2008年9月12日(金)掲載

◎5日連続夏日も山モミジ色づく
 11日の本道は引き続き高気圧に覆われ、道南各地は好天に恵まれた。函館市の最高気温は25・1度で、7日以来5日連続の夏日となった。ただ、朝の最低気温は下がっており、七飯町の大沼国定公園では、JR大沼公園駅付近にある山モミジの葉が赤く色づき始めた。自然公園財団大沼支部によると、この木は毎年早く紅葉し、大沼に秋の訪れを告げるという。

 函館海洋気象台によると、9月上旬(1―10日)の函館は、晴れの日が多かった影響で気温は高くなり、平均気温は21・4度で、平年より1・7度高く、ことしの8月中旬(11―20日)の20・9度を上回った。日照時間は60・3時間(平年48・0時間)、降水量は2・5ミリ(同73・2ミリ)だった。

 本道で気温の高い日はしばらく続く見込み。札幌管区気象台は、16日ごろから約1週間の気温が平年よりかなり高くなるとして、異常天候早期警戒情報を発表し、農作物の管理などに注意を呼び掛けている。(山崎純一)


◎国際貿易センター問題/西尾市長がもみ消し?
 社員が告発、市長否定
 函館市が出資する第三セクター、函館国際貿易センター(社長・谷沢広副市長)の不正経理問題で、同社の社員が西尾正範市長から「裏金をつくるのは商社では常識」などと、問題のもみ消しとも取れる電話を受けていたことが11日分かった。西尾市長は電話を掛けた事実は認めたが、「貿易センターは函館にとって大事な組織であり、会社の利益を守ることの大切さを伝えただけ」とし、もみ消しの意図を全面否定している。

 この問題では、同社の専務が出張時の領収書を偽造し、同社が確認した1件について7月14日付で減給20%、3カ月の懲戒処分を受けている。専務はサハリンへの出張時、無料で乗れたチャーター便の運賃を別会計に入れて裏金化していたことも、2日の市議会経済建設常任委員会で福島恭二氏(民主・市民ネット)が明らかにした。

 社員によると、西尾市長から7月25日に電話があり、「専務がいなければ会社は成り立たず、会社存続が最優先。商社では裏金を使い、しのぎを削って営業するのは常識」などと言われ、「この電話で話したことは他言無用だ」と言われたという。

 これに対し、西尾市長は報道陣の質問に「電話はしたが、そのようなことは一切言っておらず、悪意に満ちている」と反論。専務が対サハリン貿易を個人で始め、その後に協同組合、第三セクターとなった経緯などを説明した。

 谷沢副市長は非常勤の社長で、西尾市長は会社が下した懲戒処分などについて「谷沢さんが社長として下した処分。副市長であっても会社では社長で、市長が関与すれば介入になる」と述べた。

 11日の市議会一般質問でも志賀谷隆氏(公明党)が一連の問題を追及。市議会の答弁をテレビで視聴していた社員が「私が知っている事実と全く違う。このままでは、仕事を好きで頑張っている若手社員が報われない」として、電話内容などを明らかにした。(浜田孝輔、高柳 謙)


◎支庁再編、4月実施に赤信号
 【江差】衆院の解散・総選挙が現実味を帯びる中、道が支庁再編の前提とする年内の公職選挙法改正は実現が難しくなり、高橋はるみ知事が目指す来年4月の支庁再編にも“赤信号”が点灯している。政権奪取を目指す民主党北海道(鉢呂吉雄代表)は、支庁制度問題を選挙戦の争点に掲げて、自民・公明両党や高橋はるみ知事への攻勢を強める構えを示しており、支庁再編をめぐる情勢は混迷の度を深めている。(松浦 純)

 道は現行14支庁を9総合振興局(支庁)に削減するが、現行の支庁所管区域と都市部からなる48の道議選挙区(定数106)は温存することで、道議会自民党などと合意している。選挙区を支庁単位と定める公選法を改正しなければ、桧山管内など支庁が振興局(支庁出張所)に格下げとなる地域では、渡島管内など統合先の支庁所管区域に選挙区が自動的に合区されてしまう。

 6月の定例道議会で可決された支庁再編条例は付則で「知事は総合振興局と振興局の所管区域、道議会議員選挙区の選挙区との整合性に配慮しなければならない」としており、法改正を経なければ支庁再編条例は施行できない状況だ。

 道と公選法改正を協議してきた総務省は、12日に召集予定だった臨時国会に法案を提出する方針だった。ところが、福田康夫首相の突然の辞意表明に伴い召集は延期。衆院の解散・総選挙が確実視されるため、法案が国会に提出されるのは、年明けの通常国会以降にずれ込む見通しで、道が求めていた年内の法改正は絶望的な状況。衆院選の結果にかかわらず、野党が過半数を占める参院では、支庁再編に反対する民主党が法案の否決も示唆。法案が可決される見通しが全く立たないため、来年4月の支庁再編は延期を余儀なくされる可能性が濃厚となっている。

 9日開会の定例道議会でも民主党など野党が道の対応をただす方針。民主党北海道は衆院選で有権者に提示するローカル・マニフェスト(公約集)に、支庁再編の見直しを盛り込むことも検討している。支庁問題を選挙戦の争点に掲げることで、自民・公明両党が支持する高橋知事への攻勢も強める構えだ。

 一方、桧山管内など支庁廃止地域では、自民党の支部役員が支庁再編に抗議して辞任したり選挙への非協力を表明。自民党関係者は「選挙態勢が組めない。知事とにらみ合いを続ける首長や議員も動けない」とし、国政選挙で保守系候補を支持してきた町村長と知事の関係修復が進まないことに、いら立ちを深めている。


◎福島町出身・芳賀愛美さん 札幌でヨガ教室を展開
 【福島】福島町出身で現在、札幌を拠点にヨガ教室を主宰する芳賀愛美さん(30)がこのほど、福島町で開かれた健康フェスティバルに講師として招かれた。町民に柔軟運動の基礎を披露し、健康の大切さを伝え、愛らしい笑顔で人気を集めた。将来有望な駅伝選手として中学時代まで福島で過ごし、「ランナーとして頑張りたい」との夢を追い、古里を旅立ってから15年―。けがに泣かされ、スランプに悩むことも多かったが、「心と体のバランスが崩れそうなときに、助けてくれたのがヨガだった。この魅力を伝えることが今のわたしの夢」と情熱を燃やす。(田中陽介)

 福島中学校で本格的に陸上競技に取り組み、長距離選手として才能を開花。高校は特待生で陸上の名門、室蘭大谷(室蘭市)へ進み、急な上り坂の走り込みや合宿などでスタミナをつけ、2年時には道代表選手として全国大会にも出場した。社会人ではホクレン女子陸上部(札幌市)に所属。実業団選手として21歳まで選手生活を送った。

 実業団時代は厳しい練習や記録のことで心身ともに不安定な日が続いたという。「学生時代は楽しみながら走っていたが、実業団からはプロ意識で走るため、無理をしてでも頑張ろうと毎日がプレッシャーだった」と振り返る。

 厳しい練習で両足のかかとを損傷。三重県の名医を頼って手術も受けた。リハビリとグラウンドに立てない焦りから、日に日にストレスはたまるばかりだった。

 そうした中、リハビリとしてヨガを体験し、体のゆがみの矯正で健康も回復。「気軽に出来る運動で、体とともにどんどん気持ちがほぐれ、やさしい気持ちも自然に生まれてきた」という。当時、健康ヨガ教室の普及はあまり進んでおらず、「複雑なポーズを取るのがヨガ」と見られていたが、心地良い汗を流すうちに、「この素晴らしさを多くの人に伝えたい」と考えるようになった。

 24歳で一念発起し、ランナー生活と決別、スポーツクラブに勤務した。ヨガの勉強を重ね、26歳でフリーインストラクターになった。現在、札幌ではヨガスタジオやスポーツクラブ、病院で指導に当たる。「リラックスして、自分の体に相談しながら無理をしないで」という指導法が好評で、後志管内余市町でも毎週1回教室を開いている。

 古里・福島での指導は昨年に続き2度目。「前回に来てくれたメンバーから『ことしも楽しみに待ってたよ』『あれから体が調子良くて』と声を掛けられたのがうれしかった」とほほ笑み、「将来は古里で本格的に教室を持ちたい。福島の皆さんにも健康をはぐくむヨガの効果を味わってほしい」と夢を膨らませている。


◎自民党8区候補者選考「前田氏説得に努力」
 自民党衆院道8区支部(今津寛暫定支部長)の候補者選考委員会(川尻秀之委員長)は11日、函館市内のホテルで幹事会を開き、前田一男松前町長(42)への出馬受諾に向け、最後の努力をすることを報告した。川尻委員長は「党本部の上層部からも前田さんに働き掛けている。時間は一両日中で、仮に受けてもらえなかった場合は選考作業を振り出しに戻す」と語った。

 会議は非公開で行われた。川尻委員長によると、前回8月2日の幹事会で候補者を前田氏に絞り、これまで4回ほど前田氏と会って出馬と支部長就任を打診してきた。

 ただ、前田氏は4月に2選を果たしたばかりで難色を示しているという。川尻委員長は「前田さん自身は地元や地域、町民の皆さんに一番気持ちを寄せている。大事なことではあるが、そこを何とか考え直し、高所に立った判断を願いたい。それも地域への還元ではないか」と語った。

 また「不戦敗はしない」と強調し、民主党と比較し選挙態勢が出遅れていることについては「必勝体制で先頭を切って頑張る。私自身は行司だから出馬することはないが、仕切り直しにならないよう努める」と述べた。(高柳 謙)


◎森町議会で阿部副町長/入札選考委・議事録偽造「町民の判断仰ぐ」
 【森】森町発注の町消防防災センターの建設工事をめぐる官製談合事件で、競売入札妨害(談合)容疑で逮捕、起訴された湊美喜夫被告(79)の町長辞職後初の定例会が11日、開かれた。町が入札の指名選考委を開かず、議事録を偽造するなどしていたことについて、阿部真次副町長は「行政的責任を感じる」としながらも、「過去の慣行。自身の名誉と潔白を示すため、来るべき選挙で町民の判断を待つ」と公の場で町長選出馬の意思を示した。

 黒田勝幸氏が一般質問で、同選考委員長を務める阿部副町長の責任をただした。

 阿部副町長は議事録の偽造などについて「湊前町長の指示でも、私の指示でもない」と否定。黒田氏が「選考委自体が形骸(けいがい)化している。町長選出馬の意向を示しているが、責任をはっきりさせては」としたのに対し、阿部副町長は「自身も名誉潔白を示すため、言葉や説明で納得してもらえるか町民の判断を待つばかり。(出馬は)町民の判断を仰ぐための決断」と述べた。


◎「麺家華月」 札幌のラーメン祭りに出店
 札幌市内の大通公園で19日から開かれる「HOKKAIDOラーメン祭り2008inさっぽろ」(実行委主催)の参加店に、函館市内からラーメン店「麺家 華月(めんやかつき)」(桔梗2、堀田泰隆店長)が選ばれた。23日までの5日間出店し、自慢の函館塩ラーメンを道内外から集まる来場者に提供する。

 ラーメン祭りは道産小麦をはじめとする道産食材の普及を目的に、一昨年から道産小麦100%のめんを使用したイベントとして始まり、ことしで3回目。

 10月5日までの17日間開かれる「北海道・札幌の食」をメーンテーマとしたイベント「さっぽろオータムフェスト2008」の一環で、3期に分けて道内のラーメン店が5、6店ずつ出店し、地域性や季節感を生かしたメニューを提供する。

 同店は昨年11月、国道5号沿いにオープンし、塩やみそ味が人気の店。提供する塩ラーメンは、2種類の道産小麦をブレンドした中太縮れめん、具材にも道産食材を使用する。透き通った黄金色のスープに、軟らかく煮て肉本来のうま味を閉じ込めたチャーシューや細切り長ネギを加え、あっさりとしていながらコクのある味を特色に函館ラーメンを売り込む。

 堀田店長は「昔ながらのあっさりラーメンを現代風にアレンジした、老若男女が親しめる今までにない塩ラーメンです。全国から来るお客さんに味わってもらいたい」と意気込んでいる。(宮木佳奈美)