2008年8月24日(日)掲載

◎子ども実験教室、新幹線の仕組みわかった
 小学生を対象にした「子ども実験教室〜新幹線のしくみを学ぼう」(道教育大函館校主催)が23日、道教大附属函館小(美原3)で始まった。初回は7人が参加し、新幹線のプラレールを使った発電走行実験などに挑戦した。

 さまざまな実験を通し、体験的に新幹線の仕組みを知ってもらう狙い。函館市が共催し、初めて企画した。9月20日まで、5回にわたり開催する。

 道教大函館校理科教育専修の大学院生前田真さん(23)が、まず電流の向きやパワーなど電気の基礎的な知識を説明。参加者は、手回し発電機で実際に発電を体験した。前田さんは「新幹線は、発電所で発電した電気を電線から受け取って走る」などと仕組みを紹介。参加者は新幹線のプラレールに発電機をつなぎ、レールにのせ、自分で発電しながら動かして楽しんだ。

 函館中央小4年の藤井一彌君(10)は「新幹線はディーゼルエンジンだと思ってたけど、電気で走ることがわかった。発電機で動かすのが面白い」と話していた。

 講師の道教育大函館校の松浦俊彦准教授は「函館まで開通予定の7年後には、参加した子どもたちは実際に乗る立場になる。この経験で、新幹線を身近に感じてほしい」と話していた。(新目七恵)


◎日乃出清掃工場の売電順調、5カ月で744万円
 函館市のごみ焼却施設「日乃出清掃工場」(上戸久二工場長)は3月から余熱利用発電の売電を始め、7月までの5カ月間で北海道電力に売却した収入は744万6000円となった。このままのペースでいくと初年度の売電収入は、当初見込みの約1・5倍の1500万円ほどになる見込み。上戸工場長は「今後は発電効率を工夫するなどして売電量を高めたい」としている。

 同工場の焼却炉は3つ。このうち1992年度に完工した3号炉に、蒸気を利用した発電設備があり、工場内の暖房や給湯、照明などの電力を賄ってきた。余力はあったが電力量が比較的少なく発電量が不安定なことなどから、これまで売電は行われていなかった。

 市が2005年にリサイクルできないプラスチックを「燃やせるごみ」としたことをきっかけに焼却状態が一定となり、発電状態が安定。国の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」で総事業費約6200万円の半分の補助を受け、売電設備を導入した。

 導入前に見込んだ売電収入は年間1000万円。しかし3月18日から7月末までの売電量の合計は107万5000キロワット時と予測を上回るペースで、金額にすると3月85万6000円、4月133万4000円、5月156万7000円、6月200万1000円、7月168万8000円と好調なペース。

 北電から買っていた電気料も、導入前予測ではそれまでの料金より1100万円減のとみていたが、こちらもさらに抑制できる見込み。売電収入と合わせた差益も、当初見込んだ同2100万円(売電1000万円、買電1100万円)より増加すると予測する。上戸工場長は「機械トラブルもなく順調に発電している。このままいくと導入時に市が負担した約3000万円を本年度中に回収できるかもしれない」と喜んでいる。 (小泉まや)


◎企画【数字で見る函館市電…支える人たち】(4)
 職員減で世代交代進む
 路面電車の事業収入 13億9997万円(2006年度)
 正規職員数 73人(2007年3月末時点)

 函館市交通局は1943年11月の発足から長く路面電車とバスの両事業を手掛けた。路面電車の事業収入に限って見ると、73年度に10億円を突破した後は一進一退を繰り返し、82年度に初の20億円台に到達。2002年度でバス事業を廃止して以降は右肩下がりが続いている。

 乗客数の減少に歯止めが掛からない中でも、路線の維持に向けて財政の健全化は図られている。広告収入はその代表格で、ポスターやステッカーなどの車内広告こそ景気の低迷でじり貧だが、車体広告は目立つため人気で、現在は12社が空き待ちの状態だ。

 停留場名に企業名などの副呼称をつけられる「電停ネーミングライツ制度」は、07年1月に第1号として魚市場通の函館信金本店前が誕生。次いで十字街が明治館赤レンガ倉庫群前と命名され、今後も利用者により親しまれる停留場として広がる可能性が高い。

 嘱託や臨時職員を除く正規職員の数は事業縮小の波には逆らえず、スリム化を余儀なくされてきた。一方で世代交代も進んでいる。07年3月末現在の事務、運転手、技工の正規職員の平均年齢は40・32歳と90年同期と比べて8・85歳も若い。運転手43人の平均年齢は35・51歳と特に若く、平均勤続年数の5・19年がそれを裏付けている。

 運転手歴5年余の高橋良大さん(26)は「年配者や観光客から降車時に『ありがとう』と声を掛けてもらうと、やっていて良かったと思う」とし、「観光都市・函館をPRできるよう、きめの細かい気遣いに努めたい」と笑顔を見せる。(浜田孝輔)


◎新幹線「車両基地」工事本格化、29日に安全祈願祭
 【七飯、北斗】2015年度に開業が予定されている北海道新幹線新函館―新青森間の開業に向け、「函館総合車両基地」の路盤工事が本格化する。トンネル掘削工事着工に続き、七飯町飯田町から北斗市稲里にまたがる農地33ヘクタールに車両の整備や留置を行う施設の土台づくりに着手する。現在、予定地内4カ所に計1万平方ヘクタールの試験盛り土を実施。来春の本格工事を前に、29日に施工する鹿島(東京)・荒井(旭川)・中山(札幌)特定建設工事共同企業体による安全祈願が行われる。

 同基地は新駅を起点に約2キロの地点に立地。JR函館本線と新川排水路に囲まれた扇型の土地に基礎工事を施す。同工事終了後はあらゆる車両点検に対応し、夜間は車両を収容する留置線などを持つ施設が建設され、完成すれば、仙台以北では初めてとなる総合車両基地となる。

 工事実施計画に基づき、土台工事となる路盤工事の工期はことし2月から2012年3月までの5カ年計画。用地買収は9割を終え、本年度は4月に住民への説明会を開催後、工事場所内4カ所に北斗市から持ち込んだ土で試験盛り土を施し、沈下を実証。来春から4カ年で敷地内に約2メートルの盛り土を行う。

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構北斗鉄道建設所は「工事は計画通り」と話し、進ちょく状況は順調だ。同建設所によると8月末現在、2005年9月に着工した渡島当別トンネル(8・1キロ)は東側、西側両側から約7割の掘削を終え、07年3月に着工した新茂辺地トンネル(3・2キロ)は発注した東側1・8キロのうち4割を掘削、08年3月に発注した幸連トンネルはヤード造成等の準備工事に着手している。(笠原郁実)


◎江差談合事件 町が対応に苦慮
 【江差】2005年に江差町が発注した2件の下水道工事の指名競争入札をめぐる談合事件で21日、町内の建設業者2人が有罪判決を受けた。判決は業界団体を中心に繰り返し談合が行われていたことを認定。森町や開発局の官製談合事件で、入札執行の透明化に厳しい視線が向けられる中、再発防止対策を検討する町は対応に苦慮している。

 4社が関与した事件では業者2人が懲役10月・執行猶予3年の有罪判決を受けた。別の業者2人は罰金の略式命令を受けた。

 町は業者4人が書類送検された直後の6月上旬、指名業者56社を町役場に呼んで再発防止を要請。7月には事件に関与した4社を10カ月の指名停止処分とした。町は再発防止対策として、町内業者対象の地域限定型一般競争入札の導入も視野に検討しているが「談合をさせない実効性のある対策は難しい。地域経済への影響もある。慎重な議論が必要」として結論は出ていない。

 しかし、判決では、有罪判決を受けた業者が会長だった江差建設協会は、長年にわたり「技術検討会」を名目に、入札前に業者が会合を持ち談合を繰り返していたと指摘。業界ぐるみの“談合システム”が明るみに出たことで衝撃が走った。

 ある町議は「判決が事実なら看過できない」と憤る。町幹部は「具体的な事は何も分からない。町の書類だけでは裏付けが取れない」と困惑する。町の入札では、過去にも複数の談合情報があったが「事情聴取しても『談合した』と認める業者はいない。高い落札率だけで民間談合の有無は判断できない」(町の関係者)と、対策の難しさを語る。

 檜山管内では公共工事が激減。年間700―600億円あった発注額はこの10年間で半減し、建設業界は厳しい冬の時代にある。ある建設業者は「工事を取るため赤字覚悟で入札する『たたき合い』の時代に入る。弱い業者は生き残れない」と漏らす。だが、捜査関係者は「たたき合いでは業界が持たない。少ないパイを分け合う談合システムは巧妙化しながら温存される」と警戒する。

 判決について飴谷逸男副町長は「指摘された内容が事実であれば極めて遺憾」とし、事件に関与した業者からの事情聴取なども視野に対応を検討する方針を示している。(松浦 純)


◎市役所本庁舎、今年は冷房稼動ゼロ
 函館・道南は例年に比べ過ごしやすい夏となり、函館市役所本庁舎は今夏の冷房稼働日がゼロとなっている。夏の軽装「クールビズ」を6月から9月末まで実施し、冷房を入れる外気温を30度に設定。今夏の函館は30度以上の真夏日がなく、市総務課は「経費節減のため、できれば冷房を入れないで済むことを期待している」と話している。

 気温が仮に30度未満でも、不快指数が77以上に達すれば冷房を入れる。

 ここ数日は肌寒さすら感じるが、これまで多少暑い日があっても冷房なしで乗り切り、原油高の中で光熱費が抑制されている。同課によると、従来は1日8時間の冷房稼働で10万円かかったが、昨今の原油高の影響で重油代や電気代が上昇し、今年は1日で20万円かかる試算という。。

 市は2005年度からクールビズを実施。昨年の冷房稼動日数は8日間で、ビズの基準がなければもう8日間は冷房が必要だった。単純計算で80万円(10万円×8日)の冷房費が抑制された。

 今夏の冷房稼動日がゼロで終わると仮定。その上で昨年の気候や気温と単純に比較すると、今年は16日分の冷房費が浮くことになる。冷房費は倍増しており、天のおかげと職員の我慢で“効果額”は320万円(20万円×16日)となる。

 函館海洋気象台によると、函館の今夏の最高気温は8月5日の28・8度。太平洋高気圧の張り出しが弱く、雨も多かった。「ここ数日が気温の底。これから平年値に戻る」という。ただ、22日発表の1カ月予報で、第1週(23日―29日)の気温の低い確率は60%。「冷房ゼロ」が達成されるかもしれない。 (高柳 謙)