2009年10月24日 (土) 掲載

◎新型インフル・函館でも予防接種始まる

 医療従事者対象の新型インフルエンザワクチン接種が23日、函館市内でも始まった。ワクチンが一定量しかなく、納品の遅れもあり、大規模病院ではまだ準備段階だが、個人病院を中心に予防接種が実施された。関係者によると、週明けには本格的な予防接種が行われるという。

 道が医療従事者用に確保したワクチンは約7万4800人分。これに対し、希望数は約14万人分で、道は病院については従事者数の8割、有床の診療所には最高20人分を、無床診療所には同10人分をめどに納付数を調整した。

 函館市本通3、無床診療所の小児・内科「あんざいクリニック」(安斎治一院長)には、22日夕、10人分のワクチンが届いた。クリニックは13人分を希望していたが、子どもにインフル患者が多いことから小児科の医師、看護師、受付職員の10人を優先した。

 休憩時間や仕事の落ち着いた時間を見計らいながら、次々と接種。安斎由紀子副院長は「予防接種で安心することなく、これまでのようにうがい、手洗い、マスク着用など基本的な予防策を徹底していきたい」と話していた。残り3人へは後日、ワクチンが届き次第接種する。

 同市港町1の市立函館病院(吉川修身院長)は職員約700人分希望と対象者が多い。23日までに半分ほどの入荷で、一定量が届く27日から約1週間かけて接種を行う。

 厚生省が公表した2回接種を前提とした場合は、医療従事者に続き、重症化の危険が高い基礎疾患(持病持ちの人)や妊婦には、11月上旬から接種が始まる見込み。12月からは1歳から低学年児童、来年1月からは乳児の保護者らに順次接種される。



◎新型インフル・「軽症の児童も外出控えて」 自宅安静期間守って

 新型インフルエンザの流行で休校や学級閉鎖措置を取る学校が増える中、軽症の子どもが自宅安静期間を守らずに外出していることが感染拡大の一因となっている、との指摘が小児科医関係者からある。まん延や重症化予防のためにも、小児科医や学校関係者らは自宅療養など行動制限の厳守を呼び掛けている。

 かみいそこどもクリニック(北斗市)の渋谷好孝院長(48)によると、新型インフルは季節型インフルより重症の感染症との認識で医師は治療に当たっており、「薬ですぐ熱が下がってもウイルスが体内にいて感染力があるうちは自宅でおとなしくとどまるのが最良の選択肢」と説明する。

 函館市教委によると、休校や学級閉鎖の場合、学校から保護者に送る通知文を通じて児童の不要な外出を控えるよう呼び掛けている。休校中の函館千代ケ岱小の大堂譲校長は「便りで協力を呼び掛けるほか、教諭が保護者と連絡を取って子どもの健康や自宅待機状況の把握に努めている」と説明。同校では念のため、教員による校区内の巡視活動も行う方針だ。

 休み期間中、児童の中には友達と遊んだり、習い事に通うケースもある。休校措置を取ったある小学校長は「確かに日中遊んでいる子がいた。習い事や塾などは親の意向も大きいので学校側は理解や協力を求めるしかない」と明かす。

 渋谷院長は「地域の中で感染した子どもが別な子に移さないことが重要。働く親にとっては負担かもしれないが、自宅安静を守ることで感染は短期間で収束に向かう」と話し、「これ以上の感染拡大を防ぐため、数日間の行動制限を実践してほしい」と呼び掛けている。



◎うまい“コンブ”できた 特産「カニ形」に 郷土PR

 コンブをカニの形にかたどり、鍋料理のだしにし、特産でおいしい料理の演出を目指す有志がいる。福島町の鉄工所社長、鳴海健児さん(69)と同町出身で札幌在住の木彫り作家、小笠原みくらさん(70)だ。二人は福島中学校の同級生。作品は商品化され、函館市若松町の和光ビル内の一角に展示されている。

 福島町はマコンブ養殖が盛んな土地。「品質の良さを積極的に周知し、地元漁師の頑張りを後押ししたい」―。福島が生んだ“二大芸術家”が初の合作に挑む。

 先に、函館市元町のギャラリー村岡で開かれた小笠原さんの作品展会場へ鳴海さんが駆けつけ、打ち合わせをした。「おれたちが持つ、ものづくりという表現法を地域に少しでも還元できればうれしいな。だれかに勧められてやっているのではなく、自分が楽しんで作品づくりに没頭する。こんな幸せな時間はない。名前は『コブカニ』でどうだ」と二人は無邪気に笑いながらデッサンを仕上げた。

 コブカニは21日、和光ビルの「夢を形にするアンテナショップ~たまて箱」に登場。市街地活性化を図ろうと、地元の作家らが手づくり作品を展示販売する場所だ。

 公立はこだて未来大の学生プロジェクトに加わる形でコンブ作品が置かれている。同大の鈴木克也教授は「福島からの情報発信をもっと注目、評価し、広域的な連携でこの道南を盛り上げていきたい。作品を通して、郷土を思う作者の情熱を多くの人と共有できればうれしい」と期待する。

 小笠原さんは動物や人間を題材に、丸みがあって、ごつごつした木彫り作品を手掛ける。「生命の営みの中にある複雑な関係。これを目にし、肌で触れたとき何かを感じるでしょう」と語る。

 鳴海さんは「コンブ作家」の愛称を持ち、新幹線の先頭車両の模型、福島大神宮の本殿、町内の古道を歩いたとされる榎本武揚を題材にする作品をつくってきた。多くが無償提供され、「素晴らしい仕上がり。あめ色のコンブの照り具合が美しい」などと各地で重宝されている。

 二人は「福島を含め、道南全体を盛り上げたい。われわれの思いは必ず、だれかが理解してくれる。このコンブ芸術は最高だ」とさらなる夢の構想を膨らませている。


◎「カボチャの菓子 開発・販売へ」森・佐藤町長が就任1周年町政報告会

 【森】就任1年を迎えた森町の佐藤克男町長(59)の町政報告会(後援会主催)が23日夜、町公民館で開かれた。佐藤町長は町財政の収入増を図るため、町として収益事業を推進する考えを示し、町の特産、カボチャをスライスして乾燥させた菓子「カボチャチップス」を開発し、近く販売することを明らかにした。

 佐藤町長は、前町長の辞職に伴う町長選挙で昨年10月19日に初当選した。

 報告会では厳しい町財政の立て直しを図るため、役場の管理職、一般職員の給与をそれぞれ3年間、15%、10%カットしたことに触れ、「職員につらい思いをさせている。財政を早期に立て直し、元の給与体系にしたい。職員の給与を上げる時は町民の方々にも承認してほしい」と述べた。

 公約として掲げた「しがらみのないまちづくり」に向けて、経済界や選挙時の対立候補となった陣営との良好な関係作りを進めてきたことや、役場職員の意識を改めるため、朝の朝礼の励行や管理職研修を行ったことなど、これまでの取り組みを報告。

 喫緊の課題として財政問題を挙げ、今後、1、2年かけて国保病院事業の経営健全化を図るほか、税、給食費など滞納金の徴収強化を図る方針。「正直者がバカを見る政治はしない」と、支払い能力のある滞納者に厳しく対応する考えを示した。

 そして「町の営業マンとして先頭に立ち、町民と一緒になって誇りの持てる町を作っていきたい」と決意を新たにした。 


◎「にしんテーマに多彩な行事」来月 小樽で開催

 【小樽】本道の日本海沿岸に多彩な歴史遺産や食文化をもたらした“ニシン”に焦点を当て、文化の保存・伝承や沿岸市町村の連携による広域観光の展開を考える「にしんルネサンスin小樽」(実行委主催)が11月7日午後時から、小樽市の運河プラザ(色内2の1の20)で開かれることが決まった。

 実行委は江差、上ノ国、松前の3町観光協会でつくる北海道歴史倶楽部(会長・岩田良子上ノ国観光協会長)を中心に組織。江差観光コンベンション協会の打越東亜夫会長が実行委員長を務める。

 イベントの皮切りは「にしんサミット」(午後1時―2時)。濱谷一治江差町長、工藤昇上ノ国町長をはじめ、小樽や石狩などの日本海沿岸の市町村長や観光協会長ら約50人が一堂に会する。続いて開かれる「にしんフォーラム」(同2時―3時)では、北海道大学観光学高等研究センターの佐藤誠教授をコーディネーターに、水産資源としてのニシンの現状、観光資源としてのニシン文化の位置付け、沿岸市町村を結び付けた広域観光の展開について各界代表が意見を交わす。

 午後3時半からは、日本海沿岸に伝わる江差追分、江差もちつきばやし、松前沖揚げ音頭、積丹鰊場(にしんば)音頭などを披露する「郷土芸能交流」も開催。同プラザでは午前10時から午後4時まで、沿岸市町村の特産品やニシンを生かした料理などを販売する物産コーナーも開設する。

 同倶楽部は2003年、ニシンがもたらした鰊御殿などの伝統建築群や食文化、郷土芸能などを結び付けることで、新たな観光資源の創出を目指す「にしんルネサンス」をスタート。04年からはニシン文化が北上した道のりを「にしん街道」と命名した。市町村や観光協会の協力で標柱を建立する活動も継続。最南端は松前町、最北端は石狩市浜益区と、これまでに渡島、桧山、後志、石狩の4支庁管内の12市町村に15基の標柱を設けた。打越委員長は「石狩管内まで到達した活動の集大成となるイベント。にしん街道をさらに北上して、留萌から最北端の宗谷管内まで連携の輪を広げていく起爆剤になれば」としている。