2008年9月24日(水)掲載

◎自民・福島氏が出馬表明…衆院選道8区
 前参院議員の福島啓史郎氏(62)は23日、函館市内で記者会見を開き、次期衆院選道8区に自民党公認で出馬することを表明した。福島氏は「漁業や農業などの基幹産業を活性化することで、地域経済を再生する。新幹線時代に向けて地域経済を立て直すために全力を尽くしたい」と決意を語った。道8区には民主党現職の逢坂誠二氏(49)、保守系無所属新人の佐藤健治氏(51)が出馬を表明しており、三つどもえの戦いが事実上、スタートした。

 福島氏は1946年、山口県宇部市生まれ。東大法学部卒業後、農水省に入り林野庁次長や食品流通局長などを歴任し、2001年の参院選全国比例区で初当選。外務大臣政務官などを務めるとともに、議員立法で食育基本法を成立させるなどしたが、07年に落選した。

 この日行われた自民党道8区支部拡大役員会議で今津寛道連会長(8区暫定支部長)が福島氏擁立までの経緯を説明。今津会長は「福島氏は道南地域とのかかわりも深く、過去の選挙におけるしがらみもない。即戦力や実現力の点でも最適の人材」と話した。この後、参加者全員で「がんばろう」を三唱し、必勝を誓った。

 会議後に行われた会見で福島氏は「道南地域は日本全体の活力源である漁業や農業などの重要基地として潜在能力は高い。それにもかかわらず地域経済の冷え込みが続いているのは、地元の意見を伝える存在である与党の国会議員が12年間不在だったため」と指摘。政策の柱として「漁業、農業の発展と食の安全や安心の確保に重点を置くとともに、函館―ロシア間に新規航空路を開設し、新幹線時代に向けた新たな観光ルートの構築を目指したい」と語った。

 地元出身ではないことについては、農水官僚や参院議員時代の活動を通じて、渡島・桧山管内とのかかわりが深いことを強調し、「誰がその地域にとって一番必要とされているのかが大切。私が力を発揮することで道南地域の役に立てることを有権者に理解してもらうように努力したい」と話した。

 自民党公認として過去2回の選挙で敗れている佐藤氏が無所属の立場で出馬を表明し、保守票の分裂が危ぶまれることについて、今津会長は「(2回連続して落選した場合は公認しないという)党の内規に清く従うべき」と不快感を表した。一方、福島氏は「自民党公認候補は私。有権者の意向を誰が一番実現していく力があるかを訴えるだけ。チャレンジ精神で戦っていきたい」と意気込みを見せた。(小川俊之)


◎森町長選 事実上の選挙戦突入
 【森】競売入札妨害(談合)罪で逮捕、起訴された湊美喜夫被告(79)の森町長辞職に伴う出直し町長選挙(10月14日告示、同19日投開票)は、立起を表明した3人が事務所開きを終え、事実上の選挙戦に突入。各陣営が水面下で激しいつばぜり合いを繰り広げている。

 これまでに立候補を表明しているのはいずれも新人で、五十音順に、元副町長・阿部真次氏(66)、会社経営・佐藤克男氏(58)、元町議・松田兼宗氏(52)。阿部氏は収入役や助役を歴任するなど、長年にわたる行政経験をアピール。佐藤氏と松田氏はともに町政刷新を訴え、10期37年務めた現職町長の逮捕、辞職を受けた「新しいまちづくり」を期待する声に応える。

 18日に事務所開きした阿部氏は湊被告の長年の功績をたたえ、自身の行政経験から「苦しい財政でも、町民の皆さんがいかに安心して暮らしていけるか」と砂原地区の簡易水道や国保病院の健全化など従来の課題に引き続き取り組み、町民の声を耳を傾ける姿勢を示した。

 21日に事務所開きをした佐藤氏は高校時代まで過ごした森町を「しがらみない公平なまちに刷新したい」と願う。経験や人脈を生かし古里の魅力を全国に発信する「森町のセールスマン」となる一方、高齢者を支え合うシステムや産業の活性化、移住促進など独自の提案を打ち出す。

 同じく同日、事務所開きした松田氏は町長選3度目の挑戦。これまでの選挙戦でも訴え続けた「ガラス張りの役場、公平公正な行政」を改めて強調する。職員の意識改革や5―10年後を考えた投資の重要性、新しい特産物の開発など町に深く根ざした民間経営者として支援を訴える。

 森青年会議所(阿部剛士理事長)は町長選立候補予定者3氏による「公開討論会」を10月8日午後6時半から、町公民館で開く。立候補予定者の声を直接聞き、有権者の町政への関心を高め、投票率向上に結びつける。

 入場無料。問い合わせは森商工会議所TEL01374・2・2432。(笠原郁実)


◎ポニーに乗り笑顔…函館公園で「動物ふれあいフェス」
 動物愛護週間(20―26日)にちなんだ「動物ふれあいフェスティバル」(渡島支庁、市立函館保健所共催)が23日、函館公園(函館市青柳町)で開かれた。市内近郊の動物愛好家らが自慢の犬や猫を連れて多数来場し、写真コンテストや散歩体験コーナーなど多彩なイベントを満喫した。

 市民に動物愛護の気持ちを深めてもらおうと、1990年から毎年行っている。獣医師による健康相談や、愛玩動物管理士によるしつけ相談などが無料で受けられるとあって、大勢の愛好家が大事なペットを抱えて来場。日本愛玩動物協会北海道支部の相木孝子事務局長は「犬がやたらにほえて困っているなどの相談が多かったが、それぞれの状況に対応したアドバイスをすることができた。皆さんに喜んでもらえて良かった」と話していた。

 会場には、市内石川町の大国牧場(大国勝美オーナー)からポニー5頭もお目見えし、子どもたちを背中に乗せるなどして人気を集めていた。市内湯の川町の高橋奏君(5)と叶君(3)兄弟は「初めて馬に乗ったけど、全然怖くなくて楽しかった」と満面の笑み。大国さんは「子どもたちがポニーと楽しく触れ合っている姿を見ることができてうれしい。今後もこのような機会を増やしていきたい」と話していた。(小川俊之)


◎ハンデの枠超え スポーツ楽しむ…ユニバーサルスポーツフェスタプレ大会
 障害の有無や体力に関係なく、誰もがスポーツを楽しむイベント「ユニバーサルスポーツ市民フェスタ」のプレ大会(同フェスタ準備会など主催)が23日、道教育大附属函館小学校(函館市美原)で開かれた。市民ら約80人が計7競技を体験しながら交流を深め、競技終了後のフォーラムで来年の本大会成功を誓った。

 障害者、健常者が同じ場所で楽しみを共有する「ユニバーサルデザイン」のスポーツ大会を開こうと、インクルーシブ友の会(島信一朗代表)や教育大函館校の学生4人で作る同準備会が今年3月から準備を進めている。プレ大会前には、障害者スポーツの体験会を随時開き、実施種目の選考を行った。

 開会式では、島代表が「ユニバーサルスポーツはまだまだ発展する。函館から発信していこう」とあいさつ。前半は誰もが自由に参加できる体験競技が行われ、参加者は「風船バドミントン」や車いすの障害物競走「スラローム」、パラリンピックで脳性まひ疾患者の正式種目となっている「ボッチャ」などに挑戦した。

 車いすバスケットボールチーム「函館ハダーズ」のメンバーが指導した「車いすバスケットボール」では、小学生らが車いすに乗ってシュート練習やミニゲームを楽しんでいた。同競技を体験した北斗大野小6年の坂野圭太君(12)と同小3年の夏実さん(9)の兄妹は「車いすからのシュートは難しかった。初めてだったけどおもしろかった」と話していた。

 後半は視覚障害者向けの「フロアバレーボール」が行われ、参加者が2チームに分かれ、熱戦を展開。競技終了後にはフォーラムが開かれ、島代表が「1人でも多くの人が参加できる地域に根ざしたイベントにしていきたい。身の丈にあったことを継続していくことが大事」と、フェスタのあるべき姿を提起し、参加者も「一気に理想に近づけるのではなく段階を踏みながら地道に継続していくことが望ましいのでは」「市民へのアプローチをもう少し進めるべき」などの意見が寄せられた。

 同準備会のメンバーで、同校3年の東谷理沙さん(21)は「地域の方や他大学の学生にも準備委のメンバーになってもらうよう呼び掛けていきたい」と話していた。(鈴木 潤)


◎競輪選手とバンク走行 競輪場で交通安全学ぶ…サイクルミーティング
 秋の全国交通安全運動(21日―30日)に合わせて、現役の競輪選手とともに、子どもたちや高齢者が正しい自転車の乗り方を学ぶ「2008サイクルミーティングinはこだて」(日本競輪選手会北海道支部など主催)が23日、函館市金堀町の市営函館競輪場で開かれた。選手とともにバンクを自転車で走行したり、函館地区トラック協会(柏葉孔会長)による自転車とトラックの巻き込み事故の再現など、約200人の子どもたちや市民らが交通安全への意識を高めた。

 イベントは同選手会道支部(俵信之支部長)が、函館中央署や函館西署に働き掛けて初めて企画。開会式には西尾正範函館市長や谷口茂樹函館中央署長、清水博明函館西署長らが出席し、函館港中3年の谷内俊太君が交通安全宣言を行った。

 当初は、バンクで自転車の正しい乗り方を学ぶ予定だったが、あいにくの天候で一部内容を変更。屋内で交通安全啓発のDVDを観賞した後、バンクで選手とともに自転車で走行。バンクの傾斜やプロの走行速度に参加者は歓声を上げていた。

 俵支部長は「事故死の多い道内で、以前から実施したかった企画。今後、自転車に乗れない子どもたちへの乗り方教室などの企画を考え、来年以降も継続していきたい」と話していた。(今井正一)


◎チャーミングゥ〜なかかし並ぶ
 【江差】江差のお米はとってもグー!?―。江差町越前町にある笠原一雄さんの水田では、ことしも小学生や農家が手作りしたユニークな“かかし”がずらりと並んだ。スーツ姿で両手の親指を前に突き出した姿が印象的な「エド・はるみかかし」や、特徴的な顔の表情など細部にこだわった「世界のナベアツかかし」などのユーモラスな姿が、地域住民や収穫作業の手を休める農家の目を楽しませている。

 かかしの設置は、江差土地改良区(小林克夫理事長)の呼び掛けで2004年にスタートし、今回で5年目を迎える。家庭で要らなくなった古着などをリサイクルすることが条件。食の大切さやリサイクルを呼び掛けるメッセージを携えたかかしもある。

 ことしも稲作体験の一環としてかかし作りを行った、江差・江差北両小学校をはじめ、同改良区、江差消費者協会、町役場、桧山支庁、函館開建、新函館農協などが製作に参加。あぜ道には工夫を凝らした約40体がずらりと並び、実りの秋を迎えて黄金色に輝く水田をにぎやかに見守っている。

 同改良区では「ことしも楽しいかかしが勢ぞろいしました。秋に入って収穫が本格化している水田の様子とともに、見学に訪れてみては」と話している。(松浦 純)