2009年10月26日 (月) 掲載

◎九十さん(函大1年)念願 珠算検定十段合格 14度目の挑戦実る

 函館大学1年の九十(くとう)沙織さん(18)=北斗市追分=が珠算検定十段位に合格した。2年越し、14回目の挑戦でついに最高段位を取得。九十さんは「とても難しかったので、合格の一報を聞いたときは本当に驚いた。いまは、うれしさとほっとした気持ちでいっぱい。これからも珠算の腕を磨きたい」と意気込んでいる。

 9月に開催された全国珠算教育連盟の第333回珠算検定試験で合格した。十段位取得は、連盟道函支部では6人目の快挙。

 検定は9―12けたの乗算(かけ算)、除算(割り算)、暗算力が必要な見取り算、応用計算など6種目、各30問。制限時間以内に各28問以上の正解、「読みづらい数字はだめ」と丁寧な文字記入も求められる。

 九十さんは母親のいづみさん(50)に勧められ、小学校のときから珠算教室に通い、次々と段位を取得。ほぼ毎日、2―3時間勉強に励み、浜分小・中、函館商業高校時代に全日本珠算選手権大会にも出場してきた。

 十段位取得に向け、指導した同支部検定部長の日沼純一さん(71)は「九十さんは天性の才能に加え、かなりの努力家。珠算教室でも、だれよりも積極的に勉強している。みんなの良い手本で、これだけの人はなかなかいない」と評価する。また「珠算は計算力はもちろん、集中力と根気強さを鍛える。これが社会人として生きていく上で必要になってくる。これからも頑張ってほしい」と激励する。

 九十さんは「そろばんの珠(たま)をリズミカルに弾くのが好き。計算の答えもばっちり合えば気持ちいい」と笑い、「将来の進路は未定だが、この検定を何らかの形で生かせる仕事に就きたい」と声を弾ませる。今後も、日沼さんの珠算教室(函館市上湯川町)に通いながら、選手権大会の上位を狙う。



◎未来大サークル「Funbot」4回目V ロボットトライアスロン室蘭大会

 公立はこだて未来大の学生サークル「Funbot(ファンボット)」が、このほど行われた第9回ロボットトライアスロン室蘭大会で総合優勝に輝いた。一度に空き缶を10個運べる完全自立型の移動ロボットで、走行タイムや技術面で高い評価を獲得。後輩と一緒に4回目の優勝を成し遂げ、メンバーは喜んでいる。

 この大会は毎秋札幌と室蘭で2回開催され、3つの障害が設定されたコースの走行タイムやデザインなどを競う。室蘭大会のノーマル部には20チームが出場した。

 メンバーは4年の佐々木啓太君、奥崎悟君、金野僚一君、2年の館山由季さん、1年の長村勝也君、畑つぐむ君、北山史朗君。製作したロボットは「カニ分家」と名付け、全方向への移動が可能な特殊タイヤを採用。長い棒で空き缶を一気に集めてアームで1個ずつ持ち上げ、格納して運べるよう工夫した。本番では好調に性能を発揮して総合得点は1483点に上り、2位と600点以上の差をつけた。

 前回の札幌大会ではエラーが発生し、競技参加を棄権する悔しい結果に終わったため、金野君は「札幌は練習通り動かなかったので、室蘭で実力通りの走りができて安心した」と説明し、館山さんは「先輩のものづくりの過程を見ることができて勉強になった」と話す。

 作業統括を担当した佐々木代表は「予算や場所があれば全国大会も目指せる実力がある。後輩の伸びに期待したい」と話している。



◎無料クーポン利用低調 がん検診 早期発見へ活用して

 函館市が8月までに配布した、子宮頚(けい)がんと乳がん検診の無料クーポンの利用が伸び悩んでいる。市は両検診合わせて約1万9000人の対象者にクーポンを配布したが、9月の受診率は両検診ともに2%程度と低迷。使用は来年2月末までで、市立函館保健所は「早期発見と治療に結びつけるためにも、無料の機会を活用して、ぜひ受診を」と呼び掛けている。

 無料クーポンは日本のがん検診受診率向上を目指して、全国で実施されている。市が実施する検診は子宮がんで20、25、30、35、40歳の延べ8350人、乳がんは40、45、50、55、60歳の同1万963人対象に、クーポン券を配布した。

 しかし、同保健所がまとめた9月中の実績によると、対象者のうち乳がん検診を受けたのは272人(受診率2.5%)、子宮がん検診は204人(同2.4%)にとどまる。

 同保健所は国に準じ、受診率を50%に設定した。そうした中での思わぬ低調に「健康に対する意識づけがまだ十分に届いていない」と分析した上で、周知ポスターの作製や、若年層が集まる場所でのPRなどの検討を進めている。

 市内で検診可能な医療機関は子宮がん17カ所、乳がん8カ所。事前連絡で予約したうえで、来年2月28日まで無料で受診できる。今年4月から8月までに市の検診を受けた対象者は、かかった費用が払い戻される。

 同保健所は特に子宮がんで若年層の検診を重視しているだけに、「若いうちから発症しても、早期発見で100%治る。自分には関係ないものと思わずに、クーポンを活用してほしい」と話している。


◎大門横丁 イベント効果で前期並み

 函館市松風町の屋台村「大門横丁」を運営するはこだてティーエムオーは開業4年目の今期(2008年10月―09年9月)の営業実績をまとめた。来客数は約14万8600人、売り上げは約2億5100万円で、月別では冬季の閑散期に前期を下回ったものの、イベント効果もあって夏以降に巻き返しを図り、前期並みの水準となった。

 大門横丁は2005年10月に開業し、23日で4周年を迎えた。1年目(05年10月―06年9月)は約23万9900人、約3億4300万円、2年目(06年10月―07年9月)は約15万9200人、約2億5500万円、3年目(07年10月―08年9月)が約15万700万人、約2億5100万円で、2期目以降は、ほぼ横ばいで推移。つまみ1品と飲み物1杯のセットをワンコイン(500円)で提供し、はしご酒を楽しんでもらう催し「大門横丁バル」が2期目から始まり、閑散期対策に一定の集客効果を挙げている。

 今期は昨年11月から今年4月にかけ、来客数、売り上げとも前期から5―20程度%落ち込んだ。一方、7―9月はイベントやシルバーウイークなどの効果で前期を上回った。同社は「昨秋以降、リーマンショックによる不況の影響が懸念されたが、大きな落ち込みがなかった」とする。

 7月は函館を含む全国6市の屋台村が集まった「屋台村サミット」が大門横丁で行われ、2日間で約3000人が来場。8月は開港150周年関連のイベントやJR北海道の広報誌で大門横丁のテナントが紹介された波及効果もあって客足が伸びた。9月のシルバーウイークが天候に恵まれ、5月の大型連休以上に好調だったことから、来客数、売り上げとも前年より10―15%増となった。

 同社は「マンネリ化しないような魅力づくりが必須。これからの冬場の集客が鍵」と指摘。「バルだけでなく、忘年会、歓送迎会プランとして、予算額にプレミアを付けたお得なチケットをつくり、近隣企業に売り込みたい」としている。


◎財政再建、医師確保に全力 森・佐藤克男町長インタビュー

 【森】森町の佐藤克男町長(59)が20日で就任1年を迎え、このほど、函館新聞社のインタビューに応じた。競売入札妨害(談合)の罪で逮捕・起訴(有罪)された前町長の辞職に伴う選挙で当選を果たし、しがらみのないまちづくりを掲げ、町の活性化に取り組んできた。「町の営業マンとなって、町民が誇りを持てる町を作る」と2年目の町政執行に意欲を示した。インタビューの要旨を紹介する。

 ――前町長の長期政権の弊害がよく言われました。しがらみや反発はありませんでしたか。

 私は立候補するまで横浜にいましたから、町の派閥には無関係。しがらみは全く感じない。懸案だった経済界との関係は、当選してすぐに私から商工会議所の会頭にあいさつに行きました。町の団体や企業に対しても、わたしが出向き、わざわざ役場に来てもらうようなことはさせなかった。対立候補の陣営に対してもです。私のこうした行動を素直に受け止められたのでしょう。反発する人もいますが、おおむね多くの人たちと良好な関係ができていると思います。

 ――この1年で挙げた成果は。

 まず、町を活性化するには森町を知ってもらうことと思いました。職員に調べさせたら、森町は食料自給率276%、エコエネルギー自給率189%だった。このことを町内外の会合や出張先の講演会で常々アピールしています。そうすると聞いた人が関心を寄せてくれます。イベントの運営でも私なりのノウハウや人脈を使い、仕掛けをします。例えば、ふるさとまつりでは地元の特産品が売り切れになり、会場周辺が交通渋滞になるほど人が来ました。

 それから、3年間の期限で職員の給与カットをしました。町財政の立て直しには、避けられないと思い、職員にお願いしました。職員には感謝しています。

 ――役場の雰囲気が変わったそうですが、職員に対しては何か指導しましたか。

 就任当初の職員の印象は素直で優秀と思いました。ただ、今まで教育されていなかった。職員には「町民はお客さまという意識を持ちなさい」と言いました。7月から職場全体で朝礼を励行し、この10月から管理職研修を始めました。職員には毎日、メールを送っています。最近、職員からいろいろと提案が出てくるようになり、良い提案は採用しています。職員が元気になれば町も活気づく。そう信じています。

 ――北海道新幹線の札幌延伸は反対と聞きましたが。

 反対しているわけではありません。ある会合の席で質問したことが、反対と受け止められたのでしょう。ただ、北海道の悲願だからという理由で賛成とは、いかがなものか。賛成、反対よりも、まずしっかりメリット、デメリットを検討してから判断すべきと考えます。延伸で函館―札幌間の所要時間が1時間程度となれば、例えば、函館、道南に支店のある企業は撤退の判断をするでしょう。道内は札幌の一極集中化が進み、ますます、函館圏や森町の衰退が予想されます。

 ――今後最優先に取り組む行政課題は。

 国保病院の医師確保です。医師が体調を崩すなどしたため、今月から当面、火曜と木曜の夜間診療を休止しました。町の医療体制を守るために医師確保を最優先にやります。合わせて病院事業の経営健全化も図らなければならない。財政の独立なくして自主独立はないと思います。町営温泉など赤字事業の健全化を図るとともに、税などの滞納金の収納強化もします。低所得層は別として、支払い能力があるのに払わないのは民主主義のルールからおかしい。こういう人には厳しく対応します。