2008年9月2日(火)掲載

◎ガソリン値下がり 170円台へ
 石油元売り各社は1日、ガソリンなど石油製品の卸価格を前月比で1リットル当たり5円前後引き下げた。函館市内の給油所では価格競争の激化に伴い、8月の一斉値上げの直後から店頭価格の値崩れが進んでいて、この日は小幅な値下げや価格の据え置きが目立った。(森健太郎、宮木佳奈美)

 函館消費者協会(米田イツ会長)が函館、北斗両市内の25店舗を対象に1日実施した9月の石油製品価格調査によると、レギュラーガソリン(1リットル当たり)の平均価格は、フルサービスで前月比10・18円安の177・1円、セルフ式が同11円安の174・4円で5カ月ぶりに前月を下回り、今年5月以降、高騰を続けていたガソリン価格に一定の歯止めが掛かった。

 レギュラーガソリンの最高値は、フルで188円(前月比2円安)、セルフで185円(同)。最安値はフルで171円(同12円安)、セルフで168円(同17円安)だった。前年同月と比べるとフル、セルフとも35円前後高くなっているが、国際的な原油価格が一服したことで店頭価格は軒並み下落した。

 函館市内でフル・セルフサービスの給油所を経営する小売店では盆明けから徐々に値下げし、8月中にセルフは16円引き下げた。「元売りの動きに伴って店頭価格を引き下げる前に、うちだけが高いイメージにならないよう他社に合わせて価格を下げているのが現状。オイルや洗車などガソリン以外で利益を得るしかない」と嘆く。

 市外に本社を置く別の小売店はこの1カ月間で段階的に20円引き下げた。「赤字でも1週間に2回ぐらい値下げしてきた。本来は元売りが下げた時に値上げしないと採算が合わないが、競争が激しくそうもいかない」と困り顔。普段は自転車通勤でしのいでいるという市内港町の男性会社員(53)は「最近は月初めの給油を控えていたが、少し安くなったのでうれしい」と話していた。

 米田会長は「小売店は競合する他社の動向を見ながら価格の様子見の状態が続いている。今後も値下がりする見通しで、家計の負担はやや軽くなるが、高水準に変わりはなく、消費者の買い控えの傾向は依然として続くだろう」と話している。

 一方、1日は一部メーカーによるチーズなどの乳製品、缶ビール類、タイヤなど生活用品の値上げが相次いだ。


◎福田総理辞任で地元政界にも衝撃
 福田康夫首相の突然の辞任表明は1日夜、函館・道南の政界関係者にも衝撃を与えた。

 自民党衆院道8区支部幹事長で、次期衆院道8区公認候補(8区支部長)の選考委員会委員長を務める川尻秀之道議は「自宅のテレビで辞任の事実を知ったが、まったく予想もしていない突然の出来事でただただ驚いた」と戸惑いを隠さない。早ければ年内にも想定される解散・総選挙に向けた候補者擁立については「事実関係を再確認した上で、慎重に対応していきたい」と述べた。

 自民党と政権与党を組む公明党の道南総支部、茂木修副総支部長は「突然のことで驚いたが、総理の会見を見る限りでは先を見通しての辞任で、ある意味で冷静に判断したのではないかと思う。与党として臨時国会に向けてしっかり踏み出し、新総理のもとで公明党が打ち出した経済対策をしっかり実行してもらいたい」と語った。解散・総選挙については「不透明だが、福田首相のもとでは解散のシナリオがそれとなく描かれていたため、解散が早まる道は逸したようにも思う」との見解を語った。

 一方、民主党道8区総支部代表代行の逢坂誠二衆院議員は「福田首相は本来首相となるべき人ではなかったのだが、ここまで無理をして持ちこたえてきた印象だ。国会の召集日を決めておきながら、辞任するのは無責任の極みで、国民につけがまわるだけ。ひどいの一言だ」とし、「衆議院の解散は、次の総理大臣が決めることだが、この状況を変えるためにも、一刻も早く、解散しなくてはならない」と述べた。


◎町議会、森町長の辞職に同意
 【森】森町発注の町消防防災センターの建設工事をめぐる官製談合事件を受け、森町議会(長岡輝仁議長)は1日、臨時議会を開き、競売入札妨害(談合)容疑で逮捕、起訴されている森町長の湊美喜夫被告(79)が長岡議長に提出した辞職願に、全会一致で同意した。道内最多となる当選10回を重ね、トップに君臨し続けた湊被告の「長期政権」が終わった。町長選は10月14日告示、同19日投開票の日程で町政が進められている。 (森町談合事件取材班)

 湊被告は起訴前の8月18日、弁護士を通じて辞意を表明し、同27日、町に辞職願が託されていた。この日、議場では議会事務局の職員が「一身上の都合により退職したい」とする湊被告の退職理由を朗読。全22人の町議が辞職に同意した。

 町は現在、湊被告への退職金支給については保留としており、道市町村職員退職手当組合(札幌市)によると、禁固刑以上の場合は支給されないという。

 湊被告は1928年森町生まれ。旧制八雲中を卒業後、45年に旧森町役場入りし、産業課長補佐、民生課長補佐、町国保病院事務次長などを経て、71年に旧森町長選に出馬し初当選した。旧砂原町との合併に伴う2005年からの新「森町」の町長も含め、連続10期37年間町長を務めていた。

 議長は5日以内に町選挙管理委員会委員長へと通知する見通しで、公職選挙法では委員長が受理後、50日以内に選挙が行われる。

 また、町は同日までに、同事件で函館簡裁から罰金100万円の略式命令を受けた工藤建設(常盤町90)を8月22日から3カ月間、指名停止とする処分を決めた。


◎森町長辞職、揺れる町 新政権に期待
 【森】自治体の首長逮捕という激震から1カ月、森町議会が町長、湊美喜夫被告(79)の辞職願に同意した1日、「町長辞職」という現実を前に、重い空気が町を包み込んだ。多選の弊害という批判がある一方、困惑の表情を浮かべ、「子どものときから町長は湊さんだった」と押し黙る町民もいた。町政や町議会への不信が募る中、“再出発”に期待を寄せる声も聞かれた。

 26日に保釈されたものの、体調不安を理由に議会を欠席した湊被告に、議会を傍聴した元公務員の男性(56)は「町民としては自身の口から真情を伝えて頂きたかったが、人情的には酷だと思う」とぽつり。「初当選時はまじめで真摯(しんし)な印象があり、未来への展望が持てたが…」と続けた。

 疑惑がもたらした町政への不信は大きく、町内に住む無職男性(74)は「もっと早くに辞職すべきという思いはある。今後は、町政に対し一生懸命やってくれる人を望む」とし、町内在住の主婦(48)は「長期政権の弊害感は否めない。長すぎてはだめ。米国のように、任期を限定できないものか」と、これまでと一新した町政を望む声が聞かれた。

 町議会の責任を問う町民の声もある中、長岡議長は「重く受け止めているが、今の時点では何も話すことはない。これからも推移を見守りたい」と言葉少なに議場を後にした。議会に出席した松田兼宗町議は「(監査機関である)議会の大切さを改めて痛感した。情報公開の仕組みを構築すべき」とした。

 森建設協会の野田剛会長は「依然として町政の先行きが見えず、具体的なコメントはできないが、町全体を包む重苦しい雰囲気を一掃してくれるような新政権が誕生することを願う」とした。


◎5日から「ユニバーサル上映映画祭」
 障害者も健常者も一緒に映画鑑賞を楽しむ環境づくりを目指す「第3回北海道ユニバーサル上映映画祭」(実行委主催)が、5―7日に北斗市総合文化センターかなでーる(中野通2)で開かれる。活動弁士による無声映画「争闘阿修羅街」や、函館でロケした「犬と私の10の約束」など、多彩な作品6本が上映されるほか、シンポジウムや手話付き落語なども予定。実行委では「この機会にぜひ足を運んで」とPRしている。(新目七恵)

 上映作品には日本語字幕、音声ガイド、ミュージックサイン、補聴援助システム、手話通訳、要約筆記を付けるほか、会場には車いす席、託児所なども用意する。

 5日午後6時からはゲストを交えた前夜祭(会費2000円)を開催。翌6日は大都映画の看板スターハヤフサヒデトさんが主演する大活劇「争闘阿修羅街」(午前10時)、アニメーション「銀河鉄道の夜」(同11時50分)、元ハンセン病患者の女性詩人の人生を通して人間の尊厳を問うドキュメンタリー「風の舞〜闇を拓(ひら)く光の詩」(午後5時40分)を上映する。同日午後2時40分には、高校生が音声ガイドなどの制作に取り組んだ成果を発表、同3時40分からはシンポジウム(無料)が開かれる。

 7日午前10時半からは三遊亭洋楽さんが落語「みそ豆」を手話通訳、要約筆記付きで披露。続いて、落語をモチーフにした「しゃべれどもしゃべれども」(同10時50分)、「犬と私の10の約束」(午後1時40分)、共同作業所の人にスポットを当てた「ふるさとをください」(同4時40分)を上映する。

 チケットは3回鑑賞券が一般1500円(当日1700円)、小・中学生、高校生800円(同900円)など。問い合わせは事務局TEL0138・31・0010(函館保健企画内、橋本和幸さん)。


◎発掘の成果を解説…上ノ国町教委荒神堂説明会
 【上ノ国】中世の山城・勝山館跡(国指定史跡)で、城代・蛎崎基広(1509―48年)をまつる「荒神堂(こうじんどう)」の発掘調査を進めている上ノ国町教委の現地説明会が30日開かれ、住民や歴史ファンら約40人が参加し、町教委の塚田直哉学芸員の話に熱心に耳を傾けた。

 基広は主君の暗殺計画が発覚して殺害された。松前藩の歴史書「新羅之記録(しんらのきろく)」は、基広の埋葬場所近くにお堂を建てて、亡霊を鎮めたと記している。江戸時代後期の1841年には松前藩主が夷王山を参拝する際、周囲に玉石を敷き詰め、石積みや柵を設けるなどの改修工事を行ったとの記録もあるという。

 塚田学芸員は「江戸時代に作り直された荒神堂の痕跡は確認した。江戸時代より古い礎石(建物の基礎に使われる平らな石)の列も見つかった。最初に作られたお堂の痕跡かも知れない。今後詳しく調べていきたい」とした。

 荒神堂周辺の発掘調査では、新たに東側に面した沢沿いの斜面で5基の墓を確認。町教委では、地層や副葬品などの特徴から2基は江戸時代のもの、3基は勝山館が築かれた中世の墓とみている。中世の墓のうち1基は頭を東の方角に向け、足を伸ばして体をあおむけにするなど、アイヌ特有の埋葬様式がみられた。もう1基は和人の墓で、頭を北に向け体を折り曲げる「屈葬」だった。棺おけの痕跡も見つかった。

 勝山館の背後にある夷王山東斜面には、600基余の和人やアイヌの墓が密集する「夷王山墳墓群」があるが、勝山館の正面に当たる荒神堂付近で複数の墓を確認したのは初めて。塚田学芸員は「この場所で墓が複数見つかったのは予想外。今後の調査で意味合いを考えていきたい」とし、参加者も歴史のロマンに思いをはせていた。(松浦 純)


◎レジ袋有料化の協定締結
 函館市と函館消費者協会(米田イツ会長)、同市内でスーパーマーケットを展開する6社は1日、市役所で10月から段階的にレジ袋を有料化する3者協定を締結した。函館市内では11月までに45店舗がレジ袋を有料化し、1枚3円か5円で販売する。

 北海道洞爺湖サミットを契機に、行政と事業者、市民でつくる「函館市簡易包装等推進懇話会」を中心に7月から調整してきた。8月下旬までに参加の意向を示したのはコープさっぽろ、グルメシティ北海道、ホクレン商事、マックスバリュ北海道、魚長の5社。その後、同市内に7店舗を展開する道南ラルズが加わる意志を固めた。魚長と道南ラルズは11月1日から、ほかの4社は10月1日から有料化する。

 締結式では西尾正範市長が「ごみ排出抑制のための協力にお礼したい」とあいさつ。米田会長は「今後は消費者が意識を持って協力できるように啓発に努めたい」とした。(小泉まや)