2008年9月17日(水)掲載

◎町有志が製作、コンブ神社
 【福島】福島町福島の福島大神宮第17代宮司に就任した常磐井武典さん(34)の門出を祝い、5月に急逝した武典さんの父で先代宮司、武宮氏の地域貢献の功績をたたえようと、町民有志がこのほど、特産のマコンブで同神宮の模型を製作し、奉納した。「福島よろこんぶ大神宮」と命名。武典さんは「立派な神社。氏子の皆さんとともに大事にしたい。宮司になりたてで分からないことばかりだが、このコンブ神社を励みに、地域住民とともにまちづくりに汗を流していきたい」と話している。

 コンブ神社は高さ1メートル、横幅、奥行きともに70センチで、同神宮の本殿と鳥居を再現。階段や窓枠を忠実に仕立て、屋根や手すりにコンブを丁寧に張り付けた。本殿内部には小型テレビが組み込まれ、武宮氏が郷土の発展に奔走した様子、武宮氏を慕う子どもから年配者までの福島町松前神楽保存会の神事を観賞することができる。

 特産品を材料にものづくりで古里の魅力を伝える町日向の鉄工所社長鳴海健児さん(68)が約1カ月掛けて仕上げた。電気配線は町白符の木田正隆さん(60)、ビデオ編集は町福島の金谷奉宏さん(65)、アイデアは町三岳の中塚徹朗・中塚建設社長(50)が担当した。

 鳴海さんと中塚さんが代表して作品を同神宮に運び込み、武典さんに手渡した。2人は町内の建具関係者らも製作に賛同し、協力してくれたことを伝え、「宮司の仕事に就いたばかりで、不安はあると思うが、わたしたち町民が応援するから大丈夫。頑張って」と激励した。

 コンブ神社は同神宮社務所の内玄関に置かれ、来客時にはセンサーが反応し、松前神楽の映像と音楽が流れる仕組みになっている。「コンブ独特の色具合がいい」「福島を盛り上げるすてきな神社が増えた」と、早速拝殿する町民の姿が見られた。(田中陽介)


◎前田氏擁立を断念…次期衆院選8区で自民
 自民党衆院道8区支部(今津寛暫定支部長)と8区候補者選考委員会(川尻秀之委員長)は16日、前田一男松前町長(42)の次期衆院選候補擁立を断念した。前田氏が固辞し、川尻委員長も「断念せざるを得ない」と語った。自民党の候補者選考は振り出しに戻り、8区幹事長として川尻氏の責任論も浮上している。ただ川尻氏(63)は出馬に否定的で、どう判断するかが注目される。 (高柳 謙)

 前田氏は16日、函館新聞社の取材に対し「以前からお話してきた通り、今は与えられた仕事(町政)に専念したい。8区に保守系の政治家を置くことは地域の発展からも不可欠で、首長として役割があれば支援していきたい」と述べた。

 関係者によると、前道議の長谷秀之氏(49)=北斗市区=を擁立する動きがあるが、川尻氏は同日、本紙に対し「長谷氏への出馬要請はないし、私の出馬を促す声もない」と述べた。地元の政界関係者は「流れはおのずと、8区ナンバー2の川尻氏の責任論に向かうが、それも困難だろう」と語る。過去2回に続き、保守系無所属で出馬の準備を進めている佐藤健治氏(51)との保守一本化が、現時点で図られる見通しがないためだ。

 ことし3月の前支部長辞任から半年。早々に候補者選考委員会を立ち上げたが、曲折を経て候補が決まらない。一方で衆院の解散・総選挙は「いつあってもおかしくない」と各政党関係者は声をそろえる。関係者からは「前田氏にしろ川尻氏にしろ、佐藤氏の出馬を断念させて初めて出る、出ないの話が進む。最初から順番を間違えている」との指摘がある。

 今後、自民党本部が候補者を下ろしてくる可能性もあるが、「仮に知名度があっても、選挙をするのは函館市民」(企業経営者)との声もあり、地元に縁のある候補を望む空気が濃い。

 8区候補者選考委員会は20日、函館市内のホテルで全体会議を開き、対応を協議する。


◎市長「複数の改ざん」…貿易センター不正経理問題
 函館市出資の第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)の不正経理問題をめぐり、市議会で16日、志賀谷隆氏(公明党)が緊急質問を行い、西尾正範市長は、これまでに確認できているとしてきた1件の領収書改ざんが複数件に及ぶことを認めた。志賀谷氏は「真相解明が必要」とし、地方自治法100条に基づく百条委員会の設置を求めていく考えを示した。

 同社専務が行った領収書の改ざんについて、西尾市長は「疑わしいものをすべて持ってくるよう社長が指示したところ、他に16件が示された」とし、「専務は何件かを認めているが、否定しているものもあると聞いている」と述べた。

 志賀谷氏は、専務がしていることは、西尾市長が何よりも批判する「私物化」であると指摘。問題発覚から2カ月を経過しても、税理士事務所や税務署に依頼した調査報告が出ていないことから、疑わしい領収書などを議会に提出するよう求めた。

 西尾市長は議会への提出は難しいとの考えを示し、「会社の(函館に果たす)重要性とこれまでの実績を考えると、市に与える影響は大きく、全容解明をした上で判断を決めなければならないことを理解してほしい」と繰り返した。

 一方、社員(市出向職員)の証言で、税務署調査官が同社を訪問する前、市長が口利きとも取れる電話をしたとされているが、市が調査した結果、市長の携帯電話や市秘書課の発信記録などから、市長が税務署に電話した事実は認められないことが示された。

 社員の証言で、西尾市長が社員に電話で「会社の存続が最優先。商社では裏金をつくるのは常識」などともみ消しとも取れる内容を伝えたことについて、市長は「事態の重大性を伝える目的だった」と説明。志賀谷氏は「通話は約30分にも及び、市長による介入だ」と批判した。(浜田孝輔)


◎高橋知事が出席検討…江差追分全国大会
 【江差】19日に開幕する第46回江差追分全国大会(江差追分会など主催)に、高橋はるみ知事が出席を検討していることが16日までに分かった。大会への知事の出席は極めて異例。来年4月実施予定の支庁制度改革に向けて、桧山支庁の統廃合に根強く反発する江差町など地方との対話姿勢をアピールする狙いがあるとみられる。

 出席が実現すれば、高橋知事の江差入りは「地域づくり推進会議」(道主催)が開かれた昨年5月以来となる。

 関係者によると、高橋知事は、開会中の第3回定例道議会が週末の20、21日は休会となるため、21日にも江差入りする方向で調整しているという。知事サイドはこれまでも再三、高橋知事の江差入りなどを打診してきたが、支庁再編の強行に抗議する濱谷一治江差町長は一貫して拒否。同じ支庁廃止地域の根室市と日高管内浦河町でも、直接訪問が実現する見通しは立っていない。

 江差追分会会長の江差町長が大会長を務める全国大会では、知事が名誉大会長を務めるが、桧山支庁長らの代理出席が恒例。江差町の関係者は「対話再開の環境にはない」として、大会期間中に支庁問題をめぐる直接対話は困難との見通しを示している。(松浦 純)


◎ネットオークションで詐欺計画…男子高校生3人逮捕
 函館中央署は16日までに、インターネットオークションを利用した詐欺を計画し、架空の銀行口座などを開設したとして、函館ラ・サール高校(函館市)3年の男子生徒3人(いずれも17歳)を有印公文書偽造、同私文書偽造、同行使の疑いで逮捕し、函館地検に送致した。

 調べによると、3人は4月中旬ごろ、同級生名義の住民票を取得し、パソコンで架空の氏名や生年月日、実在する住所などに改ざんした住民票を作成し、5月下旬にインターネット専用の銀行に口座を開設。さらに、5月から6月にかけて、キャッシュカードなどを手に入れるため、架空の名義人に届く郵便物を郵便局の留め置きにしようと、実際には存在しない会社の社員証を作り、郵便局に偽造の不在届を提出した疑い。

 3人は、万引きしたテレビゲーム機やノートパソコンなどをインターネットオークションに商品として出品し、販売代金をだまし取ろうと計画。振込先の口座などから身元が発覚するのを恐れ、周到な準備をしていたとみられる。

 7月中旬ごろ、男子生徒の親が不審に思い、生徒を追及したところ計画が発覚。学校を通じて警察に相談があり、同署が裏付け捜査を進めていた。調べに対し、3人のうち2人は「金をもうけたかった」と大筋で容疑を認めているという。

 同校は「7月に学校だけでは対処できないと判断し、警察に相談し、3人の無期停学処分を解除したばかり。(逮捕されたのは)遺憾で、大変驚いている」としている。


◎芸術 プロが手ほどき…尾札部中が知恵の予算活用し外部講師招く
 函館尾札部中学校(青木昌史校長、生徒114人)は本年度、美術と書道の専門家2人を外部講師として授業に招いている。函館市教委が各校の特色ある取り組みに対して資金助成する独自事業「知恵の予算」を活用し、子どもの感性を育てようと、本年度から初めて実施。現在、生徒らは芸術の“プロ”に教わりながら、学校祭で発表する作品づくりに励んでいる。

 同校は小規模校で、美術や書道などの専門教員がいないため、他教科の教員が受け持っている。こうした状況から地元の人材を活用して、より専門的な授業を行おうと企画した。

 講師は、中学校教員を退職後、函館で絵画教室を主宰する丸山恵三さん(七飯町在住)と、日本習字教育財団磨光支部長として尾札部で書道教室を開く河合圭子さん(55)。

 初年度は試験的に2学期から4回にわたり活動を開始。全校生徒は学祭テーマの「ラブ&ピース」に沿った作品づくりに取り組んでいる。

 16日に行われた3年A組の美術の授業では、丸山さんが生徒に色の塗り方や筆の使い方を丁寧に教えていた。丸山さんは「文字を入れず、形と色彩だけのポスターでどうテーマを表現するかがポイント。生徒は皆一生懸命だ」と説明。同組の斉藤このみさん(14)は「色の三原色など初めて聞く言葉もあって勉強になった」と話した。

 河合さんは同日、1年A組でテーマから連想する一文字を色紙に書く授業を行い、「子どもらは字を書くことに集中していた」と語った。同組の蛯谷真子さん(13)は「ハネやトメなど細かい所を教えてくれる。良い経験になった」と笑顔を見せた。

 全校生徒のポスターと書道作品約230点は27日の学校祭で校内に展示する。青木校長は「各教科の担当教員にとっても自己研修の機会になる。この成果を生かし、来年度以降の継続も検討したい」と話している。(新目七恵)


◎教室に笑い声 高校時代よみがえる…還暦迎えた旧東高生 当時の教諭が授業
 1967年に卒業した旧函館東高校17回生50人が15日、市立函館高校で在学当時の教諭から約40年ぶりに授業を受けた。懐かしい顔ぶれがそろい、高校時代にタイムスリップした“生徒”たちが笑い声の絶えない楽しい時間を過ごした。

 17回生でつくる同期会「東高十七の会」(西村貞夫会長)がことし還暦を迎えるのを記念し、「原点に返り、当時を思い起こそう」と当時の教諭による「思い出授業」を企画。旧函館北高との統合で「東高」の名前はないが、市立函館高校の校舎を母校として借り、同期生でもある同校の森武校長も出席した。

 この日は当時の国語教諭天野暉彦さん(74)、英語教諭田中久さん(73)がそれぞれ15分ずつ授業を展開。天野元教諭が古代語の母音について説明すると、生徒から「それ試験に出るの?」などとジョークが飛び交い、終始和やかなムードだった。

 田中元教諭は「みんなは実に生き生きしていて60歳に見えない。君たちにこの言葉を送りたい」と話し、「青春とは人生のある時期をいうのではなく、心の様相である」と英語で黒板に記した。

 東京から同期会に駆け付けた会社員の花岡英俊さん(59)は「懐かしくて昔に戻ったようだった。外資系企業にばかり勤めたのも田中先生のおかげ」と話していた。(宮木佳奈美)