2009年10月1日 (木) 掲載

◎「ナッチャン」最終運航

 函館―青森航路で道南自動車フェリー(函館市港町3、関根二夫社長)が期間限定で運航していた高速船「ナッチャンWorld(ワールド)」が9月30日、最後の運航を終えた。2007年9月の初就航から増船、運休、復活と時代の潮流を越え、2年余りの歴史に幕を閉じた。

 高速船は7月18日からの季節運航で、昨年5月に就航した2隻目の「ワールド」が一日1―2往復した。期間中の乗船者は6万6076人、車両1万5980台で、旅客の乗船率は前年同期2倍の42%。高速道路のETC割引効果もあって、当初の利用見込みを大幅に上回った。

 同日午後5時すぎ、乗客105人を乗せた青森発の最終便が入港。同社社員らが函館港に面したウッドデッキで手を振って出迎えた。高速船出入り口のターミナル3階では終航セレモニーが開かれ、高速船の客室乗務員から佐藤幹雄船長に花束が贈られた。

 関根社長は「函館開港150周年、青函ツインシティ20周年に合わせた期間限定の運航だったが、予想を超える多くの人に利用してもらい感謝している。今後も快適なフェリーを運航していきたい」とあいさつ。会場には青森ねぶたの囃子(はやし)や函館巴(ともえ)太鼓の演奏も響いた。

 最終便に友人と乗船した日高管内静内町の主婦佐々木静子さん(68)は「最後なので乗ったが、残念でならない。なんとか頑張ってまた再開してもらいたい」と涙ぐみ、横浜市の会社員竹中明さん(42)は「最終便に乗るために来た。せっかくの船なのにあっという間に終わってしまいさみしい」と語った。

 同社によると、高速船は年内をめどに売却かリースする方針。2隻は当面、函館と青森の専用岸壁にそれぞれ係留される。(森健太郎、宮木佳奈美)



◎函館市議会/一般会計決算、認定後 付帯決議で空転

 第3回函館市議会定例会は9月30日、本会議を再開。本年度一般会計補正予算など13議案を可決し、2008年度一般会計決算を賛成多数で可決、認定した。しかし、3会派が共同提出した「一般会計決算に対する付帯決議案」の取り扱いをめぐり紛糾。同日午後10時半をすぎても空転している。

 一般会計決算の採決で公明党と共産党が反対討論し、民主・市民ネットが問題点を指摘した上で賛成討論をした。

 反対討論で志賀谷隆氏(公明党)が、東京に配置した企業誘致推進員の自主的な企業訪問が昨年度は2日しかなかったことと、ケアホーム利用者の認定ミスで市に損害を与えたことについて「議会は市民の側に立って市政をチェックしなければならず、この決算を認めてしまうと議会自らがその権能を放棄してしまう」と述べた。

 一般会計決算は賛成多数で可決したが、新生クラブ、民主・市民ネット、市民クラブの3会派が共同提出した「2008年度一般会計決算に対する付帯決議案」について、今度は茂木修氏(同)が反対討論。「一般会計決算を認定するという条件付きでの決議であり、議決に条件を付けることは違法」と指摘した。

 吉田崇仁議長は、付帯決議は付随的に付けられる意見または要望の決議であり、今回の付帯決議は条件付きの決議ではないと説明したが、紛糾した。

 同日午後10時までに可決した議案は箱館奉行所条例制定案など13件。一般会計補正予算は7億7100万円を増額し、国の地域経済危機対策事業の一環で、子育て応援特別手当給付事業関連経費として2億2600万円、教職員住宅の解体費1250万円などを盛り込んでいる。(高柳 謙)



◎実質公債費比率、江差町28・6%で道内3番目

 道は9月30日、自治体財政健全化法で定める健全化判断比率の速報値を発表した。渡島・桧山管内では、実質公債費比率が基準を上回った江差町が、早期健全化団体に指定される。同町を除く17市町は早期健全化基準を下回った。

 財政規模に占める借金返済の比重を示す実質公債費比率は、江差町が“黄色信号”に当たる、早期健全化基準(25%)を超える28・6%(06―08年度平均)で、夕張市、洞爺湖町に次いで道内で3番目に高い数値を示した。

 地方債発行にあたって、知事の許可が必要となる18%以上となったのは知内町(23・4%)、せたな町(21・8%)、奥尻町(20・4%)、森町(18・0%)の4町。函館市は10・0%で全道180市町村中12番目に低く、厚沢部町は8・2%で3番目に低かった。

 一般会計で負担しなければならない借金の規模を示す将来負担比率は、早期健全化基準の350%を超えた市町は無かった。江差町は266・9%と道内で4番目。森町は224%で10番目だった。厚沢部、乙部、鹿部の3町は、基金などの財源が返済しなければならない借金の額を上回っており、同比率は算定されなかった。

 公営企業会計、資金不足比率が経営健全化基準(20%)を上回った市町はなかったが、函館市の病院事業会計が16・1%、温泉事業会計が13・0%と比較的高い数字を示している。また、北斗市は、国民健康保険事業特別会計の累積赤字の影響で、連結実質赤字比率が0・37%となっているが、同市の早期健全化基準の18・13%を下回っている。(松浦純、小川俊之)


◎8月の道南 有効求人倍率0・31倍

 函館公共職業安定所が9月30日に発表した8月の渡島・桧山管内の雇用失業情勢によると、有効求人倍率は0・31倍と前年同月を0・15ポイント下回り、26カ月連続で前年割れとなった。ただ、7月より0・02ポイント改善し、新規求人数も4カ月ぶりに増加に転じるなど、管内の雇用情勢に明るい材料も見えた。

 26カ月連続で前年同月を割り込むのは、比較可能な統計が残る1998年以降で最長のワースト記録。有効求人倍率は前月比で6カ月ぶりに改善したものの、同職安は管内の情勢について「一段と厳しさが増している」と前月の判断を据え置いた。

 有効求職者は前年同月比18・6%増の1万1343人。景気悪化が鮮明になった昨年9月以降、12カ月連続で前年同月を上回り、今年1月以降は同15%以上の増加傾向にある。一方、有効求人数は同19・1%減の3564人で、7月(同28・1%減)より前年同月比の減少幅は縮まった。

 雇用の先行指標となる新規求人倍率は0・67倍で、前年同0・01ポイントの減少にとどまった。新規求職者は同9・5%増と、丸井今井函館店の再編に伴う離職者が急増したことが数字を押し上げた。ただ、新規求人も前年に大幅に落ち込んだ反動増や、従業員100人以下の小規模事業所の求人が増え、同7・5%増と4カ月ぶりに前年同月を上回った。

 産業別の新規求人では、本州の自動車関連工場の期間工が増加に転じ始めたほか、飲食店の新規出店に伴う小口の求人が数字を伸ばした。同職安は「求人の手控えは落ち着きを取り戻しつつあるが、依然として楽観できない状況は変わらず、求職活動は長期化している」と懸念を示している。(森健太郎)


◎3、4日に元町公園で青空市「マルシェジャポン」

 生産者と消費者をつなぐ青空市「マルシェジャポンin函館元町公園」(実行委主催)が3、4の両日、函館市元町の元町公園で開かれる。フランス・パリの「マルシェ(市場)」の雰囲気を再現。大道芸が行われるにぎやかな会場で、道南の新鮮な農産物、花などを販売する産直市場、それらの食材を使ったオープンカフェなどが軒を連ねる。(宮木佳奈美)

 農林水産省の事業で全国の都市部で実施される「マルシェ・ジャポン」の地域版として、道内の函館、帯広を含む全国7カ所の地方都市で開催。函館は、函館青年会議所など5団体・機関で構成される実行委が運営する。市民と観光客が集まる元町公園を会場に、当日は販売などを手伝う5―10歳の「マルシェ・キッズ」も募集する。

 産直市場には、野菜のしみず農園(北斗市)、チーズの山田農場(七飯町)、牛肉のおぐに牧場(北斗市)など計17の生産者らが出店。消費者にこだわりや作り手の思いを伝え、調理法も紹介する。実行委の松木志津香さんは「生産者と消費者との間に交流が生まれる場にしたい」と話す。

 カフェデッキでは「アジアンダイニングカフェ」(東京)の豊島重義シェフがイカとタラを使った料理などを提供。市内の若手シェフ2人も参加し、「ハク」の笠原秀友シェフが牛肉、「フラッシュフラッシュ」の大元哲也シェフは豚肉で、それぞれ煮込み料理を用意し、500円で販売する。

 各種講座もあり、市内の野菜ソムリエ、後藤るみ子さんが料理講座(3日午後2時、4日午前11時)で、手軽でおいしい野菜レシピを伝授。「みそづくり講座」(3日午後3時、4日午後1時、材料代1500円)なども企画している。

 3日は午前10時―午後4時、4日は午前9時―午後3時。問い合わせは実行委事務局(北日本庭苑設計内)TEL0138・32・9258。