2008年9月28日(日)掲載

◎世界の名車 道南走る…トロフェオ・タツィオ・ヌヴォラーリ・イン北海道
 クラシックカーやスーパーカーが道南を巡る「第8回トロフェオ・タツィオ・ヌヴォラーリ・イン北海道・道南ステージ」(実行委員会主催)が27日に開幕した。時折雨が降るなどのあいにくの天候のなか、全国から集まった23台の名車が、函館市豊川町の金森赤レンガ倉庫群駐車場をスタートした。

 1930年代に活躍したレーシングドライバー、タツィオ・ヌヴォラーリ(1892―1953年)にちなんだ国内唯一の冠レース。函館では2004―06年に3年連続で開催したが、昨年は静岡に場所を移したため、2年ぶりとなった。レースはスピードではなく、走行ルートの正確性や、途中に設けられたタイムトライアルポイントでのペナルティーにより順位が決まる。

 スタート会場には、ポルシェやフィアット、ロータス、ボルボなど、世界各国の名車がずらり。運転手は集まった大勢の市民に手を振り、エンジン音を響かせながら走り出した。道南開催では4年連続となった鹿部町の安藤敏夫さん(87)は、1972年式の愛車マツダ・ルーチェで参加。走行距離は42万キロだが、「調子は良い。家族の反対があるためことしが最後になるので、楽しんで走りたい」と話した。

 レースは28日まで続けられ、2日間の走行距離は約380キロとなる。この日は木古内町経由で上ノ国町、江差町、北斗市などを走り、七飯町の函館大沼プリンスホテルに到着。2日目は鹿部町や函館市の恵山地区などを経由し、午後3時ごろに東日本フェリー函館ターミナル(同市港町3)に到着する。(小泉まや)


◎本年度の函館市都市景観賞に「曽川邸」と「銀座天満つ」
 函館市は、都市景観に配慮した優れた建物などを表彰する、本年度の市都市景観賞を発表した。同市船見町13の一般住宅「曽川邸」と、同市末広町7のそば店「銀座天満つ」の2件が選ばれ、10月3日に市役所で表彰式が行われる。

 曽川邸は2006年に「技建」(北斗市久根別5)による設計、施工の下で改築。函館港を一望できる坂の上にそびえる木造2階建てで、異国情緒漂う町並みの中、和風建築物の象徴とも言える造りが特徴だ。

 「銀座天満つ」は、自営業駒谷啓一郎さんがデザイン、山田建設(函館市赤川1)が設計、ヤマテン建設(同市桔梗1)が施工を分担。07年11月末に完成し、新築にもかかわらず周囲の古い建物群にマッチしており、所有者の町並みに対するこだわりが表れている。

 同賞は、1989―94年度に西部地区歴史的景観賞として実施してきたが、条例の改正に伴って名称を改め、それまでの西部地区限定から市内全域に変更。5年以内に新築・改築し、周辺環境に調和したデザイン、歴史的な建築様式の継承といった基準を満たす建物、または都市景観の形成にかかわる活動を3年以上続け、その実践や貢献度が」認められる団体・個人を対象に、95―07年度まで32件を選定してきた。

 14回目となる本年度は、239件の応募があり、重複分や受賞歴のある建物などを除く39件を選考対象とした。有識者らでつくる選考委員会(委員長・岡本誠公立はこだて未来大教授、委員7人)が書類審査、現地審査を行った上で決定した。(浜田孝輔)


◎函館市スーパー レジ袋有料化…足並みそろえ客流出防ぐ
 函館市内で合わせて44店のスーパーマーケットを展開する6社が、10月から段階的にレジ袋を有料化する協定を結んだ。これらすべての店舗で11月1日までに、買い物時にレジ袋が欲しい場合は1枚3―5円の有料となる。各社が合意に至る経緯や思惑、市の対応などから、発案から数カ月月という短期間で足並みがそろった背景を探った。

 環境保護対策としてのレジ袋有料化については是非の議論があるものの、北海道洞爺湖サミットを契機に全国的に機運が上昇。道内ではサミット開催地などを中心に、自治体と地元消費者協会との三者協定を結び、取り組むスーパーが増加している。

 函館市の三者協定締結は、容器包装リサイクル法の施行に伴い置かれた「市簡易包装等推進懇話会」を土台に進められた。火付け役は全道の有料化を先導したコープさっぽろ。コープは神戸などで2006年に単独有料化したが、直後に5%の客が他店に流れたという。一方、複数社で協定を結んだ苫小牧市などの場合、客離れは見られなかった。「少数店のまま有料化に踏み切った神戸の二の舞にしたくない」(コープさっぽろ)。函館では他社を巻き込もうと同懇話会の議題に乗せた。

 同懇話会の事務局でもある市環境部は6月下旬、構成メンバーらを集め、有料化に向けての意向を確認。参加した複数社が有料化に賛同したことから7月下旬、緊急の懇話会開催に踏み切った。ここでの意見を参考に「スーパー各社の間では有料化に前向きな意見が多く出された」(市環境部)と判断し、三者協定締結の本格的な準備を進める。

 道南のスーパーでは最多の店舗数を誇る魚長の動向に注目が集まり、同社も「時代の流れは有料化に向いており、足並みをそろえるべき」として参加を決意。その後「やるなら今」と判断した道南ラルズが加わった。1日の締結式当日、コープさっぽろは「1社だけの先行実施では不安だったが6社そろってほっとした」と胸をなで下ろした。

 もらい慣れたレジ袋の有料化は消費者に戸惑いも与えそうだが、環境面に加え、スーパーにとっては、原価で1枚当たり数円かかっていたレジ袋の負担がなくなるメリットがある。協定に参加したある社は「事前の周知などの負担はあるが、薄利多売のスーパー業界でやる価値は十分ある」とする。その一方、協定に加わった複数社が懸念するのは「マイバッグを隠れみのにした万引の増加」だ。あるスーパーは、店内の巡回警備や監視カメラの増設などで対応するという。

 10月1日の先行4社有料化を前に、各社は店頭掲示やちらしなどで有料化の周知に努めるが、市民の意識は有料化を受け入れている。9月上旬に開催した「はこだて・エコフェスタ2008」(市主催)のマイバッグコーナーには、前年の2倍にもなる約600人が来場。クイズに答えるとマイバッグをもらえる仕組みで、関心の高さをうかがわせた。来場した函館市西桔梗町の主婦、蛯子奈津岐さん(26)は「家には不要なレジ袋がたまっていたので、無駄を省く意味で有料化は良い。これまでマイバッグを持っていなかったが次回の買い物から今日もらった袋を使います」と話した。

 一方でコンビニエンスストアやデパート業界は、口をそろえて「業態の違い」を理由に、無料での配布を続ける考えだ。セイコーマート函館地区事務所は「食用廃油など資源回収の観点から環境対策に取り組んでおり、レジ袋を有料化する予定はない」。丸井今井函館店は「百貨店の包装紙や袋には宣伝効果があり、商品の一部でもある」として、食品売り場でのマイバッグ持参の推進で省資源化を進める。(小泉まや)


◎司法書士チームがハーフマラソン出場
 函館市内で28日に開かれる2008函館ハーフマラソン(道南陸協、函館市など主催)に、同市や東京都などで活動する司法書士で発足した長距離走チームが出場する。27日には司法書士、家族12人が市内のホテルで結団式を開き、デビュー戦となる大会に向け健闘を誓った。

 司法書士会の組織活性化と会員同士の交流を深めようと、函館司法書士会(島野潤一会長)の石川博康副会長(49)が発起人となって全国の司法書士に呼び掛けたところ、約20人が賛同した。大会には、函館や東京のほか、神奈川や札幌、旭川の各司法書士会の愛好者が出場。市民マラソンの常連者もいれば、トライアスロンやクロスカントリーなど他競技の選手もいる。

 東京や神奈川の司法書司会では、駅伝部などのチームがあるが、ほとんどの愛好者は個人で活動。同大会に1994年から出場している石川副会長は「同じ趣味を持つ仲間が集まることで励みにもなる。いずれは司法書士会として独自の大会を開くことができれば」と語る。

 結団式では、島野会長(49)が「無理をせず楽しんでほしい」とあいさつした後、選手は順番に「1時間50分を切りたい」「制限時間内にゴールしたい」なとと抱負を述べた。

 また、チーム発足を契機に司法書士会の全国大会開催に向け検討していくことを申し合わせた。 東京司法書士会三多摩支会会長を務める清家亮三さん(57)は「函館の景色を心いっぱい楽しみながら走りたい」と話していた。

 大会は市千代台公園陸上競技場を発着とする21・0975キロのコースで、午前9時50分スタート。(鈴木 潤)


◎デジタル機器に予算の半分…はこだてっ子水産体験学習
 函館市が昨年度から実施している「はこだてっ子水産・海洋体験学習」で、昨年度の事業費250万円のうち、半分に当たる126万円が学校のデジタルカメラやデジタルビデオカメラ、デジタルハイビジョン液晶テレビなどの購入費に充てられていたことが、このほど開かれた市議会決算特別委員会で分かった。

 同事業は、西尾正範市長が「水族館」に代わるソフト事業として打ち出した。合併4地域と旧市内地域の子供たちが新市の魅力である『海』に親しみ、触れ合う事業。

 質問で明らかにした金沢浩幸氏(新生クラブ)は「事業の目的はいいが、9校すべてでデジタル機器を購入している。こうした機会にしか購入できないのであれば、デジタル機器購入の別予算を付けたらどうか」と疑問を述べた。

 市教委は、デジカメは前浜での交流活動や水産施設の様子などを記録し、効果的に学習に活用され、デジタルテレビは市内近郊に生息する海洋生物のDVD観賞など、海への興味や関心を広げる活動に使われていることを説明。「備品購入の支出が多いが、事業の目的との整合性は図られているととらえている」と理解を求めた。

 金沢氏はまた、同じく西尾正範市長の公約でスタートした、学校長の裁量で特色ある教育を目指す「知恵の予算」で、昨年度は小学校46校中17校、中学校27校中8校が「図書購入」に充てていることを指摘。読書活動の重要性を認めた上で「図書が足りなければ、別に図書購入予算を付け、知恵の予算は別な活用をすべきだ」と指摘した。別の議員からは「これが本当に西尾市長の言う“知恵”だろうか」との声もある。

 「知恵の予算」は当初、学校に一律100万円を予定していたが、初年度となる2007年度は学校の規模に応じて100万円、80万円、60万円を配分し、総額5600万円の予算となった。本年度も5640万円を計上している。 (高柳 謙)


◎中部高で「医学部のすすめ」…札幌医科大医学部・宝金教授が出前講義
 函館中部高校(黒田信彦校長、生徒720人)で27日、札幌医科大医学部脳神経外科の宝金清博教授(54)による第1回医学部出前講義が行われた。道教委の「地域医療を支える人づくりプロジェクト」事業に基づく取り組み。医療系大学への進学を目指す同校の1、2年生や道南の高校生17人が参加し、医師教育の現状などを学んだ。

 同事業は、地域医療を支える人材育成などを目的に本年度から開始。同校を含む道内9校が指定校とされ、出前講義は同校では今回が初めて。

 宝金教授は「医師の教育」と題した前半の講演で、「現在、日本では選挙の争点の1つになるほど医療の重みが大きい」と説明。高校卒業後、医師になるまでに大学入試、国家、専門医の3つの試験があり、順調に進んでも12―13年掛かることや、医学部の特徴として技術を学ぶ点を挙げ、「手術の技術や知識は入学後に学ぶので心配しなくて良いが、その前にコミュニケーション能力や謙虚さ、誠実さなどが必要だ」と語った。

 参加した函館中部高1年4組の榑林大和君(16)は「医者の大変さが分かった」とし、八雲高1年生の稗田翔平君(15)は「医学部を目指しているので興味ある内容だった」と話していた。(新目七恵)