2008年9月18日(木)掲載

◎本通小で着衣水泳
 函館本通小学校(平澤治壽校長、児童360人)の5年生66人が17日、服を着たままの泳ぎ方を学ぶ「着衣水泳講習会」に取り組んだ。

 水難事故に遭った際の対処を学ぼうと、水泳学習の最後に毎年実施している。日本赤十字社道支部函館市地区水上安全奉仕団の松橋勇治委員長ら4人が指導に当たった。

 冒頭、松橋委員長が「自分の身は自分で守る意識で取り組んで」と呼び掛け、講師が手本を見せた。続いて児童らはジャージやジーンズを履いたままでプールに入り、あおむけの状態で浮いたり、平泳ぎ、バタ足などを練習。初めは浮くのに苦労していたが、徐々にコツをつかむと、スイスイと泳ぐほど上達する子どももいた。後半はペットボトルやビニール袋など身近な物を使った救助の仕方も学んだ。

 1組の山田冴輝君(10)は「服のままは泳ぎにくかった。ビニール袋を使うと浮くことが分かった」と話していた。(新目七恵)


◎衆院8区候補擁立
 自民「20日までに調整」
 自民党衆院道8区の候補者擁立について、自民党道連幹部は17日、函館新聞社の取材に対し「いろいろなルートで調整しており、党本部に下駄を預けることはしない。20日の8区候補者選考委員会で区切りを付けたい」と述べ、最終調整の段階であることを示した。また、前道議の長谷秀之氏(49)は同日、「党道連から出馬の打診を受けたが、私では力不足であると断った」と明らかにした。

 長谷氏によると、15日夜に札幌で8区の今津寛暫定支部長、党道連の丸岩公充幹事長らから出馬を打診された。長谷氏は自身の知名度の低さや準備期間の短さなどから「私では無理」と答えたという。道連から、もう数日、時間を与えるので考え直してほしいと言われたが、長谷氏は17日、「光栄ではあるが、考えに変化はない」と断った。

 一方、党道連幹部は、選挙区が決まっていない現職の猪口邦子氏(56)=比例東京ブロック=にも打診したが、不調に終わったことも明らかにした。猪口氏は東京からの出馬にこだわった様子という。

 4月に発足した8区候補者選考委員会はこれまで、表面化しただけで現職の杉村太蔵氏(29)=比例南関東ブロック=と東京在住の政策コンサルタント、高松智之氏(34)の擁立に失敗。8月以降も前田一男松前町長(42)、猪口氏、長谷氏に辞退されている。

 選考作業は難航を極め、今後の党道連や8区支部の対応に他党も注目している。党本部へ一任するという観測もあるが、道連幹部は「必ず地元で選考する」と否定。佐藤健治氏(51)との保守一本化問題もある中で「政権政党として見逃し三振(不戦敗)にはしない。地元4道議も密接に打ち合わせをしており、20日までの間に全力で調整する」と話している。(高柳 謙)


◎渡島西部4町の図書室が合同移動企画展
 木古内、知内、福島、松前の渡島西部4町が10月下旬から11月初めにかけて、“読書の秋”にちなんだ合同移動企画展を準備している。動物の絵本や図鑑、関連資料を並べる「絵本のどうぶつえん」や読み聞かせ、小学生対象の一日司書体験など、多彩なプログラムを計画。子どもの情操教育と同時に、昭和の漫画や映画雑誌コーナーも設け、世代を超えて楽しめる内容を目指す。全面的にバックアップしている道立図書館(江別市)によると、広域連携で読書に特化した企画を実施するのは道内初の試みで、活動の成果に注目が集まりそうだ。(田中陽介)

 図書室を運営する各町教委は「開かれた図書室づくり」に向け、サービスの充実に努めているが、図書室運営の専門家となる司書が常駐しているところは少ない。このため、より有効な運営方法を模索し、各町の横断的な情報交換などが図られている。今回の合同移動企画展は、4月21日に福島で開かれた実務者会議の席上で発案された。

 10月25、26日(木古内、知内)、11月1、2日(松前)、11月8、9日(福島)と各町の文化祭がたて続けに開催されることから、それに合わせて各図書室連携の企画を展開。事務連絡を担当する知内町教委の小林亮さん(34)は「本の魅力、図書室の楽しさを体感してもらう絶好の機会。皆で知恵を出し、充実した企画展にしようと頑張っている」と話す。

 会場の一角を動物園に見立てて、動物の絵本などを集めた「絵本のどうぶつえん」は、文化祭の日程が知内と重なる木古内を除く3町で開催。さらに、各図書室の共通プログラムとして100冊の仕掛け絵本が登場し、道立図書館が提供する懐かしい児童図書の付録が100個用意され、来場者にクイズの景品としてプレゼントされる。読み聞かせも各町の有志が担当し、木古内では地元の中学・高校生がスタッフとして駆け付ける。

 福島では小学生4―6年を対象にした一日司書体験があり、子どもたちが古本市の紹介や本の整理、貸し出し手続きなどに当たる。松前は工作教室、知内は今春始まった新刊書重点貸し出し800冊のPRに力を入れる。

 小林さんは「こうした合同イベントを行うことで、他町の職員との親ぼくも深まり、いろいろなアドバイスも受けやすくなる」と相乗効果に期待を寄せている。10月上旬に関係者が集い、綿密な打ち合わせを行い、各町で文化祭担当者と調整を図る予定だという。


◎湯澤さんが自宅でハーブ教室開講
 函館市西旭岡町の主婦湯澤香名美さん(37)がこのほど、自宅でハーブ教室「Sweet as a Rose(スイート・アズ・ア・ローズ)」を開講した。自宅の庭で育てたハーブと野菜を中心に使った料理講座を通じてハーブの知識を伝え、日常生活での楽しみ方を広めている。(宮木佳奈美)

 ハーブコーディネーターの資格を持つ湯澤さんとハーブの出合いは7年前。知人からハーブの苗をもらい、庭で栽培し始めたのがきっかけだった。

 初めはそれほど興味はなかったが、遊びに来た友人から「料理などにも使える」と勧められ、本やインターネットから独学で学び、より知識を深めようと資格も取得した。「自分と同じようにハーブを育てているが使い方が分からない、買っても育てられない人もいるのでは」と思い始めたのが、教室を開く動機になった。

 庭ではタイム、ローズマリー、ミントなど50種類以上のハーブを無農薬で栽培。ハーブの活用には料理、クラフト、染色、美容の分野があるが、湯澤さんはまず「毎日のことで一番大事なのは健康」と考え、料理中心の講座をスタートさせた。季節感を取り入れたメニューを3品以上作り、料理をしながらハーブの効能、栽培、収穫、保存の方法も教える。

 湯澤さんは「ハーブはダイエットやリラックス効果、ホルモンバランスを整えるなどさまざまな効能を持ち合わせ、ノンカフェインで子どもからお年寄りまで体に取り入れられる」とし、「勉強しに来るというよりも、庭を見てゆったりとした気持ちになり、料理を楽しみながら知識を身に付けませんか」と呼び掛けている。

 受講は女性限定。月1回、平日午前中の2時間半から3時間程度。6回コース(受講料1万5000円、材料費1回当たり1000円前後)などがある。問い合わせは湯澤さんTEL0138・50・2101。


◎高専で20日にサイエンス秋祭り
 函館工業高等専門学校(函館高専、長谷川淳校長)の「サイエンス秋祭りin函館高専」が20日午前9時半から、同校(函館市戸倉町14)で行われる。ロボット操作や実験ゲーム、観察体験など多彩な企画で科学の魅力をPRする。同校では「ぜひ多くの市民に足を運んでほしい」と呼び掛けている。

 同祭りは函館高専の活動を周知し、理科の面白さに触れてもらおうと昨年度から実施している。機械、電子など5学科と一般教養科目のグループごとに計35テーマを考え、ブースを設ける。年間30回余にわたって行っている市民向け公開講座の人気メニューもあり、同校では一大イベントと位置づけて準備に力を入れている。

 具体的には、コンブの成分を使った「人工イクラ」や「コンクリートの携帯ストラップ」などのものづくり体験、学生らが作ったオリジナルのクレーンゲームやロボットなどで遊ぶコーナーなどを用意。地震の恐怖を学ぶ津波や液状化現象のシミュレーション観察、レゴブロックで作った車でのカーレースなど内容は幅広く、景品が当たるゲームもある。

 物質工学科の小林淳哉教授は「バラエティー豊かで絶対楽しめる内容」とアピールしている。参加無料。問い合わせは同校総務課TEL0138・59・6316。(新目七恵)


◎舞妓さんら救護施設を訪問し京舞を披露
 京都の花街で活躍する舞妓(まいこ)と芸妓(げいこ)の2人が17日、函館市新湊町の救護施設「函館共働宿泊所救護部」(越前典洋施設長)を訪れた。あでやかな着物姿で会場に現れた2人は、入所者ら約100人を前に華麗な京舞を披露した。

 2人は京都・宮川町のお茶屋「河よ志」の舞妓のふく恵さん(16)と芸妓の弥寿葉さん(22)。18日から棒二森屋で開かれる物産展「第31回おいでやす大京都まつり」(24日まで)のキャンペーンで、京都府物産協会(鈴鹿且久会長)のメンバーと19日までの日程で来函した。

 ふく恵さんと弥寿葉さんは扇子を使ってそれぞれ1曲ずつ踊った後、2人で「祇園小唄」と「宮川音頭」の舞を披露。入所者は曲ごとに大きな拍手を送り、2人のつややかな舞にうっとりと酔いしれた。演舞後に入所者から「寝るときはどうするの」と質問が寄せられると、ふく恵さんは「時代劇に出てくるような箱枕どす」と京言葉で答えていた。

 最後に2人は入所者一人一人に「おおきに」と京菓子をプレゼント。入所者の男性(72)は「きれいな舞妓さんの言葉や踊りは不思議と心を落ち着かせてくれる。大切な思い出になりました」と顔を赤らめていた。一行はこの日、函館市役所など関係先を訪れ、京都の魅力をPR。2人は18、19の両日、棒二森屋本館の特設会場で各日3回、「京の踊り」を披露する。(森健太郎)


◎市民ら交え模擬裁判
 来年5月21日にスタートする裁判員裁判を想定した模擬裁判が17日、函館地裁で始まった。18日までの2日間で、裁判官3人と市民から選ばれた「裁判員」6人を交えて、危険運転致死罪で起訴された被告に判決を下す。被告人席の位置を弁護人の横にしたり、年内にも刑事裁判に導入される被害者参加制度を見据えて検察側に被害者遺族、代理人弁護士役が座るなど、試行的な要素も盛り込みながら審理が進められた。

 裁判員役は同地裁が独自に作成した名簿(770人)から60人を無作為に選び、35人に呼び出し状を送付。この日は28人が集まった。選任手続きでは辞退希望者ら6人を除き、22人を1回の面接で済ませるなど、時間短縮の措置がとられ、開始から1時間程度で終了した。

 公判は、飲酒運転で対向車と正面衝突事故を起こし、相手男性を死亡させた危険運転致死罪を想定。従来の刑事裁判では、拘置中の被告はジャージー姿が多いが、現在、裁判員の心証面への影響を考慮し、関係機関で検討が進められているスーツ、ネクタイ姿で被告役が出廷した。

 また、検察、弁護側双方も裁判員に語りかけるように証拠調べなどを進めたほか、裁判独特の「甲号証」などといった言葉にも解説を加えるなど、随所に工夫がみられた。

 模擬裁判は18日、弁論手続き、論告を経て、評議を行い、午後から判決を言い渡す予定。(今井正一)