2009年10月15日 (木) 掲載

◎大沼にオオハクチョウ飛来

 【七飯】大沼国定公園・大沼の宿野辺川河口付近で14日、オオハクチョウが飛来しているのが見つかった。周辺ではカエデなどの紅葉が始まり、黄色やオレンジ色に変わりつつある湖畔を舞ったり、羽を休めたりしていた。

 自然公園財団大沼支部によると、紅葉はブナやナラも色づき始め、ヤマモミジは真っ盛りの場所もあるという。急に低温となったため、葉の先が茶色になってしまったものもあるが、ほとんどがきれいに染まっている。

 オオハクチョウはこの日の早朝、ヘラブナ釣りをしていた男性が発見。同支部は「今年初めての確認だと思う。大沼で越冬する集団の一部ではなく、本州へ渡る群れからはぐれた可能性が大きい」と話している。(山崎純一)



◎石川稜北地区市街地編入問題 函館市が修正案示す

 函館市が市街化調整区域の石川稜北地区(33ヘクタール)を市街化区域に編入する手続きの方針を示している問題で、西尾正範市長は14日、商業施設の床面積を抑制するなどの修正案を明らかにした。21日に開かれる市都市計画審議会で修正案を諮る方針。市は同日、中心市街地空洞化への懸念から編入取り止めを求めている函館商工会議所にも説明し、理解を求めた。

 同地区の編入手続きをめぐっては、対象区域の20・6ヘクタールに600区画を造成する民間の区画整理事業が持ち上がっていることから、市は住宅地の造成が可能な市街化区域への変更を認める方針を決定。

 区域内の国道5号(函館新道)沿いには延べ床面積1万平方メートル以下の店舗・事務所の立地を認める内容で、これに商工会議所などは「大型店の進出が進み、コンパクトな街づくりにも逆行する」として、9月下旬に市に要望書、市議会に請願書を提出している。

 修正案は要望、請願への対応として、地区計画において①スーパーマーケット系店舗の床面積を5000平方メートル以下に抑制する②沿道の商業地区と住宅地との間に緩衝帯を設け、車の流入を抑制する―の2点。西尾市長は「事業者とも協議し、了解をいただいた」と話している。

 同市長と山本真也都市建設部長はまた、同日午前に開かれた同会議所の正副会頭会議で修正案の内容を説明。同会議所は16日に開く商業部会で、要望・請願書の扱いを協議する考え。市内のある経済人は函館新聞の取材に対し「一定程度の歩み寄りはあった。経済界の意向を汲んだものと受け止めている」と話している。

 同地区の編入手続きは、道が04年に策定した函館圏都市計画が来年度に見直しが予定され、宅地系用地の市街地編入が「最後の機会となる」(山本部長)ことを受けての措置。道都市計画審議会の幹事会が22日に開かれることから、その前日に開く市の都計審で承認を得る必要がある。(千葉卓陽)



◎新型インフル 要援護者を事前調査へ

 【江差】江差町は14日までに、新型インフルエンザの患者増加に伴い、桧山南部5町で注意報が発令された時点で、独居高齢者を中心とする要援護者の事前調査を始める方針を固めた。発症時に親族による看護や通院などの支援が受けられない住民を事前に把握し、大流行発生時には、安否確認などの支援体制を迅速に立ち上げる狙いがあるという。

 江差保健所は、桧山南部5町にある3医療機関の定点観測で、患者数が1定点当たり10人を超えると注意報、30人超で警報を発令する。南部5町では1定点当たりの患者数が、注意報の発令基準に迫る7・33人(9月28日―10月4日)に上昇。町の新型インフル対策本部(本部長・濱谷一治町長)は、これまで感染予防を中心とする対策を講じてきたが、大流行に備えて「災害に準じた要援護者対策にシフトする必要がある」としている。

 同本部は、大流行が始まり、警報が発令された場合には、要援護者の定期的な安否確認を行い、症状の有無や支援の必要をきめ細かく把握する方針。準備段階として注意報の発令時点で、独居高齢者や身体障害者など448人を対象とする事前調査に着手することを決めた。

 事前調査は、行事運営などを支援するため、地区ごとに町職員を張り付けている地域協力員制度を活用。職員127人を割り振り①現在の健康状態②支援を依頼できる親族の有無③緊急時の連絡手段―などを電話や戸別訪問で確認。発症時に看護や通院などの支援が受けられない住民を要援護者としてリストアップしたり地図化するほか、発熱などで身動きが取れなくなった場合の連絡体制も整える。

 同本部は、訪問介護サービスなどを利用する高齢者については「訪問介護員(ホームヘルパー)が健康状態を把握している。発症時にも通院や看護などの支援が受けられる」として、安否確認の対象には含めない考え。同本部事務局の西谷和夫建設課長は「いつ注意報が発令されてもおかしくない状況。週内の発令も想定して早急に準備体制を整えたい」としている。町は16日にも対策会議を開き、具体的な対応を職員に指示するという。(松浦 純)


◎魚長が従業員約200人削減

 品スーパーの魚長(函館市西桔梗町、柳沢一弥社長)は6月から8月までに希望退職や解雇で従業員約200人を削減した。人件費圧縮による経営改善策に取り組み、今後は人員削減をせずに現行の22店舗を維持しながら黒字回復を目指す。

 同社は創業以来最高の売上高となった2007年2月期の約210億円をピークに、個人消費の低迷、他店との競争激化で、売上高は09年2月期に約190億円へ落ち込み、約2億円の赤字となった。このため、不採算店舗の閉鎖や休業、人員削減に着手。8月で営業休止となった新川、豊川店の約50人を含むパート、アルバイト約150人を解雇、併せて希望退職を募り、正社員43人が退職することになった。

 現在の従業員数はパート、アルバイトを含めて約1000人。このうち正社員約220人の基本給の15%カットを実施する。これらの対策で前年比で年間約3億円の経費削減を見込み、同社は「2010年2月期は黒字転換できる見通し」としている。(宮木佳奈美)


◎「市街地連絡バス」来年度も運行継続

 【北斗】北斗市は14日、市役所で地域公共交通会議を開き、合併前の旧上磯町、旧大野町の中心部を結ぶコミュニティーバス「南北市街地連絡バス」の運行を2010年度も継続する考えを示した。

 運行初年度となった昨年度は収入が当初計画の半分程度にとどまったが、本年度は利用客が9月現在、前年同期と比べ上回っており、運行継続への判断材料とした。ただ、採算ベースに乗せるには中高生の通学利用が激減する土・日曜、祝日の利用拡大が課題となっている。

 会議では、市企画財政課の担当者が利用実績を説明。昨年度は通年2万5660人で1日当たり71・5人。夏・冬ダイヤ別にみると、中高生の通学利用が増える冬ダイヤは1日当たり133・5人と夏ダイヤの約3・6倍となっている。

 また、本年度の利用状況は夏ダイヤを4便廃止し1日12便で運行したが、利用客は9月末現在で前年同期よりも112人多い6736人となった。そのうち、通学利用が全体の27・5%、旧大野地区のせせらぎ温泉が26・5%。残りの46%はその他とし、利用目的が多種多様で同課は「利用実態、ニーズの把握に努め、運行方法を検討したい」とし、来年1月末までに10年度の運行案を示すことを申し合わせた。(鈴木 潤)



◎「函館愛」胸に社会で輝く 本紙創刊号に載った当時小6の工藤さん…きょうから新聞週間

 きょう15日から21日までは「第62回新聞週間」。全国の地域新聞は「地域の発展」「地域のコミュニティーの広がり」への寄与を使命に、地元に根差した紙面作りに励んでいる。函館新聞も1997年の創刊以来、函館圏のさまざまな話題を読者に提供し続けてきた。小学生の時に創刊号に載った工藤陵一さん(25)は今、社会人として函館で活躍している。

 工藤さんが掲載されたのは、97年1月1日付創刊号47面の「国際交流ぼくらの手で」の記事。工藤さんは当時6年生だった函館日吉が丘小の国際交流に関する取り組みを紹介するコーナーで、「外国人でも身振り手振りで気持ちは通じるよ」とインタビューに答えている。

 取材は記憶にないというが、当時の紙面に「同級生に見覚えがある。クラス委員長を率先してやるタイプだったから質問に答えたのかも」とはにかむ。

 その後函館湯川中に進み、函館商業高の卒業と同時に市内の大槻食材に就職した。

 日々の暮らしの中で、小4からずっと続けてきた野球への思い入れは強い。特に函商野球部2年生の時、渡島地方大会1回戦で4番バッターのけがに伴い、補欠だった工藤さんが代打で登場。ヒットを打ち、新聞に写真が載った時のうれしさや恥ずかしさは鮮明に覚えている。チームは順調に勝ち進み、30数年ぶりに全道大会に進出した。現在も工藤さんは、会社の草野球チームに所属してプレーを楽しんでいる。

 13年の時を経て、再び函館新聞の取材を受けることについて「ただびっくり。面白いめぐり合わせ」と語る。生まれ育った函館への思いを「潮の香りや特有のなまりに愛着を感じる。特に不便は感じない」と明るく話している。(新目七恵)