2008年9月22日(月)掲載

◎江差追分全国大会 安澤さんが優勝
 【江差】第46回江差追分全国大会(主催・江差追分会など)は21日、町文化会館で決選会が行われ、江差町教委嘱託職員の安澤望さん(28)=和春会=が優勝。町内勢では第38回大会(00年)以来8年ぶりの快挙を成し遂げた。

 凛(りん)とした表情で“日本一”の歌声を披露した安澤さん。「やっとここまで来ました。今は胸一杯です」と笑顔がはじけた。7歳から江差追分を始めた。進学で一時は地元を離れたが、大学卒業後は江差に戻り、精進を重ねた。一昨年は3位、昨年は2位と成績を伸ばしたが“優勝候補”の重圧も。「今までで一番緊張しました。皆さんの応援に応えられうれしいです」と真っすぐな表情で語った。江差追分特有の合いの手「ソイがけ」を務めた、母・美鈴さん(57)も「奇跡のようです。今までで一番安心してソイがけを務められました」と、わが子の優勝を心から喜んだ。

 少年全国大会は、上ノ国町在住で江差中学校3年の中島琴美さん(15)=かもめ会=が、03年の第7回大会に続き大会史上初の2冠を達成。感極まって涙があふれた中島さんは「2度目の優勝はまさかと思った」と満面の笑顔。熟年大会は胆振管内白老町の松谷敏江さん(70)=白老白声会=が優勝した。(松浦 純)

 1―10位入賞者は次の通り。かっこ内は所属支部(敬称略)。

 【第46回江差追分全国大会】(1)安澤望(和春会)(2)日和義貴(札幌南)(3)福士優子(千歳)(4)西川俊昭(乙部鴎翔会)(5)瀧本豊壽(深川)(6)杉本武志(菊水会)(7)間島正晴(札幌白石)(8)東真喜子(乙部鴎翔会)(9)井上さつき(江友会)(10)黒森このみ(札幌南)【第12回江差追分熟年全国大会】(1)松谷敏江(白老白声会)(2)野登谷秀雄(声友会)(3)国府克(京都ふるさと)(4)奈良たか子(帯広)(5)鈴木弘(同)(6)藤本哲(声友会)(7)榎本弥惣七(網走声友会)(8)大柳宣之(大阪金剛)(9)細木利良(大平原)(10)鈴木テル子(鴎声会)【第12回江差追分少年全国大会】(1)中島琴美(かもめ会)(2)横川夏姫(札幌鴎憧)(3)川畑貴寛(和春会)(4)田村つくし(かもめ会)(5)田村ひより(同)(6)三谷葵(札幌南)(7)須藤栞(菊水会)(8)植田玲奈(大和菊華会)(9)中島弥生(かもめ会)(10)渡部愛未(札幌南)


◎次期衆院選8区、保守分裂 三つどもえ
 衆院解散・総選挙が迫る中、元会社員で無職の佐藤健治氏(51)が21日、道8区から出馬することを表明した。自民党道8区支部は前参院議員の福島啓史郎氏(62)の擁立を決めており、保守分裂選挙が確実な情勢になった。保守系の佐藤、福島氏が民主党の現職、逢坂誠二氏(49)=比例道ブロック=と対決する構図で、一挙に短期決戦に向かう。(高柳 謙)

 佐藤氏は総務庁長官を務めた佐藤孝行氏(80)の二男で、前回と前々回、自民党公認で出馬し落選。2003年の前々回、前田一男氏(42)=現松前町長=が当時の自民党森派の支援を受けて保守系無所属で出馬して以来の分裂選挙となる。前回05年は佐藤氏と民主党の金田誠一氏(60)、共産党候補が戦い、金田氏が約13万5000票、佐藤氏が約11万5000票だった。

 佐藤氏を支援する函館市内の男性(76)は「自民党の候補者選考に不満がある。結局は民主党と同じ外部からの候補で、佐藤さんはこまめに道南各地を歩き、地域住民の声を聞いている」と語る。

 自民党道連の丸岩公充幹事長は「落下傘候補ではあるが、現在の道南の政治状況では福島さんがふさわしいと判断した」と語り、最終的に佐藤派、阿部派の“色”が付いていない候補者擁立を図ったことを明らかにした。

 中選挙区時代から続く佐藤派、阿部派の対立について、同市内の元経営者は「今は佐藤だ、阿部だと言っている時代ではない。自民党の選考を見ると、8区は人材難。2回続けて敗れ、それでも立ち向かう佐藤氏への同情票が集まるかもしれない」と語る。

 一方、同市内の経営者は「自民党は案外、いい候補を擁立できた。水産関係にも強く熱心な候補と聞いている。今後の展開次第ではいい戦いをするかもしれない」とみる。

 共産党が今回、候補を擁立せず、加えて保守分裂で有利な展開に見える民主党は、気を緩めない。前々回の佐藤、前田氏の保守2候補の得票は金田氏の得票を約2万3000票上回る。「相手2候補の総得票を1人で上回るよう、合同選対で目標得票15万票を掲げている」(党道8区総支部)と引き締めを図る。


◎源氏物語の朗読会
 絵本読み語りグループ「マシュマロ」(弦木恵美子代表)による「源氏物語」の朗読会が20日、函館中央図書館(五稜郭町)で行われた。市民ら160人が集まり、しっとりとした語りや箏(こと)、ギターの生演奏、物語の背景などを解説する講演会を通じて、平安文学の世界を満喫した。

 作品が記録上存在が確認された時から1000年とされる「源氏千年紀」のことし、節目に合わせて企画した。

 冒頭、メンバーが「桐壷」の冒頭部分を原文のまま「いづれの御時にか、女御・更衣あまた侍ひ絵ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふ、ありけり…」と語り出すと、箏(こと)の音色が美しく響き、観客を文学世界へと誘った。続いて、函館大谷短期大の福島憲成学長がスライドを使って原文の意味や物語の背景を分かりやすく説明し、「叶わなかった両親の純愛を、光源氏が受け継ぎ、生涯『真実の愛』を求めるのが物語のテーマ」と紹介した。

 館内では十二単も展示され、来館者の注目を集めていた。函館市の熊谷裕子さん(60)は「雅な箏の調べに乗せた朗読がとても良く、まるでタイムスリップしたようだった」と話していた。(新目七恵)


◎秋の全国交通安全運動スタート
 「秋の全国交通安全運動」が21日、スタートした。30日までの10日間の日程で、高齢者や夕暮れ時の歩行者の事故防止、後部座席を含むシートベルトの着用などを重点に、道南各地でも啓発活動や取り締まりが強化される。道警函館方面本部や渡島支庁などは同日、五稜郭公園で住民総決起大会を開き、街頭パレードを行うなどして交通安全を呼び掛けた。

 大会には地元自治体や関係団体などから約300人が参加。主催者を代表して浅利元宏渡島副支庁長が「交通事故の犠牲者を1人でも少なくするには一人一人の意識向上が不可欠。官民一体となって事故防止に取り組もう」と訴えた。

 続いて函館西地区安全運転管理者協会の瀬川潔会長が「それぞれの立場で交通ルールとマナーを守り、安心で安全な車社会の実現を目指します」と決意表明。最後に函館大川中吹奏楽部の演奏の下、参加者は白バイを先頭に本町交差点までの約1キロをパレードした。

 今年に入り、道警函本管内(渡島・桧山と後志管内の一部)では20日現在、交通事故死者が14人と昨年同期より11人減少している。サミット開催に伴う警備強化や、ガソリン高による車の乗り控えが要因とみられるが、大江宜信本部長は「一昨年は9月以降に15人が交通事故で亡くなるなど油断をすると事故は増える。秋の行楽シーズンや輸送繁忙期に向けて気を引き締めたい」と話していた。(森健太郎)


◎ツール・ド・北海道市民レース 市内の2中学生が大活躍
 函館本通中3年の俵央育君(15)と道教大附属函館中2年の向美乃里さん(14)が、自転車競技大会「第22回ツール・ド・北海道市民レース」で好成績を収めた。俵君は中学生男子の部で、タイムトライアルとロードレースの2ステージを制覇。向さんは女子のタイムトライアルで、社会人など年上の選手を抑え、見事優勝を飾った。

 同大会は夕張や札幌を舞台に3日間にわたって開催された。年齢やレベルによってクラス分けされている。中学生の2人は、第1ステージの夕張で1キロのタイムトライアル、第2ステージの夕張―江別間で48キロのロードレース、第3ステージの札幌で2・75キロのコースを8周する22キロのクリテリウム(周回)に挑戦。ステージ別と、3ステージの合計タイムによる総合で順位を争った。

 俵君は持ち前のレースセンスと、函館競輪場をホームバンクに活躍した元競輪選手の藤巻昇さん(60)らの指導のかいもあって、第1、2ステージを制し、前評判通りの実力を発揮。しかし、第3ステージでは後方からインコースに切れ込んできた選手との接触で落車し、途中棄権した。だが総合では4位に食い込んだ。

 一方の向さんは、スキー・アルペンの選手として15歳以下のナショナルチーム入りしていて、世界大会で上位入賞するほどの実力の持ち主。自転車は小学校高学年から始め、本格的な練習は中学生になってからと日が浅い。タイムトライアルは道選抜の選手をも上回る大物ぶりを見せて優勝し、ロードレースは8位、クリテリウムは1周遅れに終わった。

 大会を振り返り、俵君は「プレッシャーは大きかったが、総合優勝を目指していただけに残念。精神的な弱さを知った」、向さんは「勝てるとは思ってなかった。ほかはロードでの練習不足が分かった」と話す。

 俵君の成長を幼少期から見守り、同大会に帯同した柳沢英二さん(57)は「総合優勝はかなわなかったが、レースの難しさを勉強できたのは本人にとってそれ以上の成果になったはず。全道ではトップクラスだが全国には強敵もおり、最後のスパートで抜け出すには、脚力の強化が課題」と評価。向さんについては「潜在能力は十分で、タイムトライアルでの早さを考えると、トレーニングを積めば高校でも有望」と期待を寄せる。

 俵君は「練習は泣くぐらいやっても、試合では笑えるようにしたい」とし、父で函館大谷高校出身の競輪選手、俵信之さん(44)に尊敬の念を払いながら、いつか追いつく日を夢見る。向さんは「今は自転車に乗ることが楽しく、ロードでも通用する力をつけたい」と今後の飛躍を誓っている。(浜田孝輔)