2008年8月30日(土)掲載

◎ブロッコリー 首都圏の食卓へ…乙部で出荷作業
 【乙部】乙部町では首都圏に向けたブロッコリーの出荷作業が最盛期を迎えている。道外では8月に入り、相次ぐ集中豪雨などの影響でブロッコリーが品薄状態にあるが、天候に恵まれた町内では、8月に入ってブロッコリーがぐんぐんと成長。早朝から集出荷作業が急ピッチで行われている。

 町契約野菜生産出荷組合(林義秀組合長)によるブロッコリー栽培は4年目。本年度の栽培面積は約26ヘクタール。契約先の大手農産物卸売商社・ベジテック(東京)を通じて、首都圏のスーパーで店頭に並ぶ。

 まだ薄暗い早朝から、手作業で収穫されたみずみずしいブロッコリーは、姫川の集出荷施設に運ばれ、パート従業員の女性たちが丹念に品質をチェック。手際よく茎を切りそろえ、発泡スチロールの容器に納めて氷詰めに。そのまま保冷コンテナで首都圏に運ぶ。同組合を支援する町農林課は「栽培も4年目に入り品質も高まっています」と太鼓判を押す。

 檜山管内では本年度、新興作物として導入が進むブロッコリーの栽培が、奥尻町を除く6町で100ヘクタール規模に拡大。厚沢部町を中心とする60ヘクタール規模の栽培計画が始動したほか、2005年から栽培に取り組む乙部町でも栽培面積が拡大。北部の今金・せたな両町でも栽培が本格化している。(松浦 純)


◎マリーナ 西ふ頭に移設…旧函館ドック跡地売却
 函館市土地開発公社が所有する旧函館ドック跡地を函館どつくに売却するのに伴い、港湾管理者である市は函館港港湾計画の一部を変更する。プレジャーボートの係留マリーナを西ふ頭に移設するためのもので、市は10月末をめどに、学識経験者や港湾事業者などでつくる函館港地方港湾審議会に諮問し、答申を得たい考え

 変更されるのは、2005年4月に策定した計画。買収先の函館どつくが、同跡地を修繕用ドックとして活用する意向を示していることから、現マリーナを含む交流厚生用地を工業用地に改める。

 新たなマリーナは、西ふ頭の西側に位置し、市有地・国有地のほか、市が函館どつくから取得または貸借する土地を合わせて、広さは2・1ヘクタール。従来の3・8ヘクタールに比べて縮小されるものの、通行用の道路は周囲の整備済みのものを利用でき、海上で係留できる桟橋6カ所と陸上の保管スペースを設けることで、収容規模は現在の最大270隻と変わらない。

 市は現在、新たな港湾計画書の策定を進めており、10月末ごろに地方港湾審議会を開催。了承を得られれば、同跡地の売却期限とする来年3月末までに新たなマリーナの供用開始ができるよう、設置費用を負担する函館どつくと協議を重ねていく。

 市港湾空港部は「細かい調整や未確定要素は残されているものの、これまで通りマリーナを利用できるようになるので、船舶の所有者に理解を得られるはず」と話している。(浜田孝輔)


◎本社東京 拠点は中部…エアトランセ
 地域コミューター航空会社のエアトランセ(函館市高松町)の江村林香社長が29日、函館市役所で記者会見し、11月に本社を東京都新宿区に移転することを発表した。所有機のメーン駐機場所を中部国際空港(愛知県常滑市)とすることも明かし、新規航空事業に乗り出した2005年からわずか3年余りで、本社機能を置いた函館を離れることになった。

 会見で江村社長は、現在主力となっているチャーター便事業の利用客の約8割が首都圏在住者であることに言及した上で、本社移転の理由を「関東を中心に営業活動を強化することで、好調なチャーター便事業の潜在需要を掘り起こし、効率的に利益を上げたい」と説明した。

 函館にある事務所や格納庫は当面残し、運航管理や機体の整備などを行う運航基地としての機能を存続させるため「道内からの撤退ではない」と強調。「道外の客を多く道内へ呼び込むことで函館に還元していきたい」と述べた。駐機場所の移転については「(中部は)国内の中心で、全国各地を飛ぶチャーター便にとっては便利」とし、今後は中部国際空港を拠点に機材を運用していく考えを示した。

 事業開始から約3年半で函館を“離陸”する一因となった財政面については「定期便事業に想定より経費がかかり、巨額な負債を抱えてしまった。経営者として勉強不足だった」と弁明。今後は「お客様に便利な移動手段を提供できれば、航空事業にはこだわらない」とも語った。

 同社は05年3月、18人乗りの小型機を使って函館―帯広線で運航を開始。道内地方路線などを次々に開設したが、利用客の伸び悩みが響き、昨年11月までにピーク時は5路線あった定期便事業から撤退、現在はチャーター便に特化した事業を展開している。(森健太郎)


◎真夏日なく夏物、海水浴場苦戦…秋物は好調
 ことしの函館の夏は、最高気温が30度以上の真夏日が1度もなく、特に8月は後半、雨や曇りのどんよりとした天気に見舞われ、市内の海水浴場の来場者数も昨年を下回る見通しだ。夏向けの商品の売れ行きも苦戦し、逆に秋物の商戦が早くも活発化している。

 函館海洋気象台によると、7月の平均気温は平年より高かったが、8月は逆に平年より低い結果になりそう。7月は、23日に集中豪雨に見舞われたものの、比較的晴れの日が多かった。8月に入るとともに天気は崩れ、港まつりの開催期間中の2、3の両日は雨に見舞われ、メーンイベントの「ワッショイはこだて」は初めて両日とも中止となった。

 その後、5日に28・8度まで上がり、今夏の最高気温を記録するなど上旬から中旬にかけて晴れの日が続いたが、15日ごろから気温は下がり、天気も再び崩れ、23日から29日まで雨や曇りの日が続いている。

 函館市教育委員会が管理する湯川海水浴場は、7月15日にオープンし、今月31日で閉場する。26日現在の来場者は2万7357人で、昨年の3万818人を下回りそうだ。7月末で、昨年を約600人上回るペースに達し、今月10日にはシーズン最高の2456人が来場。しかし、15日以降、客足は伸び悩んだ。入舟海水浴場(7月24―19日)も2986人と昨年よりも約700人下回った。

 白石公園はこだてオートキャンプ場(白石町)では、8月の利用件数は昨年より100件少ない840件と苦戦。ただ、例年と比べ日帰り客の利用が増えており、運営する市住宅都市施設公社の企画管理課は「天候だけでなく、ガソリンや物価の値上がりも影響しているのでは」と話す。

 衣料品や家電など夏季の商品に売れ行きにも影響を及ぼしている。テーオーデパート(梁川町)では、夏物処分のバーゲンセールが伸び悩み、「特に婦人服が低迷だった」(営業統括部)と振り返る。ただ、朝晩の気温が冷え込みが著しくなった8月中旬以降、ストーブなど暖房機器が売れ始め「例年の9月並みのペースで売れている」としている。中合棒二森屋(若松町)では、「この悪天候が追い風となり、初秋向けの衣料品が好調」(営業企画課)と秋の商戦に期待する。(鈴木 潤)


◎ふるさと納税 順調スタート
 都道府県や市町村に一定の寄付をした場合、翌年の所得税や住民税が軽減される「ふるさと納税」に力を入れている函館市は、8月中旬までに25件、109万8000円の寄付があった。比較の対象はないが、市財務部は「順調な滑り出しだと思う」と受け止めている。全国の函館ゆかりの団体や同窓会へパンフレットを郵送しており、今後の伸びを期待している。

 制度は5月から始まり、市の専用ホームページ(HP)が開設されたのは6月。実質2カ月余りで100万円を越す入金があったことから、同部は好感触を得ている。寄付は市出身者のほか、はこだて観光大使や、偶然にホームページを見た道外在住者などからあったという。このほか問い合わせが10件ほどあり、納付書を郵送した。

 ふるさと納税への協力依頼は西尾正範市長も力を入れており、このほど開かれた移動市長室で出席者に「市外在住の知人や親せきなどへぜひ協力を呼び掛けて」と“トップセールス”をした。

 制度は税収の地域間格差の是正が目的で、東京を含めた全国での競争。市はパンフレットやHPで「函館人よ。集まれ!」のキャッチフレーズを掲げている。函館に暮らす人は函館市民、応援する人を「函館人」とするアイデアで、協力者には領収書と一緒に名刺サイズの「函館人証明書」を送っている。

 ふるさと納税の使途は寄付者が選択でき、市ふるさと応援隊事務局(市財務部管理課)によると、半数以上が函館市政全体での活用。人材育成や生涯学習、福祉関係、防災対策、産業振興などの分野に数件ずつあるという。

 今後は各地で開かれる同窓会などに直接訪問し、協力を呼び掛け、一層の周知を図る考え。

 専用HPは市のHPのバナー広告からリンクできる。寄付の申し込みはインターネット、郵送やファクス、電話でできる。問い合わせは市財務部管理課TEL0138・21・3205。(高柳 謙)


◎優れた若者応援したい…小原さん「元町画廊」開設
 元函館中部高校定時制教員で、趣味の絵画を続ける函館市谷地頭町の小原雅夫さん(60)は、ことし3月の定年退職を機に、同市元町に「元町画廊」を開設した。オープン記念とし、9月1日から28日まで自選展「淡彩で描く花と風景」を開く。「画廊でより多くの人と交流を交わし、優れた才能を持つ若者を応援していきたい」と話している。

 1979年、赴任先の空知管内夕張市で、趣味を持つ同僚が多いことを受け、自身も何かに取り組もうと、自宅にあった妻の画材を取り出して油絵を始めた。以来、独学で油彩や水彩を描き続けた。「限られた期間だけでなく、いつでも鑑賞できる場所を作りたかった」とギャラリー開設の経緯を語る。

 場所は、観光客が多く訪れる元町を選んだ。画廊は鉄筋コンクリートの2階建てで、グレーと黒色の落ち着いた色合い。各階約69平方?の広さで、1階は自身のアトリエ、2階はギャラリーとして開放(有料)、トイレや控え室なども完備されている。

 これまで開いた個展の経験を生かし、自在に回転する電球型蛍光灯を取り付けた。窓の配置や室内の配色などパソコンや模型を使って何度もシュミレーションを繰り返し、大きな窓から差し込む光を遮断する工夫もした。「美術作品だけでなく、講座やミニコンサートにも使用してもらい、にぎわってほしい」と胸を弾ませる。

 自選展では、マーガレットやバラなどの花や、家族旅行で訪れた海外の街角を描いた水彩画を展示。展示時間は午前11時から午後5時まで(日曜日は正午から)で、毎週月、水曜日は休館。一般への貸し出しは12月上旬からを予定。希望者は小原さんまでTEL0138・23・6304。(小橋優子)