2009年10月16日 (金) 掲載

◎新幹線開業へ向け弁当の即日輸送を実験へ

 公立はこだて未来大学の研究グループや函館、北斗市内の弁当製造販売業者らが協力し11月2―4日、JRの特急や新幹線で弁当を輸送し、東京で販売する「即日輸送販売」の実証実験を行う。現行法では新幹線の貨物輸送は認められていないが、関係者は「実証実験の結果を足掛かりに、新幹線開業に向けて規制緩和の具体策を提起したい」と話している。(鈴木 潤)

 道や函館市が提案した事業「はこだて『水産・海洋』元気なまちづくり推進事業」の中で、北海道新幹線による産業活性化に取り組む専門部会(黒川宜成会長)が、新鮮な農水産物を首都圏へ輸送する手段に新幹線を想定し、実験する。同部会は函館市や北斗市、JR北海道などの関係者で構成し、事務局を担当する同大の長野章教授が中心となって企画。学生や業者に協力を依頼した。

 実験では、業者が製造した弁当を学生らが手荷物として運ぶ。午前3時22分函館発の「急行はまなす」で出発し、青森で特急に乗り継いで午前6時55分八戸発の新幹線に乗車。同10時前に東京に到着し、同駅前の店で弁当を売る。

 新幹線で輸送となれば東京―函館間は3時間40分ほどとなり、長野教授は「道南の農水産物や地域ブランド品を付加価値をつけて運ぶ方策を実用化させたい」と話す。

 扱う弁当は、「にしむら」の「函館新幹線弁当」とちゅうぼー「寿々半北斗店」の「北斗せいろ」、「アイ・エス・アイ興発」の「北斗ほっきネギ味pク弁当」の3種で、いずれもご飯は道南産のブランド米「ふっくりんこ」を使い、ホッキやイカ飯、ネギなど地元の素材にこだわった。この実験のために開発したり、一部改良したといい、いずれも1300円で販売する。3日間で合わせて240食を製造、販売する。

 3社とも将来を見据えて協力したといい、西村信義代表らは「味に自信を持っている。仮に新幹線で貨物輸送が可能になればビジネスチャンスは広がる」と期待を寄せている。



◎「子育て手当」凍結、道南の各自治体困惑

 長妻昭厚生労働相が14日、本年度補正予算の見直しで「子育て応援特別手当」の支給凍結を表明した。道南の自治体でも全国と同様、支給を想定し、国庫から支払われる給付金の補正予算を8―9月の議会で可決している。対象世帯からの申請受け付けを年末に控えての凍結で、各自治体では情報収集に追われるとともに「住民にどう説明しようか」と困惑する声も出ている。(千葉卓陽、鈴木 潤)

 子育て応援特別手当は3―5歳の子どもを持つ世帯に1人あたり3万6000円を支給する制度。麻生前政権が支給を決め、昨年度は第2子以降が対象だったが、本年度は緊急経済対策の一環として第1子にも拡大した。しかし、同厚労相は来年度から支給を予定する「子ども手当」の財源に振り分ける考えを示している。

 函館市では、昨年度分で2737世帯が対象となり、15日現在で2734世帯が申請済みと、ほとんどの対象世帯が恩恵を受けた。本年度も支給対象を5500世帯、子ども6000人と想定し、9月の定例市議会で2億2635万円の補正予算が議決されている。

 これを受け、12月中旬から半年間の申請受け付けを予定していたが、市子ども未来室は「現時点では動きを止めざるを得ない」と困惑。「国の通知を待って議会に報告し、財政当局と連携の上で対応を協議したい」と話している。

 同市以外の各市町でも議会での議決を得て、周知や準備を進めている。10月号の広報紙にチラシを挟み込んで周知を進めていた森町は「凍結が正式に決まると再度、町民にお知らせしないといけない」(住民生活課)。今のところ町民からの問い合わせはないが同課は「速やかに対応しなければならず、早く方針を固めてほしい」とする。8月の臨時議会で補正予算を議決した北斗市は「国の動向を注視して対応していくしかない」(民生部)としている。

 凍結が正式に決まれば、各市町とも給付金を減額する補正予算案を議会に提出し、議決を得る流れとなる。



◎新幹線開業時「函館に行ってみたい」9割、北関東エリアで調査

 北海道新幹線新函館開業対策推進機構(森川基嗣会長)が北関東の居住者を対象に実施したアンケートで、回答した約3000人のうち9割が「新函館開業が函館訪問の動機になりうる」と答え、訪問意欲が非常に高いことが分かった。東北新幹線が通る北関東は、2015年度予定の新函館開業で北海道へのアクセスが良くなれば観光需要が見込めるエリア。同機構は「北関東は人口700万人の大きなマーケット。潜在需要を見込んで積極的にプロモーションを進めたい」としている。

 アンケートは9月15―23日に栃木県宇都宮市の東武宇都宮百貨店で行われた「第30回秋の北海道物産展」で実施。同機構が北海道新幹線新函館開業PRに併せて利用意向を調査した。地元以外での調査は今回が初めて。中高年の女性を中心とする来場者2956人(男性814人、女性2107人)の回答を得た。

 調査対象が北海道への関心が高い物産展来場者のため、来道経験は83.2%と高いが、函館訪問の経験は68.0%。「この差分の約15%を埋める力を新幹線は持っている」と同機構は分析する。さらに新函館が開業した際、89.4%が「函館が身近に感じられるようになるので、行ってみたい」と答え、開業までの継続的なプロモーションが求められる結果となった。

 また新函館開業後、札幌・道央地区への交通手段で、「新幹線と特急(新函館で乗り換え)を利用する」と回答した人は68.4%と、所要時間が飛行機よりも長いにもかかわらず利用意向が高かった。乗り継ぎの利便性や経済性が優れていれば、札幌・道央地区でも新幹線利用者を十分取り込めることを示し、同機構は「札幌延伸のプラス材料にもなる」とみている。(宮木佳奈美)


◎上磯駅前商店会が100円商店街を初実施

 【北斗】上磯駅前商店会(会長・吉田義廣よし田靴店店主)は15日、同駅前通りで、税込み100円の商品を店先で販売する「100円商店街」を初めて行った。同会の約30店が参加し、地域住民が買い物を楽しんだ。

 100円商店街は山形県新庄市が考案した、にぎわい創出のイベント。衰退傾向にある同駅前を活性化させようと、同商店会が新庄市の担当者からノウハウを聞き、取り入れた。

 商店街では、店主が店の前に100円商品の専用売り場を設けるなどして商売。飲食店では、このイベントのために特別に用意した食事メニューを販売するなど、各店で工夫を凝らしたサービスで客足を誘った。

 木工芸店「ウッド1・2・3」では、道南スギのへらやしゃもじを100円で販売し、店主の竹村孝夫さん(55)は「木の物は使えば使うほど味が出る。この機会に木の質感や魅力を売り込みたい」と話していた。

 100円商店街の3カ条は(1)100円商品は外に陳列(2)客と会話を(3)清算は店内で―としていて、吉田会長は「3カ条を実践すれば売り上げにつながった。今後もいろいろと検討を重ねて商店街の活性化につなげていければ」と話した。 (鈴木 潤)


◎函大野球部が明治神宮大会へ

 【札幌】大学野球の第1回明治神宮大会道地区代表決定戦大会が15日、札幌円山球場で行われ、函大が2―2の延長10回に山口渉(3年、室蘭大谷)の内野安打と長谷川拓哉(2年、埼玉・聖望学園)のスクイズで2点を勝ち越し、北海学園大を4―2で破った。11月14日から東京の明治神宮球場で開かれる第40回記念明治神宮大会に出場が決まった。

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 ハイライトは延長10回。秋季リーグ優勝決定戦に続く激戦を制した。

 函大は1死から小野の四球、佐藤統の右前打と2盗で2、3塁の好機に山口がたたきつけて内野安打として1点を勝ち越した。なおも1、3塁で4番・長谷川がスクイズを決め、貴重な追加点を挙げた。

 3回に佐藤将、小野、佐藤統の3連打で先制。同点の8回は2死1塁から長谷川が左翼線2塁打で2点目を奪った。

 エース・佐藤将は6四死球と制球に苦しみながらも内角を突いて要所を締めた。9回に追いつかれたが、10回に最後の打者を三振に切り抜けた。160球12奪三振2失点の力投だった。