2008年9月26日(金)掲載

◎化学肥料工場で火災
 25日午後2時23分ごろ、函館市北浜町9の化学肥料工場「北海道サンアグロ函館工場」内の高さ約36メートルの電気集じん機から出火、排気筒の上部約10メートルが溶解した。従業員らにけがはなかった。黒煙が激しく立ち上り、消火活動に伴う規制で道路も渋滞し、付近は一時騒然となった。


◎粉じんが異常燃焼か…化学肥料工場
 函館市北浜町の化学肥料工場「北海道サンアグロ函館工場」で25日に起きた火災で、市消防本部は消防車など17台を現場に向かわせ、通報から約45分後の午後3時10分ごろに消し止めた。出火した電気集じん機の排気筒は煙突ではなく、白い煙のように見える水蒸気を排出させる装置で、普段火の気はないという。集じん機内部の粉じんなどが何らかの原因で異常燃焼を起こしたとみて、函館西署などが詳しい原因を調べている。

 調べによると、出火した電気集じん機は、肥料製造の過程で発生するちりなどの不純物を内部で取り除き、水蒸気のみを外部に排出する装置。繊維強化プラスチック(FRP)製で地上約36メートル。集じん機本体と長さ約18メートル、直径1.2メートルの排気筒で構成されている。本体装置内の電極に電圧をかけて不要物を付着させる仕組みで、通常は常時稼働しているが、同日午前11時から内部洗浄のために電源を落としていたという。

 電気集じん機と肥料を乾燥させる建物を結ぶFRP製のダクト部分には損傷はないため、集じん機本体の内部で出火し、排気筒を伝って上部から炎が吹き出たとみられる。火は排気筒の上部約10メートル付近からも吹き出し、一部が溶け落ちた。

 同署は消火活動支援のため、同日午後2時半すぎから同3時20分ごろまで、国道227号の一部区間(同市港町1―同北浜町5付近)などに交通規制をかけ、p・≠奄、かい)する車で道道函館赤川線などが一時、大渋滞となった。

 同社付近の食品工場で働く男性(47)は「普段は白い煙(水蒸気)が出ていたのに黒い煙が上がっているので見ていたら、突然ガスバーナーのような炎が吹き出した。10分後ぐらいに上部が折れたようだ」とし、同町内の主婦(70)は「50年以上工場そばにすんでいるがこんなことは初めて。もし肥料に延焼したら大変なことになっていた」と不安そうに話していた。


◎収入 前年比17%増…道内07年分 政治資金収支報告書
 道選挙管理委員会は26日付の道広報で、道内政治団体の2007年分の政治資金収支報告書を公表した。前年繰り越し分を除く政党、政治団体の収入額は110億217万円で前年比17・4%増。昨年は4月に統一地方選、同7月に参院選と大型選挙が集中したことに加え、衆院選に向けて資金集めが活発化したことが収入額を押し上げた要因と見られる。昨年4月に初当選した西尾正範函館市長の後援会「子ども達の笑顔と未来の会」の収入額は946万円だった。

 報告書を提出した道内の政党、政治団体は3792団体で、前年より25団体減少。前年繰り越し分を含めた収入総額は147億4696万円で、支出総額は117億1862万円。収入額のうち、政党は59億1122万円で前年比26・8%増、その他の政治団体は50億9094万円で同8・1%増だった。

 主要な政党別で見ると、自民党が前年比31・0%増の23億1772万円で最も多くなり、前年トップの共産党と入れ替わった。共産党は19億4717万円で同3・4%減。民主党は9億1840万円で同37・6%増。公明党は6億6715万円で同287・1%増。社民党は6039万円で同92・7%増。

 渡島・檜山管内の政党収入では、共産党函館地区委員会が5979万円でトップ。同党渡島檜山地区委員会が4507万円、公明党函館支部が3823万円と続く。民主党は北海道第8区総支部が2657万円、衆院道ブロック比例区第1総支部が1029万円。自民党は道8区支部が1613万円、函館市第5支部が1069万円、松前支部が1012万円と3支部が1000万円を超えた。

 渡島・檜山管内のその他の政治団体では、衆院選道8区に出馬を表明している民主党現職、逢坂誠二氏の後援会が1160万円、無所属新人の佐藤健治氏の連合後援会が1600万円。今季限りで引退を表明している民主党の金田誠一氏の資金管理団体「誠心政経フォーラム」は900万円。前函館市長の井上博司氏の後援会「21世紀の函館を創る会」は499万円だった。(小川俊之)


◎市民に広がる不安、憤り…事故米、メラミン
 事故米の不正転売や有害物質メラミン混入疑惑など食の安全にかかわる問題が相次ぐ中、24日には事故米による原料が混入した可能性のある食材が道南の学校給食にも使われていたことが判明、消費者の不信感や怒りは募るばかり。安全確保に向けた対策を求める声が高まっている。

 中学1年の娘を持つ函館市の40代の母親は「(事故米の)問題は業者も被害者であり、国に怒りを覚える」と憤る。学校給食に携る教諭は「学校側は相手を信用して書面でチェックをしており、こうした問題は作り手の良識に訴えるしかない」と嘆く。

 市内の主婦(58)は「メーカーを信用して買うしかない。企業は利益優先ではなく、安全性をもっと重視してほしい」と訴え、「消費者も安さばかり追求すると食の安全を見失うので気をつけたい」と気を引き締める。市内亀田町の男性(37)は「作り手の顔が見えるシステムを構築することで不正防止になるのでは」と提言する。

 業者も風評被害や客離れに神経をとがらせる。ある大型店では、メラミン混入の恐れのある商品を扱ってはいなかったものの、担当者は「中国産ギョーザの事件以降、細心の注意を払っているが、末端にいるわれわれは対処できない。中間地点でのチェック機能のあいまいさが問題」と怒りを込める。

 同市内の食品加工・卸会社の社長(42)は「事故米を高い値段で売り付ける詐欺行為を助長した国の責任は重い」と厳しく指摘し、「原料を仕入れる際に、DNA鑑定してまで調べるのはコストが掛かって無理。信じるしかない。取引先に『偽装や不正はない』と念書を書いてもらうこともある」と対策に頭を悩ませる。市内本通の飲食店経営者(63)は「輸入品ばかりに頼らない地産地消が今こそ大事」とする。

 市立函館保健所に現時点で健康被害の報告はないが、生活衛生課は「国や道からの情報も得ながら対応していきたい」としている。

 函館消費者協会の米田イツ会長は「食品表示にないものが混入していると、消費者は防ぎようもなく、知らずに食べてしまうのは恐ろしい」とし、「事故米の一件は行政に落ち度がある重大な事件。行政がとことん真相を究明し、今後どのように改革していくか注視したい」と話している。(鈴木 潤、宮木佳奈美、新目七恵)


◎高松凌雲の生涯 劇で…千代田小6・4日の学芸会で発表
 函館戦争に医師として参加し、戦傷者を敵味方問わず治療するなど、日本における赤十字活動の草分け的存在となった高松凌雲(1837―1916年)の功績を伝えようと、函館千代田小学校(梶利明校長、児童156人)の6年生21人が今年、初の創作劇に挑戦している。土方歳三も登場する激しい戦闘シーンなどを盛り込みながら、人道主義を貫いた高松の波乱に満ちた生涯を舞台で表現する。10月4日の本番を前に、子どもたちはけいこに励んでいる。

 同学年は7月に野外劇にも参加するなど演劇への意欲が高く、総合学習で地元ゆかりの歴史的人物を学んでいることなどから、本年度は高松にスポットを当てた劇を発表することにした。担任の藤村美由紀教諭(35)が脚本を担当し、2学期から練習を本格化させた。

 演題は「かの地での約束〜高松凌雲ものがたり」。幼いころに兄・佐久左衛門と交わした約束を果たし、医師として成長した高松が、函館病院の院長として多くの負傷者を手当てし、民間救護団体の前身とされる「同愛会」を創設するまでを描いている。21人全員がキャストを務め、照明や音響は出番のない時に児童が兼務する。24日には照明などを付けた初めての通しげいこが行われ、子どもたちは熱心に演技に取り組んでいた。

 主役の高松を演じる坂口久美子さん(12)は「平等に治療を受けられるようにした高松凌雲はすごいし、やりがいのある役。函館に偉大な人物がいたことを知ってほしい」と張り切っている。アクションリーダーで、土方歳三役の平野武周君(11)は「迫力のある舞台にしたい。土方役で主役を引き立てたい」と話している。

 藤村教諭は「子どもたちは舞台へのモチベーションが高くやる気は満々。『伝える』をテーマに場面をつなぎ、駅伝のように走りきりたい」と話している。6年生の劇発表はプログラムの最後で、午前11時過ぎに行われる予定。(新目七恵)


◎原告の訴え棄却…市議会費用弁償返還訴訟
 函館市議会の本会議などに出席した市議に日額5000円を支給する「費用弁償」は地方自治法などに違反しているとして、道南市民オンブズマン(大河内憲司代表)の筒井将喜さん(70)=同市湯浜町=ら7人が西尾正範市長を相手取り、2006―07年度の支給額1276万円の返還を求めた住民訴訟の判決が25日、函館地裁であり、東海林保裁判長は「他の中核市の費用弁償額と比較しても、日額5000円は不当に高額であると言えず、議会の裁量の範囲内と認めるのが相当」などとし、訴えを棄却した。原告側は札幌高裁に控訴する方針。

 原告側は(1)市議が費用弁償の支給を受けるのは報酬の二重取りに当たる(2)議員が議会に出席することは当然の職務で、費用弁償の支給事由にはなり得ない―などと主張しているが、判決では▽支給理由や実費額を定めることは議会に委ねられた裁量の範囲内▽地方自治法は支給事由を「職務を行うため要する費用」と定めており、職務の中核である会議への出席が支給事由にならないとはいえない―などとし、原告の請求は理由がないとした。一方で、費用弁償制度の是非や支給額について「議会で真摯(しんし)に議論されることが望ましい」とした。

 閉廷後の会見で筒井さんは「議会の裁量権を大幅に認めた非常に遺憾な判決」とし、大河内代表は「5000円だから高いとか安いではなく、社会情勢や経済情勢を読めていない」と述べた。

 函館市では本年度から費用弁償を交通費の実費支給に変更している。判決を受け、西尾正範市長は「市の主張が認められた。市議の費用弁償については、今後とも適正な執行に務めたい」とコメント同市議会の阿部善一議長は「今後も一層市民に信頼される議会に向け、鋭意取り組んでいきたい」とした。


◎役員を告訴せず…貿易センター不正経理問題
 函館市議会の決算特別委員会(斉藤佐知子委員長)は25日、経済建設常任委員会所管分を審査した。市が出資する第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)の男性役員(70)による領収書改ざんなどの問題で、同社が同役員を刑事告訴しないと決めたことについて、谷沢副市長は市の対応として「必要経費と認める以外の全額を返済する意向で、社会的な制裁も受けており、会社の意向を尊重したい」と述べた。

 福島恭二氏(民主・市民ネット)、志賀谷隆氏(公明党)、紺谷克孝氏(共産党)の質問に答えた。

 谷沢副市長は24日に市内で開いた記者会見に社長として臨み、第三者機関の税理士事務所が行った調査結果を受けて、領収証の改ざんや出張旅費の架空請求に関する件数、金額を明らかにし、同役員の代表取締役専務を解職すると発表していた。

 福島氏は調査を同社の取引先に委ねたことや、領収書の改ざん1件が判明した時点で減給処分を下したことなどを疑問視し、「不可解なことばかりで、議会としてチェック機能を果たすため、ありのままの事実を報告してほしい」と追及。臨時株主総会で同役員の取締役を解任した後に同社の顧問に据える可能性や、拠出した裏金を管理する市職員が存在する疑いについても示唆した。

 紺谷氏が同役員の違法性などについて市の認識を求めたところ、谷沢副市長らは専門家の意見を仰いだ上で、後日回答するとした。この回答は26日の同委員会ですべての審査が終わった後に予定されている。委員会はこの問題を総括質疑として取り扱うかを判断する。(浜田孝輔)