2008年8月6日(水)掲載

◎ようこそ水原サムスン…12日まで大沼で合宿
 【七飯】ようこそ大沼へ―。韓国プロサッカーリーグ(Kリーグ)の首位チーム水原三星(スウォン・サムスン)ブルー・ウイングスの選手ら36人が5日、合宿のため海外チームとしては初めて七飯町入りした。函館大沼プリンスホテル前で中宮安一町長や林一道教育長が選手らを歓迎。12日まで、東大沼多目的グラウンド「トルナーレ」を拠点にJ1浦和レッズサテライト(8日午後3時)や道教育大函館校(6日同)、岩手大(10日同)との練習試合やサッカー教室などで地域と交流しながら練習に励む。

 同チームはグラウンドの芝や宿泊施設を高評価し同町を合宿地に選定。日韓オールスター戦JOMOカップ(2日)で韓国選抜チームの監督を務めた車範根(チャ・ブングン)監督と同試合で2得点を決めたエドゥ選手ら8人は試合後に、そのほか28人はこの日にそれぞれ現地入りした。

 歓迎セレモニーでは、中宮町長が「Kリーグ随一の人気チームがこの合宿を契機に名実ともに頂点を目指してほしい」とあいさつ。車監督と宋鐘国(ソン・ジョングク)キャプテンに歓迎の花束が渡された。車監督は「皆さんの恩に報いるため、チームが良い成績を上げるよう頑張りたい」と笑顔で応えた。

 同チームは最終日をのぞく滞在期間中、午前10時から同11時半、午後3時から同5時半に練習。練習試合は無料で観戦できる。(笠原郁実)


◎移住体験で函館満喫…大阪の細馬さん一家
 インターネットを使った在宅勤務をしながら函館で移住体験をしている大阪府岸和田市の会社員、細馬浩太郎さん(43)一家が、充実した生活を送っている。妻と乳幼児2人は地域の公園や児童館で夏休み中の市民や子供たちと触れ合い、新鮮な農水産物や涼しい気候を備えた都市生活に満足しているという。細馬さんは「夜景や観光だけでなく、生活しやすい街であることもPRできるのではないか」と話している。

 総務省の「短期移住型テレワーク実証実験」で、函館では今夏、2組の家族が“職住一体型”の移住体験をする。細馬さん一家は7月21日から8月9日までの日程で、光ファイバー通信を整備したアパートで生活している。

 細馬さんは松下電器産業の経理部門担当で、岸和田市でも週1回の在宅勤務をしている。業務の効率化を図るプログラミングが主な仕事で、社内でもテレワーク(情報技術を使った遠距離勤務)の先駆的な社員という。「スーパーやレンタルビデオ店、病院など、函館と岸和田の生活インフラは変わらない。夫婦と子供という家族モデルだけでなく、単身者同士や単身者と親などの形でもテレワークの幅が広がると思う」と語る。

 妻の美直さん(40)は教員で、夏休みを工面して実証実験に参加した。長女の美来ちゃん(5)、長男の亮太ちゃん(2)とともに観光や公園巡りを楽しんでいる。「学童保育所とは別に、市内に児童館が数多くあることを知り、驚いた。友達もでき、ワーキングマザー(働く母親)のための施策も函館は進んでいますね」と感心している。

 2日には道立道南四季の杜公園で、市と北海道コンシェルジュ主催のバーベキューパーティーに家族で参加。子供たちは遊具で遊び、ラム肉のおいしさに舌鼓を打った。細馬さん夫妻は「函館は公園の数が多い。岸和田の夏は猛暑で子供たちを遊ばせる場所も少なく、函館の夏を楽しんでいます」と笑顔だ。(高柳 謙)


◎はしか流行の恐れ…7月だけで7人発症
 函館市内のはしかの発症者が7月末現在、昨年1年間の総数11人を上回る13人となった。特に7月だけで7人が発症していて、市立函館保健所や函館小児科医会(児島宏典会長)は流行する恐れがあるとして予防接種を呼び掛けている。

 同保健所によると、今年は2月に大学生や高校生ら4人、4月に大学生2人が発症。7月には小学生6人と20代の成人女性1人が発症した。ほとんどが予防接種を十分に受けていなかったという。7月の発症者激増を受けて、同保健所は市内の学校や保育所などにはしかのまん延防止対策と予防接種を促す通知文を送付した。

 同会によると、はしかは発熱、せきなど風邪に似た症状が3日ほど続いた後、全身に発疹(ほっしん)が現れる。感染力が強く重症化した場合、肺炎や脳炎を起こすこともあり、予防にはワクチンの接種が有効とされる。

 はしかの予防接種は1歳児(第1期)のほか、2006年から小学校に入学する前年(第2期)の計2回を受けることになっている。本年度からは5年間の期限付きで、中学1年生(第3期)、高校3年生(第4期)も実施している。 

 児島会長は「流行を防ぐためにも予防接種を受けてない人は受けてほしい」と話している。(鈴木 潤)


◎「東高」いつまでも…「青雲10期の会」記念植樹の表示板を更新
 函館東高(2007年4月に函館北高と合併、現市立函館高)の第10期生でつくる「青雲10期の会」(山英昭会長)のメンバーは5日、市立函館高(函館市柳町11)敷地内にある記念植樹の表示板を更新した。木は、1985年に卒業25周年を記念して同会が植えたもの。2010年に迎える卒業50周年記念事業の一環で、参加者は「函館東高の校名を末永く残したい」と設置を喜んでいる。

 同会は1960(昭和35)年の卒業生340人で組織。これまでも卒業後の35、40年などに周年事業を実施し、会員の親睦(しんぼく)を深めてきた。今回、卒業50周年の節目の年に会員が数え年で70歳(古稀)を迎えることから、記念事業を企画。今回はその第1弾となる。

 新しい表示板は、高さ約1メートル30センチの三角柱。ステンレス製で、「贈 青雲十期の会」などの青い文字が刻まれている。事業費約35万円は会員の年会費を充てた。

 この日、設置完成のお披露目会には15人が集まった。上谷俊夫副会長(66)は「広大な学校敷地内で、函館東高の校名はこの表示板にしか存在しない。オンコの木3本と一緒に末永く残ってほしい」とあいさつした。幹事長の菅原節夫さん(66)も「完成してうれしい。新しい学校の後輩も大事に見守ってほしい」と話していた。

 今後、同会では記念誌の発行や記念会の開催などを計画している。(新目七恵)


◎自然の中で「食育」学ぶ…函館、札幌から小学生19人参加し野菜収穫
 【七飯】大自然を満喫しながら、食育や免疫について学ぶ2泊3日のツアーが6日まで、七飯町大沼などで開かれている。町内や函館市、札幌市などの小学生19人が参加。カヌー体験やコウモリ観察、収穫体験、寸劇仕立ての講義など楽しいプログラムで「食」を考える。

 これまで、観光と医療を組み合わせたスギ花粉疎開ツアーを成功させるなど、ヘルスツーリズムを定義付けた北大の西村孝司教授が理事長を務めるNPO法人イムノサポートセンター(札幌)、七飯町などが主催。北大や藤女子大の学生10人もボランティアとして、ツアーを支えた。

 5日の午前は町内大川の池田農園(池田誠悦代表)で昼食用のニンジンとジャガイモ、トウモロコシの収穫に挑戦。「ニンジンは嫌い」と言っていた児童も、先がとがり色の濃いニンジンに「おいしそう」と笑顔。池田代表は「本物の味を覚え、大人になったら自分たちで作ってほしい」とアドバイスした。その後、町文化センターで藤女子大の三田村理恵子講師の指導の下、ニンジンとホウレンソウのピューレを練り込んだピザを調理。新鮮な野菜も乗せたカラフルなピザで、自然の味を満喫した。

 食物自給率に興味があり参加したという城田祐人君(札幌ひばりが丘小4年)は「自然の中、虫取りなど楽しい体験ばかり」と笑顔。西村教授も「今後、新幹線も開通し、道南全体を活用した滞在型の観光が必要。今から受け皿を作っていることは強み」と新たな観光資源としての可能性を示唆した。(笠原郁実)


◎企画【地産地消でいただきまーす】(5)野菜
 体に優しい食材を―。鹿部町本別539で自然食レストラン「夢紀行」を営む鈴木耕一郎店主(58)は、有機・無農薬栽培の野菜を中心とした「セットメニュー」を提供する。

 道内産の食材にこだわり、野菜は主に森町尾白内の「白瀬農園」(白瀬正男代表)から仕入れる。「家族が健康で過ごせる毎日を送りたい」。そんな願いから鈴木店主の一家は10年前に奈良県から移住してきた。

 新鮮な食材が手に入る地の利を生かし、鈴木店主自ら近郊の農家へ出向く。納得した食材だけを選び、鮮度や素材の良さを引き立てる調理法や味付けを心掛ける。天然塩、手づくりみそなど調味料も無添加で、食の安心・安全を徹底している。

 5品目ほどの惣菜が付いた定食は、厚沢部町産の玄米をふっくらと炊き上げたご飯か、天然酵母を使った手づくりパンに、ニンジンやタマネギなど野菜たっぷりのみそ汁、お浸し、漬け物などが付く。鈴木店主は「健康はもちろん、美肌効果や肥満防止にもお薦め」とPRする。

 「白瀬農園」では、鈴木店主が自家製みそなどに使用している大豆をはじめ、今が旬のカボチャ、タマネギと15種類ほどの野菜を生産する。白瀬代表(59)は「かわいがって育てることも大事だが、ストレスを与えて忍耐強くすることも大切」と話し、独自の栽培法で育てた野菜は、子どもたちにも好評だという。「おいしく、安心・安全な食材を取り入れ、健康な生活を送ってもらう。それがだた一つの願い」と白瀬代表は目を細める。(小橋優子)

 夢紀行 「セットメニュー」はご飯1400円、パン1200円。午前8時から日没まで。不定休。TEL01372・7・5210。