2009年10月28日 (水) 掲載

◎函バスの車内にダスキンマット 床が滑りにくく、乗り心地向上

 函館バス(函館市高盛町、寺坂伊佐夫社長)は、清掃用品レンタルのダスキン下道函館営業所(同市富岡町、下道和男所長)と提携し、路線バスの車内に企業広告を織り込んだフロアマットを導入した。新たな広告媒体として収入確保につなげるほか、乗り心地が向上し、床が滑りにくくなることで安全性も高まる。両社によると、路線バスに広告入りのダスキン製マットを取り入れるのは全国初の試みという。(宮木佳奈美)

 マットは大きさ約1.8メートル四方で、バス1台当たりに5枚設置。本格的な広告募集を前に、まず1台にダスキンの広告を入れたマットを敷き詰め、23日から運行を開始した。今後は順次、他企業の広告が入ったマットに入れ替えていく。最終的には全280台への導入を目指し、年内にも10台に増やす計画だ。

 広告マットの導入は、ダスキン下道函館営業所から函館バスに持ちかけ、1年ほど協議を重ねて実現した。函館バスによると、路線バスの車内の床は木が主流で、マットを敷くのはあまり例がないという。同社は「快適に乗車してもらえるうえに、乗客の減少が続く中で広告収入源となり、それが最大の使命である路線の維持につながる」とメリットを挙げる。

 マットは吸水性、防塵(じん)性に優れ、足への衝撃を和らげるなどの特長があり、週1回きれいなものに交換される。ダスキン下道函館営業所は「乗車中、確実に目に留まる広告となるだけでなく、利用者に優しい快適な車内環境になる。乗客が増え、広告主など皆にメリットが生まれることで、まち全体の活性化につながれば」と期待している。

 問い合わせは函館バスTEL0138-51-3960。



◎「文字書き人形制作佳境」 道南唯一のからくり人形師の平塚さん

 道内唯一のからくり人形師、平塚英昭さん(66)=函館在住=が、幕末に活躍した天才からくり師、田中久重(1799―1881年)の最高傑作とされる「文字書き人形」の制作に挑んでいる。からくり人形に魅せられて36年。先人の仕掛けを忠実に再現しようと試行錯誤を重ねる平塚さんの思いは「江戸のからくり技術のすごさを広めたい」。5年掛かりの作業は佳境に入り、年内の完成を目指している。

 平塚さんがからくり人形を作り始めたのは30歳のころ。テレビで見た「茶運び人形」に興味がわき、独学で挑戦した。以来、からくり文化のとりこになり、人形を作り続ける傍ら、尾張地方などに残るからくり人形が乗る山車祭りにも多く通った。

 大手広告代理店を定年後の2004年7月、函館市中道1にギャラリー「街角美術 からくり人形館」をオープンさせた。江戸時代の人形を復元した作品約50体を展示しながら、より難度の高い人形作りに取り組み続けている。

 「文字書き人形」はゼンマイを動力とし、筆を自在に動かして「寿」などの文字を書く。首や腕が動いたり、顔や服が変化したりする多彩なからくりの世界の中でも、繊細で高度な仕掛けが施された珍しい逸品だ。平塚さんは04年ごろ、修復された田中久重の人形をテレビで見たのを機に制作に取り掛かった。

 図面はないため、知恵と経験、想像力を働かせて工夫を重ねる。難しいのは腕の左右、前後、上下の動きを作り出す3枚の「カム」部分の制作。文字の絶妙な形を表現するため、その作業に丸3年費やしている。

 「現代人が考えつかないことを江戸の人が成し遂げたことに驚かされる。人形作りに飽きることはない」と平塚さん。文字書き人形のほかにも、田中久重の名品「弓曳童子」や車上の仙人が常に南を指す「唐子指南車」などの制作も進めている。

 電力など最新技術を使わず、昔ながらの製法や材料を大切にするのは「幕末の人のすごさを説明したいから」。素朴で味わいあるからくり人形の魅力を、1人でも多くの人に伝えたいと願っている。

 からくり人形館は入館自由。不定休。問い合わせはTEL0138-54-1817。



◎道南の食 売り込め 商談会で全国のバイヤーにPR

 道南産の食品などを広くPRするため、全国有数の百貨店や商社のバイヤーを招いた「渡島ブランドフェア商談会」が27日、渡島支庁で開かれた。道南ブランドの食品や特産品の潜在力を磨き上げ、さらなる販路拡大につなげようと、渡島・檜山管内の食品関連メーカーなど40社が自慢の商品を売り込んだ。

 島支庁と北海道銀行の主催で、道南では初開催。東武百貨店(東京)や阪急百貨店(大阪)、伊藤忠商事北海道支社(札幌)など全国13社から目利きのバイヤー約20人を招いた。バイヤーは製品を試食しながら製法や生産量などを聴き、価格や販路などをアドバイスした。

 会場にはバイヤー側のブースが並び、各メーカーが自社の商品を持ち寄って味や原材料などこだわりの品質をアピール。バイヤーからは「価格設定の前にターゲットを確立して」「食べ方が一目で分かるパッケージに工夫を」などと具体的に助言し、物産展への出品や見積もりを依頼するケースも見られた。

 阪急百貨店の薬師寺雅文さんは「道南食材の素材の良さや商品づくりはピカイチ。あとは顧客ニーズに合わせた売り方やパッケージに工夫が必要」と指摘。ホッケのすり身を出品した滝川鮮魚店(松前町)の長谷川さおりさんは「高い評価を得られて自信がついた。商品にもう一手間かけたり、使い切りの内容量にしたりと、貴重なアドバイスも聞けた」と手応えを感じていた。


◎名曲どう生かす? 七飯町で来年2月「千の風サミット」

 【七飯】名曲「千の風になって」にゆかりのある七飯町と新潟市、愛媛県西条市の3市町が集う「千の風サミット」が来年2月、七飯町大沼で開かれる。今回、町がホストを務め、来月初旬にも実行委員会を立ち上げ、準備を本格化させる。

 同サミットは今年2月の新潟市開催続き2回目。曲を訳詞、作曲した新井満さんの出身地、新潟市と、曲を歌うテノール歌手、秋川雅史さんの出身地、西条市、曲の誕生地となった七飯町大沼が、曲を活用した町おこしの可能性を探るとともに交流を深めていこうと企画された。

 開催日程は大沼函館雪と氷の祭典が行われる2月6、7日で調整中。今回は初日に大沼国際セミナーハウスでサミットを開催し、各市町の取り組みを発表するほか、中宮安一町長を議長に意見交換を行う。名曲を今後どう生かしていくか共同宣言を行う。

 2日目には、「千の風になって」にちなんだ芸能祭を行い、新井さんのゲスト出演も予定されている。新潟市、西条市から関係者約60人が参加する。

 前回は、千の風プロジェクト(歌によるまちづくり)の推進や3市町の連携、サミットの継続などを宣言。町商工観光課は「サミットを大沼振興につなげるとともに、プロジェクトの取り組みを発信していきたい」としている。


◎10年間の集大成 華やかに 「R dance company」31日に記念講演“宇宙へ”

 函館市末広町のダンススタジオ「R dance company」(高野理恵子さん主宰)の10周年記念公演“宇宙(そら)へ”が31日午後6時半から、函館市民会館(函館市湯川町1)大ホールで開かれる。同スタジオの歩みを振り返るとともに、ロサンゼルスの最新ダンスを取り入れたプログラムも用意されて、10年間の集大成にふさわしい華やかなステージが繰り広げられる。

 函館生まれの高野さんは、幼いころからバレエのレッスンに励んできたが、大学時代に札幌でジャズダンスの洗練を受けたのをきっかけに転身。1984年からはテーオーアスレチッククラブの講師を努めながら渡米を繰り返し研さんを積んできた。1999年10月に念願だった独立を果たし同スタジオを立ち上げ、これまで数多くの生徒たちを育て上げてきた。

 今回の記念公演は3部構成。第1部は、小学生から一般までの総勢80人で華やかに幕開け。ダンス映画の金字塔「ステップ・アップⅠ・Ⅱ」をモチーフとしたプログラムや、同スタジオのイントラクターで、今年5月に米ロサンゼルス(LA)のダンスコンテストで優勝した石井ちえさん(25)による華麗なステップなどが披露される。

 第2部は、同スタジオがこれまで取り上げた代表作品を新たな演出で再現。ラストの「復活―大地~そして宇宙へ」では高野さん自らが登場し、未来に向けたメッセージを表現する。第3部は、世界的に活躍する日本人ダンサーのトニー・ティー氏によるオーディションで選考されたメンバーがトニー氏自らの振り付けによるLAの最新ダンスを繰り広げる。

 高野さんは「独立した当初はスタジオが10年続くとは想像もしていなかった。たくさんの皆さんの支えがあったからこそ、ここまで頑張ることができた」と感謝しながら、「今回の舞台が函館のダンスシーンに刺激を与えることができればうれしい」と意欲を見せている。

 入場料はS席4000円、A席3000円(いずれも指定席)。問い合わせは同スタジオTEL0138-23-7121。