2008年8月5日(火)掲載

◎港まつり「ワッショイはこだて」
 開港149周年記念函館港まつり(実行委主催)のメーンイベントの一つ「ワッショイはこだて」が4日、十字街・松風コースで行われた。市内の企業や団体など62団体約1万人が参加し、会場は市民の熱気に包まれた。

 今年のワッショイはこだては2、3の両日とも雨天で中止。堀川・五稜郭コースを行わず、十字街・松風コースに統合して実施された。

 この日は25度を越える絶好の祭り日和。函館市末広町の十字街付近で行われた出発式では、実行委の沼崎弥太郎会長のあいさつに続き、函館巴太鼓振興会のメンバーが和太鼓演奏で鼓舞した。

 同市豊川町の豊川広路からパレードがスタートし、第1部「函館港おどり」、第2部「子供いか踊り&サマーカーニバル」、第3部「函館いか踊り」の順に各団体が踊りやパフォーマンスを披露。同松風町までの約1・4キロのコースを、工夫を凝らした山車とそろいの衣装で華やかに練り歩いた。子供いか踊りでは、幼稚園児や児童たちが元気に跳びはね、詰め掛けた観客も温かい眼差しを送っていた。

 根室管内別海町から友人やめいとともに来た佐々木忠男さん(61)は「いか踊りが好きで10年ほど前から毎年来ている。きょうは牛の着ぐるみを着て踊ります」と張り切っていた。

 最終日の5日は午後4―8時までJR函館駅前―松風町交差点を歩行者天国として開放。同6時半から函館港おどり・いか踊り大会、閉会式などが行われる。(鈴木 潤)


◎東日本フェリー、ナッチャン値上げ、減便へ
 函館と青森を結ぶ高速船「ナッチャンRera/World(レラ、ワールド)」を運航する東日本フェリー(函館市港町3、古閑信二社長)は4日、原油高に伴う燃料高騰のため、9月からの高速船の運賃を一律30%引き上げると発表した。高速船の運賃改定は就航以来初めて。料金の改定に伴い9月以降の運航ダイヤも一部減便となる。

 同社によると、燃料の軽油価格は昨年8月に1リットル当たり68円だったが、今年8月には107円と、約1・5倍に膨らんだ。これまで同社は人件費を抑えたり、修繕費を削減したりと経費節減に取り組んできたが、「自助努力でカバーできる範囲を超えている」という。

 今回の改定で、青函高速船の片道運賃は、エコノミーで大人5000円が6500円に、ビジネスで同6000円が7800円に、エグゼクティブで同1万円が1万3000円となる。車両のほか、バイクなどの手荷物運賃もそれぞれ3割アップする。

 車両よりも旅客がメーンの高速船は、深夜時間帯の利用者が朝夕の便に比べ10分の1程度にとどまることから、閑散期に入る秋・冬季の減便も決めた。9月1日―10月31日までは計2便、11月1―30日は計4便の運航を取りやめ、1月からの予定だった2往復4便体制を12月から前倒しする。

 同社は「燃料価格の負担増が経営を圧迫している。合理化やコスト削減で値上げ以外の方策を探ってきたが、安定的なサービスを維持するためにはやむを得ない」と理解を求めている。高速船はレラが昨年9月、ワールドが今年5月に就航し、現在1日6往復12便運航。就航以来の利用客数は7月末現在、両便合わせて計25万2671人。(森健太郎)


◎市内8高等機関の学生対象、保健福祉分野テーマの集中講義スタート
 函館市内の高等機関で学ぶ学生を対象にした、保健福祉分野がテーマの夏季集中講義が4日、道教育大函館校(函館市八幡町1)で開講した。8日まで5日間にわたり、講義とワークショップ、施設見学などを行い、地域の実情や課題を体験的に学んでいく。

 市内8高等機関で組織し、単位互換や共同講義などを目指す「キャンパス・コンソーシアム函館」(事務局サ道教育大函館校)と渡島保健福祉事務所が連携して実施。現代地域学論T「子どもから大人への育ちと支援を考える」の科目名で15コマ(1コマ1時間半)の開催。受講生は2単位を取得することができる。

 大谷短大から15人、はこだて未来大から14人、道教育大函館校から5人の合わせて34人が受講。初日はオリエンテーションの後、亀田北病院(同石川町191)の諏訪麻衣子臨床心理士による「思春期・青年期のメンタルヘルス」をテーマにした講義などが行われた。5日以降も福祉施設や児童相談所の職員などによる講義やワークショップが行われ、最終日の8日は、児童養護施設などを見学する。

 はこだて未来大情報アーキテクチャ2年の加藤あすかさんは「自分の大学では学ぶことのできない内容なので、興味があって受講した。他大学の学生との交流が楽しみ」と話していた。

 集中講義のコーディネーターを務める道教育大函館校の松浦利彦准教授は「単独の大学では実現するのが難しい充実したスタッフをそろえることができた。今後も様々な分野において単位互換可能な講義を実施していきたい」と話していた。(小川俊之)


◎函館市本町で食中毒予防キャンペーン
 函館食品衛生協会と市立函館保健所は4日、食中毒予防キャンペーン「ぐるり道南食品衛生」を実施した。函館市本町の市電五稜郭公園前電停付近の交差点で、食中毒への注意を促すうちわ2000枚を、市民らに配布した。

 8月の「食品衛生月間」に合わせて各地で実施している。会員や職員ら合わせて36人が参加。食中毒予防の3原則(1)清潔(菌を付けない)(2)迅速・冷却(菌を増やさない)(3)加熱(菌を殺す)―を説明したちらしも用意した。

 会員らが「気温が上がっているのでよろしくおねがいします」と呼び掛けながらうちわを差し出した。函館食品衛生協会の藤原厚会長は「今日、函館ではことし初の食中毒警報が出された。家庭で食中毒を予防するには、冷蔵庫の詰めすぎに注意してほしい」と話していた。(小泉まや)


◎ふっくりんこ 今秋から全国販売へ
 道南生まれの銘柄米「ふっくりんこ」が「おぼろづき」とともに、今秋から全国販売されることになった。JA新はこだて(北斗市本町170)米穀課では「道産米のおいしさを全国に知ってもらうチャンス。地元の農家が努力して品質管理してきた成果を見せていきたい」と意気込んでいる。

 ふっくりんこは北斗市の道南農業試験場で開発が進められた新品種で、2003年に試験栽培がスタート。この年は冷害だったにもかかわらず収量、品質ともに他品種を上回る作柄となり注目を集めた。「ふっくりんこ蔵部」という生産者組織が栽培、生産、出荷のガイドラインを作り、品質管理を徹底していることも特徴。06年には空知地域でも栽培がスタートし、現在は全道の栽培農家が参加する「ふっくりんこ産地サミット」を開き、新たに品質管理や出荷基準などを設けている。

 今年度の道南地域でのふっくりんこの作付け面積は約1600ヘクタールで昨年から約500ヘクタール拡大。収量は6300トンを予定しており、空知地区と合わせると約1万トン。ホクレンでは全国販売を軌道に乗せることによって、23年度にはふっくりんこ販売量を約2万トンに倍増する目標を立てている。

 JA新はこだて米穀課では「道南で産声を上げ、地元の農家が地道な努力を重ねながら育て守ってきたふっくりんこが、全国に新たな活路を見出すことになったのは意義深い。これまで以上に品質管理を徹底し、おぼろづきとともに北海道発高級ブランド米として定着するように頑張りたい」と話している。(小川俊之)


◎企画【地産地消でいただきまーす】(4)トマト
 シーフードに濃厚なトマトソースがたっぷりと絡み合う「フレッシュトマトとホタテ・エビ入りパスタ」。今春、函館市亀田本町65の「カフェレストランAOKI(あおき)」(青木幸子オーナー)のメニューに登場して以来、一番人気を誇る。

 味の決め手はトマトソース。北斗市東前85の農業山本宮子さん(55)が経営する「宮子さんの手作り工房」のトマトケチャップとトマトソースをブレンドしている。青木オーナーがこのケチャップに出合ったのは3年前。「トマトにこんな味があったのか」と衝撃を受け、オムライスに使うように。「地元でおいしいものが手に入るので、できるだけ使いたい」と話す。

 トマトソースと合わせてパスタソースにアレンジしたのは同店シェフ三好智之さん(31)。トマトの甘みが強く、風味豊かなソースにトウガラシのピリリとした辛味を加え、アクセントを付けた。「トマトの酸味と甘みのバランスがパスタにぴったり」と胸を張る。

 山本さんが栽培するトマトは「桃太郎ファイト」「麗夏(れいか)」の2種類で、収穫のピークは8月。「手間を掛けて育てたからもったいない」と、規格外のトマトを5年前からケチャップやソースに加工し、安価で販売している。木で完熟させてから収穫しているのがおいしさの秘けつで、道内外にもファンが多い。

 「生まれ育った土地の作物が一番体に合うはず。地元産に手を加え、おいしいものが作れることも知ってもらいたい」と山本さん。農家の愛情をぎゅっと凝縮した大地の恵みを消費者に“産地直送”している。(宮木佳奈美)

 カフェレストランAOKI 午前9時―午後11時(ランチタイム午前11時―午後3時)。「フレッシュトマトとホタテ・エビ入りパスタ」は980円(ランチはデザート、ドリンク付き)。TEL0138・42・4242。

 宮子さんの手づくり工房 TEL0138・77・9500。トマトソース(360グラム450円)・ケチャプ(270グラム350円)