2009年10月2日 (金) 掲載

◎かとう時計店長が食器芸術

 【木古内】木古内町本町47のかとう時計店の加藤幸矢店長(65)は、政治やスポーツなどの明るい話題を題材にした食器芸術(グラスコップ)に取り組んでいる。グラス表面に研磨機で細かいきずを施し、絵や文字を加工。加藤店長は「日本全国に元気を届けたい」と張り切っている。

 本業は時計・宝石販売だが、近年はペットボトル(280ミリリットル)に音響装置を組み込んだ「迷子ベル」の売れ行きが好調だ。山菜採りの安全対策品として重宝され、道内各地から注文が入る。「このベルがなければ不景気で店はとっくに閉めていた」という。

 「みんなに助けられている。自分ができることで世の中を明るくしたい」とグラス芸術に取り組み始めた。

 最新の作品「鳩山由紀夫首相誕生」は、9月16日衆院本会議で首相指名を受けた後の新聞記事で「北海道初の首相で、期待している」との期待の声を参考に仕上げた。米大リーグで9年連続200本安打を記録したイチローの作品は、大記録樹立直後にヘルメットを取って観客の拍手に応える場面を再現した。地元も応援したいと、木古内の観光キャラクター「みそぎボーイ」もある。

 2016年夏季五輪の開催地は日本時間の3日に決まる。加藤店長は「東京開催を熱望している。決まったらすぐに、祝いのグラスを作る」と話す。五輪関係では、陸上競技男子100㍍走世界記録保持者のボルト選手の作品も。これらは店内で随時展示している。

 問い合わせは同店TEL01392・2・4152. (田中陽介)



◎9月の日銀短観 道南の景況感2期連続改善

 日銀函館支店(市川信幸支店長)が1日に発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、渡島・桧山管内の企業の景況感を示す業況判断指数(DI、「良い」とする割合から「悪い」とする割合を引いた指数)は、全産業でマイナス22となり、6月の前回調査から2期連続で改善した。改善幅も前回の1ポイントから10ポイントに拡大し、低水準ながら道南経済が緩やかな持ち直し傾向にあることが示された。

 中国向けの輸出回復や在庫調整の進展、政府の経済対策効果などが減速感のあった企業心理を後押ししたとみられる。ただ、DIの水準はリーマンショック前の昨年6月(マイナス14)に及ばず、景気は依然として厳しい局面にある。

 産業別では、製造業が前回から16ポイント上昇し、マイナス9と4期ぶりに改善。このうち機械が前回より50ポイント改善のゼロと急伸した。非製造業はマイナス27と前回から9ポイント上昇。中でも建設が前回より27ポイント上昇のマイナス5と3期ぶりに大幅に改善したほか、小売が前回より10ポイント上昇のマイナス30と2期連続で改善した。

 雇用の過剰感を示す雇用人員判断DIは全産業でマイナス9と、前回より7ポイント過剰感が薄れた。雇用者数も全産業で前年比0・6%増となり、比較可能な統計が残る2004年3月調査以来、初めて増加に転じた。

 3カ月後の景気予測を示す先行きDIは、全産業で今回より2ポイント悪化のマイナス24。製造業はマイナス13、非製造業はマイナス29と2―4ポイントの悪化を見込んでいる。円高や新政権の政策などの懸念も根強く、景気が本格回復に向かうかは不透明な情勢だ。

 調査は8月下旬から9月末までの間、道南の106社(製造業32社、非製造業74社)を対象に行い、全社から回答を得た。(森健太郎)



◎9月気象まとめ、台風来なくて「多照少雨」

 函館海洋気象台は1日、9月の管内の気象状況をまとめた。高気圧に覆われたものの、上空に寒気が入ったため、平均気温は全体的に平年並みか低めに推移。日照時間はかなり多く、木古内の201.9時間と松前の212.3時間は1カ月間として過去最高となった。降水量は少なく、江差の65.5ミリはこれまでで2番目に少なかった。

 函館の平均気温は平年並みの17.7度。上旬から中旬は平年より低かったが、下旬は気温が下がらず平年より高かった。日照時間は平年比123%の193.7時間と多く、降水量は同34%の59.0ミリとかなり少なかった。

 気温は函館のほか、木古内(17.2度)、江差(18.5度)が平年並み。そのほかは平年より低く、今金は1.2度低い15.7度だった。日照時間は各地で同140%以上とかなり多くなった。函館は上旬が50.1時間だったが下旬は74.3時間と多かった。

 雨の日が多かったものの、まとまった量にはならず降水量が少なくなった。函館で雨を観測したのは20日間、江差は21日間だった。9月として2年連続台風の接近がなかったことが大きな要因とみられる。(山崎純一)


◎スプリングボードユニティ21に知事感謝状

 「2009年度観光ホスピタリティー実践者に対する知事感謝状」の贈呈者に、渡島管内からNPO法人「スプリングボードユニティ21」(折谷久美子代表)が選ばれた。1日に渡島合同庁舎(函館市美原4)で行われた贈呈式には折谷代表が出席し、寺山朗渡島支庁長から知事感謝状を受け取った。

 同感謝状は、北海道内で観光地の美化や観光客に対するホスピタリティー(おもてなしの心)の向上を図っている個人、団体に対して贈られる。本年度は全道で1個人5団体が受賞した。

 スプリングボードユニティ21は、地域資源を活用したまちづくり事業を行うことを目的に1999年に発足。沿道に花を植える「函館花いっぱい道づくり会」の中核団体として函館新道などで植栽活動を行うほか、手作りキャンドルで道路沿いを彩る「シーニックdeナイト」や「はこだて光の小径(こみち)」などの美化事業を展開。使用した花の再利用など、環境に配慮した循環型活動も推進している。

 折谷代表は「あっという間の10年間だった。多くの仲間と関係者の協力のおかげでここまで活動を広げることができた」と振り返った。寺山支庁長は「いつも美しい花のある景観に心なごませてもらっている。これからも活躍を続けてほしい」とエールを送った。

 渡島管内の知事感謝状受賞者は64年の表彰開始以来、通算で21個人、36団体となった。 (小川俊之)


◎南茅部の天然マコンブ漁が終了

 最高級品の「白口浜マコンブ」として知られる函館市南茅部地区の天然マコンブ漁が、1日に今年の最終日を迎えた。今年は3年ぶりの豊漁となり、関係者は胸をなでおろしている。

 同地域のマコンブは、06年10月の大しけの影響でコンブ群落の若芽が流出する被害を受けた。例年は400―500トンの水揚げ量になるが、07年は好漁だった前年の5%弱に当たる約40トンに激減。このため地元の南かやべ漁協では、漁期を短縮するなどして資源回復を図ってきた。

 今年は7月17日に漁を解禁。好天にも恵まれたことから漁獲量は順調に伸び、最終的に400トンを超えて3年ぶりの計画量確保は確実な見通し。同漁協では来年以降はさらに水揚げが増えると予測している。

 同市尾札部で4年前からマコンブ漁を営んでいる白川達也さん(42)は「一昨年、昨年と思うように漁ができず苦労したが、今年は質、量ともに納得できる内容だった」と笑顔を見せながら、家族総出で今年最後の乾燥作業に汗を流していた。 (小川俊之)