2008年9月25日(木)掲載

◎工事現場でクレーン横転
 24日午後3時半ごろ、函館市大森町25の「ホテルパコ函館」新館工事現場で、福島町三岳の中山クレーン興業(中山勇喜社長)の男性運転手(36)が操作していた重量80トン、アームの長さ最大57メートルの大型クレーン車が横転、付近を歩いていた同市内の無職女性(58)が転倒し、左足や顔面骨折などの重傷を負った。


◎女性転倒、骨折の重症…クレーン横転
 函館市大森町の「ホテルパコ函館」新館増改築工事現場で24日に発生した大型クレーン車横転事故では、女性1人が重傷を負ったほか、クレーンのアームが電柱1本をなぎ倒し、大森町など4町で一時停電となるなどの被害が発生した。付近の建物に直接的な被害はなかった。函館西署は現場付近を一時通行止めとし、復旧作業を進めた。同署は25日午前、実況見分を実施する方針で、業務上過失致傷の疑いもあるとみて調べを進めている。

 同署によると、現場は同ホテルの増改築に伴う基礎工事中で、クレーン車はアームを約40メートル伸ばした状態で、長さ34メートル、直径0・8メートル、重さ21トンのコンクリート製のくいを地盤に打ち込むための作業をしていたという。この際に何らかの原因でバランスを崩し、現場から北側の市道交差点に向かって倒れたとみられる。くいの先端は交差点に面した民家の玄関から約50センチしか離れていなかった。

 重傷を負った女性(58)はJR函館駅に向かうため、同交差点を千歳町方向から東雲町方向に歩いていて、切れた電線かコンクリートの破片などが体に当たり転倒したとみられる。左下腿部開放骨折、左肩甲骨骨折など5カ所を折る重傷を負ったが、生命に別条はないという。

 北電函館支店によると、電柱1本が倒壊し高圧線が切断されたため、事故発生直後から大森、東雲、千歳、松風の4町で最大760戸が停電した。

 現場に隣接する函館トヨタ松風店の工場で作業中だった整備士岩井伸悟さん(24)は「『あぶない』『キャー』という悲鳴とともに地震のような音と振動があり、停電になった。外に行くと女性が倒れていた」とし、付近のマンション4階に住む女性(70)は「『ドーン』と今まで聞いたことのない音で、外を見るとクレーンが倒れていた。本当に怖い」と話していた。

 同工事は、現在の同ホテル本館北側の一部など約1520平方メートルの敷地に地上14階、地下1階建ての新館を建築する計画で、3日に地鎮祭を行ったばかり。施行業者の奥村組(本社・大阪、奥村太加典社長)は「このような事故を起こし、誠に申し訳なく思っている。負傷された方の一日も早いご回復をお祈りします」とコメントした。(今井正一)


◎学校給食でも事故米か…2市8町健康被害報告なし
 函館市や北斗市など渡島、桧山管内の2市8町の学校給食で2003―07年度、カビの生えた事故米が混入した可能性のある原料を使った厚焼き卵が提供されていたことが、函館新聞社の調べで24日分かった。これまでに児童・生徒から健康被害の情報は寄せられていないという。

 対象食品は島田化学工業(新潟県)が汚染された事故米を使って製造した可能性のある米でんぷんを使い、「すぐる食品」(東京)が加工した厚焼き卵数種類。すぐる食品から同日までに、自主回収を知らせるファクスが届いて判明した。各教委や給食センターなどによると、少なくとも函館、北斗、七飯、知内、森、八雲、長万部、乙部、今金、せたなの学校給食に道南の業者を通じて納入されていた。

 使用状況は、函館は戸井の小・中学校4校で06年5月19日に440食、07年12月19日に430食、南茅部の小・中6校で07年12月19日に650食。北斗は旧上磯地区の小・中11校で04年1月―06年11月の8回延べ2万1440食、旧大野地区の小・中5校で05年1月―06年11月の5回延べ5450食。

 知内(小・中計6校)は05年10月22日に620食、06年10月13日に590食。乙部は06年11月に470食、同年12月に112食。今金は03年11月―08年2月の7回延べ714食など。このほか、七飯町は03年11月―07年11月の5回にわたり提供していることが分かっており、数量などは確認中。森町教委も「07年に対象食品の提供があった」としている。

 函館市教委保健給食課は「原材料を確認しながら安心・安全な食材を選んでいるが、加工品の原料までは確認し切れない。業者やメーカーに可能な限り情報提供を呼び掛けたい」とし、北斗市の澤村静夫共同調理場所長は「由々しきことと受けとめている。業者側には厳重な注意や自主管理態勢の検査を求めたい」と話している。

 すぐる食品の担当者は「(汚染米の混入は)断定ではなく、疑いがあるとのことで自主回収している。万が一原料にカビが付着していても、遠心分離器の作業過程で付着物は除去される上、熱処理を加えているので、菌が残留することはほぼゼロに近い」と説明している。(新目七恵、宮木佳奈美、鈴木純)


◎出張旅費の架空請求141万円 谷沢社長が謝罪…貿易センター不正経理問題
 函館市が出資する第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)の不正経理問題について、谷沢社長と山田幹雄取締役は24日、函館北洋ビル(同市若松町15)で記者会見し、同社の男性役員(70)が会社発足から5年間で改ざんした領収書の件数は23件、総額8万7000円で、無料で乗れたチャーター便の搭乗料金を架空請求した分は28件、141万3700円に上ることを明らかにした。

 谷沢社長によると、領収書改ざんが発覚したのは7月7日で、その後第三者機関である税理士事務所などに調査を依頼。22日に市内のホテルで開かれた取締役会で、同役員が起こした不正事実について最終的な調査結果が報告され、23日夜に本人に確認したところ大筋で認めたため、24日朝の役員会で同役員に対し、代表取締役専務の解職を決めた。

 領収書の改ざんは飲食代金の数字を書き換えた。架空請求は同役員本人分が17件、90万2300円、同社の社員4人分(うち2人はすでに退職)11件、51万1400円。同役員が不正経理の主導的な役割を果たし、架空請求分を別会計としてプールすることが常態化していたとみられ、捻出(ねんしゅつ)した分はサハリン出張時の交際費や営業経費などに充てていた。同役員は全額の返還に同意しているという。

 谷沢社長は会見で「函館の貿易の要を担っていかなければならない中で、代表取締役専務という身分の者が起こしたことは、会社として反省するとともに残念に思う。今後、2度と同じようなことが起こらない組織体系を確立し、貿易活性化に向けて歩んでいきたい」と語った。

 同社は来月に開く臨時株主総会で、同役員の取締役を解任する方針で、谷沢社長は自らについて「一切の整理を早々に済ませ、私自身としての責任を取りたい」と述べた。(浜田孝輔)


◎町民に愛され現役32年目のテレビ 町の文化財に…福島町町民センター
 【福島】福島町福祉センター(町三岳)のロビーにあるテレビは1976年製で、今年で現役32年目を迎えた。同センターが開館した76年3月30日から置かれている。高さ、横幅ともに90センチ、奥行き45センチの昭和の風情を漂わせる木目調の“お宝”は、「大きくて格好いい」と平成生まれの子どもたちにも人気。ただここにきて、2011年7月開始の「地上デジタル放送」が大きな“壁”になってきた。管理する町教委は「末永く使いたいが、地デジ対応が無理なら『昭和の生活用品』として町の文化財的に展示していきたい」としている。

 超薄型で軽量の液晶テレビなどが脚光を浴びる中、この箱型テレビは貴重な存在。チャンネルは手で回す。薄型にはない広い天板は写真立てや飾り置き場としても重宝し、何より温かなデザインが家族団らんを演出する。町教委の金谷栄一郎さんは「当時は最新型で、本当に裕福な家庭じゃないと買えなかった代物」と振り返る。

 電器店経営59年目の町福島274の野川裕行・野川電化サービス社長(53)の査定によると、購入当時の価格は20―30万円と推定される。高卒者の初任給が月給で3万円前後だったことから、「それはそれは高価な買い物だったと思う。あの種類のテレビは長くても10年前後が寿命」とし、「このテレビは本当に幸せだ。皆にずっと愛されているから」と話す。

 野川社長はこのテレビの“長寿”の理由について、(1)イベントなどで町民が集まったときにだけ電源が入れられていた(2)通気が良く湿気が少なかった(3)部品一つ一つが高級―などを挙げる。

 このテレビを見守ってきた金谷さんにとって、最大の心配は地デジへの対応ができるかどうかだが、野川社長は「無理」と即答。「専用の変調機を使えば、映像と音は流れる」としながらも、「それをやったら地デジの意味(高画質)がないので、そこまでやる必要もないと思う」と笑う。

 「故障もなく、町民から長年愛されている自慢のテレビ。これからも大事にしたいが…」。金谷さんの思いは町民、町教委職員も同じだ。こうした状況を受け、町教委は現役引退後のテレビを「昭和の生活用品」という形で残す方向を打ち出した。時代の流れを鮮明に町民に伝えてきたこのテレビは、これからも町民の手で大切に扱われていく。(田中陽介)


◎オンパク18日開幕…きょうからガイドブック配布開始
 湯の川温泉街などを舞台にした体験型イベント「第4回はこだて湯の川温泉泊覧会(オンパク)」(実行委主催)が10月18日に開幕する。今回は開催期間を昨年より7日多い計23日間に延長し、函館近郊への日帰りツアーを拡充したのが特徴だ。実行委の河内孝善事務局長は「過去3回の集客を見ながら内容を洗い直し、自信を持ってお勧めできるプログラムが完成した」とPRしている。

 今回のテーマは「街を知り、人とふれあい、好きになる」。散策プランを中心に新たに20プログラムを加えた計66種類を用意した。総定員は3570人。前回より4種類、定員67人が削減されたが、「開催日の重複をできるだけ避け、量より質の高いプログラムに組み替えた」(実行委)という。

 前回好評だったトラピスチヌ修道院の見学ツアーに加え、今年は男子のトラピスト修道院(北斗市)を訪れるツアーも初企画。普段は奥まで立ち入ることのできない神聖な施設だけに今年も人気を呼びそうだ。函館市内や近郊の紅葉、裏夜景スポットを巡るバスツアーも新設した。

 奥尻町の湯ノ浜温泉のほか、青森県の恐山や下風呂温泉、奥入瀬渓流などへの1泊ツアーも充実。青森県大間や函館・戸井産のマグロ丼を堪能できるプランもある。湯の川地区の飲食店などをはしごする恒例の「湯の川ぶらり・つまみぐいめぐり(ゆのぶら)」は11月1、2の両日に開催する。

 詳細なプログラム内容を紹介したガイドブックは25日から順次、湯の川温泉街のホテル・旅館や市内の公共施設、デパートなどで無料配布する。申し込み予約は10月4日午前9時からで、オンパクのホームページ(http://www.onpaku.org/)や専用電話(TEL0138・36・6111)で受け付ける。(森健太郎)


◎支部勝ち抜いた歌、演奏聞いて…きょうから全道高校音楽発表会
 第42回全道高校音楽発表大会(道高文連主催)が25、26の両日、函館市民会館(湯川町1)と函館市民体育館(同)で開かれる。支部予選を勝ち抜いた道内60校の生徒約1700人が集い、練習の成果を披露する。初日の合唱と日本音楽の両部門は一般来場も可能で、事務局校の函館西高の生徒らは「ぜひ見に来て」とPRしている。

 初日は大会発表が午後1時から同市民会館で開かれる。合唱部門には「道南合同」(函館商業、函館稜北、函館中部、桧山北、遺愛女子中高、函館ラ・サール)を含む9団体、日本音楽部門には5団体が参加する。入場無料。同日午後4時50分からは、関係者対象の交流会を同市民体育館で行う。

 2日目は器楽管弦楽部門に函館白百合学園を含む7団体、吹奏楽部門に長万部、桧山北、八雲、遺愛女子を含む28団体が参加する。参加人数が多いため、一般市民の来場はできない。

 函館開催は1997年以来11年ぶり。函館西高吹奏楽局の2年、能代和葉局長(17)は「各ジャンルが集まる貴重な機会。すてきな大会をしっかり運営して成功させたい」と意気込んでいる。パンフレットの表紙デザインを担当した同吹奏楽局2年、野田薫子さん(16)も「来函者には観光地・函館の良さを知って楽しんでもらいたい」と話している。(新目七恵)