2008年8月26日(火)掲載

◎「npo−kobo」が函館で地域通貨導入
 函館市のNPO団体「npo―kobo(コウボ)」(渡辺保史代表)が、地域通貨「perry(ペリー)」を発行している。ボランティア活動や寄付をするともらえ、地元の店舗などで使える仕組み。環境対策や地域貢献に励む個人・企業を結び付け、地域の活性化に役立てるのが狙い。渡辺代表は「道南、函館での導入は初めてでは」と話している。

 同NPOは人口減や高齢化などで縮小する都市の「再生」をテーマに、昨年4月から活動を進めている。今回は、各分野で創造的に活動する市民をつなげ、地域を元気にする定着した仕組みづくりに取り組もうと、地域通貨に着目した。

 1ペリー当たり1円の価値とした。紙のチケットとモバイル(携帯電話の口座システム)の2種類。入手方法は(1)同NPOが運営する「銀行(バンク)」に200円を寄付(2)携帯電話で口座システムに登録(3)協賛するNPO団体の活動に参加―の3通り。(1)は100ペリーとおまけ付きで、(2)は200ペリーもらえる。同NPO(perry@npo−kobo.org)にメールすれば登録方法が分かる。(3)の協賛団体は募集中。

 現在使える場所は、セレクトショップANDY(函館市弥生町19)、カフェやまじょう(函館市元町30)、ベロタクシー函館(TEL0138・24・5050)の3カ所。渡辺さんは「円で換えられない活動に自分たちで価値を決め、やり取りできるのが地域通貨の魅力。子供から大人まで気軽に参加してもらい、函館をよりクリエイティブな街にしたい」と話している。

 協賛団体や参加店舗の申し込み・問い合わせは、同NPO事務所TEL0138・57・4640(火―金曜の午後1時―同5時)、メールも可。

 地域通貨 円やドルなどの法定通貨と異なり、特定のコミュニティー内などで流通する貨幣。個人やNPOなどが、地域コミュニティーの活性化や支援の代償などを目的に発行する。世界各地で導入事例があり、道内では空知管内栗山町の「クリン」、苫小牧市の「ガル」などがある。(新目七恵)


◎日本テレビ「24時間テレビ」青森→福島・津軽海峡遠泳リレー企画
 村田町長「地域上げ協力」
 【福島】日本テレビ系31社で30、31の両日放映されるチャリティー番組「24時間テレビ 愛は地球を救う」で、福島町の海岸をゴール地点とする「津軽海峡縦断リレー」が行われる。“スター”の愛称で知られるタレント錦野旦(あきら)さんや人気急上昇中の女性芸人にしおかすみこさんら7人がチームを組み、青森県小泊岬から同町までの直線距離約37キロの遠泳に挑戦する。村田駿町長は「福祉向上を掲げる番組内容に共感し賛同するとともに、リレーメンバーの頑張りに期待したい」と話している。(田中陽介)

 ことしのテーマは「誓い〜一番大切な約束〜」。同番組恒例の24時間マラソンに続くチャレンジ企画で初めて実施する。激しい潮流の同海峡を舞台に、挑戦する姿勢や頑張る様子を伝え、国民に元気を届けようというのが企画の趣旨。苦難を乗り越えながら福島の陸地を目指すメンバーの姿が、感動と勇気を与えそうだ。

 昨年の全国障害者スポーツ大会25メートルバタフライで優勝した全盲の高校水泳選手、立木早絵さん(15)も参加。2歳で視力を失ったが、「いつか一人で生きていけるようになりたい」と、どんなことにも果敢に挑戦している。

 ソウル五輪100メートル背泳ぎの金メダリスト、鈴木大地さんがコーチを務める。他の挑戦者は映画「ウォーターボーイズ」に出演し水泳を猛特訓した金子貴俊さん、プロ野球の元千葉ロッテマリーンズ投手ジョニー黒木さん、アテネ五輪200メートルバタフライ銀メダリストの山本貴司さん、ハンドボール日本代表の宮崎大輔さん。

 7月上旬には千葉県館山で合宿を行い、遠泳当日まで各自がトレーニングを続け、泳法技術や体力アップなど入念な調整を進めている。12月に還暦を迎える最年長の錦野さんは6日、スタート場所の青森県の海で本番さながらの練習をした。関係者によると、津軽海峡独特の荒いうねりの潮に戸惑いながらも、強い意気込みを見せていたという。

 遠泳スタートは31日午前6時を予定し、リレー形式で同日午後6時ごろの福島ゴールを目指す。海上の様子は随時中継され、応援メッセージなどをファクスで受け付ける。

 村田町長は「地域を挙げて全面的に協力したい」としている。

 番組ホームページでも詳細を紹介している。アドレスはhttp://www.ntv.co.jp/24h/


◎集団暴行死から1年、再発防止 地域も苦悩
 函館市内の私立高校3年の男子生徒(当時18)が中学時代の同級生ら少年7人から暴行を受け、死亡した事件から26日で1年を迎えた。平穏な日常の中で起きた悲惨な事件は、いじめの撲滅や命の尊さを教えてきた教育関係者のみならず、発生現場となった地域住民らに衝撃を与え、重い課題を残した。事件後、再発防止に向けて地元の防犯団体は巡回活動を強化するなどの取り組みを続けている。しかし、その担い手の多くは、高齢化が著しい町会のメンバーや少年補導員たちだ。彼らは「『何とかしなければ』という思いがある一方で、体力に限界があり思った通りに活動できない」というもどかしさを抱えながら、再発防止の道を模索している。(水沼幸三)

 凶行の現場となった同市昭和町20にある昭和公園。付近は閑静な住宅街で夜間になると人通りは少ない。亀田港町会では、1983年から毎月継続している防犯パトロールの巡回コースに事件後、同公園を加えた。松前律夫防犯部長は「事件が起きた状況をきちんと確認し、二度と同じことが起きないよう対策を講じたい」と強調する。

 同町会と函館西署が合同で実施した公園の防犯点検では、風よけ目的で植えられている木が死角となっているため、道路沿いから園内の様子がよく確認できないことや、成長した木の枝が照明を覆い、夜間、園内に十分な明かりが届かないことが判明した。松前部長は「もし、照明がきちんと機能し、公園内の様子が外から確認できていたら、悲惨な事件は防げたかもしれない」と悔しがる。

 同町会は公園の改善点を函館市に申し入れ、市は照明周辺の伐採を行った。7月には市道側の樹木の下枝のせん定を行い、外側からの視界を確保した。

 函館西署少年補導員連絡協議会北部地区(生田正子会長)も、少年らが起こした事件を重く受け止め、公園の巡回など活動を活発化させた。生田会長は「『地域の大人が目を光らせている』ということをアピールすることが、非行や犯罪から子どもを守ることにつながる」とする。今後は夜遅い時間帯の巡回も検討中だ。

 ただ、これらの活動を支えているのは高齢者で、ボランティア活動にも限界がある。この状況は、現場となった公園周辺だけに突きつけられた課題ではない。ひと昔前は地域や学校、家庭がそれぞれの役割の中で協力し合い、互いの顔が見える地域コミュニティーがあった。関係者の思いは事件の再発防止だけではなく、「地域の再生」にもつながっている。同町会の坂本有隣会長は「現在の態勢では体力的制約から行動も限られる。若い人を町会に取り込み、地域の活動に巻きこんでいくことが重要だ」と話した。


◎スーパー5社がレジ袋有料化へ
 函館市内でスーパーマーケットを展開する5社は25日までに、行政と消費者団体、事業者の3者協定を結び、10月から段階的にレジ袋を有料化することを決めた。それぞれマイバッグ持参率目標を80、90%と定めて使い捨てレジ袋の使用削減を呼び掛ける一方、レジ袋の収益金は環境保全活動などに役立てる。

 コープさっぽろが先行し実施を周知したことや、北海道洞爺湖サミット(G8サミット)をきっかけに消費者の理解が深まっていることなどを受け、函館市が参加事業者を募っていた。9月1日に函館市役所で協定締結式を行う。

 10月からレジ袋を有料化するのはコープさっぽろ(市内全8店)、グルメシティ北海道(市内全9店)、ホクレン商事(市内1店)、マックスバリュ北海道(市内1店)の合わせて20店。3者協定の対象ではないがコープは北斗市の1店、ホクレン商事は七飯町の1店でも同時に開始。マックスバリュ北海道は10月中旬開店予定の堀川店でも、オープン後1―2週間の周知期間を経て有料化する。

 参加店のうち最も多い店舗数の地元の魚長は1カ月遅らせた11月1日から、函館市内18店、北斗市内3店、七飯町内3店の全店で実施する。他地域で実績のあるほかの4社とは異なり、同社は初めての取り組み。「レジ袋の販売形態や対応、どの袋を有料にするかを詰めなければならない」としている。(小泉まや)


◎「ユニバーサル上映映画祭」事務局の橋本さんが日本福祉学会に参加へ
 「北海道ユニバーサル上映映画祭」(実行委主催)事務局の橋本和幸さんが、31日から新潟市で行われる「日本福祉のまちづくり学会第11回全国大会in新潟」(同学会主催)に初めて参加する。過去2回の同映画祭開催状況を報告し、芸術分野のユニバサールデザイン環境の課題を全国に発信する。橋本さんは「参加者が等しく情報を共有しようとするこの活動が、広まるきっかけになれば」と話している。(新目七恵)

 同大会は3日間にわたり講演や討論会などを行い、福祉のまちづくりについて議論を深める。橋本さんが参加するのは9月1日の「研究論文発表会」。住環境、生活支援分野など幅広い全国の取り組み136件が報告される。

 同映画祭は、聴覚障害者にもせりふや音楽が伝わるよう「日本語字幕」と「ミュージックサイン」、視覚障害者にも情景や場面転換が分かるように「音声ガイド」を付けて上映している。映画会社が日本語字幕と音声ガイドを付けていない場合は、実行委がオリジナルで作成。実行委によると、単作品に日本語字幕などを付ける「バリアフリー上映」は各地で行われ始めているが、上映全作品にすべて付けるのは全国的にも珍しいという。

 橋本さんは「ユニバーサルデザインの趣旨を応用し、障害者だけではなく、普通に見え、聞こえる人も、一緒に映画鑑賞を楽める手法を試行錯誤している最中」と説明。「音の視覚化、映像の音声化は、さまざまな情報伝達の参考になるはず」と力を込めている。

 第3回同映画祭(9月5―7日、会場・北斗市総合文化センターかなでーる)期間中の6日午後3時40分からは、ユニバーサルデザインの専門家・東洋大ライフデザイン学部教授の川内美彦さんらを招いたシンポジウムも開かれる。参加無料。問い合わせは橋本さんTEL0138・31・0010。


◎自然食品店「空Ku(クー)」オープン
 地元農家から仕入れた朝採りの新鮮野菜をはじめ、自然食品を販売する「空Ku(クー)」(清水敏子代表、函館市梁川町18)が25日、オープンした。20種類以上の無農薬野菜をはじめ、調味料や加工品などを扱う。清水代表(59)は「生産者と消費者のパイプ役として、自然食品の良さをPRしていきたい」と話している。

 6年前、突発的な重度のシックハウス(化学物質過敏症)を患い、自宅から外出できない状況が続いた清水代表が、食を改善をしようと自然食を購入し始めたのが開店のきっかけ。「地元の野菜を使用し、生産者と直接交渉でき、朝採りの野菜を販売できる、この3つの条件を欠かせなかった」と話す。

 商品は、オリジナルの農法で育成する厚沢部町の「清和の丘農園」(山本信頼代表)と、無化学肥料・無農薬・無有機肥料の豆類を生産するせたな町の「かが農園」(加賀政浩代表)から仕入れるほか、自然食品メーカー「オーサワジャパン」(埼玉県)の調味料なども並ぶ。葉もの一枚10円から、ジャガイモ・ニンジン・タマネギのセットは一キロ450円で販売している。

 9月からは自家脱穀をしているかが農園から仕入れた豆類を使って納豆や豆腐、ケーキなども販売。清水代表は「食は命に関わるもの。おいしいだけでなく、体に良いものを食べて健康になりましょう」と話している。営業日は毎週日曜日(31日までは毎日営業)。営業時間は午前10時半から午後4時まで。予約も受け付ける。予約や問い合わせは清水さんTEL090・3774・0003。(小橋優子)


◎7月の函館港貿易概況 輸出入とも2カ月ぶりマイナス
 函館税関が25日に発表した7月の函館港貿易概況によると、輸出は主力の船舶や一般機械の全減が響き、前年同月比92・6%減の1億8000万円、輸入は魚介類・同調整品や石炭などが大幅に減少し、同1・2%減の14億5300万円となり、輸出入とも単月ベースでは2カ月ぶりのマイナスとなった。(森健太郎)

 輸出の品目別では、主力の船舶が前年2隻あった貨物船がゼロだったため、額で同22億5100万円減と全体の数字を押し下げた。一般機械も中国向けの加熱・冷却用機器が全減した。一方、魚介類・同調整品は中国向けのサケや韓国向けのタラが数量、額とも急伸し、全体の額では同7・1%増の2900万円だった。

 輸入は魚介類・同調整品がウニの全減などが影響し数量で同20・6%減、額で13・8%減の8億9900万円とともに減少。石炭は数量で56・3%減だったが、額では価格上昇に伴い同48%減にとどまった。小麦・メスリンや粗鉱物は数量、額ともに全増。ドイツからの電動装置などが伸びた一般機械は同72・4倍の9500万円、ロシアからの丸太などが増えた木材は同2・3倍の2900万円と好調だった。

 輸出入の合計は同58・1%減の16億3300万円で、輸出入のバランスは12億7200万円の大幅な入超だった。

 同税関管内の(道内と青森、岩手、秋田の東北3県)では、輸出が石油製品や鉄鋼などで急増し、同53・3%増の655億2900万円と過去最高を更新。輸入は価格が高騰している原・粗油や石炭、肥料などが伸び、同38%増の13カ月連続のプラスに推移し、前月に次ぐ過去3位を記録した。