2008年9月14日(日)掲載

◎70歳以上無料撮影 伝統サービス40年…美原の写真館「写楽館」谷杉アキラさん
 「記念の1枚を残しませんか」―。函館市美原3の写真館「フォトスタジオ・タニスギ『写楽館』」(谷杉アキラ代表)は、敬老の日に合わせて70歳以上の高齢者を対象にした無料の写真撮影を13日から開始した。谷杉さん(40)の父の代から40年間続く恒例のサービスで、ことしも15日まで実施する。谷杉さんは「毎年、元気で来てくれる人たちがいることがうれしい」と話し、ファインダー越しに最高の笑顔を引き出す。

 同館は谷杉さんの祖父の代から3代続く写真館で、2005年6月に市内本町から現在地に店舗を移転。谷杉さんが「写真をもっと楽しんでほしい」と「写楽館」と名付けた。訪れる客は年齢も性別も、目的もさまざまだが、父の代から20年以上、撮影を続けている家族もいるという。

 高齢者の無料撮影サービスは、約40年前に父、故晃一さんが考案。20歳で父親を亡くし店を継いだ晃一さんが、客として訪れるお年寄りの姿に父親を重ね「高齢世代の人たちへの恩返しを」と、無料撮影を始めたという。谷杉さんに店が受け継がれた現在も、伝統のサービスとして途切れることなく続いている。

 この日、84歳になる母親を連れて同館を訪れた市内の女性は「毎年楽しみに来ています。今年も元気で来ることができて良かった」と話していた。谷杉さんは「『うちの写真館は縁起がいいから、写真を撮るとしばらくは長生きするよ』と声を掛けている。また来年、元気な顔をみせてほしいね」と話していた。

 無料サービスは70歳以上が対象。サイズは手札判(8?×12センチ)。60歳以上70歳未満は有料(キャビネ判、3000円)。家族と一緒の撮影も可能。営業時間は午前10時から午後6時まで。問い合わせはTEL0138・46・4554。(今井正一)


◎環境や世界史の視点から考える…「縄文」テーマ フォーラム
 「2008函館縄文・環境フォーラム」(NPO法人函館市埋蔵文化財事業団主催)が13日、函館市中央図書館で開かれた。約160人が来場。「縄文文化から地球環境を見つめ未来の函館を考える」のテーマで、基調講演やパネルディスカッションが行われた。

 基調講演では、国際日本文化研究センター教授の安田喜憲氏が「環境考古学から見た世界の文明」と題して講演。パネルディスカッションは「世界史のなかの縄文文化」をテーマに、ベルリン自由大学教授のパベル・タラソフ氏、ドイツ考古学研究所ユーラシア部副部長のマイケ・ワグナー氏、青森県三内丸山保存活用推進室長の岡田康博氏、函館市教育委員会生涯学習部参事の阿部千春氏の4氏が発言した。

 パネルディスカッションでタラソフ氏は、世界的な気候変動への見方を紹介。ワグナー氏は、世界各地で定住生活などを開始した時期が異なることを示し、「違いのある理由を解明したい」と課題を示した。

 三内丸山遺跡について岡田氏は「人が居住することによりブナやドングリの木がクリに変わり、土地の乾燥や汚染化が進んだ」と環境への影響を指摘。「村の中には森はなかったのではないか」とした。阿部氏は南茅部地区で発掘された遺物から、当時の食料について「クルミなども食べたが、サケやオットセイ、イルカ、マグロなどの魚介類や海獣などに集中していた」と述べた。(小泉まや)


◎童謡コンクール 小林さん全国へ…伸びやかな歌声評価
 このほど札幌市で開かれた「第23回全国童謡歌唱コンクール北海道ブロック大会」(日本童謡協会、テレビ朝日、北海道テレビ主催)で、函館市東山の道教育大附属函館小学校5年の小林実央(みお)さんが子ども部門の最優秀賞を受賞し、11月3日に東京・五反田で全国7ブロックの代表者が集まるグランプリ決勝大会への出場を決めた。「緊張したけど、いつも通り歌えた」と喜ぶ小林さんに、周囲からも期待が寄せられている。

 小林さんは、妹で同4年の奏美(かなみ)さんとともに、2年前から自宅近くにある声楽家、石丸典子さんの教室で週1回学んでいる。石丸さんは実央さんを「豊かな音量で声の質も良く、素直に勢い良く歌う」と評価する。

 同コンクールには姉妹で応募。実央さんは「そらでえんそくしてみたい」(悠木一政作詞、早川史郎作曲)を選び挑戦。曲の後半に高い音があり、力まず、少し体を動かして声を出す練習を積み重ね、伸びやかに歌うようにしてきた。テープ審査をそろって通過し、道ブロック大会に初出場した。

 子ども部門の出場者は7人で、そのうち函館から6人、妹もそばで見守っている。石丸さんは「2人一緒で居られ、普段と同じ雰囲気だったことは大きい」と話し、奏美さんも「顔は緊張していたが、声はいつものお姉ちゃんだった」と振り返る。実央さんは「ステージに上がった瞬間は心臓がばくばくしていたが、歌い始めたら緊張が飛んだ」と話す。練習通りの歌声を披露し、見事、最優秀賞に輝いた。実央さんは「受賞はびっくりした。東京で歌うのが楽しみ」と笑顔。

 道ブロック大会はプロの伴奏だったが、グランプリ決勝大会は奏美さんが伴奏する。実央さんは「妹のピアノで気持ちよく歌える」と張り切り、奏美さんも「東京で演奏することが楽しみ」と話す。石丸さんは「2人ともメンタル面での心配はなく、いつもの実央ちゃんで歌ってくれると思う」と期待を寄せている。

 道ブロック大会では、子ども部門で寺井りりかさん、ファミリー部門で油川ファミリー(倫子さん、紗葵さん)がそれぞれ優秀賞を受賞した。グランプリ決勝大会ではこれまで、2003年の子ども部門で、当時、道立函館盲学校中学部1年の池田サラジェーンさん、1987年に大人部門で石丸さんが金賞に輝いている。ことしの全国のブロック大会の模様はCS放送「テレ朝チャンネル」で10月11、12日に放送予定。(山崎純一)


◎新幹線をに関心持って 副読本や絵画展…函館市が小学生への啓発事業
 北海道新幹線新函館―新青森の2015年度開業に向け、函館市は小学生を対象に新幹線や科学に対する理解を深める取り組みを進めている。新函館開業のころ、現在の高学年は進学などで新幹線を利用する機会が多くなることを見通しての啓発事業だ。

 今春には新幹線副読本を作製し、市内の小学5年生に配布した。道教大付属小学校では副読本を使った出前授業も行い、担当職員が道新幹線の概要や、二酸化炭素排出量が少なく環境にやさしい乗り物であることなどを説明した。市新幹線対策室は「要望があれば随時、出前授業をして、理解や関心を深めてもらいたい」と話す。

 同小を対象に絵画作品展を開催。市内各小学校に夏休み中の課題として、子供たちに新幹線に関する絵画や工作の協力を求め、13日からは市中央図書館で作品展が始まった。

 また、道教大函館校の協力を得て「子ども実験教室〜新幹線のしくみを学ぼう」も、8月23日から9月20日までの毎週土曜日に開いている。大学院生や松浦俊彦准教授が理科実験を通して新幹線の仕組みを教えている。

 同室は「新幹線と言っても言葉だけで具体的なイメージが浮かんでこない。さまざまな取り組みを通して子供のころから新幹線や科学について理解や関心を深める取り組みを続けたい」と話している。 (高柳 謙)


◎大学生が「市議体験」…函教大生がインターンシップ
 道教大函館校3年生の今井英典さん(20)と田村祐輔さん(20)が、見付宗弥函館市議(39)の下で、インターンシップ(就業体験)に臨んでいる。2人は8月の開始以来、見付市議の支持者へのあいさつ回りに同行したり、イベントの手伝いに取り組んできたほか、8日に開会した第3回定例市議会を傍聴するなど、市政の現場を見つめている。

 NPO法人ドットジェイピー(東京)が、学生の政治に対する関心を高めようと、「議員インターンシッププログラム」と題して、毎年春(2―3月)と夏(8―9月)の2回実施。道内では2003年の春から始まり、函館での受け入れは見付市議が初めてとなる。

 参加前の政治に対する印象について、今井さんは「テレビの中の世界で、自分には縁遠い存在と思っていた」、田村さんは「興味はあったが、議員の人がどんな仕事をしているのかわからなかった」とそれぞれ語る。しかし、間もなく始まる就職活動に向けて、「社会勉強の一環」(今井さん)、「人と違う先でインターンシップを体験したかった」(田村さん)との理由で参加を決意した。

 これまでに2人が取り組んだのは、関係各所へのあいさつ回りをはじめ、見付市議が所属する団体主催の会合出席、イベントのスタッフ参加、草刈りのほか、町会の資源回収にも励んだ。市議会の傍聴には、すでに3回足を運んでいる。

 見付市議は「政治家に対して抱くイメージとギャップがあるのではと思い、学生の期待に沿えるか最初は疑問だった。はつらつさやさわやかさを見ていると自分の若いころを思い出すようで、少しでも政治に興味を持ってもらえれば」と期待する。

 インターンシップも残すところ半月。今井さんは「市民の話を聞いて、優先すべき要望を順序付けて取り組んでいく議員の仕事は大変と感じた。この教訓を生かして、選挙では候補者の考えを見極めた上で一票を投じてみたい」、田村さんは「市民の意見を市政に反映させるという真摯(しんし)な姿を見習って、やりがいと充実感を味わえる仕事に就いてみたい」と夢を膨らませている。(浜田孝輔)


◎海洋都市構想推進費に役立てて 函館市に100万円寄付…特産食品工業協同組合50周年記念式典
 函館特産食品工業協同組合(石尾清広理事長)の創立50周年式典が12日、ホテル函館ロイヤル(函館市大森町16)で開かれた。式典の中で、同組合から函館国際水産・海洋都市構想推進費として函館市に100万円が寄付された。寄付金を受け取った西尾正範函館市長は「組合員の皆さまからの貴重なご寄付を、事業推進のために大切に活用していきたい」と感謝を表した。

  同組合は1958年に発足し、地元で水揚げされるイカなどの豊富な海産物を利用した珍味加工製品の開発に取り組み、多種多様な製品を全国に発信。現在は58社の水産加工企業が所属している。

 式典では石尾理事長から西尾市長に寄付金が贈呈され、西尾市長からは石尾理事長に感謝状が渡された。西尾市長は「函館にとって珍味加工は観光と並ぶ一大基幹産業。今後も函館ブランドの強化に向けて、市と一緒に取り組んでいこう」と祝辞を贈った。

 石尾理事長は「大先輩の努力と多くの企業の協力によってここまで支えられてきた。50年後、100年後に向けて、今後も函館の産業がさらに発展するように新たな挑戦に積極的に取り組んでいきたい」と話していた。(小川俊之)