2008年9月7日(日)掲載

◎中島廉売にオレンジ色のキノコ、マスダケ
 鮮やかなオレンジ色の傘で、大きなもので直径約20センチもある食用キノコ、マスダケが6日、函館市中島町の中島廉売にお目見えした。買い物客は「見たことがない」「どうやって食べるの」と盛んに注目していた。

 マスダケはマスやサケの切り身の色に似ているから名付けられた。この日、道南の山で採った同市港町の上原二三子さん(75)も「日ごろは探しても見当たらないキノコで、今日は4年ぶりに姿を見つけた」と驚きの表情。

 華やかで店を訪れた人の興味を引けども、食欲をそそるまでには至らず「こっちのアワダケの方がおいしそう」とほとんど買い求めなられかった。上原さんは「厚みがあり、サクサクした歯ごたえがある。バターでいためるとおいしいのだが」と話していた。(山崎純一)


◎函大有斗高創立70周年記念式典
 函大付属有斗高校(鈴木健校長、生徒631人)の創立70周年記念式典が6日、函館市民会館(同市湯川町)で開かれた。同校の卒業生や来賓約860人が出席し、70年間積み上げてきた歴史と伝統の深さをかみしめていた。

 同校は昭和13(1938)年に設立認可を受け、翌年4月に函館計理学校として開校。その後、幾度か校名を改称し、昭和63(1988)年4月から現在の名称となった。クラブ活動の盛んな高校として有名で、特に硬式野球部は甲子園に春・夏合わせて13回出場を誇る。ことし3月末までの卒業生は2万3704人。

 式典で鈴木校長は創立者らの功績を振り返った後、在校生に向けて「夢こそ人間の心をはぐくむ糧。人生は夢登りと言え、道しるべの天にある『斗』つまり『星』となって、さん然と輝いてほしい」とエールを送った。在校生を代表して、生徒会長の市原健悟君(3年)が「歴史の重みや伝統の偉大さをあらためて感じ、刻んできたドラマの素晴らしさに感動している。この感動をしっかり胸に刻み、諸先輩が歩んだ同じ道をまっすぐに進んでいきたい」と述べた。(浜田孝輔)


◎ユニバーサル映画祭、字幕作成体験の高校生が成果発表
 障害のあるなしにかかわらず、映画鑑賞を楽しむ環境づくりを目指す「第3回北海道ユニバーサル上映映画祭」(実行委主催)の2日目が6日、北斗市総合文化センターかなでーる(中野通2)で開かれた。延べ約200人の市民らが参加。活動弁士付きの無声映画「争闘阿修羅街」など3本の作品が上映されたほか、道南の高校生が作った日本語字幕などの成果発表などが行われた。

 初回上映となった「争闘阿修羅街」では、新聞記者とカメラマンが繰り広げる大活劇に、会場からは笑いや拍手が起きた。東京の活動写真弁士、斎藤裕子さんの元気の良い語りも上映を盛り上げた。

 セレモニーに続いて開かれた「ユニバーサル環境作成体験発表」では、函館水産、大野農業の2高校の生徒4人が、オリジナルのアニメーション映画「銀河鉄道の夜」の一場面の音声ガイドなどを披露。島信一朗実行委員長と一緒に壇上に立った生徒らは、2カ月間の活動を振り返り、函館水産高3年生の西口幸子さんは「この体験で自分の知らない世界を知ることができた。これからは自分と違う感覚の人ともより深く仲良くなりたい」と話した。

 実行委が初めて企画したツアーに参加した東京に住む全盲の中田和己さん(46)は「違うタイプの映画が見れて良い。弁士の声に張りがあって楽しめた」と話していた。

 同映画祭は最終日の7日は午前10時半から開かれ、「犬と私の10の約束」など3本を上映する。(新目七恵)


◎ナルク函館はまなすが10周年。27日に記念式典
 ボランティアの「時間預託」という独自のシステムによる活動を展開しているNPO法人ナルク函館はまなす(飛山慶蔵代表、事務局・函館市時任町12)が、9月で創立10周年を迎えた。飛山代表は「ボランティアに興味がありながら参加する機会がない人はぜひ仲間に加わってほしい」と参加を呼びかけている。

 ナルクは、元松下電器常務取締役だった高畑敬一氏が発案した「自分が行ったボランティアの活動時間をため、自分が困った時はその時間を引き出して利用する」という「時間預託」制度に基づくボランティア団体で、高畑氏を会長として1994年に発足。2008年5月現在で全国134拠点、約2万6500人が登録している。

 はまなすは、道内3番目の拠点として1998年9月に設立し、現在の会員数は149人。家事援護や清掃、送迎、引っ越しの手伝いなど日常的な仕事を中心に活動を展開している。飛山代表は「ボランティアというと敷居の高いイメージがあるが、ナルクは無理なく気軽に活動を続けられるのが特徴。時間預託の数字が増えることが、自分自身の生きがいにもつながる」と話す。

 ただ会員相互のやりとりが基本となるため、少人数では活動内容が限定されてしまうのが悩みのたね。飛山代表は「ボランティアに興味があるが、活動のきっかけがみつからない人はぜひ仲間に加わってほしい」と訴える。

 27日には湯の浜ホテル(函館市湯川町1)で創立10周年を記念した集いが開かれる。この日は高畑会長の講演会も予定されており、飛山代表は「ボランティア活動に対して独自の哲学を持っている高畑会長の話を聞くことができる貴重な機会。一般の人たちにもぜひ足を運んでほしい」と来場を呼びかけている。

 高畑会長の講演会は午後2時から行われ、会員以外も無料で参加できる。講演会、はまなすに関する問い合わせは同事務局TEL0138・31・2048。(小川俊之)


◎駒ケ岳アンケート、4割が入山規制解除より「勉強会」実施望む
 【森】函館市や七飯、鹿部両町、函館海洋気象台、渡島支庁などで構成する駒ケ岳火山防災会議協議会(会長・森町長)は7月26日に実施した火山勉強会のアンケート結果をまとめた。今後の入山規制のあり方については全面解除を望む声は1割にとどまり、火山勉強会としての実施を4割強が占め、前回実施分と横ばい傾向だった。同協議会は駒ケ岳自然休養林保護管理協議会と共催する「火山勉強会」の本年度2回目を今月27日に設定し、12日まで森、七飯、鹿部の3町と函館市の各担当課で受け付けている。

 7月は、遠くは鹿児島県や愛知県から約204人が参加。うち、185人が駒ケ岳のイメージや新たに学んだことなどアンケートに回答した。駒ケ岳のイメージについては「特徴的な噴火を伴う危険な山」とする回答が30%、一方で「観測・監視機器、体制が充実し安全な山」は22%、「噴火活動や痕跡を活かした貴重な観光資源である」は43%と観光資源としてのイメージが多くを占め、入山規制のあり方については「規制継続しつつ火山勉強会を実施」とする声が43%を占めた。

 また新たに学んだこととして、前年度実施分では「観測態勢」と答えた参加者が27%と最も多くを占めたが、本年度は16%に減少。「噴火の歴史や成り立ち」との回答が24%を占めた。同協議会事務局では今後も、アンケートを継続実施し、経緯を見守る予定。

 同協議会と駒ケ岳自然休養林保護管理協議会は今月27日に本年度最後の火山勉強会を行う。募集は小学生以上で、函館、七飯、鹿部の構成市町各50人と構成市町以外の50人。応募多数の場合は初登山者を優先に抽選し、函館市と構成市町以外は前回約2倍の申し込みがあったため、7月の参加者は申し込むことができない。

 参加費用は一人500円。希望者は12日までに構成各市町に備え付けの申し込み用紙に記入し、各窓口に申し込む。ファクスや電子メール、はがきによる申し込みも受け付ける。

 申し込み、問い合わせは各市町窓口へ。問い合わせは同協議会事務局(森町防災消防対策室内)TEL01374・2・2181。(笠原郁実)


◎【インサイド】支庁再編問題、道の姿勢に不信感深める
 【江差】現行14支庁を9総合振興局と5振興局に再編する「総合振興局設置条例」が道議会で可決されて2カ月余り。桧山管内では、支庁幹部が公共事業の予算削減を示唆しながら町長や町議会議長の“切り崩し”に動いたとして、新たな反発を招いた。福田康夫首相の辞任表明に伴う政局の混迷に伴い、新年度の支庁再編の行方もさらに不透明となった。地方との合意形成の呼吸が整わない道の姿勢は、9日開会の定例道議会でも厳しく問われそうだ。(松浦 純)

 ある町幹部は「拙速の愚を繰り返すのか」と憤る。道は市町村に対して、支庁廃止地域への支援策、地域振興条例の制定、再編後の支庁機能などの具体策を提示していない。一方で高橋はるみ知事の江差入りを再三にわたり打診。対話再開に躍起となる道側の動きを各町は冷ややかに見つめる。「具体案を煮詰めてから提示してこないのなら議論のしようもない」(ある議長)。

 支庁再編に反対を続ける道町村会(札幌)だが、新たな地域振興策や支庁再編の対案を検討中だ。管内の副町長は「道側の対応は乱暴だ。町村会の提案を待つべきだ」と、合意形成のプロセスを軽視する道の姿勢を批判する。

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 「大義なき改革を実現させるため、プレッシャーを受ける支庁幹部には同情を禁じ得ない。ぎりぎりの日程で調整に追われる現場の苦労を道の首脳は知るべきだ」。4日に開かれた桧山町村会と議長会の総会。会長の寺島光一郎乙部町長が漏らした。

 複数の議長らに支庁幹部が「反対を続ける桧山に道庁や道議会は冷ややかだ。道路整備など公共事業の予算配分で冷遇される。国交省も同じ考えだ」などとして、道との対話再開に応じるよう求めた。

 「表では『振興策を検討しよう』と言っておき、裏では『言うことを聞かなければ予算は出さない』と脅す。カネを武器に町村を切り崩すのはいかがなものか」(ある議長)。

 3月にも、町村会が検討中だった、地域振興策の要望案が支庁を通じて道議会に流れ「桧山が条件闘争に転じる」との憶測を広げた。「7町の分断が狙いと思われても仕方がない」(江差町)との批判も上がる。

 道は支庁廃止の“見返り”として、地域振興を目的にした新たな交付金制度が検討している。財政難に苦しむ町村にとって干天の慈雨だ。「反対の旗を納めて交付金の恩恵を受けたい」と思う町があっても不思議ではない。ある町長は「弱みに付け込む方法で7町の結束にクサビを打ち込むことは許されない。こんな事では溝を広げるだけ」と憤る。一方で「本庁との板挟みになった支庁の苦悩は理解できる。反対意見を力でねじ伏せる高橋はるみ知事の政治姿勢にこそ問題がある」との声も噴き出している。