2009年10月25日 (日) 掲載

◎せせらぎ温泉でマルメロ湯始まる

 【北斗】北斗市本町の市健康センター「せせらぎ温泉」で24日から、恒例のマルメロ風呂が始まった。同市名産のマルメロの収穫期に合わせて行っているサービスで、初日から大勢の客が甘い香りを楽しみながら入浴していた。

 今年は例年よりも4日間ほど期間を延長し、11月8日まで実施する。このほど市営果樹園で収穫された品種「かおり」を使用しており、男湯、女湯合わせて1日40キロ分を中風呂(湯温40度の湯船)に入れる。午後4時45分ごろに実の入れ替えをして、閉館時間まで香りを維持している。

 この日は、午前10時の開館前から50人ほどが来館し、開館後も続々と入浴客が訪れた。入浴客は湯船に浮いているマルメロを手にとって香りをかいだりしながら湯船につかっていた。毎週1回通っている同市内の男性(48)は「毎年楽しみにしている。リラックスできた」と話していた。

 入浴料は一般300円、中高生250円、小学生140円、1歳以上乳幼児70円。営業時間は午前10時から午後10時。毎週月曜休館(祝日の場合営業)。問い合わせは同温泉TEL0138-777070。(鈴木 潤)



◎25日はリクエストの日、FMいるか・皆方さん人気番組担当12年

 函館市元町の「FMいるか」は道内初のコミュニティーFMラジオ局として1992年に開局して以来、地域に密着した番組を制作し、市民から熱い支持を受けている。人気番組「ご機嫌ラジオ!皆方流」(月~木、正午~午後4時)を担当する皆方昭司さん(42)は、歯に衣着せぬ軽妙な語り口が売りのパーソナリティー。12年間の活動の中で多くのリクエストやメッセージと向き合ってきた。25日は「リクエストの日」―。

 「リクエストの日」は1936年10月25日、ドイツの放送局が生番組放送中に電話で要求された曲を演奏したのが由来という。

 皆方さんがパーソナリティーになったのは、フリーアナウンサー藤本恭子さんの話し方教室へ通ったのがきっかけ。学生時代から芸能界にあこがれ、地元函館で舞台に立つ傍ら、芸人としての技術を磨こうと参加し、そこで開局準備を進めていたスタッフに誘われた。

 イベントの前座などで人前で話す楽しさを感じてはいたものの、マイクを通じて人と向き合うことに当初は戸惑いもあった。「ラジオは大勢の人に語るようであって、特定の誰かに語り掛けている」と皆方さん。舞台と違い、リスナー1人1人とのつながりが、パーソナリティーとしてのやりがいだと感じている。

 リスナーの大切さを実感する忘れられない出来事もある。中継車で外へ出たある日、老夫婦からサインを求められた。「家から出ず、会話もしない息子があなたのラジオだけは聴いている。だからサインを」との理由からだった。顔も知らない人の支えになっていることを実感し、驚きと喜びを覚えたという。

 番組にはさまざまなメッセージが寄せられる。日常の喜びや不満、軽い話題から深刻な内容まで多岐にわたる。皆方さんは「しょうもないことを話してリスナーに軽く笑ってもらえれば」と笑う。

 FMいるかのパーソナリティーの1人、三宅真人さん(28)は「リスナーとの1対1の双方向がラジオの魅力」と話す。番組ゲストとして参加した函館出身の歌手う~みさんは自身のパーソナリティー体験を踏まえ、「送られてくるメッセージから、自分も含め、いろんな人がいていいんだと感じた」と語る。

 パーソナリティーに共通しているのは、ラジオを聴いているリスナー個々に対して語るという姿勢だ。日常で感じたことをメッセージにし、曲をリクエストする。皆方さんたちはそんな“あなた”を今日も待っている。(黒田 寛)



◎南茅部で縄文フォーラム、講演や体験講座

 NPO法人函館市埋蔵文化財事業団主催の「2009 縄文の道フォーラム~海と縄文文化~」が24日、約80人が参加し函館市川汲町の南茅部公民館で開かれた。復元した縄文人の容姿や縄文文化の奥深さを専門家が伝え、縄文時代の釣り針作りを学ぶ体験講座も行われた。参加者は当時の生活に思いを寄せながら、現代に生かせる柔軟な視野や物事のとらえ方を学んだ。

 縄文文化は海と森にはぐくまれ、自然豊かな南茅部はまさにその文化が発展した地。この悠久の歴史と文化を財産に位置づけ、現代人の生涯学習推進を図ろうとフォーラムを企画した。

 国立歴史民俗博物館の西本豊弘教授(62)が「『南かやべの豊かな海の幸』~道南の貝塚調査から~」の演題で講演。南茅部や戸井、恵山の貝塚遺跡調査から、古くから一帯の水産資源は恵まれていたとし、「魚を狙って海獣(オットセイ)が海峡に入る。縄文人も海の資源を生活の糧にしていたのは明らかで、動物の骨で狩り道具をこしらえ、数人乗りの船で海獣狩猟をしていたと推測される」と述べた。

 また、時代を超えても変わらぬ特産の魅力も紹介。「海藻類を積極的に生活に組み込んでいたのでは」と推察し、「南茅部はコンブの産地。遺跡では海藻の利用は確認されていないが、繊維としてコンブを利用していた北太平洋の諸民族の事例から、縄文人も食料や繊維に活用していた可能性はある」と結んだ。

 講演後は鹿角の釣り針作りが行われ、参加者は真剣な表情で、針先やかえしを鋭く加工。「うまくできない。面倒くさい」という児童に、「縄文人はこうやって針を作っていたんだよ。食べて生きていくための必死さがわかるでしょ」と促す母親もいた。

 市内臼尻の加藤詔三さん(65)は「興味深い内容の講演だった。縄文人の衣服や生活品は出土品などから分かる。一番興味があるのは縄文人の表情で、ぜひ見たい」。道教大函館附属小4年の佐藤健一郎君(10)は「針づくりに驚いた。縄文人のたくましさと賢さを感じ、勉強になった」と目を輝かせていた。(田中陽介)


◎桧山 新型インフル報告減も…休校措置続発?

 【江差】江差保健所管内の桧山南部5町の新型インフルエンザ定点報告数は、1定点当たりの患者報告数が第42週(12日~18日)で4.33人と全道30保健所管内で最低水準となった。だが、管内の小中学校では集団感染に伴う休校や学年閉鎖が続発しており、報告数の低下に関係者も首をかしげている。

 同保健所は管内3カ所の医療機関で患者数の定点把握を行っている。新型インフルの発生が比較的遅かった桧山南部だが、小中学校などの集団感染が続発した第40週(9月28日~10月4日)には、1定点当たりの患者数が、注意報発令基準(10人)に迫る7.33人に上昇。しかし、函館市など全道で警報(30人)発令が相次ぐ中で、同保健所管内だけは第41週(10月5日~11日)は5.00人、第42週には4.33人と低下傾向が続いている。

 全道30保健所管内で注意報が発令されていないのは江差、上川(7.00人)、根室(8.00人)だけ。第42週には函館保健所が63.27人、渡島保健所が51.00人、八雲保健所も33.33人と感染拡大は止まらず、全道平均の患者数も57.93人に達したのとは対照的だ。

 しかし、桧山南部では江差町や上ノ国町で小中学校の休校や学年閉鎖が相次いでおり「発症した児童生徒は減っていない。実感としては数値の傾向よりも感染が拡大している」(町教委担当者)。ただ、乙部町では小中学校の休校や学年閉鎖は行っておらず、感染拡大のペースが他地域よりも鈍い傾向はあるようだ。桧山南部では、函館など管外の医療機関を受診する住民も多いため「患者数が他の保健所管内に吸収されている可能性もある」(ある町の担当者)との声もある。(松浦 純)


◎道南市民オンブズマンが市民フォーラム

 道南市民オンブズマン(大河内憲司代表)主催の市民フォーラムが24日、函館市民会館で開かれた。「議会を議員さんに任せっきりでいいですか?」と題し、講演やパネルディスカッションを通じて地方議会改革の方策を考えた。

 約90人が参加。函館市や森町の議会議員らも訪れた中、フォーラムでは前栗山町議会事務局長の中尾修氏が「地方分権下における議会の役割」と題して講演。同町議会が2006年、全国初の議会基本条例を制定し、全議員参加の議会報告会を開催することなどを定めた点などについて説明した。

 中尾氏は「政権交代が起きた今が地方自治改革のチャンス。議会が正確に作動しているか市民は確認すべきで、市長にすり寄るようでは議会は成り立たない」と述べた上で「行政も議会もディスクロージャー(情報公開)が必要。市民も行政にしっかりかかわってほしい」と力説した。

 パネルディスカッションでは中尾氏のほか、森町長の佐藤克男氏、福島町議会議長の溝部幸基氏、函館市議の小野沢猛史氏がパネリストとして参加。

 溝部氏は同町議会が進めた改革について「わかりやすく、町民が参画することと、町民としっかり討議することをポイントに置いた」と説明。佐藤氏は「議会側からいろいろ提案してくると思ったが、実際は町から出たものを審議する形。議会基本条例は斬新に感じるし、町民の関心も深まるのでは」と述べた。(千葉卓陽)