2008年8月27日(水)掲載

◎談合事件解明へ調査特別委…森町町議会
 【森】森町発注の町消防防災センターの建設工事をめぐる官製談合事件を受け、森町議会(長岡輝仁議長)は26日、第3回臨時会を開き、真相解明に向けた「森町消防防災センター工事を巡る談合事件」調査特別委員会の設置を決めた。町民ら約30人が傍聴席で注目する中、野村洋町議ら14人が賛同して発議された同設置案を賛成多数で可決。長岡議長が同特別委に10人の委員を指名し、委員長には宮本秀逸氏(58)が選ばれた。同特別委は入札制度などの調査について年度内の報告を目指し、9月中に設置される。

 町議会は偽計入札妨害(談合)容疑で逮捕、起訴された森町長の湊美喜夫被告(79)に対し、逮捕後の6日には「捜査の推移を見守る」と静観の姿勢を取っていたが、「議会責任を果たしていない」など町民からの相次ぐ議員批判を受け、野村氏ら一部町議が臨時議会の開会を要請。早期の事案の解明と町民の信頼に応える責務があるとして、地方自治法第110条及び町議会条例第5条に基づく調査特別委の設置を発議した。

 この日は、堀合哲哉町議が議会の調査権を行使する「百条委員会」設置案でないことへの不満を示すとともに、委員12人以内とした定数について触れ、「全員が委員となるなど、文面、目的、定数を再度精査すべき」と反対討論。黒田勝幸町議が「現職町長の逮捕という不名誉な事件で町民を不安にさせ、町のイメージを低下させた。談合事件を詳細に調査すべき」と賛成討論を行い、22人中13人が賛成した。

 宮本委員長は閉会後、「大変な重責。行政や議会の信頼回復のため、入札参加の指名選考委を出発点とし、委員を含め全議員で再発防止に向けて調査したい」と述べた。

 弁護士が預かった湊被告の辞職願については、町長選の日程を調整しながら受理日を検討している。9月1日に臨時議会が招集される予定で、その際に議会に対して辞職の同意を求める見通し。 調査委の委員は次の通り。(敬称略)

 ▽副委員長=三浦浩三▽委員=中村良実、黒田勝幸、松田兼宗、加藤玲子、坂本元、川村寛、服部勝見、小杉久美子(森町談合事件取材班)


◎湊被告1000万円で保釈
 函館地裁は26日、談合罪で起訴された森町長の湊美喜夫被告(79)の保釈を認めた。同被告の弁護士によると、湊被告は保釈金1000万円を同地裁に納付し、同日午後、函館市内の拘置先から釈放された。

 湊被告は、町消防防災センター建設工事をめぐる談合にかかわったとして、道警が1日に競売入札妨害(談合)の疑いで逮捕、函館地検が22日に同地裁に起訴した。弁護士は同日、保釈請求をしたが、証拠を隠滅する恐れがあるとして同地裁が請求を却下、引き続き弁護士以外の接見を禁じていた。

 同弁護士は「湊被告は(入札にかかわる)決済をしたことなど行政的な責任を認めたが、検察が言うような、談合への関与については認めていないと認識している。湊被告は他の被告に弱みを握られていたことや、金を受け取ったなどの話もしていない」とした。

 起訴状などによると、湊被告は2005年9月28日執行の同センターの指名競争入札において、東急建設の幹部や仲介役の男らと共謀し、東急建設と星組渡辺土建が組んだ共同企業体が落札できるよう、他の入札参加業者らとともに談合した。湊被告は東急建設が入札に参加する際、略式起訴された部下の元建設課長らに指示して、東急建設の入札参加に便宜を図ったとされている。


◎缶バッジで飲食・会話楽しもう…大門横丁で来月15日ヨコトモ ハッピーフレンズデー」
 大門横丁から広がれ、友達の輪―。函館市松風町の屋台村「大門横丁」で9月15日、各自の個性が書かれた缶バッジを身に着けながら飲食や会話を楽しむイベント「ヨコトモ ハッピーフレンズデー」が開かれる。道南最大の屋台村を舞台に、バッジをきっかけにした客同士の出会いや友達づくりの場が提供される。

 同横丁を運営するはこだてティーエムオーの主催。テナント飲食店の若手店主らが、屋台独特の雰囲気を通じて客同士の交流を深めてもらおうと初めて企画した。1枚500円分3枚つづりのチケットを購入すると、当日会場で1人1個缶バッジが手渡される。

 バッジには「恋人募集中」「宴会部長」「癒やし系」「スポーツマン」など自身の性格や特色が記されていて、主催者側が30種類ほど用意。チケット購入者にはバッジを身に着けてもらい、居合わせた客とバッジを介して親交を深めてもらう。各店では当日、イベントの特別メニューも提供される予定という。

 このほか目玉企画として、女性が1杯500円の飲み物チケットで“出品”された男性を競り落とす「メンズオークション」も開催。男性に最も多くの飲み物を提供した女性は、好みの男性と一定時間飲食できる。オークションは当日参加もでき、出演した男性には食事券もプレゼントされる。

 午後5時スタート。チケットは前売り(500枚限定)が1300円、当日券が1500円で、同横丁内の各店で取り扱っている。はこだてティーエムオーは「バッジを通してお客さん同士の話の種として盛り上がってもらい、老若男女に楽しんでもらえたら」と広く来場を呼び掛けている。(森健太郎)


◎米粉でクッキー シフォンケーキ…「HAKOSHOP」30、31日に第2弾商品販売
 函館商業高校(三浦法久校長、生徒707人)の生徒らでつくる模擬株式会社「HAKOSHOP(はこしょっぷ)」(社長・奥充貴君)が、道産の米粉100%の新商品「米チェンクッキー」と「米チェンシフォンケーキ」を開発した。函館市の社会福祉法人「かいせい」(函館市東川町1)が製造面で協力。モチモチした食感で、安全においしく味わえるのが特徴だ。30、31の両日、北斗市と函館市内の各イベントでお披露目し、一般販売する。

 小麦粉価格の高騰で米粉に注目が集まる中、ヘルシーで安全な商品を開発しようと企画した。「函商ブランド」の商品はスポーツタオルなどに続く第2弾となる。

 米粉は小麦粉に比べて粘り気が出にくく、粉っぽさを抑えるのに苦労したという。かいせいで作った試作品を生徒らが試食し、試行錯誤を繰り返して仕上げた。

 クッキーはココアとチーズ、ケーキはレモンと抹茶の各2種類。米粉は、道産のきらら397と道南産ふっくりんこを1対1の割合で混ぜ合わせた。商品名の「米チェン」は、道などが進める道産米消費拡大に協賛し、道からネーミング許可を取った。

 商品開発部長の3年、秋本聖矢君(18)は「米の概念が変わるお菓子。アレルギーも心配ないので子供からお年寄りまでおいしく食べてほしい」とPRする。

 30日に同校が大野農業、函館水産と3校合同で「六輪村」(北斗市大工川48)で開くイベントと、31日に東日本フェリー函館ターミナル(港町3)で開かれる「津軽海峡祭」(実行委主催)会場で販売する。

 クッキー1袋(4個入)130円、ケーキ1個(直径12センチ)400円。クッキーは両日販売し、ココア150個、チーズ100個を用意。ケーキは30日のみ、各25個販売する。30日には、同校のクッキー2袋と大野農業のジュース、函館水産の紅鮭水煮缶などと合わせた特別ギフトセットも限定10個(1個1500円)販売する。クッキーはネット販売も検討中。

 問い合わせは同校TEL0138・41・4248。(新目七恵)


◎知事会談を拒否…江差・浦河町長
 【江差】道の支庁再編に反対している濱谷一治江差町長、谷川弘一郎日高管内浦河町長は26日までに、道が打診している高橋はるみ知事との「直接会談」を拒否する方針を固めた。

 9月の定例道議会では支庁再編に反対する民主党など野党会派から、支庁再編後の地域振興策や市町村との関係修復に向けた取り組みが問われるのは必至。道は道議会開会を前に、両町長や道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)との協議を急ぎたい考えだが、徹底抗戦の構えを示す両町などの不信感は依然として根強く、対話再開の糸口は見いだせない状態だ。

 道は6月下旬、道議会が支庁再編条例を可決した直後から、高橋知事の地元入りや関係首長との会談を打診。支庁廃止反対で結束する両町は「市町村との対話を欠いたまま条例提案に踏み切った知事の責任は大きい」として、申し入れを拒否してきた。

 道町村会が12日、支庁再編への反対姿勢を堅持する方針を決めたこともあり、両町長はあらためて申し入れを拒否する方針で一致。道町村会の寺島会長も、高橋知事との対話再開は「現時点では時期尚早」として難色を示している。

 道はこれまでに、再編後の本・支庁の組織機構、支庁廃止地域への支援策については具体案を示しておらず、「具体案がなければ話し合いにもならない。市町村との議論を無視して条例提案を急いだツケが回ってきた」(ある町長)との批判も根強い。

 また、江差町は、政府・与党が臨時国会を9月12日に召集する方針を決めたことを受け、支庁再編の前提となる公職選挙法改正をめぐる動きを注視。法改正に反対姿勢を示す民主党などの動向について情報収集を進めている。(松浦 純)


◎「荒神堂」の遺構確認…勝山館跡
 【上ノ国】上ノ国町教委は、中世の山城・勝山館跡(国指定史跡)で、城代・蛎崎基広(1509―48年)をまつった「荒神堂(こうじんどう)」の発掘調査を進めている。これまでに江戸時代後期に改修された石積みなどの遺構を確認。30日には現地説明会を開いて発掘状況を公開する。

 勝山館は1470年前後、松前氏の祖先に当たる武田信広が築いた山城で、1520年ごろが最盛期とみられている。

 基広は1548(天文17)年、主君・季広の暗殺が事前に発覚して殺害された。死後には亡霊が人々を苦しめたため、遺骨を埋葬した周辺に「荒神堂」を建てて、慰霊したとの伝説がある。江戸時代後期の1841(天保12)年、松前藩主が夷王山などを参拝した際、荒れ果てた「荒神堂」を改修。地面を円形に掘り、周囲に玉石を敷き詰め、石積みや柵を設けたとの記録がある。

 発掘調査では当初の「荒神堂」は確認していないが、江戸後期の改修で掘られた円形のくぼみ、石積みや玉石、柵や門の跡などの遺構を確認。町教委の塚田直哉学芸員は「江戸時代の記録は発掘した遺構を正確に裏付けている」と語る。付近では大きな石が一列に並んだ形で発掘されており、「当初の荒神堂の跡かもしれない。発掘成果を分析して荒神堂の位置や作られた時期を解明したい」とする。

 本年度の調査は5月から始まり、勝山館の正面入り口では防御用の空堀や通路跡を発掘。付近では複数の墓や人骨も見つかり、町教委で埋葬時期などを調べている。

 説明会は午後1時半からで、参加希望者は旧笹浪家住宅前に集合。問い合わせは町教委TEL0139・55・2230。(松浦 純)


◎「皆さんの力で平和築いて」白百合中生徒ら胸に刻む…被爆体験者講演と記念植樹
 函館市主催の被爆体験者講演会と記念植樹が26日、函館白百合学園中学校(青木タマキ校長)など市内2校で開かれた。13歳の時に広島で被爆した笠岡貞江さん(76)が講話し、戦争や原爆の無残さを伝え、「戦争は人間の心まで変えてしまう。絶対に3発目を落としてはならず、平和な世界を築くため皆さんで努力して」と訴えた。

 笠岡さんは原爆で両親を亡くし、被爆者として就職などで差別を受けた。「死者を砂浜に埋めて焼いた時、多くの人だまを見た。皆さんと同様に、勉強などへの夢や希望を持ちながら死んでいった。その人たちの思いを伝えることが私の仕事」と語った。

 「大やけどを負い、水が欲しいと訴えた人に水をあげることができなく、今でも悔やまれる」「皮膚が垂れ下がった手を胸より上に挙げ、幽霊のように歩く被爆者の姿が目に焼き付いている」などと惨状を伝え、生徒たちは真剣な表情で聞き入っていた。

 市の平和大使として長崎市に派遣された宮川睦さん(3年)も体験を報告し、生徒会副会長の仲摩愛恵さん(2年)が「悲しみを乗り越えて訴え続ける笠岡さんの姿から、私たちに何ができるかを考えていきたい」と謝辞を述べた。

 笠岡さんや生徒代表とツツジを植えた青木校長は「笠岡さんの体験や訴えを生徒は心に刻み、平和づくりに尽くしてほしい」と話していた。

 同講演と植樹は25日から始まり、27日は午前10時40分から湯川中、午後1時半から桔梗中で開かれる。保護者や地域住民も聴講できる。(高柳 謙)