2008年9月11日(木)掲載

◎食材の高騰に負けず「もんじゃ焼千景」価格守る
 原油や穀物など原材料の高騰で、飲食店にも値上げの動きが広がる中、函館市時任町2の「もんじゃ焼千景(ちかげ)」(吉岡徳男店主)は1985年の開店以来、価格を据え置いている。常連客に学生が多く「たくさん食べたい学生さんがいつでも来られるように」と値上げを抑え、踏ん張っている。(宮木佳奈美)

 もんじゃ焼き(600―750円)やお好み焼き(500―700円)のメニューに欠かせない小麦粉や油をはじめ、バターやチーズなどの乳製品、ソース、ガス代までがことし軒並み値上がりした。「こんなにたくさんの物がいっぺんに値上がりしたのは初めて。小麦粉は以前の2倍に跳ね上がった」と、吉岡店主の妻弘子さんは嘆く。

 出番のスタッフを6人体制から5人体制に減らし、食材をまとめ買いで安く仕入れるなどして経費を節減。さらに人手が少ない分、注文はなるべく1度にまとめてしてもらい、混雑時は食べ終わったら席を次の客に譲ってもらうよう張り紙などで呼び掛け、客にも協力してもらうことにした。

 同店は道内のもんじゃ焼き店の草分け的存在で、市内本町で5卓しかない店舗からスタート。94年に函館中部高校近くの現在地へ移り、昨年7月に店舗を新築した。市内各地から高校生や大学生が訪れ、学校祭や卒業シーズンになるとその数も増える。

 「学生時代に来て、その後もカップルや家族で来てくれる人も。ただの客ではなく親せきみたいで、店は学生たちとともに年を重ねてきたと思う」と弘子さん。これまで消費税も徴収せず、大みそかと元日以外は休まずに、“学生の味方”として営業を続けてきた。

 開店当初に設定した価格は当時の平均レベルだった。物価の上昇に伴い、利益は減る一方だが、楽しみにして来店する客は途絶えない。弘子さんは「函館に帰ってきた昔の常連客が『学生時代に通った店がまだあるのはうれしい』と言ってくれる。この言葉を励みにこれからも値上げせず、店を続けたい」と力を込める。


◎総選挙へ各党臨戦態勢
 早期の衆院解散・総選挙を見据え、道南の各政党も臨戦態勢を固めている。自民党衆院道8区支部では選挙区候補が不在で、11日に開く8区役員会で今後の対応を判断するが、川尻秀之幹事長は「不戦敗には絶対しない」としている。民主党は現職の逢坂誠二氏(49)=比例道ブロック=が精力的に街頭演説やあいさつ回りをこなし、攻勢を強めている。8区で候補を擁立しない公明党や共産党などは比例区候補の得票上積みを図る。(高柳 謙、浜田孝輔)

 自民党は10日に総裁選が告示され、全国的には上げ潮ムードだが、道8区の候補者(新支部長)選考は難航。2人が選考対象となることを辞退し、新たな候補を松前町の前田一男町長(42)に絞ったが、前田氏は慎重な姿勢を崩さず、受諾は難しいとみられる。

 今津寛8区暫定支部長(党道連会長)とともに候補者選考を一任された選考委員会の川尻委員長は10日、「前田氏の意向は確認した。それを11日の役員会と選考委員会幹事会に報告する」と述べた。前田氏が受諾しない場合について、川尻氏は「自薦候補もいる。党本部へ候補者調整の要請はしないし、私自身が選挙に立つこともない」と語った。

 民主党は、当選5回の金田誠一氏(60)の今期限りでの引退表明に伴い、昨年10月、後継候補に逢坂氏の擁立を決定。以来、逢坂氏は週末を中心に道南入りし、街頭演説などをこなしている。同12月には連合渡島地域協議会などとともに合同選対本部を設置し、これまでに3回の選対会議を開いている。

 同党道8区総支部の板倉一幸幹事長は、自民党の動きについて「いろいろな名前が挙がり、どんな候補者が出てくるか注目している」としながらも、「こちらも8区では新人なので、どんな強い相手でも対抗できるよう、気を緩めることなく着実に準備を進めていきたい」と語る。

 自民党と政権与党を組む公明党は、比例道ブロックに新人の稲津久氏(50)を擁立。党函館総支部の茂木修副総支部長は「短期決戦になる。党の経済対策と稲津氏の北海道に対する政策を訴え、運動を強化する」との構え。

 共産党函館地区委員会は8日に決起集会を開き、総選挙に向けた結束を図った。高橋佳大委員長は「この1年間で演説会を4回開き、党員も拡大している。比例重点候補の宮内聡氏(45)の当選に向け、共産党の値打ちを訴える」と必死だ。


◎フレスポ戸倉に「ホーマック」オープン
 函館市戸倉町の大型複合商業施設「フレスポ函館戸倉」で10日、施設内で最大の店舗となるホームセンター大手、ホーマック(札幌)の「ホーマックスーパーデポ湯川店」がオープンした。午前9時の開店前から1000人以上が列をつくり、多くの買い物客でにぎわった。

 「専門分野強化型」店舗のスーパーデポ業態としては道内12店目、道南では2005年に開業した「石川店」に次ぐ2店舗目。周辺地域に多い漁業者、学生向けに漁具や文房具、インテリアコーナーを拡充させるなど、地域性を考慮した豊富な品ぞろえが特徴だ。店舗面積は約7600平方メートル。

 この日は先着1000人に特製のエコバッグを無料で配布。開店と同時に目当てのセール品などを求めて買い物客が押し寄せ、一時は入店が制限されるほどの盛況ぶり。約7万点が並ぶ広い店内ではチラシを手に右往左往する客の姿も見られ、店員は総出で対応に追われていた。

 同店の赤川裕明店長は「温泉街が近い立地から、ホーマックでは初めて業務用のシャンプーやボディーソープなども取りそろえた。今後も豊富な品ぞろえで地域一番店を目指し、お客様の声を反映した店づくりをしていきたい」と意気込んでいた。

 同店のオープンで市内最大級の商業施設のテナントはほぼ出そろった。年中無休。営業時間は午前9時―午後9時まで。(森健太郎)


◎ハリストス正教会、120年ぶりにロシア人司祭
 函館ハリストス正教会の新しい司祭、ニコライ・ドミートリエフさん(48)がこのほど着任し、妻の山崎瞳さん(49)とともに10日、函館市の西尾正範市長を表敬訪問した。同教会にとって約120年ぶりのロシア人司祭で、ニコライ司祭は「教会として人間の心を明るくすることはもちろん、社会的使命として多くの市民と話をするなど、地域とのつながりを大切にしたい」と抱負を述べた。

 同教会は幕末の1858年にロシア領事館の付属聖堂として開設されたのが始まり。同教会によると、61年に3代目司祭のニコライ・カサートキンが着任し、72(明治5)年に東京へ移った後、何人かのロシア人が司祭を務め、明治時代中ごろからは日本人がその任に当たってきた。前任の馬場登・長司祭が勇退。ニコライ司祭は東京・神田のニコライ堂や神戸ハリストス正教会の司祭を経て着任した。

 西尾市長が「神田のニコライ堂にはかつて、ロシア語を学ぶ学校があり、今は函館にロシア極東大の分校がある」と述べ、函館とロシアの長い友好関係を説明。ニコライ司祭は「2011年がニコライ来函150年に当たり、大きな行事を企画している。ロシア側からも多くの出席を実現させたい」と述べた。

 妻の瞳さんも「ロシアの合唱を市民に普及させたい。何か取り掛かりとなる機会はないか」と質問。市長は「市内に多くの合唱団があり、そうした団体と交流しながら良さを知っていただければ。市や教育委員会に問い合わせてください」と述べ、協力を惜しまない考えを伝えた。(高柳 謙)


◎「開港5都市まちづくり会議」専用HP完成
 10月10日から3日間にわたって函館市内で開かれる市民団体交流イベント「開港5都市景観まちづくり会議函館大会」(実行委主催)の専用ホームページ(HP)の運用が、このほど始まった。トップページは函館の魚・イカや、同市南茅部地区で出土した道内初の国宝「中空土偶」など、函館らしさを意識したデザインとなっている。(浜田孝輔)

 トップページは実行委(落合治彦委員長)事務局の市都市デザイン課の職員が手書きで制作した。

 HP内では3日間のスケジュールを紹介。初日は函館国際ホテル(大手町5)での全体会議(入場無料)、西部地区の飲食店15店舗程度の飲み歩きを楽しめる「ミニバル街体験」(参加費2000円、定員150人)が予定されている。

 2日目は分科会として西部地区などをボランティアガイドと巡る「函館のいま・むかしに触れる」と旧4町村に行くバスツアー「函館新発見」(いずれも参加費2000円、定員50人)、同ホテルで豪華な料理を堪能できる「ウエルカムパーティー」(参加費6000円、定員120人)、最終日は同ホテルで全体会議(入場無料)が行われる。

 いずれも事前の申し込みが必要で、一般市民も参加できる。問い合わせ、申し込みは同課TEL0138・21・3388。HPアドレスは、http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/toshiken/design/kaiko/index.htm


◎19日開幕の江差追分全国大会 “大合唱”に子供40人
 【江差】19日に開幕する第46回江差追分全国大会(主催・江差追分会など)では、町内外で江差追分を学ぶ3歳から高校生まで約40人が出演する“江差追分大合唱”などのアトラクションが、昨年に引き続きプログラムに盛り込まれた。同会事務局は「江差追分を真剣に学ぶ子供たちに心から声援を」としている。

 子供たちが主役となるアトラクションは、昨年の第45回記念大会で「子供たちに発表の場を提供することで練習の励みにしてほしい」として大会史上初めて行われた。子供たちの真剣なまなざしは来場者の感動を呼び、本年も継続開催が決まった。

 子供たちが出演するアトラクションは大会2日目の20日午後8時半に開幕する。全員による大合唱をはじめ、年代別に発表を行う。出演者の最年少は東来希君(3)で、姉の美羽音ちゃん(5)とともに江差追分特有の合いの手を入れる「ソイがけ」を務める。選択科目で江差追分の授業がある道立江差高校からも生徒5人が出演する。

 町文化会館(茂尻町71)で開かれる大会は一般・熟年・少年の3大会で構成。国内外から出場する402人が“追分日本一”を目指して自慢ののどを競う。19、20の両日は予選会。21日は少年大会、熟年・一般の順で決選会を行う。決選会の入場券を兼ねるプログラムは同会館と江差追分会館(中歌町193の3)で販売中。前売り2000円、当日2300円。問い合わせは江差追分会事務局TEL0139・52・5555。(松浦 純)


◎「北海道を包む」展が始まる
 商品の高付加価値化につなげる包装デザインの作品を集めた「『北海道を包む』展」(日本パッケージデザイン協会主催)が10日、函館市地域交流まちづくりセンタ―(末広町4)で始まった。これまでの商品包装の概念にとらわれない、斬新な色づかいや形状の作品が来場者の目を引いている。16日まで。

 道内では札幌、帯広、旭川に次いで4カ所目の開催。「北海道産の自由な素材」「道産米」をテーマに、道内外のデザイナー・学生が手掛けた作品29点が並ぶ。

 コメでは5銘柄を1合ごとに連結した紙袋に小分けしたものや、立方体を斜めに傾けた入れ物、雪だるま型の袋などさまざま。カラフルな牛乳パックに入れた空気、ホッキめし入りの貝殻をわらでつなげたもの、百科事典に納めたジャムといったユニークな作風が遊び心をかき立てている。

 時間は午前9時―午後9時で、最終日は午後4時まで。同展実行委の角本大弘委員(パディック社長)は「イメージの異なる作品を眺めながら、デザインの大切さを感じ取ってほしい」と話していた。(浜田孝輔)