2008年8月19日(火)掲載

◎はこだて国際民俗芸術祭、ニウエの伝統舞踊体験
 函館市内で20日に開幕する「はこだて国際民俗芸術祭2008」(組織委主催)に先立ち、関連企画「ホンモノ体験!世界の民俗芸術ワークショップ」が18日、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で始まった。初回はニュージーランド自治領のニウエの男性ダンスグループ「タウ・フアタ・ニウエ」のメンバー12人が講師を務め、親子ら約50人が勇ましい伝統舞踊を体験した。

 ニウエは太平洋上に浮かぶサンゴ礁の島。メンバーは黒い炭で顔を塗り、麻の衣装に身を包んで登場した。島の伝統的な動作にアレンジを加えた「戦い」や「求愛」のダンスを披露し、参加者も見よう見まねで一緒に踊りを楽しんだ。迫力のある姿に当初は泣き出す子供もいたが、徐々に慣れると、笑顔でメンバーと触れ合っていた。

 母千織さん、弟の隼希ちゃん(4)と一緒に参加した函館日吉小2年の岩谷晃宏君(7)は「すごく楽しかった」と興奮した様子。ニウエのセネ・ファラコア代表(38)は「子供たちが積極的で良かった。ステージでは熱気を伝え、多くの人に楽しんでもらいたい」と話していた。

 同芸術祭はフリーステージ(無料、午後6時―同8時45分)が20―23日に元町公園(元町12)、フィナーレ公演(前売り1000円、午後5時半)が24日に函館市民会館(湯川町1)で行われる。問い合わせはヒトココチTEL0138・51・5727。(新目七恵)


◎森町官製談合、湊町長 辞意伝える
 【森】森町発注の町消防防災センターの建設工事をめぐる官製談合事件で、偽計入札妨害(談合)容疑で逮捕、送検された町長、湊美喜夫容疑者(79)が18日までに、弁護士を通じて町に辞意を伝えていたことが分かった。職務代理者の阿部真次副町長が同日の記者会見で、「町長は『議会が辞職してほしいということであれば、現在の地位にこだわるものではない』としている。辞めてもいいということでしょう」と明かした。逮捕から半月以上が経過し、湊容疑者が初めて自らの進退に言及した。こうした状況を受け、町議会は同日、臨時議会で辞職勧告決議案は上程せず、正副議長が接見して湊容疑者に辞職を促すことを決めた。(森町談合事件取材班)

 阿部副町長によると、弁護士を通じた連絡は12日と18日朝にあり、「『辞職と自分の罪を認めることは別問題』としている。町政の混乱を避けるために辞めざるを得ない(と判断した)のだろう」と述べた。「今後の町政のことや辞職後の選挙も考えられるので『あらためて副町長や議長と相談して考えたい』としている」と述べ、具体的な辞職の時期については明言していないとした。

 一方、町議会は同日午前10時から全員協議会を開き、一部議員から要請のあった臨時議会の開催について協議。この中で阿部副町長から湊容疑者の辞意が全議員に伝えられた。協議会終了後の記者会見で、長岡輝仁議長は「議員からの辞職勧告決議はしないということで意見がまとまった。37年間も一生懸命やって来た町長に対し、辞職勧告決議は耐え難い。正副議長で接見して、自発的な辞職を促したい」と述べた。

 また、近く招集される臨時議会では「『森町消防防災センター工事をめぐる談合事件』調査特別委員会」の設置を議題とする。提案した野村洋議員は、議会の調査権を認める「百条委員会」の設置を求める考えで、「具体的にどの範囲で調査できるのか、我々も初めてのことなので他都市の事例も参考にしたい」と話した。

 同談合事件をめぐっては、道警がこれまでに業者関係者や仲介役の男ら計9人を逮捕、函館地検が13日までに6人を函館地裁に起訴し、1人を処分保留としている。同地検が官製談合の実態解明に向け、取り調べを進めている湊容疑者、元建設課長の釜沢弘容疑者(61)の拘置期限は22日に迫っている。


◎森町談合、湊容疑者辞意に「当然」「遅すぎる」
 【森】「逮捕直後に早く辞職すべきだった」「町民として恥ずかしい」―。森町発注の工事をめぐる官製談合事件で、逮捕、送検された町長、湊美喜夫容疑者(79)が辞職の意向を町に伝えていたことが明らかになった18日、閑散とした町からは深いため息と怒りの声が漏れ聞こえた。10期37年という長期間、森町のかじ取り役を務めてきたリーダーは、容疑者という不本意な立場で、町長の座から降りることを決断した。(森町談合事件取材班)

 同日会見した阿部真次副町長は「(12日の町長からの連絡より)18日の連絡では、より辞めてもいいという心境の変化があったと思う」と話した。町議会は辞意を受け、一部議員が提出に向けて動いていた辞職勧告決議案を撤回。会見した長岡輝仁議長は、湊容疑者に自発的な辞職を望み、「議会の雰囲気を察してくれるはず」と述べた。

 協議会に出席した元砂原町議会議長の坂本喜達議員(68)は「(談合の舞台となった町消防防災センターは)旧砂原町との合併特例債を財源にした施設。町民の気持ちを思うと複雑。『罪を憎んで人を憎まず』というが、町議会としては町政を早く正常にしなくてはならない」と話す。過去2回、湊容疑者と町長選を争った松田兼宗議員(52)は「(町長の辞意は)当然と言えば当然」と言い切る。「議会として辞職勧告決議案を出しても良かったとは思う。(議会内には)長年やっている人なので、本人からの辞意を待ちたい思いもあるのでは」と話した。

 町内には町長逮捕から半月以上が経過し、疲弊(ひへい)感も漂う。町民からは辞意が遅すぎるとの声が聞かれ、町内の主婦(59)は「役場の職員は町長のゴーサインがなければ何もできない。本人が否認を続けているのはおかしい」と非難した。さらに「町長は湊さんでなければだめだという人がいるが、今のままでは町が寂れていくだけ。町長は2、3期で交代するのがいい」と話し、早くも町政の刷新を望んだ。

 別の男性会社員(58)は「事件のはっきりとしたことは分からないが、マンネリ化しないうちに辞めておくべきだった。町民としては情けないこと」と漏らした。

 一方、町建設協会の野田剛会長は「本人が決めたことであれば仕方なく、周りがどうこう言うことではない。今後の情勢が急に変わるとは考えづらく、成り行きに任せるしかないだろう」と言葉を選んだ。


◎お盆休み人出、JR、フェリー利用好調
 お盆休み期間中の道南の行楽地は、ガソリン価格高騰の影響で、自動車を利用して訪れる人は約1―2割減少傾向だった。道央や東北方面からは近い場所として道南地方を選ぶ人が多かったとみられ、JRやフェリーの利用は伸びた。函館市内は天候の影響で後半がにぎわった。(山崎純一)

 道警函館方面本部交通課交通管制センターによると、例年混雑する国道5号の七飯町西大沼―森町姫川の約10?区間での渋滞発生はみられなかった。札幌に向かう車のピークは13日で、昨年のピーク(12日)と比べると車の量は約13%減少。同センターは「遠出を控えた人が多く、交通量が減ったのでは」と分析している。

 大沼国定公園(七飯町)の駐車場を運営する自然公園財団大沼支部によると、13―17日の乗用車の利用は昨年の1855台に対し、ことしは1687台。本州から道内を周る団体客を乗せた大型バスも117台から85台に減った。

 五稜郭タワー(五稜郭町)は昨年(11―19日)の4万8254人に対し、ことし(9―17日)は4万5003人とやや少なかった。同社は「道内から車で訪れた人は昨年から2割減少したが、JRやフェリーで来たという人が多く、特に東北地方からの客が増えた」と話す。

 JR北海道(札幌)によると、お盆期間(8―17日)の中小国(青森)―木古内間、札幌―岩見沢間など主要4区間の利用客は約41万4600人で、対前年102%と増加。旭川から中学生の子どもと2人で西部地区を訪れた公務員(47)は「お盆の旅行は欠かせず函館を選んだが、ガソリン代が高いことや、駐車場が少ないと聞き、JRを利用した」と話していた。Uターンラッシュの16、17日の函館駅は本州、札幌方面へ向かう人で混雑した。

 天候も人出に影響し、市住宅都市施設公社によると、白石公園はこだてオートキャンプ場(白石町)の利用者は、曇りや雨が多かった14日までは昨年より少なかったが、15日からは増えた。13―17日の比較で、昨年の250件1069人から、298件1192人に増加。「近場でレジャーを楽しもうとする市民も増えたのでは」と同公社職員。しかし、気温は上がらず海水浴客は大幅に減少。市教委生涯学習部によると、市湯川海水浴場(根崎町)では同期間で、昨年の7444人に対しことしは3367人にとどまった。


◎企画【市立函館図書館80年の歩み・中】
閲覧中心から貸し出しへ
 蔵書数は約65万4000冊。このほかにも限られた職員しか立ち入ることができない貴重書庫や、閉架書庫に多数の未整理資料を抱える。函館市中央図書館主任主事の奥野進さんは「北方関係資料の宝庫といわれる古文書・古地図類の蔵書は岡田健蔵の尽力によるところが大きい」と語る。

 岡田の郷土資料収集はどのようにして行われたのか。図書室開設前の明治30年代、当時流行していた絵はがきの収集家として「函館絵葉雅喜倶楽部(えはがきくらぶ)」を主宰。当時から函館をはじめ全国各地の絵はがきを数万枚集めたほか、1928(昭和3)年の図書館開館後は、古文書や書、アイヌ絵などのほか、錦絵やポスターなど収集の幅は広がりを見せた。

 中山公子館長は「岡田は郷土資料については何でも集めた。資料を収集・保存することへの思いの強さは並大抵ではなかった」と評価。さらに「岡田は『あらゆる人に利用を』という図書館の理念を持ち、児童室も開館当初からあった」と説明する。

 70年代前半、図書館運営を変える最初の波が押し寄せた。全国的に「市民の図書館」の考え方が広まり、それまでの閲覧中心から貸し出し中心に利用方法が変わる。これに伴い図書館形態も閉架式から開架式へと、大きな変ぼうが求められた。市立函館図書館では、大部分を占めていた閲覧席を4分の1の24席に縮小。空けたスペースに本棚を並べて直接本が見えるようにした。

 さらに当時最先端のカード式目録を全国に先駆けて導入。通常は(1)分類名(2)著者名(3)書名(4)件名―の4種類のカード目録をそろえるが、これらすべてを混ぜて辞書のようにキーワード検索ができる「辞書体目録」を作成し、サービス向上に努めた。辞書体目録について中山館長は「4分類のすべてを網羅しなければならず、本の登録、除籍のための作業量は多かったが調べやすかった」と評価する。

 カード式目録はその後20年以上にわたり使われたが、95年以降、全国ではコンピューターを使った検索機器の導入が爆発的な広がりを見せた。変革の第2波だが、函館では財政難などの理由から導入できずにいた。中山館長はこの状況を「先発後進」ととらえ、「全国の図書館と比べ周回遅れどころではないほどに遅かった」と整備の遅れを指摘。「来館者がカードを使って調べなければならないと知った途端、回れ右をして帰っていく姿を幾度となく見てやりきれない思いをした」と振り返る。 (小泉まや)


◎市民ホールで「原爆と人間展」
 戦争や核兵器の悲惨さを伝える「原爆と人間展」(函館市主催)が18日、市役所1階市民ホールで始まった。原爆を投下された広島、長崎の惨状などを伝えるパネルやポスター約60枚を展示。来庁者が足を止めて、じっくり見入っている。22日まで。

 原爆投下後の火の海を逃げ回る市民、皮膚が垂れて幽霊のような姿で歩く親子、背負った赤ん坊の首がないことを知らずに狂ったように逃げる母子などの姿を再現した絵は衝撃的。背中に大やけどを負い、苦しさのあまり「殺してくれ」と叫ぶ子供や、炭のように真っ黒に焼けて無言の叫びを上げる死者の写真など、人間の尊厳とは何かを問い掛けている。

 函館空襲(1965年7月14、15日)で攻撃を受ける青函連絡船や駆逐艦「柳」、駅前地区や新川町周辺などの写真も並ぶ。訪れた市内豊川町の男性(72)は「まさに地獄絵。こうした惨禍を後世に語り継ぐためには、終戦記念日前後だけでなく普段からこうした展示を開くべき」と話していた。

 25日から31日には市地域交流まちづくりセンターでも開き、子供たちが夏休みに作った平和に関する作品も展示する。 (高柳 謙)


◎ユニバーサル上映映画祭控えポスター展
 「第3回北海道ユニバーサル上映映画祭」(9月5―7日、北斗市)に関連し、過去の上映作品の映画ポスターなどを並べた展示会が、22日まで函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で開かれている。しらかば薬局ギャラリー(函館市中道2)でも同様のポスター展を9月6日まで行っている。

 同映画祭のPRを目的に企画した。展示しているのは、「武士の一分」(山田洋次監督)や「子ぎつねヘレン」(河野圭太監督)など、過去2回の映画祭の上映作品のポスターなど約20枚。ことしの映画祭で上映するアニメーション映画「銀河鉄道の夜」や「しゃべれども しゃべれども」(平山秀幸監督)なども並び、来館者は足を止めて見入っていた。

 同映画祭のチケットは3回鑑賞券の前売り一般1500円、小・中学生、高校生800円など。問い合わせなどは橋本和幸さん(函館保健企画内)TEL0138・31・0010。(新目七恵)