2008年9月19日(金)掲載

◎収穫間近、大野平野は金色…
 米の収穫期が近い道南の田んぼでは、稲の穂先が黄金色に輝き始め、大野平野を小高い場所から眺めると、黄色く塗られているような彩りになっている。

 函館山から見ると、手前に函館湾の青い海に高速船が白い波筋を残し、奥に見える平野がきれいなコントラストを見せている。18日の函館の最高気温は28・2度でことし5番目の暑さ。残暑の中、風景は秋色に映えている。(山崎純一)


◎北ガス函館工場跡地で有害物質検出
 北海道ガス(札幌)は18日、函館工場跡地(函館市万代町8、約1万7000平方メートル)の土壌から、国の環境基準を上回るベンゼンや鉛など7種類の有害物質が検出されたと発表した。いずれも土壌汚染対策法で特定有害物質に規定されたもので、通常は検出が許されないシアン化合物も含まれていた。周辺住民の健康被害や環境への影響はないとしている。(森健太郎)

 同社が4月上旬から9月中旬にかけ、同工場跡地188カ所で実施した自主的な土壌調査で判明。土壌からはいずれも最高地点で、基準値の2700倍に当たるベンゼンや230倍のヒ素、15倍の鉛、8・8倍の水銀などが検出された。地下水調査でもベンゼンやシアン化合物の2種類が基準値を上回った。

 同工場は1912年から操業を開始し、64年まで石炭を主原料とし、その後は2006年末まで石油系の原料で都市ガスを製造していた。同社は石炭を主原料にしていた時代に製造過程で発生した有害物質が装置の損傷などで漏れ出した可能性があるとみている。工場は天然ガスへの転換に伴い、07年に解体している。

 同社の稲見雅寿企画副本部長と伊藤広路函館支店長、長尾達環境グループマネージャーの3人が同日午前、同支店で記者会見し、「工場跡地は土壌をアスファルト舗装しているため飛散する恐れはない。周辺地域で地下水の生活利用もなく環境への影響はない」と強調した。函館市による周辺5カ所の井戸水(飲用外)の水質調査でも異常はなかった。

 工場跡地に隣接する民家に住む女性(60)は「驚いた。環境への関心が高まる中、直接的な影響が目に見えないだけに精神的な不安が大きい」と話していた。同社は11月にも敷地内4カ所に地下水をくみ上げる井戸を掘り、拡散防止や水質調査を続けるという。


◎大森町長が木古内高校存続「厳しい」
 【木古内】道教委が打ち出した公立高校適正配置計画で、2010年度から募集停止となった道立木古内高校(木古内町本町)の存続問題で、大森伊佐緒町長は18日、第3回定例町議会で「存続は極めて厳しくなっている。この事実は受け止めなければならない」と述べ、町立移管が難しいとの認識を明らかにした。「少子化の影響も含め、財政状況を勘案し(町立時の)運営試算の裏付けを把握することが重要」とし、引き続き慎重に検討する考えも示したが、閉校の方向が事実上強まった。

 又地信也氏、吉田忠義氏の一般質問に答えた。中学生の進路決定が迫る中だけに、複数の議員が「子ども自身やその家族の立場を考えると深刻な問題だ」と指摘。大森町長は財政負担と存続による経済効果の予測を上げ、「この裏付けをもって初めて存続は当町には無理なんだということが言えるかもしれない」とし、「その試算をしっかりして、生徒や保護者の皆さんにご迷惑を掛けないように努力をして参りたい」とした。

 募集停止時期の先延ばしを求めた町に、道教委が昨年10月5日付で「時期延長は困難であると考える」と回答していたにもかかわらず、7月28日まで議会や存続運動に取り組む民間団体らに一切伝えていなかった件について、大森町長は「事務処理の遅れで公表が遅くなってしまった。申し訳ない」と陳謝した。

 函館新聞社の取材に対し、大森町長は「町立化の可否は慎重に慎重を重ねなければならない。わたしだけの判断ではなく、町民や議会などからの意見をまとめていきたい」とした。傍聴していた町内の男性(67)は「町立か閉校、はっきり言ってもらったほうが安心する町民が多いと思う。問題を長引かせて変に期待を持たせてもだめだ」と話していた。(田中陽介)


◎08年度渡島桧山管内地価調査、函館の商業地は横ばい
 道は18日、7月1日現在の基準地価(地価調査)結果を発表した。昨年の平均変動率がプラス1・2%と16年ぶりに上昇した函館市内の商業地は今年、0・0%と横ばいにとどまった。一方、同市内の住宅地はマイナス2・9%と17年連続の下落で、下落幅も0・1%拡大、底値が見えない状態が続いている。渡島管内の1平方メートル当たりの最高価格は商業地が函館市本町7の21、第1マルカツビルで前年比プラス1・3%の16万2000円。住宅地は同市本町29の11で前年と同じ8万3500円。上昇率が最も高かったのは同市松風町9の15、フタバヤ跡の8万5000円でプラス2・4%だった。(小川俊之)

 調査は国土利用計画法施行令に基づき道が実施。国土交通省が1月1日現在で判定する「地価公示」とともに一般の土地取引の指標として用いられる。渡島管内は前年度から14地点減少し84地点、檜山管内は4地点減少の29地点で調査が行われた。

 函館市内の商業地の1平方メートル当たりの平均価格は8万3600円。昨年に続き函館駅周辺や本町でのホテル需要を背景に、本町、若松町、松風町の3地点で上昇したものの、市内幹線道路沿い6基準地は横ばい状態となった。

 同市内の住宅地の平均価格は17年連続で下落。2005年から07年までは下落幅の縮小が続いていたが、今年は再び下落幅が拡大した。市内中心部では長年の下落で底値感が出て横ばいの地点もあるが、郊外部は過去の分譲地の売れ残りに加え新たな分譲地が販売され、宅地の供給過多状態となっているのが下落の原因と見られる。

 同市周辺の平均価格は北斗市の住宅地が3万300円で平均変動率はマイナス2・6%、商業地は5万7500円でマイナス2・5%、七飯町の住宅地は2万1700円でマイナス5・0%、商業地は3万8000円でマイナス3・8%。渡島管内全体の平均変動率は、住宅地、商業地ともに下落幅が拡大し、桧山管内は住宅地で下落幅が縮小したものの、商業地は拡大した。

 全道では住宅地の平均変動率はマイナス2・2%で平均価格は2万2000円。商業地はマイナス2・5%で7万5200円。最高価格は住宅地が札幌市中央区宮ケ丘2の474で17万5000円、商業地は札幌市中央区北3西2の1の13で230万円。


◎森町長選・阿部氏が事務所開き、副町長退職
 【森】競売入札妨害(談合)罪で逮捕、起訴された湊美喜夫被告(79)の森町長辞職を受け、10月19日に行われる出直し町長選挙に立候補を表明した元副町長、阿部真次氏(66)の事務所開きが18日、本町3の後援会事務所で行われ、町民ら約100人が駆けつけた。

 阿部氏は支援者を前に、町職員として国保病院事務長や総務課長、収入役、助役などを歴任した豊富な経験をアピールし、砂原地区の簡易水道の完成や国保病院財政の健全化などに取り組む考えを披露。湊被告については「37年間、あらゆる分野に多大な功績を残した」とし、「町民の皆さんの声を聞きながら、新生・森町が活力あるまちになるよう全力で戦いぬく」と力強く語った。

 松浦義正後援会長(70)は「国も地方も厳しいとき。阿部氏は長い行政経験を生かして、一人ひとりがこの街に暮らして良かった、住んで良かったと思えるまちづくりにまい進してくれるだろう」と激励、「がんばろう!」の三唱で締めくくった。

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 阿部氏は同日、副町長の退職願を長岡輝仁議長に提出し、同日の定例会で承認された。阿部氏は議場で、役場勤務の41年間を振り返ると同時に、今回の一連の事件について「長い間の慣習、慣行に慣れすぎ、法令順守に甘さがあった」とし、「立起を決断した以上、あえて逆風の中、信念を持って新しい道を切りひらいて歩む」と深々と頭を下げた。阿部氏の退職に伴い、森町長職務代理者は10月18日まで片野滋同町総務課長が務める。(笠原郁実)


◎札医大と未来大が連携協定
 公立はこだて未来大(中島秀之学長)と札幌医大(今井治三学長)は18日までに、情報技術(IT)を生かした地域医療サービスの共同研究を進める連携協定を締結した。未来大がこれまで進めてきた研究実績などを活用し、患者の利便性を高める医療サービスの研究開発を目指す。

 このほど札医大で調印式が行われた。未来大によると、札医大は函館市内の病院と関連が深く、医学系大学の中でインターネットを使った遠隔医療などの研究を積極的に進めているなど、情報通信に強いことが連携の理由。

 具体的には、未来大のITスキルや市内で進めてきた患者視点の情報提供システムのデザインプロジェクト経験などを活用し、札医大の医療、福祉関係の技術実績と組み合わせて、より高度な研究開発につなげる。未来大は、病院での待ち時間を減らすために携帯電話で診察を申し込むシステム開発や、電子カルテの普及に関する研究―などを例として挙げている。

 中島学長は「今後ますます重要になると思われる地域医療に対し、『医情連携』でシステムを設計するという新しい分野を確立し、システムを普及させたい」としている。

 未来大が国内の大学と連携するのは2006年6月の電気通信大(東京都)、07年5月の北陸先端科学技術大学院大(石川県)に次いで3校目。このほか、教育機関が連携して総合大学的機能を果たす「キャンパス都市函館」構想の推進を目指し、市内の高等教育機関と函館市で構成する「キャンパス・コンソーシアム函館」にも参加している。(新目七恵)


◎厳しい残暑、デパートや農作物などに明暗
 道南地方は季節はずれの暑さが続き、函館市では18日も最高気温が28・2度を記録し、半そで姿や日傘を差して歩く市民、観光客、水遊びに興じる親子などの姿が見られた。秋物を売り始めたデパートや量販店などはこの暑さにやや苦戦し、逆にソフトクリーム店などは思わぬ商機になっている。収穫期を迎える農産物も一部で生育への影響を心配する声が出ている。

 函館市内の9月の天気は8月中旬から下旬にかけて曇天が続いたのとは対照的に、高気圧に覆われ晴れの日が多い。函館海洋気象台によると、18日現在、函館の9月の夏日(25度以上)は12日を数え、平年(4、5日程度)を大幅に上回っている。平均気温も高く、同気象台は「9月だけの夏日の記録をとっていないが、これだけ多いのは珍しい」としている。

 8月下旬から衣料品を中心に秋物商戦に衣替えした函館市内デパートは、この暑さで波に乗れない状況。中合棒二森屋店(若松町、井上裕司店長)は「9月の暑さは予想外。衣料品は全体的に昨年に比べ伸び悩んでいる」(営業企画部)とし、丸井今井函館店(本町、金輪浩之店長)は「すでに秋物を中心に品ぞろえし、夏物を改めて売り出すのは難しい。秋物でも薄手の衣類は売れている」(営業計画室)と話す。

 土鍋や漬物用のたる、重石などを店頭に並べたジャンボイエロー亀田店(亀田町、畠谷宏幸店長)は「暑さが残っているので商品の動きはまだ鈍い」としている。

 一方、好天が集客効果をもたらした業種も。函館酪農公社が運営する函館牛乳あいす118(亀田中野町、太田ゆりあ店長)ではソフトクリームの売れ行きが好調。太田店長は「9月は寒さと台風の影響で売り上げが落ちる月。13―15の3連休も混雑し、7月並みの売れ行き」と話す。はこだてオートキャンプ場(白石町)でも「ピーク時より少ないが、3連休には飛び込みの客が利用した」という。

 稲作とネギの栽培を行う北斗市開発の農業岡村陽一さんは「稲作は生育の遅れを取り戻し、夜の気温が下がれば実入りも良くなる」と期待。出荷のピークを迎えているネギについては「雨が降らず水不足。生育が止まらないか心配」と話している。(鈴木潤、宮木佳奈美)