2009年10月29日 (木) 掲載

◎テクノパーク 「みのり」新社屋が完成 26日から業務開始

 函館市桔梗町の企業用分譲地「函館テクノパーク」に進出した情報サービス業「みのり」(加藤進社長)の新社屋が完成し、26日から業務を開始した。同分譲地への企業進出は2005年以来4年ぶり。同社は「新社屋を契機に雇用を増やし、地元の活性化に寄与したい」と話している。

 同社は1998年、加藤社長(40)がホームページ作成やパソコン修理を行う事業を始め、2001年に法人化。現在はパソコン設定のサポートや、ホームページを利用した通信販売業務も手掛けている。

 現在の社員数は120人。積極的に採用を進め、事務所が手狭になっていたことから、新社屋は市内に5カ所あった事務所のうち3カ所を集約した。建物は木造平屋で、延べ床面積は約340平方㍍。総事業費は約6000万円。

 同社は新社屋移転にあたり、当初は市内の別の賃貸物件で検討を進めていた。しかし、市が本年度から同用地の分譲価格を4割引き下げるなどの優遇措置を打ち出したことから、同地への進出を決めた。同社は1区画(737・78平方㍍)を約1844万円で購入、1区画を駐車場スペースとして借り受けている。

 加藤社長は「新社屋はゆとりができて快適。函館には優秀な人材が多く、今後も社員を増やすことで地元の雇用に役立てたい」と話している。

 同分譲地の総面積は24区画、2万4868平方メートル。売り払い面積は同社を含め7社11区画、貸し付け面積は3社4区画で、売り払いと貸し付けを合わせた土地利用率は55.8%となった。

 市は今年1月に企業立地推進に向け、設備投資や雇用人数に応じて単年度で助成する関係条例を施行するなど、同分譲地など3地区への企業誘致を進める。市工業振興課は「初期投資の負担軽減を少しでも図ることで、工業団地への企業進出に結び付けたい」と話している。(千葉卓陽)



◎9月の道南 有効求人倍率0.34倍 27カ月連続で前年割れ

 函館公共職業安定所が28日に発表した9月の渡島・桧山管内の雇用失業情勢によると、有効求人倍率は0.34倍と前年同月を0.13ポイント下回り、27カ月連続で前年割れとなった。前月比では2カ月連続で増加したものの、新規求人数が2カ月ぶりに減少に転じ、同職安は「一段と厳しさが増している」と前月の判断を据え置いた。

 有効求職者数は前年同月比17.4%増の1万1284人と、13カ月連続で前年同月を上回った。今年1月以降は同15%以上の増加が続き、昨秋以降の景気低迷で、求職活動が長期化していることが浮き彫りとなった。有効求人数は同14.1%減の3889人となったが、2カ月連続で減少幅は改善した。

 雇用の先行指標となる新規求人倍率は0.60倍で、前年同月を0.18ポイント下回り、18カ月連続で前年割れ。新規求人数は8月に前年を上回ったものの、再び減少に転じ、前年同月比17.8%減の1633人となった。

 新規求職者数は2702人と前年同月から5.8%増加。事業主都合(契約期間満了を含む)の離職による新規求職者数は591人で、前年同月比25.5%増となり、雇用調整が行われている実態もうかがえる。

 産業別の新規求人では、緊急雇用対策による自治体の臨時職員採用などで公務が激増したほか、宿泊業や飲食サービス業、医療・福祉が前年をわずかに上回った。一方、製造業、サービス業、卸売・小売業が前年同月から30―45%減少した。同職安は「求人動向でみると、道南の回復は遅れている。例年冬に向けて新規求人は減っていくので、現在の景気動向を踏まえると情勢は依然として厳しい」と懸念している。(宮木佳奈美)



◎七飯、コンコード・カーライル高との合同演奏会を生中継へ

 【七飯】七飯町の姉妹都市、米国マサチューセッツ州コンコード町との交流事業の一環で、同町のカーライル高校スクールバンドと、町内の中学、高校吹奏楽部による合同演奏会が来年4月に町文化センターで開かれる。町は演奏会をコンコード町に向けてインターネットで生中継する計画を立てており、町総務課は「映像を通した交流は顔が見え親近感がわく。お互いの町が身近になって相互交流が深まれば」と話している。

 同スクールバンドを招いた合同演奏会は3年に1度開催しており、今度で4度目となる。前回の2007年は姉妹都市提携10周年の記念事業として開催した。

 昨年12月には、役場で同スクールバンドのコンサートをインターネット回線を通じて役場のテレビに生中継した。来場した町民が画面からの演奏を楽しみ、IT(情報技術)を使った新たな交流が生まれた。

 この時は、コンコード側がインターネットによる映像配信を町に提起したのを受けて試験的に行ったが、町も相互の交信に前向きな姿勢を見せていた。このほど、関係機関と調整を進め、七飯側から配信できるめどが立った。

 今回は同バンドの生徒約100人が来町する。滞在期間は4月17日から22日で、ほとんどがホームステイを希望しており、町は生徒の宿泊を受け入れるホストファミリーの募集も始めている。

 演奏会には七飯高校と七飯中、七飯大中山中の吹奏楽部が出演する。同バンドの生徒と地元の中高生との交流も予定していて、同課は「学校同士による交流も深まれば」と期待している。(鈴木 潤)


◎今夏公演の名シーンふんだんに 野外劇カレンダー4日に発売

 NPO法人市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)は、「2010年版カレンダー」(B3判、8ページ)を11月4日から発売する。今夏公演の名シーンがふんだんに盛り込まれており、野外劇ファンに幅広く人気を集めそうだ。

 同会では資金確保の目的で、写真家、野呂希一さんが撮影した写真を使ったカレンダーを10年前から毎年作製している。

 今年は表紙に戊辰戦争の激しい戦闘シーン場面を配置。2カ月単位、全6ページのカレンダー部分には、例年は劇のストーリーを追った遠景を使用しているが、今年はより多くの出演者の表情を楽しんでもらおうと、一人一人の息づかいが伝わるクローズアップ写真を多用している。また最終8ページ目には、劇全体の構成と流れが一目で分かるように各場面の写真と解説が並んでおり、野外劇の観賞ガイドとしても活用できる。

 同会の坂上正治広報部長と演出コーディネーターの石川泰隆さんは「多くの市民の手によって野外劇が作られていることが伝わってる内容に仕上がった」と自信を見せる。例年カレンダーの半数以上を企業や団体が購入することから「一般の方は早めに申し込んで」と呼びかけている。

 価格は1部1000円(税込み)。発行部数は2000部。30部以上まとめて購入すると、企業名や団体名を無料で印刷するサービスもある。注文は電話のみで、郵送の場合は別途300円がかかる。問い合わせは同事務局℡0138・56・8601。(小川俊之)


◎函館産業遺産研究会「函館の産業遺産」第14号発刊 道南にもあった特攻舟艇基地を掲載

 函館産業遺産研究会(富岡由夫会長)は、最近の研究成果をまとめた「函館の産業遺産」第14号をこのほど発刊した。今号は終戦のころに鹿部町などにあった「特攻艇基地」などを掲載。富岡会長は「終戦時に道南にあった事実を知ってほしい」と話している。

 1945年8月に発行された津軽海峡の資料の中で、鹿部町の海岸に「特攻舟艇洞窟(どうくつ)」と書かれていることを20年前、同会会員が気付き、特攻艇の調査を開始。今年に入り、鹿部などで聞き取り調査を行った。

 富岡会長によると、特攻艇は44年夏に建造が発令され、45年1月にフィリピンで敵輸送船団を奇襲し成功を収めた。終戦時の資料や過去の新聞から、本道では小樽に船舶輸送司令部があり、部隊は小樽と函館に置かれた。敵の本道上陸に備え、北斗市七重浜にあった日魯漁業造船所などで造られた小型舟に機雷を積んだ特攻艇を、鹿部町の大岩付近や函館市南茅部地区岩戸に約10隻を配置。舟を納める洞窟や連絡用トンネルも作られた。

 舟は長さ約5・6㍍。体当たり特攻艇であることを隠して四式連絡艇と称しており、「●(マルレ)」と呼ばれた。調査結果は本文のほか、舟の図、司令部の構成、舟の教育計画などが掲載されている。道南で訓練を始めたころに終戦を迎えたという。

 富岡会長は「起死回生を狙ったが、米軍は空からの攻撃を中心としており、活躍の場は無かった。戦争時の道南にかかわる大切なことなので、今号で調査をまとめることにした」と話している。

 このほか、函館の赤レンガ建造物とレンガ製造所について、レンガの原料となる砂が上磯地区のほか、函館市の亀田本町から多く出ており、同周辺に工場があった報告をしている。

 B5判、80ページ。250部を作製し、会員、関係者に配布したほか、市中央図書館で閲覧可能。また、函館市駒場町7の浪月堂書店でも取り扱っている。問い合わせは同書店TEL0138-32-3479。(山崎純一) 【注】●は「○」の中にレ