2008年8月7日(木)掲載

◎イラクの闘病の子供描いた「ポスター展」 8日にチャリティイベント
 病気と闘うイラクの子供たちが描いた絵を紹介する「旅するポスター展in北海道2008」が、函館市内でも開かれている。イラクの現状を訴えようと道内各地を巡回しており、道南では唯一の開催。8日にはギャラリー「砂の書 墨砂」(函館市万代町14、蔵2階)でチャリティーイベントも行われる。

 イラクでは、1990年代以降に子供のがwん発症率が急増。イラク戦争で米英軍が使った劣化ウラン弾が原因と見られ、適切な処置を受けられず命を落とすケースも多いという。ポスターは、7―14歳の子供9人の絵画を、長野の「JIM―NET(日本イラク医療支援ネットワーク)」がデザインして作った。

 同展は1月から札幌や帯広など12カ所を巡ってきた。今回は、函館市の大野友莉さん(26)がこの活動趣旨に共感し、函館での開催準備を進めてきた。

 ポスターは17枚。がんや白血病の治療に励む少年少女の愛らしいイラストで、子供の状況などの解説も付いている。7日まで市内7店舗、9―13日には「peace piece」(末広町18)と函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で数枚ずつ展示。15日には金森洋物館(末広町14)に飾る。

 8日のイベントは午後8時から。北斗市出身の前田いおりさん(東京の舞踊団所属)によるフラメンコ舞踊やギター演奏などを予定。チケットは前売り2000円(当日500円増)。収益金は全額JIM―NETに寄付する。

 大野さんは「苦しい治療の中、鮮やかに生きようという思いを絵から感じて心動かされた」と話し、「少しでも多くの人に見てもらい、今も戦争で苦しむ人の存在を考えるきっかけにしてほしい」としている。問い合わせは大野さんTEL 080・1883・8030。(新目七恵)


◎「現時点では町長信用」森町議会の全員協議会
 【森】森町長の湊美喜夫容疑者(79)が談合の疑いで逮捕されたのを受け、森町議会は6日、非公開の全員協議会を開いた。終了後に記者会見した長岡輝仁議長は、議員から同容疑者の辞職を求めたり、行政側の責任を問う声はなかったとした上で、「現時点では議会として、町長を信用するのが最善の策。この事件を調査する考えはない」と述べ、捜査の推移を見守る考えを示した。

 会見には阿部真次副町長らが同席。長岡議長は「町長が否認している以上、辞職勧告をするつもりはないし、辞職の意志を聞くつもりもない」などとした。

 この日の協議会には議員21人(定数22)が出席し、阿部副町長が町長逮捕の経過を報告し、議員からの質疑に答えたという。長岡議長は、町長に対する辞職勧告決議や議会の調査権限を行使する「百条委員会」設置などの対応について「現時点では考えていない」とし、「議員からの要請があれば、今後考えたい」と述べた。

 また、阿部副町長は弁護士の話として「町長は談合事件への関与を否認している」とし、「町長は『自分は心配いらない。(取り調べに対し)言うべきことはきちんと話している。心配を掛けてすまないが、自分は大丈夫だ』と話している」と明らかにした。

 町が入札の指名選考委を開かず、議事録を偽造するなどしていたことについて、選考委の委員長を務める阿部副町長は会見後、記者団の質問に対し「(選考委を開かないのは)慣例化していた。責任を感じている」としたが、長岡議長は「他の町村でもやっていること。重大な問題ではない」との認識を示した。


◎横綱目指し朝げいこ…九重部屋「福島町夏合宿」
 【福島】大相撲九重部屋の「福島町夏合宿」が6日、同町福島の横綱記念館内相撲場で始まった。幕下以下の力士9人が参加し、初日から約3時間の朝げいこで汗を流した。

 福島町出身の九重親方(元横綱千代の富士)の若手育成を援護しようと地域が全面的に協力。比較的涼しい気候と豊かな自然環境の中、力士は未来の横綱を目指して鍛錬に励む。

 初日は午前7時からけいこが始まり、柔軟運動を中心にじっくりと体をほぐした。同8時から一般公開される中、四股(しこ)踏みやすり足、ぶつかりげいこなどに取り組んだ。東京で広報業務に携わる九重親方に代わり、佐藤善光マネジャーが「力入れて」「もっと!」などと大声で指導した。

 力士は歯を食いしばり、必死な表情でメニューをこなした。巨体がぶつかり合うと場内には衝撃音が響き、約40人の来場者はかたずをのんで様子を見守った。函館市の鈴木春代さん(56)は「力士の息づかいや動作を間近で感じられて感激した。今後も九重部屋を応援したい」と興奮気味に話していた。

 九重親方の指導は13日から、大関千代大海の参加は夏巡業後の19―22日を予定している。一般公開は午前8時から同10時ごろまで。11日は休み。入館料大人500円、子ども250円。町民は無料。(田中陽介)


◎来季からANAが関空便2→1往復に
 全日本空輸(ANA)は6日、長引く燃料価格の高騰などを受け、7―9月の繁忙期に1往復増便している函館―関西空港(関空)線の季節運航便を来季から休止することを発表した。これまでに日本航空(JAL)も同路線の減便の意向を示しており、函館の観光客数への影響が懸念される。

 ANA、JALなど大手航空各社は原油高に伴う燃料価格の高騰などを理由に、採算性の低い地方路線の見直しを進めており、ANAの同便休止も対象の一つ。同社は7月上旬、文書で夏季の増便を取りやめる意向を函館市に伝えていた。

 休止の実施時期は来年夏からの予定。ANAは現在、函館―関空間で1日2往復4便を運航しており、ことし10月以降、通年で1日1往復2便体制に変更される。ANAの昨年の函館―関空線の平均搭乗率は、前年比4・3ポイント減の66・7%と落ち込んでいた。(森健太郎)


◎花びしホテルが挙式できなかった夫婦に「結婚式」をプレゼント
 あきらめた夢かなえませんか?―。函館市湯川町1の花びしホテル(西村憲人社長)は創業60周年記念企画「あなたの夢が叶うなら」で、結婚当時に式を挙げられなかった市内・近郊の夫婦1組に無料で挙式をプレゼントする。15日まで、年齢や自薦、他薦を問わず応募を受け付けている。

 同ホテルは1948年5月、故・西村敏雄さんが創業。婚礼などで地元客の利用が多いことから、地元への感謝を込めて還元しようと企画した。

 何らかの事情で結婚式を挙げていない市内・近郊在住の夫婦が対象。挙式は11月24日で、同ホテルの広報活動に情報提供できることが条件。

 男女1着ずつ衣装を選べるほか、挙式は神前式だが、人前式やチャペルの使用も相談に応じる。祝賀会を希望する場合は通常の半額の会費で実施できる。ただ、同社規定のパックプランに準じた会費制祝賀会になり、出席人数は100人程度。

 応募方法は結婚式ができなかった理由やエピソードなどを原稿用紙3枚程度にまとめ、郵送(〒042―0932函館市湯川町1の16の18)かメール(bridal@hanabishihotel.com)で送付する。内容を審査し、8月末までに結果を通知する。

 同ホテルは「両親へのプレゼントや、子どもが生まれてタイミングを逃した方など、さまざまなエピソードを寄せてください」と呼び掛けている。(宮木佳奈美)


◎「進化した野外劇 見に来て」…公演あと3回
 五稜郭公園で開かれている第21回市民創作「函館野外劇」(NPO法人市民創作「函館野外劇」の会主催)は、8―10日の3回の公演を残すだけとなった。7月4日の開幕から、これまで8回の来場者は約6500人で、目標としている1万人に達するのは微妙な情勢だ。同会では「天気の影響もあるが、『一度見たから』と興味を示さない市民も少なくない。2003年のリニューアル後も進化している野外劇を見に来てほしい」と話す。箱館戦争の場面で弁士役を務める住山省悟さん(58)と、舞台上で進行を支える黒子役の三井大樹さん(46)に野外劇の魅力を聞いた。

 2人はリニューアル時から本格的に出演。当時と今との違いの代表例として、五稜郭築城の場面で設計者の武田斐三郎の周りを3人のバレリーナが踊る点を挙げる。三井さんは「わが国初の洋式城郭・五稜郭の象徴である和魂洋才の考えを表現している」と紹介する。

 進行役のコロポックルを演じる中学生たちは3月から練習をしてきた。毎年冬に行われる市民オペラにも関わる三井さんは「プロの役者並みの発声ができている。突然マイクが故障しても動じず演技を続けており、中学生とは思えない」という。

 住山さんは「フィナーレで、新井満さんの作ったテーマ曲を客席と舞台がひとつになり歌うのは、芝居の良さがあってこそ」とする。箱館戦争の終結の場面で、弁士は明治2年の函館が本道の経済と行政の中心だったと話し、「函館万歳」と叫ぶ。住山さんは「観劇した市民が繁栄していた函館を思い起こし、子供たちは函館の偉大さを知ってくれる」とし、「テーマ曲を歌うと、観客は自分たちの力で函館の輝きを取り戻そうとする気持ちになってくれる」と話す。

 2人は「日本では函館にしかないものを作っているというのがキャスト、スタッフの誇り」としている。入場料は当日で大人2000円、高校・大学生1000円、小・中学生500円。開演は午後7時45分。問い合わせは同会事務局TEL0138・56・8601。(山崎純一)