2008年8月29日(金)掲載

◎マグロ解体に興味津々 園児が親子で水産市場見学
 子どもたちに魚に親しんでもらおうと、函館市水産物地方卸売市場(同市豊川町)で28日、幼稚園児の水産市場見学会が開かれた。園児らは間近で見る水揚げされたばかりの活魚や、威勢の良い競りの様子に興味津々の様子で、早朝の市場内に元気な声を響かせた。

 魚離れが進む子どもたちに魚介類の知識や流通の仕組みを学んでもらおうと、函館水産物商業協同組合(藤原厚理事長)が園児らを対象に初めて企画。この日は市内のききょう幼稚園(西桔梗町218)の園児とその保護者約60人が参加した。

 午前6時半に水産市場を訪れた園児らは、威勢の良い掛け声で競り落とされたクロマグロや旬を迎えた道東産のサンマ、箱詰めされたロシア産の毛ガニなどを見学。150?以上あるマグロが目の前で解体されると、園児らは「大きい」「すごい」と歓声を上げ、見入っていた。

 この後、園児らは水槽に入ったイカやタコの感触を手で触って確かめ、見学後には焼きサンマやマグロの刺身、ホッケのすり身汁などの朝ご飯も堪能した。初めて訪れた佐久間駿汰君(6)は「タコの吸盤がくっついて気持ち良かった。また来たい」と場内を熱心に見て回っていた。(森健太郎)


◎恵山、観光活性化へハワイ化計画 海岸の地形類似
 函館市恵山地区の海岸「日の浜」を地域活性化の原動力にしようという動きが出ている。津軽海峡に緩やかに曲がる海岸線、遠くにそびえる活火山の恵山(標高618メートル)の眺めが、地形的に米国・ハワイのワイキキビーチと似ていることを観光資源として活用しようという試み。この「恵山ハワイ化計画」を提唱する恵山観光協会の田中博会長(71)は「恵山は自然の宝庫。自慢の景色と豊かな自然を生かしたい」とし、「『北海道のハワイ、恵山へようこそ!』を合言葉にPRに努める」と意気込み、同計画推進の賛同者や景観活用のアイデアを募っている。(田中陽介)

 日の浜は、古武井地区から女那川(めながわ)の寄貝歌(よりかいうた)地区にかけて続く約5キロの黒い砂浜。砂鉄成分を多く含み、江戸時代から製鉄など工業用に活用されてきた歴史がある。

 恵山は2004年12月1日に近隣の2町1村とともに函館市と合併。渡島半島の東部に位置し、風光明美で年間を通して温暖な気候から、道南のリゾート地としての期待は大きい。

 田中会長が日の浜とワイキキビーチの類似点に気づいたのは10年前。本場のワイキキビーチを観光旅行で訪れた際に、「どこかで見た景色だな」と感じ、郷土の景色が脳裏をよぎったという。ホテルやショッピング街こそないものの、地形的には似通っている。「茶色い岩肌のダイヤモンドヘッドが恵山で、緩やかにカーブする海岸線もそっくり」―。その後は、恵山の観光案内で「ここから眺める景色はハワイそのもの。『ようこそ北海道のハワイへ!』」とアピールしている。

 函館市恵山支所産業課の坪直也主任主事(37)によると、旧恵山町時代の7年ほど前に、観光客から「恵山の景色はハワイに似ていますね」との電話も寄せられたという。

 恵山と言えば春の「つつじまつり」が有名だが、「春先だけのにぎわいでは限界がある。年間を通した人の交流や活気が必要」と、田中会長は日の浜を舞台にした観光産業の活性化に懸命。夏は水平線に輝くイカ漁のいさり火をバックにしたフラダンスのステージなど、地域の納涼まつりの実行委メンバーらと具体化に向けて協議する考え。函館国際観光コンベンション協会の役員も務めており、同計画の推進に向けて市との連携なども一層強め、地域活性化を図る方針だ。

 景観活用に関する意見などは恵山観光協会TEL0138・85・2331(同支所産業課内)。


◎エアトランセ 本社を東京移転へ
 地域コミューター航空会社のエアトランセ(函館市高松町、江村林香社長)が、11月にも東京都内への本社移転を計画していることが28日までに分かった。運航拠点も中部国際空港(愛知県常滑市)を軸に移転先を検討しており、今秋にも函館から事実上撤退する公算が大きくなった。

 関係者によると、営業事務所となる本社を東京都内に移した上で、航空事業は継続させる方針。現在、函館空港にある格納庫や事務所などは当面残しながら、チャーター便の利用が多い中部国際空港を軸に運航拠点の移転先の調整を進めており、11月に開く臨時株主総会で承認されれば正式に決定する見通しだ。

 江村社長は「今は何も話せない」とし、29日に記者会見し、今後の事業計画などを明らかにするという。

 同社は2005年3月、18人乗りの小型機を使って函館―帯広間で就航。同年8月に本社を東京から函館に移転した後、道内地方路線を次々に開設した。しかし、利用客の伸び悩みで運休、廃止が相次ぎ、昨年11月までにピーク時に5路線あった定期便事業から撤退。現在は函館と仙台、女満別を結ぶチャーター便を運航している。(森健太郎)


◎田中さん北星小前にヒマワリ植え続け15年
 函館北星小学校(林潤子校長、児童129人)の正面玄関前の道路沿いに、ことしも大輪のヒマワリ約200本が花開いた。植えたのは市内大縄町に住む田中仁一郎(にいちろう)さん(86)。15年前からボランティアでヒマワリを植え続けている。毎年、2学期が始まるころに花が咲き、子どもたちの登下校をしっかりと見守っている。田中さんは「子どもの喜ぶ顔を見るのが一番うれしい」と目を細めている。(新目七恵)

 ヒマワリは「学校の特色となり、楽しめるものを」と考え、田中さんらが植え始めた。5月中旬に種をまき、付近に住む松谷照子さん、瀬川ミヨ子さんと協力しながら、雑草取りや枯れ草処理など維持・管理作業にも精を出している。花が枯れる秋には、欲しがる子どもたちに種も分けている。

 現在、校舎東側の約100?には黄色い花々がずらりと並ぶ。今季は雨天が多かったため、花はしなだれ気味だが、どれも2メートル以上にも伸び、立派に成長している。4年1組の藤龍貴君(10)は「学校に来るたびにきれいだなと思う」、嶋田敬太君(9)も「花を見ると元気になる」と笑顔を見せる。

 昨年12月、田中さんは体調を崩して市内の病院に入院し、「もう止めようか」とも思った。しかし、同校の児童からたくさんの励ましの手紙をもらい、続けることにした。「病室で何度も手紙を読み返して涙が出た」という。退院後、胸いっぱいの感謝の思いも込めて種を植えた。

 田中さんは毎朝午前8時から30分間、同校玄関前で登校する子どもの見守り活動も続けており、児童全員と顔なじみの仲だ。同組の村田芳樹君(9)は「いつもあいさつしてくれてうれしい」と話す。

 田中さんは「少子化の時代、地域と学校、保護者が連携して子どもを育てる必要がある。北星小の児童は純真な子ばかりなので、これからも素直に育ってほしい」と話している。


◎野菜ソムリエの女性4人「ベジフル函館」を発足
 野菜や果物の知識を生かし、その特徴やおいしさを伝える民間資格「野菜ソムリエ」を持つ函館・北斗市内の有志4人が27日、「ベジフル函館」(川崎保江代表)を立ち上げた。異なる職種の有資格者や関心のある仲間を集め、イベントの企画などで活動の輪を広げたい考え。メンバーは「全国に誇れる道南の野菜や果物の魅力を伝え、地産地消の推進や食文化のレベルアップに貢献したい」と意気込んでいる。(宮木佳奈美)

 野菜ソムリエは、日本ベジタブル&フルーツマイスター協会(東京)が認定する「ベジタブル&フルーツマイスター」の通称。青果物の知識だけでなく、おいしさを引き出す調理方法や知識を分かりやすく伝えるコミュニケーション力を併せ持つスペシャリスト。ジュニアマイスター(初級)からシニアマイスター(上級)まで3段階あり、7月末現在、全国で約1万8000人、道内で約700人が資格を持つ。

 メンバーは函館市在住の青果店勤務川崎さん(43)、スーパー青果部担当横山五月さん(51)、管理栄養士松崎文子さん(55)、北斗市在住の家庭科教員齊藤縁(ゆかり)さん(46)でいずれもジュニアマイスター。松崎さんを通じて川崎さんと齊藤さんが知り合い、協会の紹介で横山さんが川崎さんに連絡を取り、4人がそろった。「ただ資格を持つだけでなく、知識を役立て活動の幅を広げられないか」と半年前から会の設立を検討していた。

 今後は調理会や産地見学会などのイベント開催、企業との商品開発を通じたまちおこしなど、資格を生かした活動を考えている。互いの資質向上に向けた勉強、資格取得を目指す人への協力もするという。メンバーは「野菜ソムリエを持つ人、これから資格を取りたい人、野菜・果物に興味がある人はぜひ仲間になって一緒に活動を」と呼び掛けている。

 問い合わせは川崎代表TEL0138・51・7960(午後3時―同6時)。


◎道新幹線・きょう北斗市新駅周辺の区画整理事業着手
 【北斗】2015年の北海道新幹線・新函館駅(仮称)の開業に向け、北斗市は道の認可を受け、同駅周辺の土地区画整理事業の申請区画13・5ヘクタールについて、29日に同認可を公告し事業着手する。28日に市役所で開かれた第9回道新幹線建設促進及び地域振興等に関する調査特別委員会で、市側が19日に道認可を受けたことを報告し、29日を事業開始日と決め、本年度中の駅周辺空間検討委員会(仮称)設立など、市のスケジュールを明らかにした。

 区画整理は整備を必要とする区域について、土地所有者の減歩(所有地の一部提供)を求めて宅地の利用価値を高める措置。市は合計減歩率(56・1%)を含めた事業計画の内容、換地取得や市の買い取りについて土地所有者ら関係者に説明。意向調査も併せて行い、80人のうち、おおむね事業について理解を得た。ただ、減歩に反対する所有者もおり、市では今後も協議を進め理解を得る努力を続けるとともに、買い取る場合の財源を検討する見通し。

 この日は7月に設立した鉄道運輸機構とJR北海道、道、北斗市の4者で構成する新駅検討会を核とした組織図や市検討会の役割、新駅周辺の具体的な検討スケジュールについても確認した。

 市は独自に駅周辺空間整備の目標テーマや空間デザイン、コンセプトなどソフト面を学識経験者や関係行政機関らが検討する「駅周辺空間検討委員会」(仮称)を本年度内に設立するほか、次年度以降、駅前広場の実施設計案などハード部分の検討を行う「計画施設整備協議会」(仮称)を立ち上げる予定も示した。(笠原郁実)


◎検討懇話会初会合、極東大支援 疑問の声も
 ロシア極東大函館校(函館市元町14)の市立化を含めた支援の在り方を協議する検討懇話会の初会合が28日、市役所会議室で開かれた。西尾正範市長が意欲を見せ、議会でも波紋を広げたテーマ。初回は同校の概要や取り巻く現状、市の支援などについて事務局の市企画部が説明し、問題意識を共有したが、市立化や支援拡大に疑問の声が相次いだ。(高柳 謙)

 委員は国際交流団体や経済界、教育関係などの代表と公募市民の計11人。座長に山崎文雄北海道国際交流センター代表理事を選出し、山崎座長は「最初からある方向を持ち、そこに議論の結果を持っていく考えはない。ぜひ遠慮のない意見を」と述べた。

 冒頭で西尾市長が、函館にわが国初のロシア領事館が置かれ、長い友好関係があることや、ロシア経済が好調でロシアに通じた人材を輩出している意義を説明。「選挙の公約で市立化を掲げたが賛否両論がある。極東大は函館の発展の戦略となるため、一定の方向付けをお願いしたい」とあいさつした。

 事務局が1994年に同校が設立された経緯や、現在は市が年間3000万円の運営補助金を交付していること、開学時に68人いた入学生が年々減少し、本年度の入学生は11人、在校生は27人であることなどを説明した。

 委員からは「大学運営では経営と教育は分かれ、それぞれ見識がなければならない。定員40人に入学者が7人などの実情では、学校として成り立っていない」「まずは学生を集めることをしないと、いくら市立化や授業料の値下げをしても無駄」「そもそも支援することを前提とした検討懇話会なのか」など、疑問の声が相次いだ。

 懇話会は本年度内に4、5回開き、市長への意見書をまとめる。