2009年10月12日 (月) 掲載

◎美和小で4カ月遅れの運動会 6月に校舎焼失

 【厚沢部】火災で校舎が焼失した厚沢部町立美和小学校(山崎憲一校長)で11日、4カ月遅れとなる運動会が行われた。周囲の山並みも日増しに色付き始める中、11人の児童は新校舎の完成を心待ちにしながら、全校リレーや地域住民を交えた競技を繰り広げた。

 美和小では6月6日に校舎内部から出火し、1950年建設の校舎が全焼。翌日に予定していた運動会はやむなく中止され、児童は校舎に隣接する生活改善センターを仮校舎として授業を再開した。校舎新築のメドが立ったこともあり、4カ月遅れで地域を挙げての運動会が開かれることになった。

 グラウンドでは、開催を待ちわびた子供たちや大勢の住民が詰め掛けた。カードに名前が書かれた子供たちや住民を探し出してゴールを目指す競技や、住民による竹馬リレーなど競技種目がめじろ押し。観客席からも「頑張れ!」とにぎやかな歓声が上がった。

 6年生の児童会長、久保田勝也君(12)は「ちょっと寒いけど運動会ができてとてもうれしい。新しい校舎ができるのも楽しみ」と笑顔をみせた。応援に駆け付けた山畔清悦教育委員長も「困難を乗り越えて運動会を開くことができて良かった。新しい校舎で授業が再開できる日が待ち遠しい」と話していた。

 町は、現地での学校再開を求める地域の要望を重視。旧校舎跡地での新校舎建設を決めた。新校舎は軽量鉄骨造り平屋。床面積は295平方メートル。焼失を免れた体育館はそのまま利用する。旧校舎は解体済みで、3学期の始業式に間に合うよう、来年1月上旬の完成を目指して近く着工する。



◎七飯でクマ出没増加

 【七飯】七飯町でヒグマが畑や集落近くまで出没し、駆除が例年と比べ増えている。2日に軍川で雌(12歳)が捕獲され、同日までの本年度の駆除件数は前年度より3頭多い計7頭(雄4頭、雌3頭)に上る。収穫期を迎えている軍川や東大沼などのデントコーン畑近くでの出没・捕獲が多く、作物の被害も目立っている。町農林水産課は「今年は餌となる木の実が不作で人里に降りてきているのでは」と推測し、町民や観光客へ注意を喚起している。

 同町内でのクマの駆除頭数は2006年度が4頭、07年度が2頭、08年度が4頭で、9月から10月にかけて集中している。本年度は7月24日に上藤城のニンジン畑の近くで雄の7歳が、有害鳥獣捕獲で使用するくくりわなに掛かったのを最初に8月17日、9月4日、同24日、10月2日に東大沼や上軍川、大川などで各1頭、9月14日には軍川で2頭が捕獲されている。いずれも射殺処分した。7頭の推定年齢は3歳から12歳で、体重は80―200キロだった。

 クマによる農作物の被害状況はニンジンが約0・8ヘクタール、デントコーン約5ヘクタール、スイートコーン約1ヘクタールと広範囲に及んでいる。

 全国的にクマに襲われる事故が多発している。紅葉シーズンを迎え、キノコ狩りなど秋の行楽も本格化している。同課は「単独での入山やクマの出没しそうな人里離れた場所に近づかないで。ふんや足跡を見つけたらすぐに引き返して警察や町に通報を。ごみは持ち帰って」と呼び掛けている。



◎冬の準備着々 赤松街道でこも巻き体験

 【七飯】七飯町の国道5号沿いに並ぶアカマツの幹にこも(わらで作ったむしろ)を巻く体験会が11日、同町鳴川の同国道沿いで行われ、町民ら約30人が作業に挑戦した。

 函館市桔梗から同町峠下までの同国道は通称「赤松街道」と呼ばれ、「日本の道100選」に認定されている。こも巻きは昔ながらの害虫駆除方法で、冬の間、暖を求めてこもに入った害虫を翌春、こもごと焼却して死滅させる。毎年、冬が本格化する前に行っている作業で、函館開建函館道路事務所のボランティア団体「赤松街道を愛する会」と町が2005年度から一般者にも体験行事として参加を呼び掛けている。

 参加者はグループごとに分れて、こも巻き作業を展開。行事に協力する同会やNPO法人函館エコロジークラブのメンバーの手ほどきを受けながら、こもを幹に巻き、さらにひもで縛り付けていった。2時間ほどで約60本の木の作業を終えた。昨年に続き2度目の参加という町藤城の柳舘克弘さん(67)は「由緒ある道なので少しでも協力したい。1年ぶりの作業なので復習してから参加した」と話していた。


◎坂道へっちゃら お出かけバスの運行 16日から西部地区で実験

 函館市は西部地区の住環境整備を目的に、同地区を循環する新たなコミュニティーバス(通称・おでかけバス)の運行実験を16日から開始する。高齢者が多く住む土地柄を考慮し、同地区に点在する坂道の上り下りの負担軽減をはじめ、公共交通機関への接続をスムーズにするのが狙いで、12月30日まで船見町―十字街間を1日12往復する。料金は大人一律100円で、市は「坂道のエスカレーター代わりに利用してほしい」と話す。今実験で住民ニーズの把握に努め、本格運行につなげたい考えだ。

 運行実験は市が2006年度から5カ年で進める、西部地区都市再生整備計画に基づいて実施。05年度に実施した住民ニーズ調査では「日用品の買い物を不自由に感じる」との回答が多く、うち過半数が坂道を理由に挙げたことを受け、その負担軽減を目指す取り組みとして行う。

 運行ルートは船見町から十字街の間を循環する全長9・2キロ。7つの坂を上り下りしながら38カ所の停留所を設け、沿線住民が徒歩5分以内で利用できるよう配慮した。バス、市電との乗り継ぎポイントも4カ所設定し、うち2カ所で待合所も整備する。

 バスはリフト付きの26人乗りで、運行を函館バスに委託する。運行時間は午前8時から午後5時過ぎまでの50分間隔で、料金は大人100円。一日乗車券(同300円)やバス、市電との乗り継ぎ割引も設定している。

 また、初回のバス利用時にはスタンプカードを配布し、スタンプを10個ためると無料乗車券となるほか、同地区の飲食店を中心に19店舗でカードを提示すると商品割引などの特典も。12月26―30日には市地域交流まちづくりセンターで抽選会も行い、全マスが押印されたカードが抽選券となる。

 実験開始にあたり、市は事業化のめどを1日あたり450人と設定。事業化が見込める場合、公共交通事業者に対して本格運行に向けた要望を行う。

 16―18日までは無料で運行。市街づくり推進課は「坂道を歩くことが生活の足かせになっている。近所のスーパーへの買い物や、病院に薬をもらいに行く際などに足として使ってもらいたい」と話している。運行概要はホームページ(http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/toshiken/machidukuri/bus)でも見ることができる。


◎明治から昭和30年代の函館知って 郷土新聞の複写製本公開

 明治から昭和30年代に函館や近郊で発行された郷土新聞の複写製本137冊が15日から、函館市五稜郭町の市中央図書館で一般公開される。原本はこれまで未整理のまま原則非公開の扱いをしていた、製本化されていないもの。明治期の旧函館新聞や、戦前に発行されていた函館毎夕新聞など94種類を初めて複写製本した。同図書館の丸山牧子主査は「当時の函館の世相などがわかり楽しい。ぜひ見てほしい」と話している。

 函館郷土新聞の複写製本化は、2007年に廃止された市史編さん室が行って以来2回目。同図書館に保存されていた郷土新聞のリストを作成した際、道立図書館のホームページに掲載された。それを見た利用者から「製本して公開してほしい」との声が多く寄せられ、原本の整理と同時に製本化することとなった。複写製本はA2判とA3判の2種類。ことし3月から約半年の作業を経て完成した。

 このうち、1936(昭和11年)4月14日付の函館毎夕新聞では、市議選に沸く函館を1面で大きく報道。「東西南北オンパレード」と大きな見出しで、展望や立候補者について伝えている。また、同年5月4日付の同紙では、現在も活動する日本最古の社会人野球チーム「函館太洋クラブ」の新陣容を紹介するなど、政治、社会、スポーツなど当時の函館を知ることができる。

 丸山主査は「市史編さん室製作の新聞系統図にも記されていない新聞もあり、新たな発見も多いのでは。また当時の函館に多くの言論者がいたことも知ってほしい」と利用を呼び掛けている。同日9時半から、同館2階公開書庫で利用できる。