2008年8月20日(水)掲載

◎30、31日に津軽海峡祭
 津軽海峡周辺の地域を盛り上げようと、函館、青森の大学生らが30、31の両日、両都市にある東日本フェリーのターミナルと、両都市をつなぐ高速フェリーを会場に、イベント「津軽海峡祭〜風の世界」を開催する。青函交流と市民参加を目的とした新たな試み。ライブや特産品販売、YOSAKOIソーランの演舞など多彩な催しを企画している。大久保彰之実行委員長(28)は「若者の力で新しい風を起こしたい」と意気込んでいる。(新目七恵)

 地域活性化を目指す道南や青森圏の学生らが集まり、このほど実行委員会を発足させた。公立はこだて未来大、北大水産学部、函館大、道教育大函館校、青森公立大、青森県立保健大の在校生やOB有志ら約40人で組織。会場面などで東日本フェリーが協力する。

 初日は青森高速船ターミナル(青森市沖館2)を会場に、両都市の若者9組のバンドが出演するライブや高校生、大学生によるファッションショーなどを企画。

 2日目は函館ターミナル(函館市港町3)に会場を移動。地元の子供たちによるチアリーディングや吹奏楽演奏、公立はこだて未来大映画部のショートムービーの初上映会(午前10時半から4回)などを予定。YOSAKOIソーラン祭り第6回道南大会(実行委主催)の特設会場として、道南をはじめ札幌、旭川などの17チームが演舞も披露する。両会場では「i―Pod」や「Wii」などが当たる抽選会、特産品フェアやフリーマーケットなども行う。両会場のイベント開催時間は午前10時―午後6時。入場無料。

 両日に運行する高速フェリー「ナッチャンRera(レラ)」と「ナッチャンWorld(ワールド)」の船内では、パネル展や船上発表会なども行う予定。

 大久保実行委員長(公立はこだて未来大OB)は「市民発信型で盛り上げ、今後も継続したい」と話している。イベントの問い合わせは実行委事務局TEL0138・62・5435。


◎せたな学校職員殺害初公判/福士被告起訴事実認める
 せたな町瀬棚区島歌の町立島歌小学校内で1月31日、同校の校務補田村亜衣子さん(当時24)が殺害された事件で、殺人罪や同校校長に対する殺人予備罪などに問われた同町瀬棚区本町、同校元臨時職員福士昌被告(22)の初公判が19日、函館地裁(柴山智裁判長)であった。罪状認否で福士被告は「間違いありません」と起訴事実を全面的に認めたが、弁護側は殺人予備罪は自首が成立するとして免除を求めた。

 検察側は冒頭陳述で、教職員の出張経費の着服が発覚しそうになった同被告が、「校長が着服の責任を取って自殺した」ように見せかけようと同校長の殺害を計画。出勤が早く、犯行を目撃される可能性がある田村さんも殺害し、「校長が田村さんを殺害して自殺したようにし、着服と2つの罪をかぶせようと計画した」と指摘。殺人予備罪について「警察は遺書を発見し、被告の供述前に校長殺害計画を把握していた」とし、殺人予備の動機も悪質で免除すべきでないとした。

 弁護側は精神面の未熟さが招いた犯行で、「校長に罪をなすりつけるしかないという空想的発想だった。使い込みがばれると友人や周囲から白い目でみられるなどと思い、追い詰められていた」とした。さらに「田村さん殺害後、我に返った被告は恐ろしさを感じ、校長の殺害計画を忘れ、一目散に逃げ出している」とし、計画的ではなく、現実感を欠いた稚拙な犯行だったと主張した。

 起訴状などによると、同被告は1月31日午前7時半ごろ、同校ボイラー室で出勤してきた田村さんの頭部を手おのや金づちで繰り返し殴打、理科室から持ち出した包丁(刃渡り約18センチ)で胸や背中、首などを複数回突き刺すなどし、失血死させた。この犯行に先立ち、校長を自殺に見せかけて絞殺する目的で、校長室のパソコンで遺書を偽造し、輪状に結んだロープを用意するなど殺害を準備した。

 同被告は昨年9月から12月にかけて、同校教職員の出張経費約21万円を着服。有印私文書偽造、詐欺などでも起訴されている。


◎道議会新幹線・総合交通体系対策特別委が現地調査
 道議会新幹線・総合交通体系対策特別委員会(佐藤英道委員長)のメンバーが19日、北海道新幹線の函館総合車両基地(七飯町、北斗市)など4か所を視察し、計画の進ちょく状況などを調査した。 (小川俊之)

 同委員会メンバー16人中12人が参加。道新幹線で北海道最初の駅となる予定の木古内駅(木古内町)と、新設区間最長の延長約8・1キロの渡島当別トンネル(木古内町、北斗市)構内を見学した後、新函館駅(仮称)の建設が予定されている現・JR渡島大野駅(北斗市)に移動した。

 同駅では新函館駅の周辺整備と新幹線を活用したまちづくりの考え方を、北斗市の渡辺武美新幹線対策課長が説明。スムーズなアクセスのためには、駅の北側と南側それぞれに主要幹線と結ぶ新たな交通ルートが必要であることを訴えた。また、七飯町の片山正史新幹線まちづくり課長は、総合車両基地周辺が準都市計画区域に指定されたことを受け、地域の生活環境や自然環境を保全しながら活気あふれたまちづくりを目指していることなどを説明した。

 続いてメンバーは函館総合車両基地の路盤整備現場に移動。以前は農地だった軟弱な地盤が多いことに対する委員からの安全性についての質問について、工事関係者は「約2メートルの盛土を行い強固な地盤を形づくってから、本格的工事を進めていくので問題ない」と安全性を強調した。


◎企画【市立函館図書館80年の歩み・下】/使いやすく利用者大幅増
 2005年11月、待望の函館市中央図書館が五稜郭町に開館した。懸案だった図書の検索は、コンピューターによるデータベース化で遅れをばん回。DVDなどを視聴できる「AVコーナー」や「インターネットコーナー」、新聞などの「データベース検索サービス」なども備え、対面朗読室や点字コーナー、視聴覚ホール、貸し室なども整備した。

 窓口業務を専門業者に委託し、サービスを向上。“使いやすい図書館”は幅広い年代に親しまれ、利用者を爆発的に増やした。04年度には1万7300人だった利用者カードの登録者数は、中央館開館後は一気に増加し08年3月現在は7万9000人となった。年間貸し出し冊数も80万冊(04年度)から、07年度は157万9000冊に増加した。開館当初の登録者目標は人口の3分の1の9万人以上。今後は人口比で利用が少ない高齢者を中心にした利用促進を図る考えだ。

 その鍵となるのが「全国的にも群を抜いて多い郷土史料などの蔵書数」(同館主任主事の奥野進さん)。貴重な古文書などは開くたびに破けたり傷んだりするうえ、蔵書登録されていない資料も膨大にあるのが実情だ。持ち味を生かし豊富な資料を公開するため、貴重資料などをデジタルデータ化する「デジタルアーカイブ事業」を03年度から進めている。ノウハウは公立はこだて未来大学や道教育大学函館校などの専門家に提供してもらうが、少ない経費で蔵書を整理、管理するには市民ボランティアの協力が欠かせない。

 中央館のボランティアは布絵本作製や図書館主催事業、展示会・展覧会企画・実施、書架清掃―など13種類に及ぶ。協力するボランティアの総数は84人(08年度)。養成講座を定期的に開催して人材を育成している。

 絵はがきボランティアは05年度から推定数万枚の整理作業を続け、8月に同館ホームページで約2200点を公開した。函館市宮前町の中嶋肇さん(75)は「昔の風景を見るのが好きな自分の趣味としてやっている。貴重な資料を調べるのは本当に楽しい」と生きがいを感じている。

 数千点のポスター資料もボランティアの力でデータ化している。作業する同市中道の主婦、川嶋郁子さん(49)は「わたしのような素人が見ても当時の生活や社会の様子が見て取れる。楽しく勉強しています」と言う。

 市民の力で誕生した函館の図書館は再び、市民の力でより使いやすい、豊富な蔵書を広く活用できる場へと変わりつつある。ニーズや時代の変化の波に対応した図書館づくりに向け、新たな歴史が始まった。(小泉まや)


◎きょうの「国際民俗芸術祭」開幕控え歓迎会
 函館市内で20日に開幕する「はこだて国際民俗芸術祭2008」(組織委主催)を前に、海外の舞踊団員らを招いた歓迎会が19日、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で行われた。韓国やインドネシアなど4組のメンバーや関係者ら約100人が参加し、イベントの成功を盛大に祈った。(新目七恵)

 冒頭、イアン・フランク組織委員長が「函館にようこそ!」と英語で歓迎の言葉を呼び掛けた。続いて、各舞踊団の代表者4人があいさつを意味する母国語をそれぞれ紹介し、全員で鏡開きをした。会場にはさまざまな料理が並び、スタッフや団員らが笑顔で会食しながら交流を深めていた。

 インドネシアのグループ「サラタスパーセン」のルディ・クチン代表(39)は「音楽を通して各国の人たちと楽しい時間を共有したい」と話していた。ボランティアスタッフとして参加した函館市の澤田美鈴さん(56)は「明日からのステージが楽しみ」と笑顔だった。

 同芸術祭は20―23日にフリーステージ(無料、午後6時から、元町公園)、24日にフィナーレ公演(前売り1000円、午後5時半、函館市民会館)。各国のメンバーが講師を務める「世界の民俗芸術ワークショップ」(午後3時、まちづくりセンター、一般1000円など)も20、23の両日の参加が可。問い合わせなどはヒトココチTEL0138・51・5727。


◎函館市戦没者追悼式
 本年度の函館市戦没者追悼式(市主催)が19日、同市若松町の市総合福祉センター多目的ホールで開かれた。遺族会や市議会など関係団体、一般市民ら約300人が参列し、全員が白菊を献花。太平洋戦争の犠牲者を追悼し、平和への誓いを新たにした。

 西尾正範市長が「先の大戦で心ならずも異境の地で命を落とした戦没者の御霊(みたま)に哀悼の誠をささげる。悲惨な戦争を風化させず、次の世代に語り継ぎ、惨禍が二度と起きないよう尽くす」と式辞を述べた。

 続いて高橋はるみ知事(代理)、阿部善一市議会議長、遺族代表の鳴瀬道幸さん(63)が追悼の辞を述べ、鳴瀬さんは戦争遺児の1人として平和への思いを語った。父は1944年に召集され、その後母がみごもっていることが分かった。父は中国・満州の奥地で戦死し、母が懸命に子供を育て上げた。「現在の平和は、戦没者の皆さんの尊い犠牲の上に成り立っていることを忘れてはならない。戦争の無情さ、悲惨さを伝えていくのが私たちの責務」と誓った。

 追悼式は無宗教で行い、現在の形となったのは1995年度から。日露戦争から太平洋戦争までの戦没者は旧市内で4797人、旧4町村で609人の計5406人。市連合遺族会の木村勝英会長(71)が、追悼式開催の謝辞と不戦の誓いを述べた。(高柳 謙)