2009年10月18日 (日) 掲載

◎市内で冬物商戦スタート

 日ごとに冬の足音が近づき、函館市内では早くも冬物商戦が熱気を増してきた。防寒衣料品が冬将軍到来を予感させる中、ストーブなどの電化製品も店頭に続々並び始め、これから本格化する真冬に備える。今月末にはスタッドレスタイヤや冬物雑貨品などが各地の店頭で多く取り扱われる予定だ。

 函館市大川町の作業用品専門店「オオタ」(太田孝彦社長)では、例年通り1日から冬物を陳列した。建設業や農漁業者の耐寒作業着など大人向けが豊富にそろう一方、近年は幼児用の作業着も登場。「現場で働く親の姿がかっこいいのでは」(同社)と人気も上々で、さまざまな冬物商品の入荷が本格化している。

 同店によると、首下に“モコモコ”の毛(ボア)がついた作業着が定番。太田社長は「経済、世相ともにだいぶ冷え込んでいるが、ポカポカの作業服で心も温めてもらえれば」と話している。

 ヤマダ電機美原店ではFF式ストーブやホットカーペットの販売を始めている。灯油が高いため、電気を使ったファンヒーターが人気で、11月中旬がピークの見込み。

 一方、ホーマック鍛治店ではフリース生地のはんてんの売れ行きが好調。イトーヨーカドー美原店は自社開発品の新商品パワーウォーム(肌着)の販売に力を入れており、冬物ウールやジャケットも並べる。

 イエローハット函館新道店では、陳列商品の7割がスタッドレスタイヤと雪かき用ブラシ、解氷剤など冬物関連商品。これまでの週末には一日につきタイヤが40―60本売れる状況で、売り上げが伸び始めるのは10月後半以降を見込んでいる。(田中陽介、黒田 寛)



◎遺族 息子亡くした体験語る…少年犯罪考えるシンポ

 少年犯罪を考える「少年シンポジウム」(函館被害者支援連絡協議会、渡島教育局、道警函館方面本部主催)が17日、函館市美原4の渡島合同庁舎で開かれた。少年による事件で息子を失った「少年犯罪被害当事者の会」会員の菊地名美子さん=北見市=が遺族としての実体験を講演。会場の高校生らが命の尊さや生きる意義を見つめ直した。

 菊地さんは2000年、青森県七戸町で発生した暴走族の少年らによる集団暴行事件で当時15歳の息子を亡くし、家族が抱えた苦悩や喪失感、加害者側から受けた理不尽な言動などの体験を涙ながらに語った。菊地さんは「謝ったから、少年院に入ったから許される犯罪ではない。少年法は加害者の更生に重点を置き、加害者を守るためにできている。被害者の残りの人生の責任を誰が取るのか」と訴えた。

 また、つらさや悲しみを友人らに聞いてもらうことで、心の安定を取り戻した経験から「人は一人では生きていけない。当たり前の日々も、いろいろな人とのかかわりの中で生きていることを感じて、感謝を伝えて下さい」と結んだ。

 講演に続き、市内の高校生3人をパネリストに行われた討論会では、会場を交えて、いじめや自殺、犯罪に走る少年の心理について意見を交わした。午後からは「北海道心の教育推進フォーラム」を開催。渡島管内の小中高校生らが、学校での取り組み事例を発表した。(今井正一)



◎素人落語家 日ごろの成果披露…全国落語大学

 全国の素人落語・講談愛好家が集う「全国落語大学」(実行委主催)が17日、函館市青年センターで開かれた。道内をはじめ、関東、関西から参加したさまざまな職種の素人落語家26人が観客100人を前に日ごろの活動成果を披露した。

 函館在住の落語家、東家夢助さんが全国各地で口演した際に出会った素人落語家たちが一堂に会する「落語会」。東家さんが「学長」で、素人落語家たちは「学生」、観客を「教授」と位置づけている。同大学は毎年この時期に2日間にわたって行われ、初日は19人が出演した。

 開幕を飾った江差町の道楽亭すげ蔵さんは「バールのようなもの」という演目で登壇。「宝石強盗の犯人が『バールのようなもの』でシャッターをこじ開けた」と報じるニュースを例に、「『○○のような』という表現は『バールそのものではない』という意味になる」と、隠居に教わった男が浮気を疑う妻にその解釈を持ち出す話を面白おかしく語った。

 初めて訪れたという大森町の上野隆則さん(61)は「皆さん上手だった。笑いは健康にいいのでまた聞きに来たい」と話していた。18日は午前9時半から同センターで開かれ、7人が出演する。入場料は500円。(宮木佳奈美)


◎縄文時代の人骨出土…福島・館崎遺跡 盛土遺構から

 【福島】北海道埋蔵文化財センター(江別市)が発掘調査を進めている福島町の「館崎遺跡」の盛土(もりど)遺構の中から、縄文時代前期の終わりごろ(約5000年前)のものと見られる人骨が出土した。同遺跡から人骨が発見されたのは初めてで、数十万点にもおよぶ土器や石器などの遺物も発掘されている。同センターは「盛土によって縄文時代の人骨が保存されていた。遺物も予測以上の量が出土している」と話している。

 今回の発掘は新幹線工事に伴う埋蔵文化財調査で、同遺跡の一部約1690平方メートルが対象。過去には青函トンネル工事の際に数度、調査が行われた。今年の5月上旬に発掘調査が始まり、10月6日に人骨が発見された。また、盛土遺構の中からは竪穴住居跡20軒も確認されている。

 人骨は2体分で、1体は頭部から足まで分かる状態で、もう1体は頭部が確認されていない。人骨の周りには、石斧(せきふ)も埋められており、副葬品の可能性もあるという。性別や身長は不明で、埋められていた穴の大きさなどは今後、詳しく調査する。

 同センター館崎遺跡調査事務所によると盛土遺構は、縄文人が土を盛り上げ丘にしたもので、今回の調査で、押しつぶされているが、個体の状態を保った多数の土器などが出土しており、土と一緒に盛られていたことが確認された。

 館崎遺跡は渡島半島から青森、岩手と秋田の北部で形成された円筒土器文化圏で、三内丸山遺跡(青森県)でも、館崎遺跡と同じ種類の土器が出土している。

 同センター調査部の影浦覚主任は「盛土のおかげで人骨が残っていた。貴重な発見」と話している。

 今年の発掘調査は11月末まで行われる予定。(松宮一郎)


◎笑福亭松枝さん 男女共同参画 笑いで説く…フォーラム

 本年度のはこだて男女共同参画フォーラム(同実行委主催)が17日、函館市若松町のロワジールホテルで開かれた。落語家の笑福亭松枝さん(58)が「男女共同で△(さんかく)じゃない○(まる)い世の中」と題し、笑いを交えて男女共同参画社会を説いた。

 同フォーラムは性別による固定観念にとらわれず、「自分らしい生き方」を見つけてもらおうと1989年から行っている。今回は女性を中心に約270人が参加した。

 講師の松枝さんは上方落語協会に在籍。近年は男女共同参画をはじめ、社会問題をテーマにした講演を全国各地で行っている。講演ではクイズや、さまざまなたとえ話を用いて男女共同参画の理念を説明し、「男らしく、女らしくという言葉にとらわれないようにしよう」などと呼び掛けた。

 また、「酔っ払いの亭主に愚痴を言う妻」という夫婦像を通して、今後の家族のあり方や職場の男女関係を考える内容の落語も披露。集まった参加者は松枝さんの軽妙な語りで大いに笑いながら、男女共同参画社会について考えていた。(千葉卓陽)