴訟の現状について説明する。原告団の一員として裁判に臨んだ患者の体験報告や個別相談会も予定している。

 川上会長は「肝炎に感染していなくても、医療機関で出血を伴う手術や輸血経験のある人、一般の人にも参加してほしい」と話している。参加無料。希望者は直接会場へ。問い合わせは川上会長TEL0138・73・8102。(鈴木 潤)


◎恒久平和の実現を誓う…トラピスチヌ修道院で祈りの集い
 63回目の終戦記念日を迎えた15日、函館市内や七飯町では戦没者を追悼する式典、鐘を鳴らし世界平和を祈る行事が行われた。参加した市民らは悲惨な戦争を二度と起こさないように、恒久平和の実現を誓っていた。

 函館市上湯川町の天使の聖母トラピスチヌ修道院では、「世界平和のための祈りの集い」が行われた。一般市民に聖堂の一部「客舎聖堂」を開放し、修道女と市民がともに平和を祈った。

 荘厳な雰囲気の中、司祭のあいさつから始まり、60人の修道女やその親族と一緒に詩編を唱和、賛歌を斉唱。修道女5人が「平和の鐘」を150回連鐘し、参加した市民も黙とうをささげた。

 同修道院は昨秋の「はこだて湯の川オンパク」で一般市民が祈りを体験できる企画に協力。この時、参加した市民から「8月15日にも一緒に平和を祈りたい」と手紙をもらったことから今回初めて機会を設けた。市内から参加した女性会社員(40)は「世界ではまだ戦争が絶えないので、自分ができることとして平和を祈りに来た。厳かで感動的だった」と感激した様子。青木秀子修道院長は「わたしたちは毎年祈りをささげているが、ことしは市民と一緒にできてうれしい」と話していた。 (宮木佳奈美)